SSブログ

百八十夜の愛人契約 [シャンテル・ショー]

SHALOCKMEMO1334
百八十夜の愛人契約 Mistress of His Revenge
( Bought by the Brazilian 1 ) 2015」
シャンテル・ショー 中村美穂





 原題は「彼の復讐の愛人」
 ヒロイン:サブリナ・バンクロフト(28歳)/大学アンティーク家具講師,修復家,バンクロフト伯爵令嬢/目の覚めるような美女,抜群のスタイル,身長160センチ台,淡いブロンドの髪,灰色の目/
 ヒーロー:クルス・デルガド(34歳)/ブラジルのダイヤモンド鉱山所有者,「デルガド・ダイヤモンド」経営者/180センチを越える身長,オリーブグリーンの目,黒髪/
 ブラジルのベロオリゾンテ貧民街で少年時代を過ごしたクルス・デルガドと500年以上の歴史を持つイギリスのエバースレイ館を所有する伯爵令嬢サブリナ・バンクロフト,一般的には身分違いの二人はブラジルで互いを強く求め合う生活を送ります。10年前のことでした。しかし,サブリナは妊娠4ヶ月半で流産し,同時期にクルスの父親が鉱山事故で大怪我を負い,その怪我が元で亡くなるという出来事のせいで,二人は別れてしまいます。クルスが欲しかったのは私ではなく子供だけ。子供を失ったのに嘆き悲しむことがないサブリナは自分を愛してはいない。それにサブリナの父が自分の父を無理やり鉱山に向かわせて結果命を失うことになった。そんな気持ちのすれ違いと互いによく話し合うことをしなかったため,勘違いをしたまま互いを責める気持ちをもちつづけて別れてしまったのでした。この時の互いの気持ちのすれ違いが10年後の再会をぎくしゃくした状態でスタートさせることになります。サブリナたちバンクロフト伯爵家の住居エバースレイ館は,伯爵の借金と維持費の急激な増加のため,今や売却せざるを得ない状況までになっていました。なんとかして維持していこうと努力するサブリナは,富裕層に部屋を貸して料理を提供するホテル業的な企画をして少しでも借金を返そうとしていましたが,父とは連絡が取れず,さらに弟が高額の学費の必要な航空学校への進学を決めていたからです。母を亡くし,留守がちな父をもち,弟にとってサブリナは姉であり,母親代わり,父親代わりでもありました。サブリナにとっても弟は唯一の家族だったのです。そして500年の歴史を誇る伯爵家を継ぐのは弟であり,その歴史と伝統こそ家具修復家であり歴史学者でもあるサブリナの生きがいでもあったのです。こんなサブリナの経済的苦境にクルスは冷酷なくさびを打ち込んできます。6カ月間180日間自分の愛人を務める代わりに経済的援助をしようと・・・。何日間かの抵抗を示しては見たものの,エバースレイ館でぼや騒ぎがあり,その修理費にさらに負担が増えることになってしまい,結局はその提案を飲まざるを得なくなります。10年前恋人同士だった二人の間に抜群の相性が戻ってきます。しかし互いの心が触れあうことはなかなかに難しいことでした。サブリナが自分の思っていた女性ではないのではないかと考え始めたクルスは,たまたまパーティで老齢の婦人から指摘されたのをきっかけにポルトガルの別荘にいくことをサブリナに告げます。今回も一言の相談もなく行動を決められてしまったサブリナは一言皮肉を言いますが,自分は金で買われた愛人だと言うことに思い至り口をつぐんでしまいます。そして海岸に面した素晴らしい宮殿のような別荘で二人は数日間,ほとんど二人っきりで過ごし,少しずつ10年前の互いの勘違いを修正していくのでした。まもなく一週間が過ぎようとしたとき,サブリナの弟から父親がエバースレイに戻ってきたと連絡が入ります。いそぎイギリスに戻るサブリナ。もう,クルスはサブリナへの愛人契約から解放すると言い,サブリナは一人イギリスに戻るのでした。一方クルスは母親から父親の死の真相は,サブリナの父により無理やり坑道に押し込まれたのではなく,父親の方が伯爵の制止を振り切って欲尽くで坑道に向かったのだと知らされます。父親を偶像視していたクルスを落胆させたくなくてついた嘘だったというのです。これでサブリナが10年前から自分を愛してたことという言葉が本当だったことが分かるのでした。もう一つの気がかり,流産したときなぜ嘆き悲しむことがなかったのかという疑問は解けませんでした。クルスは,再度エバースレイに向かうことになります。
 オリンピックの影響からかブラジルが関係した作品の翻訳が少し目立っているような気がしますが,本作はなんといってもヒーロー,ヒロインの心の動きが丁寧に描かれ,感情移入しやすい作品だと言うことだと思います。生まれ育ちの良さや経済的豊かさよりも愛にあふれた関係の方がずっと豊かで幸福になれるというメッセージが込められた作品でもあります。


タグ:ロマンス

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。