SSブログ

明かせぬ愛の明かし [キャロル・マリネッリ]

SHALOCKMEMO1201
明かせぬ愛の証 One Night in Emergency
( A & E Drama 14 ) 2004」
キャロル・マリネッリ 藤崎香里





 原題は「救急科の一夜」
 舞台:メルボルン
 ヒロイン:エレノア・ルイス(23歳)/メルボルン・セントラル病院救急科の看護師/ブロンドの髪,ブルー(青磁色)の瞳,薔薇のつぼみを思わせる唇,女性らしいシルエット,身長160センチ弱
 ヒーロー:ローリー・ハンター(35歳)/メルボルン・セントラル病院救急科の専門医/190センチを超える身長,ダークブロンドの髪。
 美しいが故の悲劇。メルボルンの大病院の救急科に転院してきた看護師エレノアは,美貌に優れているゆえに,前の病院では看護師長のリタにおつむの弱い,医者との関係だけを狙っている女性と思われ,仕事上の能力を認められないことに嫌気がさし,転院を申し出てきたのでした。勤務の初日はゲイの男性派遣看護師ピエールや看護師長メアリとの笑えないやりとりがあり,それでも前向きに仕事に励もうとします。その結果,病院の専門医ローリーを酔った患者と間違え,大げさな治療をしてしまうというミスを犯してしまうのでした。この状況も結構面白い場面ですが,その翌朝からエレノアが失敗が救急科全体の噂となってしまい,逆にローリーがエレノアを気遣っていくという思いがけない結果になっていきます。その後,94歳の老嬢の最期を看取ったり,乳幼児の突然死を担当したりと,仕事の中で傷つくことの多い救急科の日常が描かれます。そして,突然死した1歳半の赤ん坊の担当で疲れ切った夜,ローリーに慰められたエレノアは,一夜を共にしてしまいます。美人看護師と女性ならだれしも狙おうとする美形の専門医との関係。これは,院内では常に噂になり,エレノアの方が働きにくくなることは必至でした。「愛は放っておくと生煮えになる。愛はほおっておいても煮こぼれないこともある。愛は放っておくと焦げついて真っ黒なしつこい汚れとなり,それを落とすのは容易ではない。」という名言がエレノアの心に巣くいます。ローリーはエレノアの看護師としてのキャリアをふいにしたくなくてわざと冷たい態度を取るのですが,ローリーを愛してしまい,ローリーの子どもを身ごもってしまったエレノアにとっては,もはやこの病院ではやっていけないと辞表を看護師長のメアリーに提出するのでした。最後の勤務だと思っていたとき,薬物中毒の患者ポール・ランにローリーやメアリーが冷たい態度を取るのを見過ごせなくなったエレノアは,できるだけポールの意に沿うようにするのでした。ところが鎮痛剤を薬品室に取りに行ったエレノアの後をついて行ったポールに監禁され,しかもメスで刺されてしまいます。この事件をきっかけに,妊娠とローリーとの関係を知られてしまったエレノアですが・・・。
 人情に厚い熱血看護師と救急専門医,そして救急科のスタッフたちとの暖かい交流が見事に描かれ,ドラマチックな展開が描かれた秀作です。MB版の表紙ではエレノアの様子が分かりづらいですがHQ_MD-ROM版の表紙では,エレノアの美貌がよく分かり,エレノアを愛してしまうローリーの気持ちがうかがえるイメージになっています。SHALOCKMEMO1200を数え,次の100冊,SHALOCKMEMO1201にふさわしい作品となりました。


タグ:イマージュ
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

燃えるアテネ [ルーシー・モンロー]

SHALOCKMEMO1200
燃えるアテネ The Greek's Pregnant Lover
( 情熱を知った日 2 ) 2010」
ルーシー・モンロー 深山 咲




K-388
16.03/¥670/156p

R-2613
11.05/¥690/156p


 原題は「ギリシア人の身ごもった恋人」
 ヒロイン:パイパー・マディソン(?歳)/インテリア・デザイナー,「セルリアン・デザイインズ」経営/バツイチ/ブロンドの髪,緑がかった淡いブルーの瞳
 ヒーロー:ゼフィール・ニコス(35歳)/「スタモス・アンド・ニコス・エンタープライズ」共同経営者/身長190センチ
 「今だけはこのままで(SHALOCKMEMO1190)」の姉妹編です。ギリシアの養護施設で知り合い,その後ストリート・チルドレンを経験して船の仕事に就き,アメリカに渡って大成功を収めた少年たち,ネオ・スタモスとゼフィール・ニコスの二人。ネオは前作でピアニストのキャスと出会い恋に落ちます。本作ではネオとキャスの出会いに一役買ったゼフィールがパイパーとの恋を実らせられるかというところを描いています。ヒロイン,パイパーは有能なインテリア・デザイナー。かつて働いていた大手デザイン事務所で前夫と知り合いますが,結婚生活で裏切られ,さらに腹いせに才能まで貶められて男性不信になっています。ゼフィールとの間には仕事上の友情のような気持ちを感じていますが,男らしく,自分をいつも信じてくれるゼフィールに強く惹かれる気持ちもあります。ギリシアの島のリゾート開発の仕事を請け負い,二人で現地に行ったとき,ゼフィールは休暇と称してパイパーとの関係を深めようとしますが,自分は親から捨てられた経験から家庭を作ろうという気はないとはっきりとパイパーに釘を刺します。パイパーもまた初めは前夫の裏切りに深く傷つき,自分もゼフィールとの将来は考えていないと言い切るのでした。しかし,二人は一瞬も離れていられないほど強く惹きつけ合うのです。そして,パイパーの妊娠の可能性。その時から二人の間には友情以上の気持ちが芽ばえ,パイパーはゼフィールに愛を告白するのですが,ゼフィールは自分の気持ちを抑えつけようとするのです。「愛しているから,彼から離れなければいけない」とパイパーは医師の診断の結果をゼフィールに告げずに1週間ゼフィールに連絡を取らずに悩み続けるのでした。二人の肩を押してくれたのは,ゼフィールの親友ネオとその婚約者キャスでした。二人の幸せな顔を見てゼフィールの気持ちの中にパイパーへの愛が正しいものだという気持ちが沸き起こってきます。ゼフィールの行動の時です。法的な手続きを済ませた後ゼフィールとパイパーは,ネオとキャスの結婚式に合わせて自分たちの結婚式を調整するのでした。そしてそこには自分を捨てた母と継父,そして妹や弟たちも参加するのです。親たちを許すようになるまでにパイパーの果たした役割は大きいものがありました。
 パイパーも魅力的で自立心に飛んだ女性ですが,やはり前作のヒロイン,キャスは一際特異な存在ですね。本作でも後半登場しますが,その思慮深さと才能の豊かさ,そして人を思いやり,愛する心の純粋さは,これまで読んだ作品のヒロインたちの中でも群を抜いています。
 さて,本作がSHALOCKMEMO1200番の節目となる作品となりました。2003年9月2日の第1番から約12年6カ月で1200冊のコメントを書き続けてきたのですが,第1番のコメントがたった3行の本当にメモ書きだったのに比べて,今ではかなりの分量を書くことになってしまいました。あまりパターン化してはいけないと思いながらも,最近の物忘れの激しさを考えると,少なくとも主な登場人物と大まかなストーリーと,そして若干の感想というパターンは事後に思い出すときにやはり助けになります。しばらくはこのパターンでいこうと思っています。


タグ:ロマンス
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

彼女が大人になるまで [ダイアナ・パーマー]

SHALOCKMEMO1199
彼女が大人になるまで Texas Born
( Long Tall Texan 42 ) 2014」
ダイアナ・パーマー 平江まゆみ





 原題は「テキサス生まれ」
 ヒロイン:ミシェル・ゴドフリー(17歳)/髪はブロンド,クリーム色の肌,グレーの瞳/新聞記者志望
 ヒーロー:ガブリエル・ブランドン(24歳)/傭兵/ミシェルの法定後見人
 初恋の人が運命の人,不幸な今があるからこそ幸福な未来がある,そんなメッセージを常に出し続けるダイアナ・パーマーの2014年の作品です。ハーレクイン・ディザイアの1700号記念号にも当たり,作家本人のメッセージも添えられています。ちょっと確認してみるとD-1600はアン・メイジャーの「かなわぬ恋にこの身を捧げ(2014.02),D-1500はダイアナ・パーマーの「涙のバージンロード(2012.01)」,D-1400はダイアナ・パーマーの「恋するアリス(2010.09)」,D-1300はダイアナ・パーマーの「幼さと戸惑いと(2009.05)」などなど,節目になるディザイア翻訳にはこの人をもってくるのが戦略となっているかのようです。最近のテキサスの恋シリーズには,現代の問題点であるテロ対策などが取り上げられ,ロマサス的な雰囲気も多くなってきていますが,実際の場面を描くのではなく,ヒーローの活動をヒロイン側から,つまりちょっと俯瞰的な視点から描くことで問題点にのめり込むのではなく巻き込まれ型的にかかわっていくというような方法がとられているように思います。今回この作品に触れたところから,改めて最近のダイアナ・パーマー作品を読んでみようと思い,何作かダウンロードしました。これまで紙媒体中心だったパーマー作品ですが,改めて電子版で集めてみようと思っています。さて,本作ですが・・・
 高名な医師だった父がガンで亡くなってしまい,継母に徹底的に虐められるようになってしまったミシェル。しかし,継母の行動がこの頃ちょっとおかしいのです。学校の帰りにアルバイトを求めて新聞社に寄ってきたミシェルはすっかり遅くなって帰宅します。予想どおり継母から夕食はまだかと頭ごなしに叱られますが,継母は具合が悪そうです。そして食事中ちょっと外に出ると言って玄関先で倒れてしまい,急いで救急車を呼びますが,救急車が到着したときには死亡を確認するだけでした。父親に続き継母をも失ってしまったミシェル。しかし三代にわたって地元に根付いてきたミシェルに教区牧師はじめ大勢の人が同情を寄せてくれます。最大の救いの手をさしのべてくれたのは隣人のガブリエル・ブランドンでした。ガブリエルはミシェルの法定後見人になってくれ,継母が付き合っていた悪い仲間からの報復があるかもしれないという理由で,カナダにいる妹を呼び寄せ,自分の屋敷に一緒に住むように取りはからってくれたのです。たんなる恩義を感じているだけでなく,14歳の時にすでに憧れを抱いていたガブリエルからの申し出に感謝するとともに,やがて高校を卒業して大人になったらガブリエルは自分を振り向いてくれるようになるかもしれないと期待もしています。ミシェルにとってガブリエルは謎の人でもありました。高価な車を所持し,数カ国語を操り,妹のサラともフランス語で話をします。しかしどこに勤めているのかは教えてくれません。やがて,高校を卒業し,大学での寮生活からルームメイトと共にアパートに移り,大学でジャーナリズムを専攻して優等の成績で卒業します。ガブリエルとサラは節目節目にミシェルにサプライズのプレゼントをくれたり成長を一緒に祝ってくれたりします。二人の支えを得て,ミシェルは大手の新聞社に勤めることになりました。そして,中東で起こったアメリカ人傭兵による村人虐殺事件を取材することになり,地元の新聞社の協力を得て誰の取材にも応じない傭兵学校のオーナーに取材を許可されます。そしてさらに事件を調べていき,スクープをものにするのですが,犯人が傭兵たちではないとする小さな証言を見逃してしまい間違った結論を導き出してしまうのでした。そして犯人とされていた傭兵たちの中にガブリエルがいることを知り衝撃を受けます。サラからも非難の電話があり,すっかりことの重大さに気落ちするミシェル。しかし公平に事実を告げなければならないという使命感で,テレビ番組で,実は傭兵たちはテロ組織に利用されただけだという証言を得ることが出来るのでした。やがて地元の元の家に落ち着いたミシェル。ガブリエルやサラからは連絡はなく,こちらからも連絡が出来ない状態が続きます。日曜日の教会の礼拝で牧師から帰ってきたことを喜ばれたものの,心は死んだままの状態でした。家に帰ったミシェルを,あの人が出迎えます・・・。
 ミシェルの成長,ガブリエルのミシェルを見守る我慢強さ,そして町の人たちの暖かい心遣いなど,どれをとってもハートウォーミングなダイアナ・パーマーらしい傑作です。一気読み間違いなし。


タグ:ディザイア
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

ベッドとオフィスで違う恋 [キャシー・ウィリアムズ]

SHALOCKMEMO1198
ベッドとオフィスで違う恋 Powerful Boss, Prim Miss Jones 2010」
キャシー・ウィリアムズ 柿原日出子





 原題は「傲慢なボスと潔癖なミス・ジョーンズ」
 ヒロイン:エリザベス・ジョーンス/元弁護士事務所リッグズ・アンド・サンの秘書,ジェームズ・グレーストーンの実の娘/女性らしい豊かな体躯,緑色の瞳,長い髪
 ヒーロー:アンドリアス/実業家(出版社,ビジネス・ホテルチェーン,マスコミ関連会社3社,大手コンピュータ会社のオーナー,製薬会社の買収中)/父がジェームズ・グレーストーンの運転手として雇われて以来名づけ子となる/褐色の肌と黒い瞳,黒い髪
 シングルマザーの母をガンで亡くしたエリザベスは,残された母の手紙を元に,実の父親ジェームズ・グレーストーンに愛にやってきます。壮麗な屋敷に住むジェームズでしたが,最近は事業から手を引き,サマセットの屋敷で車椅子生活での隠遁生活を送っていました。自分が名告る前に,丁度ジェームズの身の回りの世話をする人を募集していたジェームズはその仕事をアンドリアスに託していたのですが,屋敷の家政婦がやってきたエリザベスを応募してきた世話係だと勘違いしてアンドリアスに取り次いだことがきっかけで,用件を話す前にジェームズから気に入られ,世話係として働くことになってしまいます。実の娘だと名告ることが病気のジェームズにショックを与えてはいけないと,事実を話さないまま屋敷で暮らすことになってしまいます。この当たりの設定は実にタイミング良く,思わず読者の微笑を誘ってしまううまいからくりです。さて,これまで愛を信じず,女性は自分の魅力に必ず従うはずだと思い込んでいるアンドリアスですが,なにかと口答えするエリザベスに興味を持ってしまうのでした。そして,これまで付き合ってきたセレブでゴージャスなモデル体形とは異なるエリザベスに何故か惹かれてしまう自分に戸惑ってしまいます。しかし強引にエリザベスに迫って,必ずイエスと言わせてみせると意気込むアンドリアス。ジェームズが昼寝をする午後は自分の秘書を務めなさいと段取りを決めてしまい,屋敷に仕事を持ち込んで矢継ぎ早の指示を繰り出すのでした。しかし,何か隠している様子を敏感に感じ取ったアンドリアスはエリザベスを信用せずにジェームズに取り入って金目当てにやってきた女性と思い込んでいます。エリザベスもまたアンドリアスを「冷淡で,人を見下し,ひどくぶしつけだけれど,それでも人を惹きつける何か」に魅了され,遂にアンドリアスの誘いに自分から乗ってしまうのでした。秘書としての仕事と夜のベッドでの甘いひととき,二つの顔をもたなければならなくなったエリザベスの八面六臂の活躍が次々と語られていきます。そして,アンドリアスが最近まで付き合っていて,飽きて捨ててしまった元恋人のアマンダ・フェローズが突然屋敷にやってきたとき,エリザベスがタンスにしまい込んでいた母の手紙を見つけてしまい,エリザベスがジェームズの娘であることが発覚してしまうのでした。
 アンドリアスの苗字が紹介されていません。ジェームズの養子になったわけではないし,父の名前も書かれていないので,推測できませんが,こんな作品も珍しいですね。さて秘密が明かされたエリザベスは,どうなるのでしょう。ジェームズはかつて愛した女性との間の子供がエリザベスであることを知って大喜びです。一方アンドリアスの方は,やはりエリザベスが金目当てでやってきたと思い込もうとして,ジェームズの財産は自分が管理しているので勝手にはさせないぞと脅し,ロンドンに帰ってしまいます。母を失った後に,父と出会うことができたエリザベスにとっては,田舎の屋敷での父との生活こそ,幸せな生活でした。しかしジェームズはエリザベスにふさわしい男性を紹介するぞと意気込んで,盛大なパーティを開くのでした。当初パーティに行くつもりのなかったアンドリアスですが,エリザベスとの充実した日々が忘れられず,屋敷にやってきます。そしてエリザベスに話しかける男たちを追い払うように存在感をむき出しにするのでした。やがて,エリザベスは地元の学校の教師トムとデートするようになるのですが,アンドリアスとどうしても比べものにならないトムとは心が浮き立つことはありませんでした。父もまたトムとの交際に賛同せず,「お前は大きな間違いをしている」という始末。しかしそんな父の言葉を自分を気遣ってくれているのだと思いエリザベスは父との関係に幸福感を感じます。「アンドリアスと正反対の人がいい。なぜなら,いつも正気でいられるから。」というのがこの時のエリザベスの気持ちでした。二人の様子を見てきて欲しいとジェームズに頼まれたアンドリアスが,二人がランチを取っているレストランに赴きます。かつて,ロンドンに一緒に行って自分の愛人になるよう命じた傲慢なアンドリアスが,不安げに話があると口ごもる様をみて,エリザベスはジェームズに何かあったのでは?と心配になります。そうではないといいつつ,アンドリアスと車に乗り込んだエリザベスにアンドリアスが告白した愛の言葉とは・・・。
 邦題がちょっと気に掛かって,いつか読んでみたいと思っていた本作ですが,とびきりの美女ではないエリザベス(リジーとかベスとかと愛称で呼ばれることはなく,エリザベスでとおしているところがちょっとかわっていますね・・・。)が欲望に振り回されずに,きちんとアンドリアスと正面切って向き合う姿がとてもりりしく,結末もドロドロにならずにとても洒落ていて素敵な作品です。重箱の隅の老人の独り言。一個所気になるところがありました。中盤第5章(KINDLE位置ナンバー1239)「鍵盤を整える調律師のように」と訳されていますが,調律するのは弦で鍵盤ではないと思うのですが・・・。原文はどうなっているのかな?


タグ:ロマンス
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

5週間の仮面夫婦 [キャロル・モーティマー]

SHALOCKMEMO1197
5週間の仮面夫婦 Hard to Get 1984」
キャロル・モーティマー 相原ひろみ





 原題は「得がたい」
ヒロイン:ララ・ショフィールド(21歳)/富豪の令嬢/つややかな黒髪,長いまつげ,明るいグレーの瞳,少し低めの鼻,170センチの身長/5年前に継母(マリオン・ソーンダース)を亡くし父との二人暮らし
 ヒーロー:ジョーダン・シンクレア(30歳)/実業家/ブロンドともシルバーともつかない微妙な色合いの髪,ブロンズ色の肌,深い青(藍色)の瞳,高くとおった鼻筋,引き締まった口元,意志の強そうな顎,180センチを超える長身
 事業を営む父の一人娘として何不自由なく暮らしているまもなく21歳のララは,あるパーティでジョーダンと出会います。いつも男性からちやほやされてきたララを相手にもしないジョーダンをなんとか振り向かせようと,ゴルフクラブで出会ったという父について行きジョーダンに注目してもらおうとしますが,なぜか自分に対する態度は冷たいのでした。その後,ララが行く劇場やパーティの至る所にジョーダンの姿がありますが,傍らにはいつも別の女性たちが侍っているのです。ジョーダンは14歳の時シンクレア家の養子となりそれ以前の幼少時代については謎に包まれていました。父の経営するショフィールド・ホテルの21パーセントの株式は21歳の成人と共にララに渡る財産となる予定です。勿論大株主としてホテルの経営にかかわることも可能ですが,父はララに幸せな結婚をして欲しいと願うばかりで,ララも経営にかかわるつもりはありませんでした。なんとか一夜だけジョーダンの気を惹き,深い関係になることに成功し,その後,ジョーダンからプロポーズも受けるのですが・・・。
 ジョーダンには秘密がありました。実はララの継母だったマリオンはジョーダンの実母だったのです。自分と父親を捨てた母,その片棒を担いだララの父に復讐するため,ジョーダンはララを復讐の駒として利用しようとしたのでした。ララはジョーダンの誕生日プレゼントにとホテルの株式を全部ジョーダン名義にしてしまいます。一度は辞退したジョーダンでしたが,これがララの父に復讐するための格好の道具になると考え,受け取ったのでした。二人の結婚生活は,悲惨でした。結婚式当日も含め,ハネムーン中もララに触れようともしないジョーダン。ジョーダンを恋い焦がれるララにとっては地獄の責め苦でした。しかもロンドンに戻ってからは出張と称して帰宅しない日もあり,帰宅してもさっさと書斎に入り,言葉を交わそうともしないのです。しかしそのことを自分の幸せを願っている父には話せませんでした。そして,もうこれ以上続けていけないと思った夜,ララはジョーダンの書斎に乗り込み,そこでジョーダンの秘密を明かされるのでした。しかもその時すでにホテルの株式をもっていたジョーダンはララの父の経営に強硬に反対する姿勢を明確にしていたのです。
 離婚を決意したララは,父親にジョーダンの秘密を打ち明けざるを得なくなります。そして,継母の取った行動が理由のあるものだということを父から聞くのですが,それをジョーダンが信じるだろうか,とララは悩むのでした。さて,二人の関係はどうなるのでしょうか・・・。
 お金持ちの一人娘として愛情を込めて育てられたララが,ジョーダンとの交際で真の愛を知り,その愛でジョーダンの復讐の気持ちを癒やしていけるのか,これが本作のテーマです。二人の間のなかなか激しい応酬が,とても興味深く,深い愛とは何かを読者に示してくれる傑作です。そしてゴージャスなララが成長していく姿もさわやかです。さすがキャロル・モーティマーと呻らせる作品。イチオシです。


タグ:ロマンス
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

シンデレラの過去 [キャシー・ウィリアムズ]

SHALOCKMEMO1196
シンデレラの過去 The Secret Sinclair 2012」
キャシー・ウィリアムズ 茅野久枝





 原題は「秘密のシンクレア」
 ヒロイン:サラ・スコット/清掃員/シングル・マザー(息子:オリヴァー)/金髪で,緑色の大きな目
 ヒーロー:ラウル・シンクレア/実業家/オリヴァーの父親/つややかな金色の肌,肩まで伸びた豊かな黒い髪,引き締まった筋肉質の体
 アフリカのモザンビークでボランティアとして働くサラとラウル。二人は互いの愛を確かめ合っていたが,やがて任期が終わり,彼は連絡先も告げずに去ってしまう。故国に戻ったサラはラウルの子を身ごもっていることに気付く。しかし,連絡先も分からずサラは大学も1学期だけ通ったところで出産のために退学してしまう。やがて生まれた愛息オリヴァー。サラはオリヴァーのために清掃員の仕事をしながらなんとかロンドンでの生活を成り立たせている。ある夜,いつものように清掃作業を始めようとしたところ,まだ人の話し声がし,急いで清掃用具の陰に隠れようとしたところを秘書に見つかってしまう。そして,秘書の後ろにいた人物に気付いたとき,サラは驚愕を隠せなかった。なんとそこにはラウルが新しい会社の経営者としていたのだった。
 別れから5年が経過して,4歳の息子オリヴァーと夜間の清掃中にオリヴァーを預かってくれる親友しか知り合いのいないロンドンで暮らすサラの,懸命な生活ぶりが描かれます。そして,それを見たラウルの心ない言葉に傷つくサラでした。勇気を出してオリヴァーの存在を告げるサラですが,ラウルにオリヴァーを取られてしまうのではないかという怖れと,予定どおり自分の人生を送ることができなくなったサラとの間に,愛情は復活するのでしょうか。突然自分には息子がいると告げられたラウルの驚きと戸惑いも容易に想像がつきますが,シングルマザーとしての生活が如何に大変かということに思い至らず,初めはみじめな生活を送るサラをそのままにはしておけなくなったラウル。しかしサラのプライドを傷つけないように気遣いながらも次々にサラとオリヴァーの生活に入り込んでいくラウルの決断力と行動力に押されてしまうサラなのでした。「ラウルは傲慢で自分勝手だ。そんないやな男に惹かれていたわたしはなんて愚かだったのだろう」と考え,しかしなんとかオリヴァーのためにラウルが父親であることを告げ,オリヴァーが成長するまで,ラウルとの仮の夫婦としての生活を維持していこうと決意するサラですが,なんといっても惹かれているラウルとの生活に母親としての自分と妻としての自分に折り合いを付けることが難しくなります。一方,これまで付き合ってきた女性たちはラウルの経済力にだけ注目し,内面にまで踏み込もうとする女性はいませんでした。しかしサラは「ラウルに対して遠慮をせず,彼に媚びようともしなかった。ラウルが過去にデートをした女性は全員が彼の家を見たとたん,その贅沢な作りに卒倒しそうになった。ところが(サラは)彼の住んでいる場所のどこが嫌いかを一冊の本にまとめて彼に送ってくれそうだった」と,遠慮なくラウルの生活に反逆していくのです。これまで付き合ってきた女性との違いに気付いたとき,サラに対する愛情に芽ばえるラウル。さぁ二人はどんな折り合いを付けて親子三人の生活を作り上げていくのでしょうか。サラが勝つか,ラウルが勝つか。虚々実々の二人の関係がとても面白く読者に迫ってくる迫力の作品です。最後のサラの心の声「おとぎ話が嘘だなんて,誰が決めたの?」が決めの一言で見事です。


タグ:ロマンス
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

王と身代わりの花嫁 [ケイト・ヒューイット]

SHALOCKMEMO1195
王と身代わりの花嫁 Commanded by the Sheikh
( Rivals to the Crown of Kadar 2 ) 2014」
ケイト・ヒューイット 小沢ゆり





 原題は「シークの命令で」
 ヒロイン:オリビア・エリス(29歳)/カダールのパリの屋敷の家政婦,ピアノが特技,外交官の娘/ブロンド(キャラメル色)の髪,ブルーグレーの目/18歳で生んだ息子を養子に出した
 ヒーロー:アジズ・アル・バキール(歳)/カダールの国王,プレイボーイ紳士/漆黒の髪,グレーの目
 1月に読んだ「純潔の囚われ人(SHALOCKMEMO1151)」の解決編です。王子カリルとサリアの女王エレナの物語と同時進行で進む,カダールの国王アジズと,誘拐されて行方がつかめないサリアの女王エレナの身代わりとしてパリの屋敷から連れてこられた家政婦のオリビアのもう一つのロマンスが語られます。MB版のオリビアのモデルさんのゴージャスで豊かなブロンドの髪をもつ美女がオリビアの様子を伝えています。表紙モデルとしては今月ナンバー1の美女だと思います。さて,オリビアには語られない秘密がありました。そして人生の目標を失った彼女は,たまたま父が見つけてきたカダールのパリ屋敷の家政婦の仕事をしながら,静かに生活していたのですが,突然アジズの秘書官のマリクにカダールの首都に連れてこられ,エレナの代わりにかりそめの婚約者として民衆の前に立って欲しいと頼まれます。頼みではありますが,雇い主である王からの命令に近いものがあります。それが原題を表しています。邦題の方もこの設定のそのものズバリですから,わかりやすいタイトルを付けたものです。前作でも名前だけは登場していたオリビアですが,改めてその過去の出来事や人生が明らかになってくると,父から疎まれて人生を送ってきたアジズと,過去の傷を引きずったまま目立たないように過ごしてきたオリビアには心の傷やトラウマという共通の土壌があったのです。それが互いに秘密を少しずつ打ち明けるうちに互いを信じ,頼るようになり,ついには愛に発展していくといういかにもロマンスにふさわしい内容になっています。一人では解決しないけれども,互いに認め合い,頼り合うことにより,心の傷を乗り越えていけるという成長譚でもあり,義務や責任だけではなく愛が人生を前向きにしていくという作者のメッセージがこめられています。


タグ:ロマンス
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

レディは恋泥棒 [ジャクリーン・バード]

SHALOCKMEMO1194
レディは恋泥棒 Master of Passion 1993」
ジャクリーン・バード 駒月雅子




HQB-130
08.01/¥590/198p

R-1625
00.11/¥672/156p


 原題は「情熱の主」
 ヒロイン:パリサ・ハードコート・ベルモント(24歳)/私立学校の体育教師/長いブロンドの髪,サファイア色の瞳
 ヒーロー:ルカ・ディマッジ(37歳)/実業家/黒い髪と黒い瞳
 またまたジャクリーン・バード作品を手にしてしまいました。ストーリー展開の速さ,登場人物の心情の明確さ,そして脇役たちの暖かい活躍などハッピーな気分にさせてくれる作品の多いジャクリーン・バードです。本作も例外ではありませんでした。富豪のルカのフラットの3階にある浴室から忍び込んだパリサ。黒づくめの服装で小さな窓から入り込める運動神経の良さ。これはかつてボート競技のオリンピックの候補選手で現在体育教師を勤める日頃の鍛錬のたまものでしょう。だからといってやせっぽちではなくきちんと女性らしい体形の彼女。あいにくルカに見つかってしまいますが,そのときフラットを訪れたキャバレー歌手マーゴット・マイとルカが話している間に逃げだしています。しかし目的だった親友モイラに頼まれたまずい写真は手に入れられませんでした。良いところの令嬢パリス。マナーハウスを両親から受け継いでいますが,維持費が大変です。両親が亡くなってからすっかり世話をしてくれている家政婦のディディと夫のジョーの給料を払うのさえ,単なる体育教師の給料ではやっとです。屋根の修理やすり切れた床の絨毯の張り替えも含め修繕費用が莫大です。そこにつけ込んで借りの婚約をしてくれないかと脅迫するルカ。病身の母を安心させるための手段だったのですが,それは良いわけに過ぎず実は結婚などはまっぴらだと思っていたルカもパリスにすっかり弾かれる気持ちを抱いたのです。傲慢なルカの提案に渋渋ながら承諾したパリスですが,パリスもまたルカの男性的魅力に引き込まれていくのでした。パリスの後先を考えずに行動してしまったりいってはいけないことを口にしてしまうことはどうも先祖から受け継いだ血のせいのようです。それでもその習性を自分に戒めつつそれでも突飛な行動に走ってしまうパリスの性格には,思わず笑みがこぼれてしまいます。このようにかわいいところをもったパリスをルカがちょっと普通と違うけれども一緒に過ごしてみたいと思う女性ナンバーワンに感じたのもうなずけますね。とりあえずイタリアで週末の二日間母に会って,婚約の報告をして欲しいと頼まれたパリスですが,モイラのまずい写真はその後手渡されることになっています。ところが,母が入院のためにロンドンにやってきます。手術のまえに結婚式を挙げよう。それがルカの次の提案でした。つぎつぎに深みにはまってしまうパリス。もうパリスにはルカのいうことを断り切れないほどルカを愛してしまっていたのです。そしてハードコートの屋敷を訪れたルカをディディはすっかりパリスのお気に入りだと思い,なにかと結婚の準備を進めてしまうのでした。結婚までしてしまった二人ですが,ルカの母の手術も成功し結局パリスは地元に帰ってきてしまいます。大学時代の先輩でルカの知り合いのティナや,かつてルカと付き合っていたマーゴットから二人の結婚は長続きするはずがないと嫌みを言われ,パリスもぷちんと切れたのでした。でもルカを愛する気持ちになんとか整理を付けようとしますが「わたしは悪い男を愛してしまった。それが事実よ。わたしは先祖の誰よりも無鉄砲だわ。父も母も無茶な冒険はしても,まっとうな人間だったのに。」と反省しきりのパリス。そんなパリスの元を訪れたルカの次の手は・・・。
 とにかく楽しく読める作品です。パリスの無鉄砲な性格と,ちょっと傲慢ですが親思いで女性に対しても一途な気持ちをもつルカの性格を互いに理解し合ったとき,きっと二人はベストカップルとなるのでしょう。そんな予感を抱きながら終末まで一気読みできる作品です。


タグ:ロマンス
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

氷の中の真実 [ジャクリーン・バード]

SHALOCKMEMO1193
氷の中の真実 Mistaken for a Mistress 1997」
ジャクリーン・バード 原 淳子




HQB-717
16.03/¥670/200p

R-1697
01.08/¥672/156p


 原題は「愛人と誤解して」
 ヒロイン:マーリーン・ジョンソン(26歳)/外国為替ディーラー,ハーブ園経営/金色の目,173センチ
 ヒーロー:ロッコ・アンドレッティ(37歳)/地質コンサルタント/190センチ以上,黒髪,黒い目
 18歳の時に一度ちょっとだけ逢っていたロッコをかすかに覚えているマーリーン。しかしその時マーリーンの母が亡くなって遺体を確認してきたばかりで,ロッコのことをよく見てはいませんでした。そのロッコが,マーリーンの母と同棲し,最近亡くなったパオロ・ロッシが残した遺産を巡ってパオロの正妻で女伯爵と呼ばれるコンテッサの娘カテリーナと一緒にやってきたとき,ロッコがマーリーンをパオロの愛人だと勘違いし,しかも丁度土いじりをしていたところだったため,農家の田舎娘のように勘違いしたことをうまく利用して,パオロの遺産とパオロの息子であるポール(マーリーンの弟に当たる)がマーリーンの息子であると勘違いし,二重の勘違いを利用してパオロの会社の株式と,ポールに残された領地を確保しようと考えたのです。出会ったロッコに,男性としての魅力を感じて戸惑うマーリーン。マーリーンの名前を縮めて「マー」と呼ぶポールの言葉を聞いてロッコやカテリーナがマーリーンをポールのママだと勘違いしたのも好都合でした。そしてイタリアのナポリ近郊のアマルフィにあるポールに残される予定の領地を訪れることにしたマーリンとポール。ロッコの手配で順調に到着してみると,「どこかの惑星を舞台にしたSF映画のセット」のような,なんとも趣味の悪い冷たい感じの建物でした。これはコンテッサの趣味で作られた屋敷だということが後で分かります。コンテッサとカテリーナ,そしてロッコの父親のカルロは,なんとかして株式と領地の権利をマーリーンとポールから買い取ろうとします。しかしパオロの遺言で二人には渡さないように頼まれていたマーリーンは,領地は譲ったものの,のらりくらりと株式の譲渡を断り,翌月開かれる臨時株主総会で二人の悪巧みを暴こうとするのでした。頭の弱い田舎娘の愛人という虚像をそのままにして着々とマーリーンは株主総会の準備を進めていきます。ただ,ロッコからの誘惑にはなかなか勝てずに,ついには身体を許してしまうのでした。
 祖父の代に遡り,パオロと亡き母の世代の不幸な愛憎劇が,マーリーンとポールという孫の世代まで巻き込む果てしない欲望と憎しみ。その運命的な出会いに翻弄されるマーリーンとロッコ。スケールの大きな,ドラマチックな展開が終末に用意されています。臨時株主総会での胸のすく逆転劇も見事ですが,それがロッコとマーリーンの別れに繋がるところももの悲しく,読者をドラマに引き込みます。第8章で語られるロッコの幼少時代の思い出。パオロに面倒を見てもらい教えてもらった言葉「大きくなったら人生はフェアなものではないと分かると説明してくれた。人はその人にできる限りのことをし,その過程で誰も傷つけないように努力できるだけだと。」ここに本作の作者の主張が表されていると思います。


タグ:ロマンス
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

王子と孤独なシンデレラ [クリスティン・リマー]

SHALOCKMEMO1192
王子と孤独なシンデレラ The Prince's Secret Baby
Bravo Royales 1 ) 2012」
クリスティン・リマー 宮崎亜美





 原題は「王子の秘密の息子」
 ヒロイン:シドニー・オシェア(34歳)/テキサス出身,両親を幼い頃亡くし祖母に育てられる/弁護士:法律事務所パートナー
 ヒーロー:ルール・ブラボー=カラブレッティ(32歳)/モンテドーロ公国王子(次男),貿易商/漆黒の瞳,高い頬骨,男らしい顎,シャープな鼻,広い肩
 クリスティン・リマーの大河小説「都合のいい結婚」,そのモンテドーロ公国を舞台にしたシリーズの第1巻です。「無垢な天使の祈り(SHALOCKMEMO1103)」は既読です。ヒロイン,シドニーの毅然として頭の回転が良く,少々頑固な一面がヒーローのルールに気に入られたところですが,容貌の美しさ以上にその性格・行動力・愛情深いところが前面に出ています。その分,なかなか勇気が出ず自分の息子のことをなかなか言い出せずにうじうじしているルールの情けなさが,以外とかわいいと思えるのも,シドニーの一言,つまり真実を知って,そのことを言い出せずにいたルールを許せはしないけれども,タブロイド紙が全くの想像で記事を出したことも許せず,自分の夫の名誉を傷つけたと怒るシーンです。そしてそんな二人をとても温かく見守り,二人の解決を任せようとするルールの両親も,大公家のとても素敵な家族愛のなせるワザだろうと,読者を温かい気持ちにさせてくれます。
 登場人物が多い作品ですが,このブラボー=カラブレッティ家には8人も兄弟姉妹がおり,それぞれがヒーロー,ヒロインになっただけでも8作ができることになりますし,さらに父方の従兄弟たちがアメリカ,テキサス州を中心に広がっていますから,大きなシリーズになることが予想されます。すでにこちらの方も再刊,電子化がすすんでいますので,いずれ全巻を読んでみたいものだと思います。また,本作中でもシドニーの親友で息子の子守もしてくれている作家志望の女性,ラニの存在も貴重です。シリーズのどこかで彼女がヒロインになって欲しいと言う気にさせる,なんとなく気になる女性です。さて,エピローグでは次作のヒロイン,リリアナ王女のことが述べられているところ,作者のシリーズへの格好の広報活動もなかなか巧みですね。


タグ:イマージュ
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。