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踏みにじられた妻 [アニー・ウエスト]

SHALOCKMEMO1209
踏みにじられた妻 The Sinner's Marriage Redemption
( 7つの愛の罪 5 ) 2015」
アニー・ウエスト 山本みと





 原題は「罪人の救済結婚」
 ヒロイン:エヴァ・キャヴェンディッシュ(24歳)/慈善団体職員/小麦のような金色の髪,真っ直ぐな鼻筋,いくらか大きめの唇,ブルーの瞳/ノルマン人の征服の時代にさかのぼれる家柄の母親の娘,幼少時代(17歳まで)をフレイン・ホールで成長する,マイケル・キャヴェンディッシュの娘
 ヒーロー:フリン・マーシャル(31歳)/実業家/ロマの血を引くキャヴェンディッシュ家の使用人の息子,エヴァの幼なじみ/青みがかった暗い色の瞳,ロマ族の血筋を引くつややかな肌,折れて僅かにゆがんだ鼻,漆黒の髪
 「父親にとって,彼女は単なる品物に過ぎず,個人の権利を有する人間ではなかった」,野心家の父は貴族の家柄の妻を支配し,使用人たちばかりでなく自分の家族すらもの同然に扱い,金欲と物欲にまみれた人生を送った人でした。使用人の息子フリンもまた,16歳の時,父をクリスマスの前日に亡くし,敷地内の小さなコテージで圧迫された生活を送っていましたが,家政婦を務めていた母親は,エヴァの父によって夫の病の看病も出来ず,それでも雇い主に逆らえないという人生を送ってきたのでした。フリンはその後屋敷を出奔して苦労して起業し,今や大富豪となっています。そしてエヴァの父への復讐を果たそうと着々と準備を進めていたのでした。偶然パリで再会したエヴァとフリン。エヴァは母と同じように父から無理難題を押しつけられて,泥酔してくるまで事故を起こし,家を飛びだしたきりでしたが,事故の時親切に自分を助けてくれたのはフリンでした。そのフリンに7年後に再会し,成功を収めたフリンに惹かれていきます。それがフリンの復讐の計画の一部に変わっていきます。プラハで二人は短期間のうちに結婚し,蜜月期間を幸せに過ごします。しかしロンドンに戻ったフリンは休暇の分の遅れを取り戻すという名目で仕事からなかなかはなれず,エヴァも仕事に戻りますが,フリンの画策によって慈善団体を解雇されてしまうのでした。フリンは次々とエヴァを喜ばせようと人手に渡っていた母の実家フレイン・ホールを買い戻したり,先祖代々の肖像画を収集したりしますが,父と同じようにものを与えるだけで心を許さないフリンの態度にエヴァは違和感をもちます。そしてフリンの秘書から聞いたのはフリンとエヴァのパリでの再会や,プラハでの休暇は初めから計画されていたことが分かってしまいます。フリンはエヴァの一家が失ったものを取り戻せば喜んでくれるとばかり思っていました。もはや復讐ではなく,本当にエヴァを愛するようになっていたからです。しかし,エヴァがフリンの秘書から聞いた話をフリンにぶつけられ,フリンはそれを否定することは出来ませんでした。エヴァにしてみれば,父からの独立こそが自分の生きる糧だったにもかかわらず,すべてを金の力で勝手に決断し自分に与えようとするフリンは,父と同じ存在になってしまうように感じたのだったのです。我が儘なお嬢さんだと思っていたエヴァが父から受けた精神的虐待を知らなかったフリンは,エヴァに自分を利用して父の亡くなった原因を作った自分の父への復讐がフリンの動機であったことを知り,フリンの元を去っていきます。その後フリンからは連絡が途絶え,かといって自分から出てきたのにこちらから連絡を取ることもためらわれていたのですが,ついにフリンが現れます。そして驚愕の事実が・・・。なんとフリンは自分の全財産を賭けて,エヴァの愛を勝ち取ろうと準備していたのだったのでした。
 気品にあふれたエヴァが,フリンにメロメロになって行く様子が精密に描かれ,それが裏切りによって大きな反動になっていくところが迫力があって興味深い作品です。そしてフリンの決断が愛の大きさを物語るスケールの大きな作品に仕上がっています。



タグ:ロマンス
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