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命のブーケ [キャサリン・スペンサー]

SHALOCKMEMO1343
命のブーケ Dominic's Child
( From Here to Paternity 1 ) 1996」
キャサリン・スペンサー 井上京子




K-426
16.09/¥670/156p

R-1726
01.11/¥672/156p


 原題は「ドミニクの赤ちゃん」
 ヒロイン:ソフィー・カスン(27歳)/景観設計士/金髪で灰色の目,長い脚/
 ヒーロー:ドミニク・ウィンター(35歳)/建設業者/広い額,黒髪,鼻骨を折った跡,強烈で断固とした横顔,緑色の目,長身/
 「「さあ,ブーケよ,ソフィー」エレインが手渡してくれた。」白百合の美しいブーケが象徴するエピローグに描かれているこの場面が,本作の邦題になったことは言うまでもありません。すれ違った二人の気持ちとは裏腹にソフィーのお腹の中で順調に育ってきて,帝王切開で産まれたライアン。ドミニクとソフィーのこの男の子が産まれ,二人の結婚式が三人での式になった最後の場面が,いかにもロマンス小説らしい幸福感と安堵感に満たされたクリスマスのカナダ,パーマーズタウンでの一幕です。初めは行方不明になったウェクスラー夫妻の一人娘バーバラの身を案じるドミニクとソフィーの口論から始まります。夫妻の家のエクステリアを設計するソフィーと,バーバラの婚約者で建設業者のドミニク。ソフィーはドミニクの独善的でどんなときにも冷静さを失わない性質を好きになれませんでしたが,逆に男性らしさにあふれたドミニクに惹かれてしまっていることも頭の片隅に残っています。しかし,自分に責任のない,いえ,無責任で我が儘なバーバラの失踪の原因を自分に着せられるのに納得できないでいるソフィーですが,ドミニクはそんなソフィーの気持ちにはいっこうに頓着せず言いたい放題をいっています。ところが,泥酔したドミニクを慰めたくなり,そしてそのまま二人は深い関係に陥ってしまうのです。その結果の妊娠。妊娠検査薬を買ってきたその晩,再度ソフィーの家を訪れたドミニクによって,速く検査したらどうかと無慈悲な要求をされ,それでも気になっていた検査を済ませると按の情の陽性反応。ソフィーもまたかつてある男性と付き合い,無垢ではありませんでしたが,あまりに無神経なドミニクの言動に腹を立てながらも,どうしてなのかドミニクの言うとおりに自分が行動してしまいます。初めはこのソフィーの情けない行動にイライラしながら読み進めていくことになるのですが,やがて,幸せな日々を過ごすソフィーとドミニクの元に,バーバラが突然生き返ったようにやってくるのです。すでに妊娠の結果二人はウェクスラー夫妻の了承も得て結婚を間近にしていたのですが,バーバラの出現と私妊娠したのよという告白に,ソフィーは自分が身を引くことが当然とばかり,ドミニクの元を去って身を隠したのです。双子の兄ポールとその妻ジェニーの元へと。ソフィーは両親には妊娠のことは話しておらず,打ち明けたのは親友のエレインと兄夫妻だけでした。ドミニクとの婚約が破れた今となっては,両親の元に帰ることもできません。イギリスに身を隠したソフィーは鬱々と日々を過ごしているのでした。一方バーバラの嘘に振り回され,ソフィーに去られてしまったドミニクも親友の弁護士から背中を押され,ソフィーを再び手に入れるために,ある計略を巡らし,同時にソフィーの両親からソフィーがイギリスの兄夫妻の元にいるらしいと言う情報を得て,一通の手紙をソフィーの元に送るのでした。かつて住んでいたパーマーズタウンの家で待っていたソフィーは突然腹痛に襲われ・・・。
 プライド同士のぶつかり合い,そして愛されなかった過去を持つドミニクがソフィーへの純粋な愛に気付いて行く過程が丁寧に描かれています。我が儘なお嬢様で美貌のバーバラに比べて,職業人としての落ち着いた雰囲気と美しい脚線美をもつ平凡な女性ソフィーの対比が,本作の雰囲気を作り上げていきます。めずらしいカナダ・ロマンスの独特の雰囲気が本作の魅力です。


タグ:ロマンス
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