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ジャスミンの罠 [エマ・ダーシー]

SHALOCKMEMO1175
ジャスミンの罠 Climax of Passion
Page and Privileges 9 ) 1995」
エマ・ダーシー 久坂 翠





 すごい女性がヒロインです。アマンダ・ブキャナンはホテルの受付担当でありながら,人類学者である父をもち,その父が発見したアトラス山脈近くのザビア国の水晶に満ちた洞窟をザビアの首長ザシラクに否定されたため,単身ザビアに乗り込み自分の力で推奨度靴を見つけようと計画しているのですから・・・。ホテルでは副支配人のチャールズ・アーノルドにひどいセクハラとパワハラを受けながらもそれに耐え,支配人すらそれに味方するという状況でありながらじっと機会をうかがっています。ホテルのオーナーであるザビアの首長ザシラクに遭うチャンスを伺っています。丁度その頃,団体客と前後して謎の男性からのスイートの予約状況を尋ねる電話があり,さらにいかにも砂漠の民のような精悍で視線の厳しい男らしい人物が団体客の受付が終わるのじっと待っています。そして混乱が静まったころ,ザビア国のマークのついたいわゆる水戸黄門の印籠のような文書を差し出しながらスイートルームを取ろうとするのでした。名前を聞いても架空の名前を名告るばかりで正体を明かしません。副支配人も支配人もこの文書の正当性を信じず,ゴミ箱に捨ててしまうのですが,その時ザシラクの側近の男性が,支配人と副支配人をクビにしてしまいます。そしてアマンダを支配人にするというのです。スイートを確保しアマンダが男性を案内すると午後9時に部屋に来て欲しいという伝言が伝わってきます。女性としての自分に言い寄ろうとしているかもしれないと不安と期待を持ちながらアマンダは極限の緊張感の中でその男性の部屋を訪れるのでした。互いの本音をうかがいながらの神経戦が展開されます。そしてアマンダは翌朝,ゴミ箱に捨てられていた文書を拾い,ザビア国に単身乗り込むのでした。空港で出会ったモッカという案内人の若者が何から何まで道具をそろえてくれました。支払いは?と訪ねると,この文書がある限り請求は王宮にするというのです。とにかく自分の入国と不法な請求が行く前に急いで水晶洞窟を探しに出かけたアマンダ一行。ところが砂漠に入ったところで首長の親衛隊が警護という名目で待ち構えていました。ここまでかと思いきや一人の男性だけが残り,アマンダたちのトラックに乗り込んで案内をするというのです。有無を言わせない圧倒的なオーラを放つ男性。実はその男性こそ首長ザシラク本人だったのです。オアシスで一夜を明かしたアマンダ一行は翌日アトラス山中の水晶洞窟を目指そうとするのですが,謎の男性は馬を用意し,アマンダと二人だけで別行動を取ると言い出します。アマンダをからかうような言い方ではあれ,断ることもできない言外の力強さに負け,アマンダは二人での行動を選択するのでした。父が残した地図には書かれていない双子山の一方に男はアマンダを連れて行きます。そしてそこには水晶洞窟があったのでした。父の名誉を晴らしたいという気持ちは洞窟に案内されたことによりすっかりアマンダの心から消え去り,この場所を公開しないでおきたいという男性の言葉を信用することにするのでした。山を下りようとしたとき,アマンダの後ろで岩が洞窟の出入り口をふさいでしまいます。男性が押しつぶされ,出られなくなったのではと恐れたアマンダはとにかく村に帰って助けを呼ぶしかないと考え,一人,馬を駆っていくのでした。途中ヘリコプターの音が聞こえ,アマンダの近くに着陸し王宮に向かうようにアマンダを乗せてしまいます。男性を早く助けて欲しいという願いを強調しますが,首長からの命は絶対でそれ以外は誰も耳を貸そうとしません。男性の運命は・・・。王宮について身支度を調えさせられ,休憩を取らされ,救助の願いが聞き届けられた様子はありません。そして翌日首長の謁見に行ってみると,なんとあの男性がザシラクだと分かったのでした。何故自分より早く王宮に着くことができたのか。そうか,あのヘリコプターが・・・。やっと腑に落ちるアマンダ。そしてザシラクはアマンダが自分を見捨てて一人で逃げたのだと誤解しているのでした。なんとか誤解を解く方法を考えたアマンダ。二人の瞳の中には互いの欲望が渦巻いているのが見てとれるのでした。
 復讐譚かと思いきや,ジェットコースターのようにスピーディーな冒険譚であり,さらにはエキゾチックな雰囲気がふんだんに取り入れられたロマンス作品でもあります。自分の信念を曲げずに誰もが恐れるザシラクの愛を獲得していくアマンダのりりしくも愛らしい姿に脱帽です。邦題はザシラクが好む花ジャスミンの香りがアマンダの心に入り込んでいく様子を表していて,蓋し名訳だと思います。


タグ:イマージュ
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