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薄幸のシンデレラ [レベッカ・ウィンターズ]

SHALOCKMEMO1282
薄幸のシンデレラ A Wedding for the Greek Tycoon
(ギリシアの花嫁 2) 2015」
レベッカ・ウィンターズ 小池 桂





 原題は「ギリシア富豪のための婚礼」
 ヒロイン:ゾーイ・ザコス(24-25歳)/病気療養中の大学生/慎重170センチ弱,ブロンドの髪,グリーンの目/
 ヒーロー:ヴァッソ・ジアノポウロス(30歳)/実業家/漆黒の目/
 ニューヨーク8月9日から物語は始まります。最後は10月16日ギリシア,パクソス島ですからほぼ2カ月間の物語。ガン闘病中のギリシア系アメリカ人のゾーイは医師から退院の許可を得ますが,6カ月後の再発可能性は捨てきれません。いわば時限爆弾を抱えているようなもの。両親を火災で亡くし,ボーイフレンドも病気を知って去ってしまいました。その後2年間,闘病とカウンセリングに明け暮れてきましたが,とりあえず精神的にも身体的にも健康を取り戻し,膨大な治療費を出してくれたジアノポウロス基金に少しでもお返ししたいと,基金での仕事をしたい希望を強く持ったのでした。昔から世話になっている神父に仲立ちをとってもらい,たまたまニューヨークにやって来た基金の主ヴァッソ・ジアノポウロスに直接面接をしてもらうことになります。ヴァッソはゾーイの困難な過去のことを聞き,本人に会ってみると是非守ってあげたいという気持ちになります。それからすぐにギリシアのパクソス島の療養所でちょうどアシスタントが不足していることに気付き,パクソス島にゾーイを伴います。アテネの本社に立ち寄り,ヘリでパクソス島へ。事務長のヤニスはすっかりゾーイを気に入り,療養中の患者の生活の改善のための企画を次々に出すゾーイを重宝しています。ヴァッソはその様子を見てすっかりゾーイとの関係を接近させようとしますが,ゾーイはヴァッソを意識的に避けようとするのでした。互いに惹かれている様子は隠せないもののゾーイの行動を不審に思ったヴァッソですが,なかなか本音を話してくれません。ついに結婚を申し込むヴァッソですが,ゾーイは即刻断ります。傷ついたヴァッソは少し時間をおいたほうがいいとアテネでの仕事に集中し週末にゾーイに会おうとパクソス島へ戻りますが,なんとゾーイは火曜日には辞表を出してニューヨークに帰ってしまったというのです。9月23日ニューヨークで検査を受けたゾーイは医師から再発の怖れはなく,10年生存率は71パーセントというお墨付きをもらい,ヴァッソの申し出をもう一度考え直すのでした。
 前作「ガラスの靴のゆくえ(a href"http://romanceindanger.blog.so-net.ne.jp/2016-04-30"SHALOCKMEMO1235)」で登場するアキスとレイナ夫妻も幸せな様子を見せ,ヴァッソ,ゾーイの二人を応援します。ギリシア系の人たちの家族に対する強い思いが随所に出てくる温かく,そしてゾーイの表裏のない思いやりの深さと実行力のある行動が爽やかで,とても読後感の良いイチオシ作品です。


タグ:イマージュ
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大富豪の父親適性テスト [シャーリーン・サンズ]

SHALOCKMEMO1281
大富豪の父親適性テスト The Billionaire's Daddy Test
( Billionaires nnd Babies 61 ) 2015」
シャーリーン・サンズ 秋庭波瑠





 原題は邦題そのまま
 ヒロイン:ミア・ダンジェロ(?歳)/美容室経営/165センチ,長い脚と美しい顔立ち,緑色の瞳/
 ヒーロー:アダム・チェイス(?歳)/建築家/長身,日に焼けた脚,がっしりした背中,グレーの虹彩に鋼色の斑点が浮かんだ瞳,力強い顎/
 2010年9月以来のシャーリーン・サンズの訳本です。本シリーズに著者はいくつかの作品を上梓していますが,2016年にはもともと寡作な著者が本格的に著作を出しているようです。斜麓駈については,本作が初読了本となります。まずはタイトルに惹かれました。「Daddy Test」という表現。いかにも手慣れていない父親が我が子におそるおそる手を伸ばしている様子が見えるような感じがいいですね。
さて,本作ですが,姉の遺児ローズに父親の存在を知らせなければという思いで「ムーンライト・ビーチ」を訪れたミア・ダンジェロ。この南カリフォルニアのムーンライト・ビーチが別のシリーズにも登場し,本作に登場するゼイン・ウィリアムズ,ディラン・マッケイがヒーローとして活躍するようです。いわゆる富裕層の別荘地のコテージにヒーローのアダム・チェイスが住んでいます。偶然の出会いを装ってアダムがローズを託するのにふさわしい男性なのかを調べようとします。偶然砂浜のガラス瓶のかけらを踏んで怪我をしてしまったところをアダムが見つけたために,予定が狂って助けてもらうことになってしまったミア。外見は素晴らしいアダム。そして親切。しかもお金持ち。でもなぜかアダムは仕事以外は別荘に引きこもり社交生活を余り送っていない様子。何か秘密があるようです。ぎりぎりのところでアダムを信用するのは保留しながらも,アダムの勧めるままにローズと共にアダムの別荘に引っ越し奇妙な同居生活が始まります。二人の理髪師と共に子供専用美容室を経営するミア。日中は生後半年のローズを店に連れて行き,交替で面倒を見ています。夜はアダムの家でアダムがローズとふれあえるようにと計画していたのですが,アダムの顔を見るとローズが泣き出してしまいます。家政婦のメアリには懐くのになぜか実父のアダムにだけは背を向けてしまうローズにアダムのいら立ちはつのります。そんなところにアダムの弟のブランドンがやって来ます。ローズの目の色を見て一目でアダムの娘だと気付いたブランドン。ミアは慌てて自分はローズの叔母だと名告ります。アダムと特別な関係にあると思われてはいけないという思いからです。しかしブランドンはミアとアダムの間の特別な空気を見事に感じ取ってしまいます。アダムとブランドンは長い間仲違いをしています。かつてアダムの恋人だったジャクリーンと関係を持ってしまい,それをアダムが見てしまったことで弟に裏切られた気持ちを持ち続けていたのです。母の誕生パーティの企画のためにアダムの家を訪れたブランドンですが,それをきっかけに二人の仲直りを望む母アレナ。しかし,ローズやミアと仲良くしているブランドンを見てアダムはさらに自分のものを再び取られたような気持ちになり,ブランドンに辛く当たります。アダムがそもそも引きこもった生活をしているのには,この元恋人と弟の関係という問題の他に,もう一つ幼い妹リリーを失った責任が自分にあると自分を責め続けてきたからでした。自分の娘の母親の妹というミアの存在に,自分の妹リリーの姿が重なり,ミアを守り続けることができなくなるのではという怖れの気持ちももってしまうのでした。しかもローズからはなかなか笑顔を向けられません。このアダムの苦悩が本作の主なストーリーの一つで,作品に一本筋の通ったものを感じさせています。一方ミアの方は自分が単なるローズのベビーシッターなのか,アダムに惹かれる気持ちをどうやって抑えようかと苦労しながらも,ローズにしっかりと向き合おうとするアダムを愛さずにはいられなくなります。姪の父親としてというより男性として惹かれてしまう自分の気持ちに戸惑うミア。そして遂に二人の破局がやって来ます。勤めを終えて帰宅したミアとローズを待っていたのはアダムが依頼したベビーシッターの若い娘でした。遂に自分を遠ざけようとアダムが考えたと思い込んだミア。さらにそれに上乗せしてアダムがミアの最大の弱点である犯罪者である父のことを指摘されたことで,ついにミアはローズを連れて家を出ることにします。自分を育ててくれた祖母の元に身を寄せることにするのでした。さあ,アダムはどんな手を使って,ミアを説得しようとするのでしょうか。もはや互いの愛は紛れもない事実。あとはローズを含めた3人の関係をどんな形で作り上げていくのか。本作はそんな家族作りの過程を描いた温かい,優しい人たちだけが登場する作品です。


タグ:ディザイア
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