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明日への扉 [ジェシカ・スティール]

SHALOCKMEMO1395
明日への扉 Devil in Disguise 1980」
ジェシカ・スティール 古城裕子





 原題は「変装した悪魔」
 ヒロイン:クレア・ハーパー(19歳)/家事手伝い/シルバーの髪/身長167センチやせ形,シルバーの髪
 ヒーロー:ラーザー・ヴァルダカス(?歳)/海運業者,ソフォロニア,アエネアスの兄/やせ形だが肩幅が広くて逞しい。真っ黒な目/
 今年最初の読了本です。舞台はギリシアの小島ニアコス島。「最近クレアはみなんの過保護なほどの心遣いが重荷になっていた。世界中で一番素晴らしい家族だと思うし,彼女にはみんなの支えが必要ではある。クレアは5年前,一時的に口がきけなくなるほどの恐ろしい目に遭っている。」ヒロインのクレアとヒーローのラーザー・ヴァルダカスの出会いを設定するために,冒頭にこんな文章が登場します。両親と二人の兄,26歳のブルース,24歳のキットまでもが誰かは必ずクレアの面倒を見ようとするのです。精神科医の叔母までがクレアの状況を心配する有様でした。純情,素直と絵に描いたような女の子のクレアですが,高校を卒業してイギリスの片田舎に住み母の手伝いをしていますが,あの悲惨な体験後は引きこもり,少しずつ回復しては北もののまだ悪夢に襲われ眠れなくなる夜も多かったのです。さて一方妹ソフォロニアが誘惑されたと立腹し復讐しようとしていたラーザーは,弟アエネアスがハーパー家の次男キットと友人だったことを利用し,キットをおびき出してアテネに幽閉します。そしてその妹クレアに自分の妹がされたと同じことをしてキットとその家族を苦しめようと計画していたのでした。兄たちが自分のためになかなか外でしたいことが出来ずにいることを申し訳なく思っていたクレアは,兄たちの電話の内容から大丈夫だからと兄たちが出かけることを勧め,一人で家にいたところでした。そこにやって来たラーザー。ラーザーは言葉巧みにキットが怪我をしたとクレアを誘い出し,ギリシアの小島ニアコス島に連れてきます。どこまで世間知らずなのか,クレアはラーザーの言葉を鵜呑みにして自家用ジェットに乗り込み,ヘリコプターに乗り継ぎ,ラーザーについてきてしまうのです。5年前の経験が全く生きていないではありませんか。そして,ヴァルダカス家の別荘で事の真相を聞かされ,愕然としてしまうのです。再び身の危険と恐怖心を感じる状況になったクレア。しかし,ラーザーは自分をとても大切に扱ってくれます。何日か一緒に過ごすうちに過去の恐怖感が消え,悪夢も見ることがなくなっていきます。ついにラーザーに惹かれ,愛していることに気付きます。ラーザーもまた妹の復讐という気持ちよりもクレアの清純さに惹かれ,さらには自分のものにしたいという気持ちが欲望というよりも守ってやりたいという気持ちになっていることに困惑するのでした。やがて期限としていた土曜日がやってきてギリシアを去るクレアですが,このまま島にいたいという気持ちの方が強くなっているのです。しかしキットが解放されたことにも大きく安堵するクレア。アテネの空港でラーザーが見送りに来てくれたのですが二人は互いの運命に逆らうことはできませんでした。帰宅したクレアは母にも事の次第を話すことが出来ずにいたのですが,やがてラーザーから電話があると,すべてを母に話さざるを得なくなるのでした。
 過去の恐怖を乗り越えるためにラーザーとの出会いが運命付けられていたかのようなストーリー展開に思わず引き込まれてしまう秀作です。それにしてもクレアの世間知らずさには,本当に19歳?いや19歳ってそんなもの?という気持ちが入り交じる成長譚です。


タグ:ロマンス
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