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伯爵家のシンデレラ [ジャクリーン・バード]

SHALOCKMEMO1260
伯爵家のシンデレラ The Italian's Runaway Bride 2001」
ジャクリーン・バード 加藤由紀





 原題は「イタリア人の逃げだした妻」
 ヒロイン:ケリー・マッケンジー(21歳)/化学者,ベルトーニ家の臨時ナニー/シルバーブロンドの髪,野性的な青い目,肉感的な唇,豊かな胸,ほっそりしたウエスト,長い脚/
 ヒーロー:ジャンフランコ(ジャンニ)・マルディーニ(31歳)/企業家,イタリアの伯爵/180センチを越える身長,広い肩,引き締まった腰,長い脚,黒い瞳,豊かな黒い巻き毛と眉/
 7月発売のHQ文庫をHQロマンスのKINDLE版で読みました。イタリア人伯爵と正体を知らずに漁師と勘違いして出会い,深い関係を持ってしまった若いケリーのシンデレラストーリー,と思いきや,小姑ともいうべき伯爵の義姉未亡人の徹底した虐めに負けずに伯爵の愛を獲得していくまでの成長譚でした。親友ジュディの初産を助けるためにベルトーニ家で夏の間だけナニーのアルバイトをしてた大学を卒業したばかりのケリーは,イタリアの海岸でハンサムな漁師と思しき男性と知り合います。初心なケリーはたちまちジャンフランコ(ジャンニ)に夢中になり,デートを重ね,深い関係を持ってしまうのでした。そしてジュディと出かけた野外オペラの会場で出会ったジャンニが漁師ではなくジャンフランコ・マルディーニ伯爵だと知ったケリーは裏切られた思いと,ジャンニのそばにひっついている美女の姿に傷つきます。しかもこの美女がジャンニの亡き兄の妻だったことにも。「彼はジャンフランコ・マルディーニ。信じられないほど傲慢で不誠実な男」と気付いたケリーは,急遽ジュディ夫妻と帰国し,この子を一人で産んで育てようと決意します。それから数ヶ月後の一月の金曜日の夜,突然ジャンニが現れます。「君を守ることは僕の使命だ。君は僕の子供の母親なんだから」というジャンニの言葉に深く傷つくケリー。ジャンニが求めているのは自分ではなく子供なのだということに・・・。そしてあれよあれよと言うままに子供のために結婚してしまった二人。しかし結婚はゴールではなくこれから始まる受難のスタートに過ぎませんでした。両親を失い学業では素晴らしい成績を修め化学者として政府の研究所で働く予定になっていたケリーですが,貴族の家の奥様になるということは予想もしていませんでした。しかも,その家には義母と義姉まで同居していたのです。仕事の忙しいジャンニは,帰宅するとケリーに優しくするのですが,数日間の出張も多く,日中はケリーの体を心配して外出も許可されないのです。しかも義姉のオリビアが隠れてケリーに意地悪をすることをジャンニに告げても取り合ってくれません。唯一メイドのアンナだけが味方で他の使用人はケリーには冷たく接するのでした。独りぼっちで嫁いできた嫁ぎ先で夫は母と義姉の言うことしか信じず,孤独な生活をせざるを得ないケリー。夫が出張中のある晩,義姉オリビアは「ケリーを財産目当てのあばずれ女とののしり,ジャンニはケリーを愛していない,愛しているのは子供だけだ」と言い,反論しかけたケリーにワインを浴びせたのでした。そして帰宅したジャンニ書斎で義姉と抱き合っている姿を見かけたケリーは遂に,カーサ・マルディーニを跡にします。
 それから3年。ケリーは一人娘アンナ・ルイーズ,通称アナルウと二人で幸せに暮らしていました。そこにジャンニがやってくるのですが・・・。結局再びイタリアに連れ戻されたケリーとアナルウ。しかしそこにはあの底意地の悪いオリビアの姿はありませんでした。ほぼ狂気に駆られていたとしか思えなかったオリビアの行動の理由や,ジャンニがもうこれ以上子供は要らないと言っていた理由も丁寧に説明され,物語はハッピーエンドに向かうのですが,世間知らずだったケリーも出産して3年間の間に大人として成長し,ジャンニの行動や義母の行動を許すだけの精神的成長も遂げていたのです。この当たりの作者の描き方も素晴らしく,そして用意されている,さらなるハッピーエンディングに大満足を得られる作品です。


タグ:ロマンス
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