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雨の日の出会い [ベティ・ニールズ]

SHALOCKMEMO1273
雨の日の出会い Never the Time and the Place
(ベティ・ニールズ選集 9) 1985」
ベティ・ニールズ 片山真紀




I-2424
16.06/¥710/156p

I-1709
04.10/¥672/156p


 原題は「しかるべき時としかるべき場所」
 ヒロイン:ジョゼフィン(ジョー)・ダウリング(25歳)/婦人科病棟看護師長/グレーの瞳,優しい口もと,大柄で大きな目/
 ヒーロー:ユリアス・ファン・タクス(34歳)/外科医/ブルーの目,野性味を帯びたハンサムな顔立ち,短く刈られた白髪交じりの頭,立派な鼻,/
 親友のサー・フォーサイスを訪ねる途中田舎の道を車で走っていたユリアスは,雨の日の道路の真ん中で犬と共にいる一人の女性と出会います。それが運命の女性ジョゼフィンでした。婚約者に去られた沈んでいたユリアスとその時は婚約中だったジョゼフィンはロンドンのセント・マイケルズ病院で再会します。婦人科病棟の医師ドクター・ブルが出張で留守にする2カ月間,代診を務めることになり,オランダから来たのでした。外科の専門医としてオランダばかりでなくイギリスでも医師免許を持ち,時折講義や手術を依頼されるユリアスは,どんな女性からもうっとりと眺められ,診察を受けた患者からも厚い信頼を受けていきます。あの雨の日に出会って良い印象を持たなかったジョゼフィンも患者に対する真摯なユリアスの対応には感心し,信頼を寄せるようになって行きます。ところで婚約中のジョゼフィンですが,相手の医師マルコムとの結婚式を目前に控えていたにもかかわらず,自分の都合に合わせるよう勝手に物事を進めていくマルコム,そして義母となるマルコムの母とはそりが合わず,結婚を目前にして不安に日々を過ごしていました。患者とその夫たちの様々な関係を日々見ているうちに,このまま結婚しては自分は幸せにはなれないと気付くのでした。ジョゼフィンの両親もこの結婚には反対こそしないまでも余り乗り気ではありません。1週間ほど会えなかった間についにジョゼフィンはマルコムとの婚約を解消すべきだという結論に達し,それをマルコムに思い切って告げたのでした。ところがマルコムは嘲りの言葉と共にそれをアッサリと認め,去って行ってしまうのです。どうやら,このマルコム,マザコンの典型のような男だったようです。二人の婚約解消は瞬く間に病院中に知られることになります。周囲が気を遣ってくれ,ユリアスも打ち合わせと称して食事に誘ってくれたり,休暇を取るべきだと強く勧めたりとジョゼフィンに何かと気を遣ってくれる様子に,ジョゼフィンもなにか期待めいたものを感じるようになります。しかし,病院内ではあくまでも医師と看護師長という枠からはみ出るようなことはしたり言ったりすることがありません。プライベートなときは優しい言葉をかけられても仕事場ではまた冷たい態度に戻るユリアスにジョゼフィンは期待と落胆を何度も繰り返すのでした。そして休暇に入ろうとしていたジョゼフィンにユリアスは「結婚してくれないか」とささやくのでした。聞き間違えかと思ったジョゼフィン。急には応えられないだろうからしばらく考えてみてくれと言うユリアスの言葉に戸惑うジョゼフィン。そしてドクター・ブルの出張期間が終わり,ユリアスも病院を離れる日がやってきました。あの申し出に返事をしなければならないタイムリミット。ジョゼフィンはユリアスのことを何も知らないことに不安を覚えつつも承諾してしまうのでした。マルコムの時はあんなに自分を気遣ってくれたことはないということと,どんな女性からも好かれるユリアスとの違い,そしてかつて婚約していた女性とはどうなっているのかということ,オランダで暮らさなくてはならなくなるという結婚後の生活,そして何より「愛しているから結婚」というのではなく,互いに気軽に話ができ,忙しい医師の仕事も理解してくれているという都合を優先させた結婚理由を不安に思ったのでした。ユリアスが去った翌週,ジョゼフィンが実家に帰ってみるとユリアスが実家の居間で父と話しているのに驚きます。父も母もユリアスとジョゼフィンの結婚に大賛成の様子。そしてその時,近所で大きな事故があり医師である父に出動要請の電話があります。ユリアスやジョゼフィンも一緒に事故現場にいき救出と治療に当たるのでした。この時改めてジョゼフィンはユリアスの有能さと彼を信頼していることに気付きます。婚約期間は短く数週間後に結婚式をジョゼフィンの実家のある村の教会であげることになりました。ダウリング家とファン・タクス家,そしてセント・マイケルズ病院の同僚たちも参加して幸せな一日,そしてオランダにフェリーで渡った二人ですが,その数日後ヨークで開かれる夫の仕事について行くのがハネムーンの代わりになりました。散策や買い物で日中過ごすジョゼフィン。ひょっとしてここで元婚約者と出会い二人の結婚にひびが入るのでは?と深読みをしてしまいましたが,そんなことはなく,二人のハネムーンは充実の内に終わります。そしてユリアスのオランダの家の豪華さ,200年以上も代々続いてきた家柄の長男としてのユリアスに圧倒されてしまうジョゼフィンですが,ユリアスはここで何度か「話がある」と言いながらその度に邪魔や用事が入ってしまい,その「話し」が語られないまま何日か過ぎてしまいます。ひょっとしてすでに子供がいるとか?とまたもや深読みしてしまうのですが,ユリアスの話しは実は原題の「しかるべき時としかるべき場所」でということだったのです。その内容は読んでのお楽しみです。
 いかにもベティ・ニールズらしさに満ちあふれた,静かであたたかい作品です。


タグ:イマージュ
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