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ブラックメイル [ペニー・ジョーダン]

SHALOCKMEMO1452
ブラックメイル Blackmail 1986」
ペニー・ジョーダン 中原もえ




HQB-804
17.05/¥670/208p

C-333
96.11/¥640/156p
R-0371
85.02/¥500/156p


 原題は「恐喝」
 ヒロイン:リー・レイヴァン(22歳)/イギリス全土にチェーン店をもつ高級スーパーマーケットのワイン部門の主任バイヤーのアシスタント,婚約者は大銀行家の御曹子,家族はオーストラリア在住,ジルは初恋の人/肩に揺れるつややかな赤褐色の髪,カールした長いまつげ,グリーンの目,整った口元,すらりとした長身/
 ヒーロー:ジル・フレブール・ド・ショ-ヴィニー(31歳)/ワイン醸造主,伯爵,リーの母親とジルの母親は同窓生/黒い髪,額の広い顔/
 互いの母親が学校の同窓生で十代の頃に初恋の相手であったジルの元を訪れることになったリー。6年前のあの頃の気持ちがまだ残っていたなんて!? 再燃する憧れから大人の気持ちへの変化に戸惑いながら,婚約者よりも再会した初恋の人のほうに気持ちが傾いていくキャリア・レディの葛藤を美しいフランスのワイナリーを舞台に繰り広げられるドラマ仕立てのロマンスです。自分をしつこく追いかけてくる女性を諦めさせるためにジルに突然婚約したという芝居を振られたリーですが,驚いている間にあれよあれよと結婚が決まってしまい・・・。でも断れない理由もあったのです。自分の名誉を著しく傷つけてしまう1枚のラブレター。それは男性に縁のなかった自分のことを心配してくれた親友が書いたものだったのですが,その扇情的な内容が今になって自分を傷つけるものになるとは思いも寄りませんでした。しかもそれをジルがもっているとは・・・。それをネタに便宜的な結婚を迫られてしまいジルの申し出を断ることができなくなったのでした。思い起こせばリーはこれまでの人生の中でいくつかのタイミングの悪さで人から誤解を受け,苦労してきたのですが,そこからやっと立ち直りつつあったのです。そして人畜無害の婚約者ドリューとの交際も清いまま推移してきました。ジルへの思いはそれとは真逆の強引さや荒々しさに溢れたものだったのですが,逆にそれが魅力となり,ドリューの魅力のなさにも気づいていくことになってしまいます。ワインの買い付けのために仕事をしている数日間ジルのシャトーで滞在することになりますが,シャトーの家政婦はなにかとリーを目の敵のように扱うのが気になります。後にこの家政婦はとんでもないことをしでかすのです。さて翌々日。リーはパリでジルと結婚式を挙げるという超スピード展開。一方ジルはあの扇情的な手紙をリーが書いたものと誤解し,リーを身持ちの悪い女性とすっかり勘違いしており,そんな女性にふさわしい扱いをと完全にリーを見下しています。帰宅してリーに投げた言葉により思いもかけずに頬に平手を受けたジルは,逆に冷静になり,リーの本当の姿はあの手紙とは違うのでは? と思い始めるようになります。数日後にはリーもジルとのふれあいに違和感を感じなくなり,そして嵐の夜二人は自然の中で結ばれます。「私はジルを愛している」と気づいたリーは,あの夜ジルとの愛の結晶が授かったことを知ります。しかし自分がいかにジルを愛していてもジルは私を愛してはくれない。あくまで期間限定の便宜的結婚という条件は変わっていないのです。「愛される希望は持てないにしろ,時とともにジルの尊敬と信頼は勝ち得られるかも知れない。尊敬と信頼,この二つから案外見事な花が咲くこともある。」と希望を捨てないリー。
 そしていよいよクライマックスとなる大きな出来事がやって来ます。もともと暗闇恐怖症のリーは,例の家政婦と地下のワイン倉庫で在庫の確認をしようと地下室に降りていくのですが,一番奥まった今は使われていない倉庫部屋に入った途端,家政婦によって閉じ込められてしまうのでした。鍵をもっているのは家政婦のみ。ジルを追いかけている未亡人ルイーズの手先の家政婦により,リーは誰からも見捨てられることになってしまうのでしょうか。愛する一粒種とともに・・・。
 勿論,ロマンス作品ですからここはジルが白馬の王子となってリーを助けに駆けつけることになるのですが,分かっていながらも困難の事態にパニックにならずにじっとジルを信じて助けを待つリーの健気さに,読者は愛の深さを感じるのではないでしょうか。ときにこの家政婦の名前がマダム・ル・ボン(善良夫人)というのはなんともフランス風の皮肉が効いていますね。そしてこの事件の背後にはルイーズはもとよりかつての婚約者ドリューも一枚噛んでいたのです。これでもうジルとリーの間のわだかまりは一切消え,「赤ちゃんよりもあなたの愛情のほうをほんの少し余計欲しがっているって言ったら,許してくれるかしら?」という素敵な言葉をリーの口に乗せるのでした。ペニー・ジョーダンらしい骨太で繊細さの溢れる絶品のロマンスが堪能できる作品です。それにしても,文庫版の表紙の,このリーのモデルさんのフランス人形そのものの顔立ちときたら・・・。


タグ:ロマンス
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