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ボスとの予期せぬ一夜 [サラ M アンダーソン]

SHALOCKMEMO1449
ボスとの予期せぬ一夜 His Illegitimate Heir
( Beaumont Heirs 6 ) 2016」
サラ・M・アンダーソン 大谷真理子





 原題は「庶子の後継者」
 ヒロイン:ケーシー・ジョンソン(32歳)/ビール醸造会社の醸造監督/薄茶色の目,見事なヒップ,ブロンドの髪/
 ヒーロー:ゼバディア(ゼブ)・リチャーズ(?歳)/ビール醸造会社のCEO,ハードウィック・ボーモントの庶子/アフリカ系アメリカ人,グリーンの目,短い髪,広い肩/
 「幻の一夜の忘れ物(SHALOCKMEMO1389)」で本邦初訳の出たサラ・M・アンダーソン最大のシリーズ「ボーモントの後継者」の翻訳が始まりました。ただ,シリーズ第1作ではなく,第6作目からの出版ということで,この後シリーズの訳本が出ない可能性もありそうで,心配です。まあ売れ行きを見てということなのか,本国側の出版事情によるものなのか分かりませんが,複雑な親子関係を理解するためにも第1巻からの翻訳が望まれます。
 さて,本シリーズの背景はビール醸造会社「ボーモント・ブルワリー」をデンバーで経営するボーモント一族は130年にわたる歴史を誇る名家中の名家。しかし前社長ハードウィック・ボーモントは女性関係に締まりがなく,数度の結婚を繰り返したばかりでなく,結婚をしない女性との間にも子女を設け,しかも認知をせずに手切れ金だけを渡して済ましてしまうような男性でした。一体全部で何人の子供がいるのやらすら分からなくなっていたのです。本編ヒーローのゼブことゼバディア・リチャーズもその庶子の一人。母親は美容院を営むアフリカ系アメリカ人です。ハードウィックの庶子たちには白人だけでなくアジア系やアフリカ系までおり,なかなか全員を捜し当てるのも大変なようです。2016年までに7作が上梓されている本シリーズも第1作は長男のチャドウィック・ボーモントがヒーローで,チャドウィックは会社をやめ,別の小さなビール醸造会社を立ち上げています。父親から後継者として厳しく育てられてきたチャドウィックにとって,父の圧力から逃れ,独立するためには別会社を立ち上げるしかなかったのでした。その後何人かの経営者がボーモントの会社をつないでいきますが,前社長の時に経営が行き詰まり,会社は買収されてしまいます。その買収者こそ本作ヒーローのゼブでした。ゼブは貧しい仲から身を起こして事業で成功しペーパーカンパニーを通して静かにそして計画的に会社の買収に成功したのでした。これはまさに自分を認知しなかったハードウィックへの復讐という意味合いもあったのですが,会社に来た初日に自分の元に抗議しに来た醸造監督のケーシーの影響により,ビール造りへの情熱が復讐よりも強く湧いてくるのです。CEOとしてのゼブは同じ庶子のダニエル(アジア系)をDMO(市場調査担当重役)に据えて新たなビール造りに挑戦しようとしていたのですが,それを支えていくのがケーシーという30代初めの女性であることに若干の不安を感じつつも,男性以上に工場で働くケーシーの仕事ぶりと,ビール造りに駆けるプロ意識に感嘆し,同時にケーシーへの欲望に駆られていくのでした。経営者と従業員という関係から二人の関係の進展はしてはいけないことと二人とも思っていますが,次第に芽ばえてくる互いへの尊敬の念と欲望が遂に二人を結びつけます。野球試合の観戦中に中座してケーシーのアパートに行った二人は互いの欲望をぶつけ合い,結果ケーシーには一粒種が・・・。表だった関係にできないと密かに事実を告げるケーシーに,翌日ゼブは結婚を申し込みます。しかし仕事への情熱を持ち続け,いずれMBA資格も取ってビール造りをしたいと考えているケーシーにとって,仕事を辞めて家庭に入るように言われたことで,将来の計画に差し支えるとプロポーズを断るのでした。父親に認められないことで自分の子供には両親揃った家庭を準備したいと強く願うゼブにとって,ケーシーが家庭で子育てに専念することは譲れない条件でした。なかなか承諾してくれないケーシーをメールで報告を求めつつ機会をうかがっていたゼブですが,数日後,向上にケーシーがおらず,携帯にもつながらないことで,ケーシーが会社を辞めたのではないかと慌ててしまいます。そしてケーシーを見つけた先は・・・。
 アメリカのスポーツと言えば,フットボールと野球。本作では野球場が重要な場所としてうまく利用されています。電気工事士の父親の後をくっついて育ってきたケーシーは,普段は飾らずに男っぽい服装や言動をしているのですが,いざ恋に落ちると全くもって女性らしい女性に変身するのです。しかし母親を早くに亡くして自分が母親になることにどうすればいいのかわからずにいたとき,ゼブがどのくらい子育てに関与してくれるのか,その覚悟があるのか,そして自分が好きなビール造りの仕事が続けられるのか。これらをどのように解決していくのかが終末までの興味をひいていきます。


タグ:ディザイア
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