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氷の皇帝に愛を捧げ [ミシェル・コンダー]

SHALOCKMEMO1162
氷の皇帝に愛を捧げ Russian's Ruthless Demand
ホテル・チャッツフィールド 14) 2015」
ミシェル・コンダー 山本翔子





 原題は「ロシア人の無慈悲な要求」。チャッツフィールド・シリーズ第2シーズンの6作目です。ハリントン・ホテル・チェーンとチャッツフィールド・ホテル・チェーンの確執を描いたこのシーズンも大分煮詰まってきました。ハリントン家の美女3姉妹の末娘エレノアが本作のヒロインです。おそらく3姉妹の中でももっとも美貌に優れていると思われるエレノアは,姉たちからいわゆる味噌っ子にされています。自立した道を歩むため,大学で建築学を専攻し,副専攻でインテリア・デザンを修め,さらに動物愛護の精神にあふれています。シンガポールで氷の芸術となる建物を設計し,大成功を収めます。そこに登場してくるのが本作のヒーローでロシア人のルーカス・クズネツコフ。船舶をベースにした事業を精巧させ,今や大富豪となった彼も,もとはロシアのペテルスブルグのストリート・チルドレンだったという秘められた過去を持っていました。父は誰か分からず,母親にも捨てられ,孤児院を抜け出してから,偶然出逢った恩人に船乗りとして仕事をもらい,現在の地位まで上り詰めた三十代初めの男性です。ルーカスがロシアに氷のホテルを作る計画が,建築家の突然の辞任で計画が頓挫しかけたとき,エレノアがシンガポールで同じような建物の設計に携わったことを知り,ヘッドハンティングしたのでした。エレノアの条件は一つ。完成する氷のホテルにハリントンの名前を冠して欲しいというものでした。このホテルが話題になれば,会社の中での自分の実力が認められ人生の目標リストの中の最上位,「昇進」が果たされると考えたからです。次々と新しいアイディアを出し斬新なホテルの設計を成し遂げていくエレノア。女性としての美貌とその実力に惹かれていくルーカス。そして男性的魅力にあふれたルーカスにさしものエレノアも人生の目標リストの第5位だった「結婚・恋愛」に次第に傾いていく自分を止めることが難しくなっていくのでした。そしてホテルの完成パーティのあとに,二人は遂に結ばれます。これまでどの男性とも関係を深めたことのかなったエレノアはルーカスを愛してしまったことを悩むのでした。そして長女のイザベルから極東地域の重要な地位を与えられたにもかかわらず,それを断り,建築家として自立する道を選んでいくのです。
 これは愛の物語であると同時に自立への道を模索するエレノアの成長譚でもあります。そして職業的自立と愛が相反することでなく,互いに補強し合うものだというメッセージも込められていると思います。


タグ:ロマンス
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