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アドニスの冷たい抱擁 [ミシェル・スマート]

SHALOCKMEMO1249
アドニスの冷たい抱擁 The Greek's Pregnant Bride
( 大富豪の結婚の条件 2 ) 2015」
ミシェル・スマート 麦田あかり





 原題は「ギリシア人の妊娠した花嫁」
 ヒロイン:アレッサンドラ・モンデッリ(歳)/カメラマン,ロッコ・モンデッリの妹/つやつやした濃い栗色の髪,ハニーブラウンの瞳/
 ヒーロー:クリスチャン・マルコス(33歳)/投資家/身長190センチあまり,
 「たまたま出くわしたアレッサンドラが兄の代わりに呑みにつれていってほしい」と言ったことがすべての始まりでした。クリスチャンとアレッサンドラの兄ロッコたち4人は「コロンビア・フォー」という仲間組織を作り,慈善事業に力を貸しています。無二の親友たちの中でクリスチャンは富裕な家庭の生まれではなく,たたき上げで財産を築いてきました。そしてロッコの結婚式の花婿付添人を務めることになるクリスチャン。少女のころからクリスチャンに憧れを抱いてきたアレッサンドラがこの機会をとらえようとしたのは自然な成り行きでした。新人作家たちが描く本シリーズ第2弾は,ミシェル・スマートです。いくつかのシリーズにも執筆しているミシェル。本作が初邦訳ですが,巧みなストーリーと少女から大人の女性と変貌を告げていくアレッサンドラを見事に描ききっています。ロッコと結婚する元スーパーモデルのオリヴィアよりアレッサンドラの方が美しいとクリスチャンの目には映ります。しかし,ロッコとの友情を考えると手を出してはいけない存在。自分のような悲惨な幼少時代を送った男には・・・。アレッサンドラにはもっと育ちが良く,将来を嘱望される男性がふさわしい。でも,自分を抑えきれるだろうか・・・。そんな自問自答が何度も続くクリスチャン。そしてあの一夜の関係でアレッサンドラのお腹に自分の子どもが・・・。クリスチャンを密かにギリシア神話のアドニスにたとえていたアレッサンドラですが,両親から捨てられた自分が子どもを育てることより,夫となる人と添い遂げられるだろうかと結婚に自信を持てないため,クリスチャンのプロポーズを最初は断るのですが,次第にそれ以外の選択肢が限られてしまいます。クリスチャンはきっと妹を大切にしているロッコとの関係悪化が予想されました。そして二人は遂に結婚することにします。謂わば子どものための便宜的結婚だけでは満足できないアレッサンドラでした。出産にまつわる話を聞いたクリスチャンはアレッサンドラ,ロッコ兄妹の母がアレッサンドラの出産で命を落とし,父にも捨てられ,祖父に育てられたという事情を知り,両親の愛を知らないで育ったアレッサンドラを産まれてくる子供と共に守らなければという決意を新たにします。ロッコに二人のことを話すと,ロッコはクリスチャンに一発食らわせ,結婚式への参列も断るのでした。マスコミからは富豪の夫と美しい妻という構図で話題になります。そしてクリスチャンと母の改善されない関係など前途多難な二人ですが,互いに互いのことを考え,アレッサンドラはクリスチャンの恩人ミコライ夫妻を式に招き,クリスチャンもまたアレッサンドラのためにニューヨークまで出かけてロッコ夫妻を式に連れてくるのです。ロッコも渋渋ながらも二人の幸せを願い,式に参列するのでした。かつてハビエルという男性に裏切られた経験を持つアレッサンドラもクリスチャンの愛で,ついに自分の夫になる男性に信頼を向けることが出来るようになります。クリスチャンもアレッサンドラの成長で愛を取り戻し,家庭を築く勇気を持つことが出来るようになるのでした。
 あまりに出来すぎた結末だとも思いますが,信頼,愛,そして過去のしがらみからの脱却と,ロマンスのテーマがふんだんに盛り込まれた,読むにふさわしい作品に仕上がっています。


タグ:ロマンス
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