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愛の一夜 [レベッカ・ウィンターズ]

SHALOCKMEMO1217
愛の一夜 Claiming His Baby 2001」
レベッカ・ウィンターズ 大島ともこ




K-194
13.11/¥650/156p

I-1554
02.08/¥672/156p


 原題は「彼の赤ちゃんだと主張して」
 ヒロイン:ヘザー・サンダース(25歳)/ピアニスト,ジュリアード音楽院学生,産科医の娘,ジナ・バッカウアー・国際ピアノコンクールの優勝者/ソルトレーク出身/金髪でブルー(サファイア色)の瞳,透き通るような白い肌,高い頬骨,ふっくらした唇と柔らかな丸みを帯びた顎/
 ヒーロー:ラウール・カルディナス(37歳)/外科医/アルゼンチンで地域医療に従事
 2カ月ぶりのレベッカ・ウィンターズです。名付け親で心臓専門医のドーニー夫妻の元で医学の修行をしたラウールの話しを良く聞いていたヘザーは,実際にラウールと出会う前からすでに恋に落ちていました。地元の病気の子供の治療で助言を求めに来ていたラウールは,ヘザーの受賞記念コンサートでラフマニノフとチャイコフスキーのピアノ曲の演奏を聴き,すっかり恋に落ちてしまうのでした。帰国を伸ばしたラウールは,ニューヨークに立ち寄り,ジュリアードの練習室でブラームスを弾いているヘザーを訪れます。ヘザーもまたもう会えないと思っていたラウールがやってきたことに興奮し,自ら身を投げ出して一夜を共にするのでした。その後演奏旅行でヨーロッパ周りをすることになったヘザーと,地元に戻ったラウール。ヘザーは演奏旅行が一段落するとアルゼンチンへと飛行機を乗り継いでラウールのいる村へとやってきます。しかし,会議から戻ってきたラウールがヘザーの姿を目にすると,翌朝アメリカに帰るようにと冷たい言葉をあびせます。そして,ラウールと一緒に活動しているエレインという美しい産科医がいることが冷たい態度の裏側にあるのではないかと誤解するのでした。母が結婚によって演奏家になる夢を捨ててしまったことを知っていたヘザーは,母のためにコンクールでの優勝を勝ち取ったのですが,将来演奏家になることは考えていませんでした。しかしそのことを父には自分からは言い出せないでいたのでした。てっきり夢への第一歩を踏み出したと考えていた父は,ヘザーのいないところで,ラウールに娘との交際について釘を刺していたのですが,そのことをヘザーは知りませんでした。アルゼンチンのラウールのもとを訪れたときラウールが取った態度は,この父の頼みを尊重してのことだったのです。しかし,翌朝,ヘザーがブエノスアイレスに向かう軽飛行機が離陸直後にエンジントラブルで林に突っ込んでしまい,ヘザーも腕の骨を折る怪我を負ってしまいます。とりあえず怪我が治るまでと診療所のバンガローで暮らすことになったヘザー。しかし体調が少しずつ悪化し,食欲もなく,吐き気もでてきます。しかしその間,ヘザーはラウールや診療所の人たちのためにバンガローの改装や,植物についてインディオたちに教えたりと,次第に周囲に溶け込んでいくのでした。怪我が治ればアメリカに帰らなければならないという思いがあり,体重の減少は精神的なストレスだと思っていたのですが・・・。健康診断の結果,ヘザーの妊娠が発見されます。ラウールはこのことを恐れていたのでした。実はヘザーの母にも妊娠中毒症の既往があり,8回の流産の後でヘザーがやっと生まれたという事情をヘザーの父から聞いていたラウールは,熱帯の過酷な生活でヘザーの身体に異変が起こってはいけないという心配が大きかったからです。ラウールはヘザーとの結婚を決め,9歳の時から自分を育ててくれたブエノスアイレスの伯父伯母の元へ行き,結婚式を挙げます。そして都会にアパートを借り,ヘザーをそこに住まわせようとするのですが・・・。ヘザーはすっかりこのことで,ラウールはやはり自分を遠ざけたいのだと思い込んでしまいます。言い争いをする二人。しかしその姿を式に参列してくれた人たちには見せられません。なんとかラウールを説得し,ヘザーはふたたび奥地に向かいます。そして,臨月1カ月前に,ラウールの恐れていた妊娠中毒症の症状が出てきたのです。さぁ二人の間に愛児は無事誕生するのでしょうか。そして二人の愛の行方は・・・。
 いつもながらのスケール大きな舞台設定と,美貌にあふれ,才能に恵まれたヒロイン,ヘザーの登場で,読み応えのある作品を提供してくれるレベッカ。本作もまた期待を裏切らない一気読み間違いなしの傑作です。


タグ:イマージュ
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コテージに咲いたばら [ベティ・ニールズ]

SHALOCKMEMO1216
コテージに咲いたばら An Innocent Bride
( White Weddings 1 ) 1999」
ベティ・ニールズ 寺田ちせ




R-1565
00.03/¥672/156p

HR-189
08.08/¥600/156p


 原題は「ある純真な花嫁」
 舞台:ハンプシャー州,ロンドン
 ヒロイン:カトリーナ・ギブス(25歳)/ローズ・コテージに元私立学校長の伯母と暮らす娘/大柄で,ダークブラウンの豊かな髪,ちょっとやそっとでは忘れられないほど美しい顔立ち/12歳で両親を飛行機事故で亡くし伯母に引き取られて生活/
 ヒーロー:サイモン・グレンヴィル(38歳)/聖オールドリック病院血液学専門医/
 両親の事故死の後,伯母に引き取られて暮らしてきたカトリーナ。田舎の村で周囲の人々と共に助けあいながら生活しています。伯母の病がリンパ性白血病で長くはないと医師に告げられますが,それを知られないようにしながら自分を引き取ってもらった感謝の気持ちを込めて懸命に世話をする心優しい女性です。しかし,経済的理由で大学にも行けず,特に資格をもっているわけでもありません。こんな女性をたちまち好きになってしまうのがロンドンの医師で,ローズ・コテージの近くの村に自宅をもつサイモン・グレンヴィル教授でした。しかし初対面の時なんとなくカトリーナが自分を嫌っているのではないかと思ったサイモンは,長い期間をおいて少しずつカトリーナが自分に目を向け,愛してくれるようになるまで世話をし,守っていきたいと心に誓うのでした。彼女の美しさは,顔立ちだけでなく,その心の美しさであることを見抜いたサイモン。田舎の村で周囲の人々と温かく,しかも他人の役に立とうといつも心がけて生活しているカトリーナ。村人たちが尊敬の念をもって接しているかつての女子校校長サーザは村の重要人物でもあり,その手伝いをしながら静かに暮らすカトリーナを誰しもが好意を持っていたのです。しかし,カトリーナの懸命な気遣いにもかかわらず程なくして大好きだった庭を眺めながら伯母は静かに息を引き取ります。地元の医師や村人たちが敬意を持って伯母を送ったのにもかかわらず,やってきた親戚たちは伯母が遺産を全てカトリーナに譲ったことを知って,足早に帰ってしまうのでした。コテージはカトリーナに残されましたが,伯母の年金の蓄えは切り詰めても数ヶ月しかもたないほどの僅かなものでした。カトリーナは考えたあげく,近郊の村での農作業の日雇いの仕事をして,なんとか暮らしを立てようとします。何かと理由を付けてコテージを訪れるサイモンは,カトリーナの苦境を知り,なんとか助けようと,病院で手術後療養が必要なトレイシーという少女とその母モリーの転地療養をローズ・コテージで引き受けてくれないかと持ちかけ,国の支援だという理由を付けて多額の謝礼を受け取らせることに成功します。トレイシーとモリーはすぐに村に馴染み,トレイシーの健康はレイシーの努力もあってまたたくまに快方に向かうのでした。やがて,ロンドンに二人の住むフラットも見つかり,数ヶ月して二人はロンドンに帰ってしまいます。レイシーは新学期(9月)からの図書館での司書手伝いの仕事を見つけますが,そんな時,村にあるサイモンの病院の研修医で小柄で美人のモーリーンの伯母の家であるマナーハウスで火事さわぎがあり,庭作業をしていたレイシーが初めに煙が上がるのを見つけて駆けつけ,数人の使用人たちと家財道具や貴重な絵画を庭に運び出し,さらに家に煙に巻き込まれて倒れてしまった青年を命懸けで救うという活躍をします。それまでモーリーンが教授を狙ってなにかと口実を付けてマナーハウスまで送ってもらっていたことや,モーリーンの伯母がいずれ教授とモーリーが結婚すると村人たちの仄めかしていたことで,レイシーが落胆していたことに教授は気付いていませんでした。「僕は君に恋したんだよ。だが君はまだ僕に同じ気持ちを抱いていない」というサイモンの言葉もカトリーナには信じられません。「数日したらまた会いに来よう。僕は彼女を愛している。そして彼女も心のクデは僕を愛しているはずだ。」という思いのサイモンに対してカトリーナは「彼は本当にわたしを哀れんでいるんだわ。わたしニコをしたと言ったのも,ただわたしをを元気づけようとしただけだったのよ。」と自分に言い聞かせるのでした。さて,サイモンはこの後どうやってカトリーナ気持ちをほぐしていくのでしょうか。
 ベティ・ニールズらしい,ドクターと村の娘の物語ですが,静かに流れる村人たちの温かい気持ちや,カトリーナの美点を見抜き,サイモンとの結婚を心待ちにするサイモンの両親や兄弟,使用人たちの二人を応援する言葉がとても読者を癒やしてくれる良著です。


タグ:ロマンス
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イースターマンデー [サラ・クレイヴン]

SHALOCKMEMO1215
イースターマンデー Strange Adventure 1997」
サラ・クレイヴン 大沢 晶




K-393
16.04/¥670/174p

R-0093
81.04/¥500/174p


 原題は「異国の冒険」
 ヒロイン:レイシー・ヴァーノン(18歳)/裕福な銀行家の一人娘,ピアニスト志望/銀色に輝く長い髪/
 ヒーロー:トロイ・アンドレアキス(?歳)/実業家,ギリシア人で母はアメリカ人/
 修道院の寄宿生でピアノを専攻しているレイシー・ヴァーノンは,コンセルヴァトワールの教授からはプロにはなれないと言われてしまいます。母を亡くし,5年前に父が再婚した派手好きな継母との折り合いは最悪。しかし,父だけは自分を愛してくれていると子供ながらに感じていましたが,修道院に迎えに来た継母の言葉からとんでもない計画が進行中だということを感じ取ります。父の銀行の経営が資金難で妖しくなり,その対策のため富裕な実業家トロイ・アンドレアキスの支援が是非とも必要なこと,そしてトロイが支援をする見返りとして,レイシーが利用されようとしていることでした。自分が人身御供にされることに絶望したレイシーは,幼なじみで隣家のアラン・トレバーに頼み込み,駆け落ちをすることにします。しかし,食料を買いに行ったアランが戻ったと思ってドアを開けた,二人が隠れ家に選んだモーテルの部屋に現れたのはトロイでした。レイシーは家に連れ戻され,いよいよトロイとの結婚式を挙げることになります。この結婚式の日がイースターマンデー,つまり復活祭の翌日の月曜日で,それが邦題になっています。この日を境にレイシーの運命は大きく変わっていくという意味だろうと思います。ところが,すぐに父が発作で命を落としてしまい,イオニア海のセロス島にある別荘にトロイの親友の付添で送られてしまいます。しかも,レイシーはトロイの妹で遺産相続人のエレニというティーンエイジャーの少女の監督も任せられてしまうのでした。トロイはイギリスに残り,仕事を続けるというのです。セロス島でエレニとレイシーと使用人たちの奇妙な生活が始まります。レイシーはエレニに振り回され,エレニのアメリカ時代の知り合いだったエヴァン・ケントに追い回されますが,写真家だと称するエヴァンは仕事をする様子がありません。エレニと共に気晴らしに出かけたプライベートビーチで半裸で日光浴をしていたとき,岩陰できらりと光るものが見えましたが,だれもいませんでした。レイシーは違和感は感じましたが,それが後日大きな問題になるとは思いも寄りませんでした。やがて,嵐がやってきて,エレニが家に戻らないことに気付いたレイシーは,先日見つけた洞窟にいるのではないかと探しに行きます。その時地震が起こり,洞窟の入り口の岩が崩れ,二人は閉じ込められてしまいます。やがて空気が薄くなり二人は意識を失ってしまうのですが・・・。
 エヴァンが撮った写真は,二人の女性が砂浜で半裸で寝そべっているスキャンダラスな写真でした。それをネタにトロイから金を引き出そうとしていたのですが,その悪巧みをトロイは簡単に解決してしまいますが,それがレイシーの心を傷つけてしまったことには気付きませんでした。そしてレイシーもトロイが義母のミシェルと深い関係にあるのではないかという疑いを捨てきれなかったのです。二人のこのすれ違いはエレニ(イギリス風にはヘレン)とエヴァンが画策したことだったのですが,エレニはトロイをちょっと困らせてやろうとしたたわいもないいたずら心だったのですが,エヴァンに騙されていたことに,やっと気付いたのでした。そして反抗して洞窟に隠れた自分を救ってくれたレイシーに感謝の気持ちを抱きます。レイシーとトロイの互いの誤解はどのように解けるのでしょうか・・・。
 年の離れたカップルを描いた作品ですが,純真で世間知らずなレイシーがとても愛らしく,トロイによって心の成長を遂げていく姿がすがすがしい作品です。


タグ:ロマンス
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