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白いベールは偽りの色 [スーザン・フォックス]

SHALOCKMEMO1392
白いベールは偽りの色 An Arraged Marriage
( Cowboy Grooms Wated 1 ) 1998」
スーザン・フォックス 高杉啓子




HQSP-129
16.11/¥540/200p

I-1281
99.10/¥640/156p


 原題は「ある準備された結婚」
 ヒロイン:アリソン(アリス)・ランカスター(?歳)/ボランティア活動をする裕福な娘/肩まで伸びた金髪,青い瞳,小柄,洗練された気品/
 ヒーロー:ブルー・サムナー(?歳)/牧場主/180センチ以上の長身,黒髪,濃い青い瞳/
 冒頭数ページにわたってヒーロー,ブルー・サムナーの生い立ちが記されています。こんな冒頭も珍しいですね。四歳で母親を亡くし,アル中の父親には面倒を見てもらえず,14歳で学校を退学し,自分の力一つで牧場を買い取って働きづめで生活してきたブルーは,買い取った牧場から石油が見つかったことで一気に富豪の仲間入りをしますが,上流社会のマナーを一切知らず,なかなか社会に受け入れてもらえないことが唯一の悩みとなっています。そこで考えついたのが,上流社会に属する女性と結婚することでした。一方アリソン・ランカスターは両親を亡くしたものの銀行家の伯父夫婦に引き取られ,それなりに良い育ちの娘として教会のボランティアや病院に入院中の子供たちの面倒を見るボランティアなどをして暮らしていましたが,伯父の銀行に勤めたアリソンの大学時代の友人ジョン・ブレイクが銀行のお金を着服して離職してしまい,銀行経営が危なくなってしまったことを伯父に責められ,ブルー・サムナーとの結婚しか解決する道はないと脅されます。伯母のペチュラ・ランカスター・ウォレスは夫に何も言えずひたすら耐える従順な妻でしたがアリソンを実の娘として可愛がってくれていました。お金で自分はブルーの元に売られるのだということは事実でしたが,愛のある結婚を望んでいたアリソンは一度はブルーの申し出を断るのですが,執拗な伯父の要求と,もうこれ以上手がないと考え,数日後に結婚の申し出を受けることにします。やがて夫となるブルーを愛せるようになるかも知れないと淡い期待を持って・・・。「僕は裕福な家に育ったわけではないし学歴もない。だが暮らしは安定している。信頼できる働き者で,誠実で,真面目な男になる。子供たちの良き父親,貞淑な妻の良き夫にもなる。」というのがブルーのプロポーズの言葉ですが,アリソンは9歳の時に事故で亡くなった両親の愛に溢れた姿を目にしていたので,自分もそんな結婚をしたいと将来を描いていたのでした。それに対して愛はおとぎ話だとするブルーの言葉に心がオレそうになりながらも仕方なしの結婚に同意せざるを得なくなったのです。ブルーはそれに対して「僕と伯父さんとのビジネスは,キミとは全く関係のないことだ」と言います。実はかつてブルーはアリソンが小さい子供が転んで怪我をしたのを懸命に慰め手当てをしていた様子を見て,その時からアリソンに憧れていたのでした。しかもアリソンの伯父チャールズ・ウォレスの銀行に何度も融資を願い出ていたのに一顧だにされず,他の郡の銀行まで行ってやっと資金を借りることができたという曰くがあったのです。そんなチャールズへの復讐という気持ちもあったのではないかと読者に匂わせます。しかしよく読むと自分にはなかった育ちの良さと天性の優しさや上品さというアリソン本人の持っている美点,さらには美しさをブルーは求めていて,お金を理由にその機会を利用しようとしたことがわかります。盛大な結婚式を挙げた二人ですが,新婚旅行でも二人は楽しい時を過ごしつつもアリソンの純潔は守られていました。そして旅行から帰ったふたりを待ち受けていたのは伯父伯母夫婦。伯父チャールズはなんとかブルーの経済的支援を期待して押しかけてきたのでした。アリソンはこれまでの協会や病院でのボランティアを続けながらなんとかブルーのことを知ろうとしますが,純潔を捧げた後もブルーはまるでアリソンを避けるかのようにアリソンが目覚める前に仕事に出かけ,アリソンが寝た後に帰ってくる生活を繰り返しているのです。ブルーの次の望みはアリソンの妊娠と出産でしたが,アリソンはピルを飲んでおり,そのことをブルーには黙っていました。あるときアリソンのバッグを落としてしまい,その時こぼれでたピルを見つけたことからブルーはアリソンとの別れを考え始めるのですが・・・。やがてチャールズ伯父の浮気と隠し子の存在を知ったペチュラ伯母が伯父と口論になり伯父に暴力を振るわれるということが起こります。ランカスター家の家政婦マーサのとっさの機転で大事にはならずに済みますが,それを知ったアリソンは警察にも届け,さらに伯母とマーサを牧場に連れてきます。ブルーに相談せずにそんなことをしたアリソンが伯母のことばかり気にかけることに嫉妬したブルーですが,そんな自分の気持ちをもてあましてしまいます。そして伯母に対する優しい心遣いを知ったアリソンはすっかりブルーを愛していることを告白するのですが,ブルーは愛を否定するのでした。やがて敷地内のブルーが育った貧しい小屋に連れて行かれ,自分は愛するに値しない男だというブルーの言葉が,アリソンに強い決意をもたらすのです。
 HQSP版にしろHQB版にしろ表紙に描かれた長い金髪と卵形の美しい,上品な顔立ちがアリソンの姿を伝えています。その純粋で愛に溢れたキャラクターはまさに完璧な女性像でしょう。無骨で寡黙な働き者のブルーが妙にかわいく思えるのも作者の見事な描写からだと思います。読後感の爽やかなイチオシ作品です。


タグ:イマージュ
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