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大富豪と遅すぎた奇跡 [レベッカ・ウィンターズ]

SHALOCKMEMO1218
大富豪と遅すぎた奇跡 Along Came Twins...
(愛の使者 2) 2013」
レベッカ・ウィンターズ 宇丹貴代実





 原題は「双子が生まれるまでに」
 ヒロイン:ケリー・ペトラリア(28歳)/元会社員/ハニーブロンドの髪,菫色の瞳
 ヒーロー:レアンドロス・ルソス・ペトラリア(34歳)/実業家/身長190センチ,筋肉質
 「エーゲ海の独身貴族(SHALOCKMEMO1160)」の姉妹編です。本作は,離婚が間近に迫った夫婦が結婚カウンセリングを受けることで互いの心の中にあったことが次々に明るみに出,正直に気持ちを打ち明け合えていればこんなに関係が悪くならなかったのに,互いにちょっとした勇気と正直さがあれば離婚の危機は乗り越えられる,ということを中心にした物語です。前作でギリシア旅行に来たフランとケリーのうち,フランが運命の人と出会ったのと同じように本作のヒロイン,ケリーもまたレアンドロスと出会います。ところが,この二人は結婚したとたんに,ぎくしゃくとした関係が始まっていくのでした。前妻を亡くしたレアンドロスと,初婚のため夫の気持ちよりも自分の気持ちを振り返る余裕がなく,それを夫や前妻のせいにしてしまったために,遂には離婚を決意するところまで来たものの,不妊治療の結果双子を妊娠してしまい,それから互いのことを知り合おうとカウンセリングを受けることを決意するという荒筋です。このカウンセラーがまた,優れた人でした。長年にわたる相談経験と,ズバリと本音に迫っていく手法は見事で,それに乗せられる格好でどんどん二人の心の内側が明かされていきます。その面白さはちょっと他の追随を許さないほどですね。敵役になるのは,夫の前妻の妹ですが,この子もなんと精神を病んでいることが明らかになっていきます。疑わしい話し合いは全て録音にとって共有したり,誰が誰に話しをするかを綿密に話し合いで計画したりと,なるほどこういうものかという提案がたくさんなされていくのも本作の魅力ですが,時々周囲の人々が二人のことを思ってルールをちょっとずつ曲げてみたりすることも,本作の温かい雰囲気作りに一役買っています。精神的な部分が中心でやや暗くなりがちなテーマですが,それと実際の行動がうまく合致して,暗さやいやらしさを感じないで最後まで読み続けられるのも,作者の筆力とストーリーテリングの見事さだと思います。姉妹編とは言え,全く違った魅力を持った2作でした。


タグ:イマージュ
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