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婚約のシナリオ [ジェシカ・ハート]

SHALOCKMEMO1263
婚約のシナリオ Temporary Engagement
( Marrying the Boss 4 ) 1998」
ジェシカ・ハート 夏木さやか




HQB-735
16.06/¥670/208p

R-1724
01.11/¥672/156p


 原題は「臨時雇いの婚約者」
 ヒロイン:フローラ・メーソン(?歳)/臨時個人秘書,ページの大学時代からの親友/金髪よりは濃いが茶色とは言えない髪,最小限の化粧,ストッキングなしの脚,頑固そうな顎,青い瞳,大きすぎる鼻/
 ヒーロー:マット・ダベンポート(38歳)/エレクトロニクス企業「エレックス」のヨーロッパ支局長/長身,黒髪,浅黒い肌,厳しい顔立ち,緑の瞳/
 「君が生意気だとはページは言ってなかったよ」「あなたがユーモアのセンスのない人だとは聞いていなかったわ」 友人のページから頼み込まれて臨時に個人秘書になったフローラが上司のマットと最初にかわした会話です。普通マットの冷たい緑の瞳でにらまれると大概の人は怖れを成してしまうのですが,フローラにその目つきは効き目がありません。フローラは世界一周をするのが夢。そのために定職に就かず臨時雇いの仕事を中心に資金集めをしているところです。「彼女はどこか無視出来ない存在感がある。」というのがマットが始めに感じたフローラへの印象でした。ところが会社にモデル体形の美女ベネチアがやってきます。マットにすがりつくように食事に出かけてしまうベネチア。その後互いの生い立ちについて少し突っ込んだ話しをする機会がありますが,マットは数日間仕事でニューヨークに戻ることになります。不在の間フローラはマットがいないことに寂しさを感じ,マットもまたニューヨークでの仕事中フローラのことが気になっている自分にいらだちます。ロンドンへの帰郷後二人は食事を共にしたりするのですが,それが新聞で新たな恋人出現かとすっぱ抜かれてしまい,マットはフローラが情報を流したと疑うのでした。それはフローラの元恋人セバスチャンが記者であることも関係していたのです。しかし真犯人は意外な人でした。そしてマットは意外な提案をしてきます。結婚しろと口やかましい母を一時的に黙らせるために婚約したことにしようとフローラを説得しにかかったのです。その前にパーティに一緒に行って欲しいとフローラがマットを誘い,友人たちの目を欺くためにマットとフローラが付き合っていると言ってしまったからでした。互いの目的のためにもそれが妥当だと言い切るマット。友人たちへの冗談とは違い,母親を騙すことになるようなことはすべきではないと断ろうとするフローラですが,世界一周の航空券という条件を付けられてしまっては断ることが出来なくなってしまいます。実はマットはこの扱いにくい秘書のフローラの美点に気付き始め,心を乱されつつあったのでした。フローラもまた冷たい上司と言われてきたマットが実は優しい面をもったゴージャスな男であることに惹かれていたのです。「私が彼と恋に落ちるようなことを,彼は望んでいない。あり得ないことだ。」と自分に言い聞かせるフローラ。「一体この女性の何が僕をこんなにも動揺させるのだろう?彼女は普通の女性だ。絶世の美女でもなければ特別頭が良いわけでもない。唯一注目すべき点はフローラがそばにいると僕が自制心を失ってしまうことだ。」と考えてしまうマット。そしてマットの母ネルとの出会いはフローラの心をさらいマットに近づけていくのでした。すっかり意気投合してしまったフローラと母をみて,マットは「どれほど深くフローラを愛してしまったかに急に気付き」ます。そして互いの気持ちを告白し合う二人。あの新聞記事の情報を漏らしたのはなんと母のネルが無意識のうちに記者に語ったことだったことが判明します。もう二人の間には隠し事はなくなってしまうのでした。
 なんともハッピーな読後感を得られる作者得意の秘書・上司ものです。読了してから,ジェシカ・ハート作品は初めての読了本だと気付いた次第です。


タグ:ロマンス
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愛,ふたたび [アン・メイザー]

SHALOCKMEMO1262
愛,ふたたび Sandstorm 1980」
アン・メイザー 細郷妙子




HQSP-118
16.07/¥540/208p

R-0467
86.06/¥578/156p


 原題は「砂嵐」
 ヒロイン:アビゲイル(アビー)・ギレスピー(22歳)/秘書/長身175センチ,細いなりに豊満な胸やなまめかしい腰の曲線/
 ヒーロー:ラシード(?歳)/アバレーン国王子/長身185センチ,芳醇なワインのようにきめ細かくてこくのある低い声,母はイギリス人/
 7月にHQSP版で出る本作をHQB版KINDLEで読みました。HQSP版の表紙はちょっとものうげなヒロインの姿がいいですね。HQB版の方は背景にモスクふうの建物とクッションのおかれた長いすがが写っており,ストーリーをうまく表していますが,残念ながらヒロインを思わせるモデルさんが使われていないのでいまいちです。さて,シークものの本作ですが,3年前結婚した相手は中東の国アバレーン国の王子ラシード。離婚の話をしに来たと思ったアビーですが,「アビー,君は僕の妻なんだから,僕の家こそ君のいるべき場所だ」と言うではありませんか。首都ザンシアの王宮での生活はアビーにとってはみじめなものでした。夫の父である国王からは歓迎されず,二人の間に3年間子供が出来なかったことがアビーにとっては大きな負担でした。そして決定的だったのが夫の不倫。弟の妻の姉ファラとの間に子供がいたことを知り,アビーはイギリスに帰ってきていたのでした。そして秘書として働いている上司ブラッドがいろいろと親切に心配してくれるのに甘えていたのです。最近ブラッドが仕事以外のところでも個人的にアビーに言葉をかけてくるようになり,ちょっと困惑していたところでもありました。そしてやって来たラシードに誘われて夕食をとり,別れ話をしようとした矢先,ホテルの部屋でラシードが昨夜から病にかかり苦しんでいることを伝えられ,ラシードの部屋へ案内されます。しかしラシードは起きており,誘われるままにベッドを共にしてしまうアビー。そして数ヶ月後,判明した妊娠。離婚を前提としていたのに再びラシードの元に行かざるを得なくなるアビーは,ラシードの愛が信じられません。「やっぱり,そう。あなたの関心は子供だけなのよ。私に戻って欲しいとかなんとか言っても,息子を産むために必要なだけなのね。」出産までの期間だけという限定付きの妻という存在に,アビーのプライドはずたずたになります。王宮に戻ったアビーの元にラシードはほとんど顔を見せず,末の妹ソフィアだけが3年前と同じようにアビーに優しく接してくれます。そしてアビー付きの使用人スニがいろいろと気遣ってくれるのでした。ラシード兄弟の祖母ノーナが帰国します。ラシードとアビーが別に暮らしていると聞いてノーナは心配し,いろいろと策略を仕掛けてくるのでした。それに気付いているアビーですが,夫にかまわれない寂しさよりもノーナの心遣いの方が嬉しく思えてアビーもそれを受け入れていくのです。そして衝撃の事実をノーナの口から聞いたアビー。その事実がアビーとラシードの間にあった障壁を完全に崩していくのです。やがて,生まれる息子カリド・ロバート。もはや親子三人での幸せな暮らしを妨げるものは何も無いのでした。
 19歳という若いときに結婚してしまったアビーが出産をとおして精神的に夫への深い愛に目覚めていく成長譚です。オススメの作品。


タグ:ロマンス
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天使の誘惑 [ジャクリーン・バード]

SHALOCKMEMO1261
天使の誘惑 Guilty Passion 1992」
ジャクリーン・バード 柊 羊子




K-286
15.01/¥670/156p

R-1761
02.04/¥672/156p


 原題は「やましい情熱」
 ヒロイン:レベッカ(ベッキー)・ブラケットグリーン(22歳)/大学研究助手/身長152センチ,すみれ色の瞳,長い黒髪/
 ヒーロー:ベネディクト(ベン)・マクスウェル(34歳)/人類学者/濃い金褐色の瞳,身長180センチ位,広い肩幅,厚い胸,引き締まった腰,驚くほど長い脚,長めの黒い髪,広い額,黒く濃い眉,高いかぎ鼻,角張った顎/
 ベンに出会ってすぐに恋に落ちてしまった22歳のレベッカは,付き合う度にベンに惹かれていきます。周囲の人たちもベンには注意するように忠告してくれますが,恋するレベッカには役に立ちません。時々ベンが見せる自分に対する冷たい目線が何を意味するのかも気付きませんでした。オックスフォードで研究助手を務め,就職のために教職課程を取りたいと考えているレベッカは17歳のとき,ある男性と交際した期間がありました。しかしその男性が事故で亡くなり,深い関係になる前に失ってしまっていたのでした。ところがその男性こそ,ベンの父親違いの弟ゴードンだったのです。ベンはレベッカが弟の死に関係していると母から聞き,レベッカを自分の魅力で惹きつけ,最後の土壇場でこの事実を知らせて復讐しようと思っていたのです。自分が愛してしまった相手,婚約までした相手に愛されるより憎まれていると知ったレベッカ。それから時を遡り,ゴードンとレベッカの過ごした日々の回想が綴られます。しかし,ゴードンの事故死をベンとゴードンの母は,レベッカのせいだとベンに告げていたのでした。しかも当時ゴードンの死が「事故か自殺か」と三流紙に報じられてしまったこともあり,「小柄なロリータ」と報じられたレベッカを恨む気持ちを抱き続けてきたベンが,レベッカを弟の敵と考えたことも当然のことでした。それに気付かず,姓も違うため事情を知らずにベンを愛してしまったレベッカ。そしてベンの正体が単なる人類学者というだけでなく,「M&M(モンテーヌ&マクスウェル)」という電子機器会社の経営者であることが知らされたことによって,それに追い打ちをかけます。それを彼女に告げたのはベンの腕に寄りかかるのが得意なフィオナ・グリーヴズというとびきりの美女とあっては,なおさらレベッカを落ち込ませることになるのでした。
 5年後,シングルマザーとなり,教員として働いているレベッカ。課外活動で生徒を引率してフランスの海岸に出かけたレベッカは偶然ベンに出会ってしまいます。この再会場面に結構なページが割かれていますので,本作の謂わば中心部分の一つです。他の教員や生徒たちにたちまち取り入ってしまうベン。レベッカはベントの出会いを極力避けたかったのですが,周囲からはやし立てられてベンと食事をすることになってしまいます。5年経ってもベンの魅力は損なわれていませんでした。5年前,レベッカがベンの元を立ち去ったとき,ベンは弟ゴードンの死の真相を母親ではなく叔父に確認してみたのでした。そしてレベッカのいうとおり事故であったことを知り,レベッカに対して取ってきた行動を謝罪したいと思っていたのですが,なかなかレベッカの所在が分からず,探しあぐねていたのでした。そして帰国後,ベンがレベッカの元を探し出してきます。レベッカは,「彼が今,私を求めているということは疑いようがない。でも,明日はどうなの?その先の未来は?いいえ,ベネディクトとの間に未来なんてないのよ。」そして,そこにはベンとの間の子ダニエルがいるのを隠し切れなくなってしまいます。ベンはすでにレベッカの同僚からダニエルのことを聞き,5年間その存在をベンに知らせなかったとレベッカを責めるのでした。そしてレベッカに自分との結婚を迫るベン。そこに昼寝から起きてきたダニエルがやってきて,ベンは自分がパパだと名告ってしまいます。混乱すると思っていたダニエルはベンがパパだと聞いて大喜びしているではありませんか。自分が必死で育ててきたダニエルがこんなにも父親を欲しがっていたとは,と傷つくレベッカ。一度は結婚を断るレベッカですが法的手段に訴えてもダニエルを手に入れると脅すベンに,5年前と同じようにこの結婚もまたダニエルの存在をベン知らせなかったことへの復讐なのだと確信するレベッカでした。さらに,あのフィオナ・グリーヴズがベンの会社に勤めていることを知り,「彼が欲しいのは子供だもの。大きくなってさほど母親が必要でなくなったら,あなたはお払い箱よ」というフィオナの言葉に傷つくレベッカ。そして二人の結婚式が行われます。全てを3日間で準備したベン。レベッカの花嫁衣装ですらベンが全て独断で準備したのでした。ダニエルはすっかりパパを好きになり,自分は母親の務めだけ果たそうと決意するレベッカですがベンに愛されていないことへの不安は消えません。二人の結婚生活は惨憺たるものでした。唯一ダニエルを間に挟むときは二人は仲むつまじい夫婦ですが二人きりになると気持ちのすれ違いが明白でした。数日後寝ているベンが突然熱病にうなされたように叫んでいるのに気付いたレベッカ。人類学者としてフィールドワークにいっている間にかかったマラリアに似た病が時々出てきたのでした。主治医を呼び,なんとか落ち着いたベンを見てレベッカはやはりベンを愛し,愛おしく思っていることに気付き,しかも弱ったベンがレベッカに「愛している」と告白するのでした。二人の間には不幸なすれ違いにより何年もの間不信が心が渦巻いてきたのですが,本当は初めて出会ったときから愛がしっかり根付いていたのです。そして紆余曲折を経てそのことを素直に言い合える関係にやっとたどり着いたのでした。「信じられないわ。大きなあなたが152センチのわたしにおびえるなんて。」「そのすみれ色の瞳で冷たくにらまれるだけで充分だよ。知らなかったのかい?」という軽口の応酬が,すでに二人の気持ちが完全に一致したことを思わせる巧みな表現になっています。


タグ:ロマンス
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