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君を傷つけた理由 [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO1230
君を傷つけた理由 The Reluctant Husband 1998」
リン・グレアム 高木晶子




HQSP-106
16.03/¥540/208p

R-1449
99.01/¥672/156p


 原題は「乗り気でない夫」
 ヒロイン:フランチェスカ(フランキー)・カパレリ(21歳)/旅行会社共同経営者/漆黒のまつげ,澄んだ緑色の瞳,赤と赤銅色と金色のが混ざった髪/11歳でロンドンからサルディーニア島シエンタの祖父の元に連れてこられ16歳で結婚,半年で離婚/
 ヒーロー:サンティーノ・ヴィターレ(29歳)/銀行家/身長193センチ,気むずかしい天使を思わせる男の臭いが香り立つクラシックな顔つき,くすんだ金色に光る瞳/
 「サンティーノは裕福らしい」かつて結婚し半年間しか続かなかった結婚生活。その時フランキーは16歳でした。大学生のサンティーノに憧れ,追いかけ回すばかりの女の子だった自分。5年後の今,友人と共に営む旅行会社の経営立て直しに必要なヴィラとの契約を取るためにサルディーニアに戻ってきたフランキーは,そこで元夫のサンティーノに出会い,しかも衝撃の事実を告げられるのです。二人の離婚は成立していないと・・・。つまり二人の結婚の事実はまだ有効で,しかもサンティーノはこの5年間フランキーに毎月相当額のお金を振り込んでいたというのです。ひょっとして母がそのお金を使い込んでいたのでは・・・と疑いはするものの,自分の母がそんなことをしていたことを認めたくないという気持ちから,フランキーはプライドから嘘をつき始めます。それに一々反証を挙げ自分を責め立てるサンティーノ。当時如何に自分が幼く,しかも夫が別の美女と口づけしているところをたまたま見かけて,不実を理由にサンティーノの元を去ったのは自分の方だったので,忘れられない存在であるサンティーノを憎み忘れようと努力してきたこの5年間でもありました。サンティーノは3週間だけ共に生活し,その後正式に離婚しようと提案,というより命じられたとき,それで決着がつくのであればそれでいいと,かつてのように唯々諾々と夫の命令に従ってしまうフランキーでした。封建的で古い考えの持ち主のサルディーニアの祖父たちにとってみれば,家を飛びだしたフランキーが翌日サンティーノに発見されて連れてこられたのをみて,一夜を共にした男女は結婚しなければならないと祖父に責められ,サンティーノが仕方なく結婚を承諾したという事情からして,サンティーノ自分を愛していないと思い込んでいた幼いフランキーでした。そしてサンティーノもまた高額のお金を母と共謀して自分からだまし取っていたフランキーに相応の苦しみを味わわせたいと考えての3週間の提案でしたが,実はなかなかフランキーの魅力から逃れられないでいる自分に本当は気付いていてもそれを認めたくないという気持ちもあったのでした。次第に近づいて行く二人の気持ち。そして愛を交わすときの互いを惹きつける魅力。いつしかフランキーは母のデラが自分たちを騙していたことも知り,そしてサンティーノも騙されていることを半ば知りつつフランキーへの支援を続けていたのに気付いて愛を確信するのでした。サンティーノの両親からは,特に母親からは全く厄介者のように扱われてしまうフランキーを,サンティーノは弁護し,大切にしてくれるのでした。そしてフランキーは如何に自分が自分の夫のことを何も知らない子供だったかと言うことを思い知らされるのです。「サンティーノは裕福らしい。」それも,莫大な財産をもつ富豪であることを知らなかったフランキーでした。
 世間知らずの幼妻だったフランキーが本物の愛に目覚めていくまでの過程を描いた成長譚です。サンティーノもまた,兄の死によって家族から見捨てられた自分がフランキーの愛によって家族に受け入れられていくまでのサイドストーリーも描かれていて二重の成長譚になっています。8歳の年齢差はそれほど大きなものではありませんが,精神的な落差はかなりの開きがあり,その分愛らしく純真なフランキーの若さが強調されています。HQ文庫版の表紙モデルは意志の強そうなかなり激情的なフランキーの一面を表していますが,HQSP版の表紙モデルは儚げで純真そうな少女のときのフランキーをと対照的なイメージを伝えています。


タグ:ロマンス
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