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秘書の報われぬ夢 [キム・ローレンス]

SHALOCKMEMO1383
秘書の報われぬ夢 One Night to Wedding Vows
( Wedlocked 60 ) 2016」
キム・ローレンス 茅野久枝





 原題は「結婚の誓いへの一夜」
 ヒロイン:ラーラ・グレイ(?歳)/個人秘書/豊かな赤い巻き毛,細い顎,高くせり出した額,なだらかな頬,まっすぐな鼻,エメラルド色の瞳/
 ヒーロー:ラウル・ディ・ヴィットーリオ(?歳)/法律事務所経営者,イタリア名門貴族/身長190センチ,漆黒の眉とひげ,高くせり出した頬骨や額,鷲のような鼻と力強い顎の線/
 家族を大切にするイタリア人でありながら,次々に身近な人たちを亡くしていってしまうラウル・ディ・ヴィットーリオ。今最も頼りにしている祖父セルジオ・ディ・ヴィットーリオが余命数ヶ月のガンを患っていることを告げられ,暗い気持ちになります。祖母を亡くし,母を亡くし,父は自殺し,双子の兄を亡くし,妻と娘をも亡くしたラウルにとって,愛があっても自分には縁がないものと思い込まざるを得ない状況にあったのでした。唯一残された家族である祖父の意に沿うためにはどんなことでもしたい。そう考えていた矢先,祖父からはもうひ孫は見れないだろうが少なくとも嫁になる人と会いたいと強く望まれるのでした。すでに一度結婚し,妻には自分を愛しているのではなくお金に釣られたことを面と向かって言われ,意に沿わない妊娠と堕胎により娘を失ってしまったことを知らされたことにより,二度と結婚すまいと固く心に誓っていたラウルですが,祖父のこの希望は理解できるものでしたし,ディ・ヴィットーリオ家の最後の一人である自分に後継者ができれば家族ができることをも望む気持ちも強かったのです。そんなラウルに絶好の機会が訪れます。青年たちに道で絡まれていた女性をかばったところ,すぐさま自宅についてきて,しかも自ら深い関係を望んでくれたのです。それもすこぶる美しい女性でした。「賢明なリリーと奔放なラーラ」と周囲に思われている双子の姉妹の妹ラーラ・グレイ。それが彼女でした。「安全で安心できる,それが彼女の求める愛だった。友人たちは心奪われる情熱的な恋を願ったが,ラーラは安全と安心を望んだ。」そして上司が振られた恋人の代わりに個人秘書を誘ってやって来たイタリア旅行。上司に誘われた理由が元恋人の代わりだと知らされたとき,腹いせに自分にも恋人がいるんだと,そしてこれまでずっと機会がないまま持ち続けてきた純潔を捧げたいと思った男性こそ,自分を助けてくれたラウルだったのです。偉丈夫で逞しそうなこの男性こそ頼りがいがある人だと思った瞬間,純潔を捧げる覚悟ができたのでした。愛情ではなく欲望により深い関係を持った二人ですが,翌日ホテルに戻るラーラを送ったラウルは,自宅に戻るや,ラーラのことを調べ,帰りの飛行機の時間まで把握して,空港に向かったのです。病を患う祖父を慰めるため,期間限定の結婚をして欲しいという提案を持って。結局,上司に背いたことで職を失うことになってしまったラーラは,ラウルが次々に家族を失い,今まさに唯一の家族である祖父まで失おうとしていることに同情する気持ちをもち,この提案を受け入れます。そして慌ただしく結婚。しかも結婚式にやって来た母と姉は突然のこの結婚に心配な様子です。ラーラはこの結婚が期間限定であることは二人には話しませんでした。そして二人は互いに求め合う気持ちが結婚後も強く続き,ラーラはラウルを愛してしまいます。三ヶ月後妊娠に気付いたラーラ。そのことをラウルに告げようとしていたその時,祖父の危篤が告げられ,病院に向かったラーラは妊娠したことをセルジオに伝えることができたのです。しかし悲しみに暮れるラウルには告げる機会を逸してしまいます。
 ところがラーラの人生は順調ではありませんでした。突然の出血と流産。赤ん坊を失ったラーラは逆に積極的に活動し,体外受精まで考えます。姉のリリーが妊娠していることを知ったからでした。しかもシングルマザーになろうとしています。富豪の夫との間の子供は亡くなり,逆に姉はシングルマザーとなって娘エミリーと幸せになっている。「賢明なリリーと奔放なラーラ」とかつて言われていた双子の関係は「幸せなリリーと不幸せなラーラ」に変わってしまっていたのでした。ラウルとの間の関係も次第に難しくなっていき,ある日町で昼食を取っていると道路の向かいのホテルの前で夫と女性がキスしているのを見かけてしまいます。その相手はラウルの亡妻の親友ナオミでした。二人の元に猛然と駆けつけナオミを追い払ったラーラ。街頭でラーラはラウルを愛している,あなたはどうなのと問いただします。ラウルの沈黙がすべてを物語っていました。荷物をまとめ母の元に去って行くラーラ。「僕は何の価値もない男だ。ラーラはなぜこんな男を愛しているなどと言ったのだろう」という気持ちのラウルと,「私の人生そのものがゴミ箱行きなのだ。」と自虐的になるラーラ。この気持ちのすれ違いのままでは,二人の関係は永遠に平行線をたどっていくでしょう。さぁ作者はこの結末をどう付けるのでしょうか。
 目立たない方の姉がヒロインになるケースは多いのですが,華やかで目立つ方の妹をヒロインとした本作。不安感を抱きながらも強く生きて行こうとするラーラの幸せは最後の最後にやっと花開きます。感動の作品です。


タグ:ロマンス
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