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庭師の娘の恋わずらい [メラニー・ミルバーン]

SHALOCKMEMO1378
庭師の娘の恋わずらい Engaged to Her Ravendale Enemy
( Ravensdale Scandals 4 ) 2016」
メラニー・ミルバーン 萩原ちさと





 原題は「彼女のレーヴェンズデールという敵との婚約」
 ヒロイン:ジャスミン(ジャズ)・コネリー(23歳)/ウエディングドレス・デザイナー/秀でた眉,アイスブルーともグレートも言える瞳,ほっそりした体つき,つややかなハニーブラウンの巻き毛,クリームのように白くなめらかな肌,完璧な口/
 ヒーロー:ジャック(ジェイク)・レーヴェンズデール(33歳)/コンサルチング会社社長/たくましい長身,濃紺(藍色)の瞳,厚い胸/
 「博士の密やかな誘惑(SHALOCKMEMO1333)」,「眠り姫の目覚め」と続く,レーヴェンズデール家の兄弟姉妹のロマンスの第3弾です。原作では第3弾は「The Most Scandalous Ravensdale」になっていますが,こちらはフリン・カールトンとキャット・ウィンウッドが主人公になっているため,先に本作が翻訳されたのでしょう。レーヴェンズデール家の長兄ジュリアスとホリーの結婚式が間近に迫り,ホリーのウエディングドレスのデザイナーである本作ヒロインのジャズがドレスのデザインのためレーヴェンズデーンに来ています。ジャズは第2作のヒロインのミランダの親友であり,ミランダと婚約者のレアンドロとも知り合いです。なにせジャズ自身がこのレーヴェンズデーンで幼少の頃を過ごしていたからです。つまり,ジュリアスの家政婦の娘であったホリーと同じように,ジャズも庭師の娘だったからです。なにか一族が狭い関係の中でまとまってしまっているのが本シリーズの特徴ですが,それだけに家族的紐帯が深まると,逆に言えば世界中に散らばっている家族からしてみれば,ノスタルジックな関係ほどまとまりやすいということを前提にしているのかも知れません。男性陣はみな学生時代の仲間ですし,女性陣もそれぞれの人生の中でかつて深く関わった人たち,しかもレーヴェンズデールの先代夫妻が超一流の俳優として名を成しているセレブであるがゆえに,家族を顧みずに自分勝手な人生を送っている人たちで,その子供たちはけっして両親のような結婚生活は送りたくない,いやもっと強く結婚そのものがおぞましいと考えている人たちなのですから。破綻した結婚の犠牲になった子供たちが愛を取り戻していくまでの心の葛藤を描くというのがこのシリーズの中心テーマなのでしょう。
 さて本作のヒーローのジェイクはまさしく,ハンサムでお金持ち,女性との関係は一晩以上は殆ど続かないものの,それでも順番を待つ女性は挽きを切らないという有様。自ら結婚はしない,子供も作らないと宣言している結婚恐怖症の男性です。双子の弟として真面目な兄ジュリアスといつも比較され,自由奔放に生きてきたものの事業では成功を収め,仕事と遊びも派手な性格です。そんなジェイクに憧れ,16歳で大人ぶってジェイクに迫った過去を持つのが庭師の娘ジャスミン(ジャズ)でした。その時はジェイクはジャズに対しては妹のような感情しか持っていなかったため,たしなめたのですが,それに傷ついたジャズはその後3度婚約して,3度とも相手に逃げられてしまう,しかも3度目のカレシとはまだ表面的には婚約中なのに相手が浮気をしてしまっているというかわいそうな状況にいます。ウエディングドレス・デザイナーとしてのキャリアを踏み出したばかりで,まだブランドを立ち上げるほどではないため,身近なジェイクのコンサルも受ければ成功間違いなしなのでしょうが,かつて自分を拒絶したジェイクにシッポをする気はさらさらありません。そんなジャズが,ジェイクをストーキングしている女子高校生からジェイクを守るために取った行動とは,ジェイクの婚約者の振りをするというとっさのでまかせでした。ジェイクもこのアイディアの効果を目の当たりにして,なんとか兄とホリーの結婚式までの間だけでも婚約者の振りをすれば高校生も諦めるだろうと期限つきの便宜婚約を承諾したのでした。ジェイク兄弟と10歳の年齢差のあるミランダとジャズですが,高校生からすれば大人びた姿態と美貌を身に付けたジャズは今では充分に女性としてジェイクの婚約者にふさわしい相手に見えたのでしょう。それからこの婚約を本物らしく見せるためわざとマスコミの前でそれらしく振る舞って写真に収まるようになった二人ですが,自信が16歳の時以来,ジェイクに憧れ続け愛し続けていたことを,そしてジェイクは決して自分を愛してくれることはないことを,引きずったまま,ジュリアスとホリーの結婚式の数週間前まで来てしまいます。その間二人の間の気持ちの高まりと深い関係があったものの,やはり将来がないと考えたジャズはジェイクの元を去るのでした。そして結婚式当日,ジャズのデザインしたドレスを着たホリーの美しさ,さらに愛し合う様子が誰の目にも明かなミランダとレアンドロの姿をみて,ジェイクはある決心をするのでした。
 第2作の「眠り姫の目覚め」も途中まで読んでいるのですが,読了したらコメントをアップするつもりです。その前に第4作の訳が出てしまうかも知れませんが・・・(笑)。今複数の作品を手当たり次第に平行して読んでいるので,なぜか逆に読了速度が愕然と落ちてしまっているので・・・。


タグ:ロマンス
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聖夜の告白 [スーザン・メイアー]

SHALOCKMEMO1377
聖夜の告白 Merry Christmas, Daddy
( Fabulous Fathers 28 ) 1996」
スーザン・メイヤー すなみ 翔




K-441
16.12/¥670/156p

L-0782
97.12/¥641/156p


 原題は「メリークリスマス,お父さん」
 ヒロイン:カサンドラ(カシー)・オハラ(25歳)/大学生でシングルマザー,娘の名はキャンディ/緑色の目,小麦色の髪,身長160センチ,都会的な魅力とスマートさと昔気質の入り交じった一種独特な雰囲気,五人兄弟の末っ子/
 ヒーロー:ガブリエル(ゲイブ)・ケイン(30歳)/「ケイン・エンタープライズ」経営者/身長185センチ,黒髪/
 さて,今月も読みかけ本ばかり山積みになり,読了本が寂しい状態が続いていますが,先月を下回ることが確実になってきました。あと数ページの読みかけ本はかなり多いので,読了しさえすれば良いのですが,そうなるとSHALOCKMEMOの更新もしなければならないので,それも時間が取れなくて大変です。SHALOCKMEMOの原稿の書きかけも大分たまってきている状態です。夏の頃の月30冊はさてどこに行ったのでしょう? 時はまさに年末。年賀状やらお歳暮やらと考えることも多くなってきているのも,新年の準備の心づもりなど,家でやることも増えてきて,さらにHQの出版状況も年末年始に備えて早まりつつありますから,これまたWEBの整理もさし迫り,さらに状況が悪くなるのでしょう。
 さて,西洋では,このシーズン,新年よりもなんと言ってもクリスマスが大きなイベント。数日間の冬のバカンス(南半球では夏のバカンスというべきでしょうか)期間に入ります。そのため,11月から12月にかけてはクリスマス関連の作品の翻訳が多く出てくるのですが,スーザン・メイアーと言えば,このクリスマスものの名手といっても良いでしょう。シンデレラものとクリスマス・シーズン,まさに奇跡と成功譚のコラボレーションですから,読者を幸せな気分にさせてくれること間違いなしの組み合わせですね。本作も,やはりそんな一作でした。シェアしていたペンシルバニアのフラットから同宿者たちが次々にフラットを離れてしまい,自分一人ではとても家賃が払えないと困っていたカサンドラですが,そこにやって来たのは飛んで火に入る冬の虫,会社社長のゲイブでした。世界中で最も愛する祖母が末期癌に・・・。なんとか祖母が生きている間に喜ばせたいと婚約者をクリスマス休暇にジョージアのケイン家に3週間ほど連れて行きたいという申し出をします。休暇が明ければその後の大学の学費と部屋代は自分が保証するからと,とても断れない申し出です。自分を売るようでとてもそんな申し出は受けられないと気持ちとなんとかゲイブの願いも叶えてあげたいという両方の気持ちが入り交じっていくカサンドラですが,良い人のカサンドラは結局この申し出を受けることにします。しかし偽の婚約者の振りをするにしても互いのことを知らないとすぐにメッキが剥がれてしまいます。ところがゲイブはそんなカサンドラの気持ちに気付かないかのようになかなか自分のことを話そうとしません。それよりそんなことに気付いてもいない様子。このお坊ちゃん風のゲイブをちょっと年上のお姉さん的な現実的なガブリエルが少しずつ導いていくのですが,ゲイブの眼差しで言葉にしなくても二人の間に暗黙の了解ができてしまう場面がしばしば登場します。それほど二人の相性は出会ったときから言葉ではけんか腰でも心の奥底ではわかり合えてしまう相手という不思議な関係だったようです。これを運命の人と言わずしてなんというべきでしょう。さらにシングルマザーだということにも気づかれてしまい,結局子連れでケイン家を訪れることになってしまう二人ですが,ケイン家では,ゲイブの50代の両親も80歳近い祖母エマリー(エマ)もなんと赤ん坊のキャンディに夢中になってしまいます。なかなか結婚したがらないゲイブに,カサンドラはぴったりの女性であると,すでに祖母も両親も決めてしまったかのようです。偽りのフィアンセの話は正式な婚約そして結婚式ととんとん拍子に進んでしまいます。両親や兄弟すら式に招かないというガブリエルですが,それでは偽りだと分かってしまう,と,とにかく事情を話して母親だけは呼んだものの,祖母エマの計らいで父親まで来てしまうことに。ガブリエルは両親が来れない理由を父のインフルエンザのせいにしていたのですから,こんなにマズいことはありません。しかしながら,そんなドタバタがこのクリスマスの時期にはなんとも滑稽で温かい気分を読者に抱かせてくれるのもまた真実です。さて,二人は真実の愛を告白し合えるのでしょうか・・・。
 なんとも傑物の祖母エマのキューピット的な人間性が本作のキャラクターの中で傑出していることと,娘を愛し,その性格をよく知るカサンドラの母親の存在がとても温かく,アットホームな作品です。


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デザインを変えました [toppage]

ここ数年使ってきたデザインを変更しました。
2016年11月21日に変更しています。
タグ:TOPPAGE
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秘密を宿したウエイトレス [オードラ・アダムス]

SHALOCKMEMO1376
秘密を宿したウエイトレス The Bachelor's Bride
(「花嫁候補 N0.1」改題) 1995」
オードラ・アダムス 朝倉ユリ





 原題は「独身男性の花嫁」
 ヒロイン:レイチェル・モーガン(30歳)/パートタイムのウエイトレス/灰色の瞳,すぐに赤面してしまう無垢な性格/
 ヒーロー:リード・ジェイムズ(35歳)/コングロマリットの社長/長身,ブロンド,緑色の目,フランス系カナダ人/
 病気の母の看病の甲斐なく2年前に母を亡くしたレイチェル。その2カ月後父は再婚してしまいます。さらに婚約者も自分の元を去って別の女性と結婚してしまったのです。独りぼっちのレイチェルの唯一の親友のパーティで,ある男性と出会い夢のようなひとときを過ごしますが,その時レイチェルの体内には二人の愛の結晶が・・・。しかしその時のことをレイチェルは夢だとばかり思っていました。呑みつけないアルコールを知らずに飲んでしまい意識を殆どなくしていたのです。勤めていた会社からの人員削減のためのリストラの対象にされてしまい,今は仕方なくウエイトレスで糊口をしのぐ有様でした。妊娠に気付いたレイチェルはとにかく父親である男性の元を訪れ事実を知らせなければと思い会社に向かうのでした。しかしその男性が最も富裕な独身男性の一人だと知り,驚きます。幸い秘書の機転で会うことができましたが,リードの援助は受けないと宣言します。子供を売るようなまね,という気持ちになってしまうからでした。自分が親から捨てられ,孤児院育ちだと言うことを周囲の人々にひたすら隠して成功を手に入れたリードは,自分の子供を手元で育てたいという気持ちを強く持っていました。と同時に自分の子供を身ごもったレイチェルに強く惹かれる気持ちを持ったのです。レイチェルのことを私立探偵に調べさせると経済的に困窮し,婚約者にも捨てられたばかりだということを知ったリードは,オハイオの父のもとに帰ろうとしているレイチェルをなんとかニューヨークに引き留めようと飛行機の搭乗口までぎりぎり説得しようとしますが,レイチェルはそれを振り切って飛行機に乗ってしまうのでした。数日間で作戦を立て直したリードは会社の経営を共同経営者たちと秘書のシャーロットに任せ,身一つでレイチェルの帰ったオハイオの家を訪ねるのでした。レイチェルはまだ妊娠のこともリードが父親であることも父に話していませんでした。リードはなんとかレイチェルとの結婚をレイチェルの父に納得させ,ニューヨークに連れ帰ります。秘書のシャーロットも望外の喜びようでした。やっとボスが落ち着いてくれるという気持ちだったのです。またレイチェルがふさわしい女性であることも見抜いていました。多くのロマンスがボスの恋人に対して意地悪になりがちなものですが,本作ではこの秘書の役割がとても重要です。さらに父の後添えもレイチェルのとても優しいのです。そんな雰囲気が本作をとても温かいものにしています。さて,いつの間にかリードを愛してしまったレイチェル。しかしリードは情熱的になったかと思うと何日もうわべの返事だけでレイチェルを避けようという行動を取ってきます。親友に相談してみると彼女の方から誘惑してみてはと助言されます。誘惑は成功するものの,心の中までは明かしてくれません。リードが過去のことを封印して心から信用してくれないのにはなにかとてつもない秘密があるようにレイチェルは思うのでした。そしてお披露目のパーティもシャーロットの働きで成功し,ホッと安心しているときリードの弁護士から,これでやっとリードも仕事に戻り,赤ん坊が無事産まれたら君は自由にどこにでも行けると言われていまいます。3人で新しい家族を築いていきたいと思っていたレイチェルにとってこの言葉は当初の便宜的な取り決めをリードはまだ考えているのだということを意味するものでした。さぁ,レイチェルはここでリードの元を去るのでしょうか,それとももう一度リードの心を取り戻そうとするのでしょうか。やがて産まれてくる子供とともにエピローグは幸せに輝いて終わります。まさにロマンス作品の王道を行く1995年の作品です。


タグ:ディザイア
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いたいけなキューピッド [アリスン・ロバーツ]

SHALOCKMEMO1375
いたいけなキューピッド The Baby Who Saved Christmas 2015」
アリスン・ロバーツ 北園えりか





 原題は「クリスマスが救った赤ちゃん」
 ヒロイン:アリス・マクミラン(28歳)/保育園教師/カーレーサー,アンドレ・ローランの娘,母,ジャネット・マクミラン(シングルマザー)/身長160センチ,痩身の妖精のような美人,赤毛のウエーブヘア,茶色い瞳,青白い肌,何かあるとすぐに赤面する/
 ヒーロー:ジュリアン・デュボア(35歳)/有名シェフ/キャラメル色の瞳,はっきりした鼻と唇/
 過酷な運命に導かれた姉弟のクリスマスのハッピーな出会いの物語です。カーレーサーのアンドレ・ローランとアリスの母ジャネット・マクミランは29年前に出会いました。そしてジャネットのお腹には愛の結晶が芽ばえたのですが,アンドレの母,マダム・ローランはジャネットに赤ん坊を始末してどこかに去りなさいと命じたのでした。しかし,ジャネットは故郷のスコットランド,エジンバラ近郊の村に帰り,母とともに娘アリスを育てたのです。そしてマクミラン家ではフランス語は一切使わないことが決まりになりました。無慈悲なローラン一家を思い出さないためでした。その祖母と母が亡くなり独りぼっちになってしまったアリスは,母の遺品の中から一枚の写真と新聞記事を見つけます。それはアリスの父アンドレと母が写っている写真でした。クリスマス休暇を利用として父の住むフランス南部を訪れたアリスですが,その家の周囲にはたくさんの報道関係者が集まり,上空にはヘリコプターも飛んでいます。門番の人にアンドレ・ローランの娘ですと名告ると,密かに裏口から家の中に入れてくれました。そしてアリスの前に現れたのがアンドレの幼い妻コレットの兄ジュリアン・デュボアでした。3カ月前,コレットもまた一子ジャックを出産した後病で亡くなり,さらに3日前,アンドレもレース中の事故で亡くなっていたのでした。残されたのは夫妻の3カ月になる息子ジャックのみ。一応ジャックは祖母のマダム・ローランが連れて行くことになっていますが高齢のマダム・ローランに何かあればということで,ジュリアンもまた後見人の一人に指名されていたのです。つまりジャックはアリスにとっては歳の離れた異母弟ということになります。そしてジュリアンは伯父。アンドレが亡くなってしまいアリスが実の娘であるかどうかは分からないままということになりました。しかし,ジュリアンの提案でDNA検査をすることになり,マダム・ローランが迎えにくるまで,ジャックの世話をして欲しいというジュリアンの願いを断ることができなくなります。一目見たとたんアリスはジャックに愛情を感じます。独りぼっちの自分にとって唯一の家族かもしれない。そんな想いもあったようです。ところがジャックの体に異変が生じます。赤い発疹がところどころに,呼ばれた医師の診断で隔離の必要な病であり保健所への届出が必要だということになります。玄関周辺にいた報道陣も,家政婦とナニーも家から出され,アリスとジャックとジュリアンの3人のみが残された屋敷。しかしジュリアンにはどうしても欠かせない仕事が待っていました。治療と合わせてDNA検査も行われ,数日間は屋敷内だけで過ごさなければならなくなります。その時アリスは初めてジュリアンが有名シェフであることを知るのでした。やがて病も治り,DNA鑑定の結果アリスがアンドレの娘であることも証明され,いよいよマダム・ローランがジャックを迎えにくることになりました。ジャックとの絆,そしてジュリアンを愛するようになったアリスにとって別れはまた独りぼっちになることを意味していたのです。ところが,ジャックと同様孫であるはずのアリスにたいしてマダム・ローランが浴びせた言葉はあまりにむごい言葉でした。「あの時始末しろといって多額の金を渡したのにあの女は・・・。」そして孫はジャックだけだとジャックの顔を見ることもなくアリスに立ち去るように言い残して明日の午後迎えにくるからと去って行ったのです。翌日午前中に家政婦と交替してスコットランドに帰ろうとしていたアリスはふと,ジャックをマダム・ローランに渡すわけにはいかないという気持ちになります。そして思い切った行動を取るのです。クリスマスの日,エジンバラ近郊の村のアリスの家をジュリアンが訪れます。ジャックを誘拐されたと思ってマダム・ローランとジュリアンが警察を差し向けたと思っていたアリスですが・・・。
 クリスマスの奇跡を描いたこのシーズンらしい作品ですが,クライマックスの解決策に思いがけない現代的機器が使われているところが本作の面白さです。これを思いついたアリスン・ロバーツはニュージーランドの作家ですが,温かい南仏と厳冬のスコットランドを見事に描いています。物語のほとんどが立派な邸宅の中で描かれますので,舞台劇仕立てのクリスマス・ストーリーです。


タグ:イマージュ
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囚われの結婚 [ヘレン・ビアンチン]

SHALOCKMEMO1374
囚われの結婚 Reluctant Captive
( Year Down Under 9 ) 1992」
ヘレン・ビアンチン 久我ひろこ




HQSP-128
16.11/¥540/208p

R-1067
94.03/¥652/155p


 原題は「仕方なく閉じ込められて」
 ヒロイン:ケイト・カルヴァーリョ(?歳)/手芸作家/
 ヒーロー:ニコラス・カルヴァーリョ(?歳)/大企業経営者/
 愛に溢れた結婚をしたと思っていたヒロインですが,夫の裏切りに逢い,自立して生活していましたが,家族の困窮を見かねて不承不承夫のもとに帰り,次第にその愛に気付いていくまでの心の成長を描いた作品です。本音を言わない夫にもイライラさせられますが,あまりに純だというかカマトトというか,精神的に幼いヒロインにもイライラさせられる作品です。お釈迦様の手のひらのうちで踊らされている孫悟空というか,そんなストーリー展開が見え見えの作品ですので,最後まで読み通すのに時間がかかってしまいました。HQSPで復刊される前に文庫,クラシック,ハーレクイン文庫とほぼ4~5年ごとに3回も復刊されて本作が4度目の復刊。はたしてそれだけの価値がある作品なのかわかりませんでした。


タグ:ロマンス
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罠に落ちたシンデレラ [ダイアナ・ハミルトン]

SHALOCKMEMO1373
罠に落ちたシンデレラ The Kouvaris Marriage
( Wedlocked 46 ) 2006」
ダイアナ・ハミルトン 伊坂奈々




PB-184
16.11/¥700/156p

R-2257
08.01/¥680/156p


 原題は「クーヴァリスの結婚」
 ヒロイン:マデレイン(マディ)・ライアン(23歳)/造園家/淡褐色のつややかな巻き毛,ブルーの瞳,豊満な体/
 ヒーロー:ディミトリ・クーヴァリス(歳)/海運業者/長身,浅黒い肌,金色の目/
 2006年のHQロマンスがもう再刊されるなんて早すぎませんか。その前にもっと再刊すべきものが沢山あるように思うのですが。またKINDLE化も更に推し進めてほしいものです。
 さて,本作は夫婦者です。両親に愛されずに育った名家の一人息子ディミトリは人生を冷めた目でしか見られないギリシアの上流階級意識の強い独身の叔母に育てられます。二人の出会いはマディの学生時代からの無二の親友アマンダ夫妻の開いたパーティでした。互いに一目で惹かれ合った二人。しかし,一介の造園家で裕福でもない自分がモデルの親友とは異なって男性に気に入られる体型をしておらず,男兄弟の中で育った自分は,どちらかというと女性には頼られる存在であったので,事業家として大成功を収めている名門出身のゴージャスなディミトリが自分を気に入るとは思ってもみませんでした。ところが数日後に自分の家に帰宅したときディミトリがリラックスして両親とキッチンで話しているのを見て驚きます。しかも翌日プロポーズしてきたのです。互いに何も知らないのに結婚できるわけがないし,パーティでディミトリの腕にぶら下がるようにしていて,いずれ婚約するのは時間の問題だろうと噂されている,イリニという美女の姿をマディも見ていたからです。イリニの存在が二人の結婚生活に大きな影響を与えるだろうとはこの時はマディも想像もしていませんでしたが,イリニからはなんとなく敵意が感じられたのでした。
 簡単な結婚式を挙げ,アテネの大邸宅にやって来たマディは,そこにイリスがいて我が物顔で振る舞っているのを目にします。そして決定的な言葉,「いずれ子供が出来たらあなたはディミトリにすてられるのよ」を残して帰っていきます。さらに叔母のアレクサンドラ・クーヴァリスからはことあるごとに身分の低さ,ギリシア語もできない役立たずと罵られます。これらはいつもディミトリの目の届かないところで行われるのでした。三ヶ月後,決意したマディはディミトリの留守中,書き置きを残してイギリスに帰っていきます。ところが飛行機と列車を乗り継いでやっと真夜中に家にたどり着くと,すでにディミトリは車の中で待っていたではありませんか。自家用ジェットを使えることをマディは想像もしていなかったのです。そして夜遅くだからと近くの安宿に連れて行かれ,マディはディミトリに脅迫されます。もし自分と一緒にギリシアに帰らなければ,両親は家を失い,兄たちの職場もなくなるだろうと・・・。何でも自分の思いどおりにしてきたディミトリがそれだけの社会的影響力を持っていることはマディにも分かっていました。仕方なくディミトリの言いなりにならざるを得ないマディでしたが,心とは裏腹にマディの体はディミトリに触れられただけで熱く燃えてしまうのでした。そして,していなかった新婚旅行を改めて行うという言葉どおり1カ月の予定で連絡船も通らない孤島の別荘に連れて行かれてしまいます。徹底的に自分を大切にしたがるディミトリとの間にやはり愛があるのかと思いかけたマディですが,すでに妊娠していることを医師から告げられ,大きな喜びとともにディミトリが一度も自分を愛しているといったことはないことに気付きます。さらに叔母とイリニから告げられた言葉がマディの胸のしこりとなっていました。そしてアテネに帰った二人の元に,相変わらず叔母の冷たい言葉と,イリニからの緊急電話があります。マディが待ってと言うのを振り切ってディミトリはイリニの元に行ってしまうのでした。その時マディは気を失ってしまいます。流産かと恐怖を感じたマディですが,過度のストレスによるものと分かり,このままディミトリとの生活を続けていくわけにはいかないと思うマディですが,ディミトリが病院にやって来たのは3日後のことでした。しばらくはリラックスすることが胎児にとって大事なことだという医者の指示に従い,しぶしぶディミトリとともに家にたどり着いたのですが,叔母はディミトリによって家を離れることになってしまっていました。マディと叔母の間に何か不穏な空気にやっと気付いたディミトリは再びマディが家を出ることをなんとしてでも避けたいと思っていたのです。そして,二人の間には冷たい空気が流れつつも,ディミトリは何くれとマディの世話を焼いてくれます。二人の間の互いに打ち明けていない事情,それはいつどんな風に解消されるのでしょう。
 骨太なストーリーと二人の内面が丁寧に描かれることによって,読者はすっかりダイアナ・ハミルトン・ワールドに引き込まれていってしまいます。一気読み間違いなしの秀作です。


タグ:ロマンス
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一瞬で恋して [ローリー・フォスター]

SHALOCKMEMO1372
一瞬で恋して Morgan
( Buckhorn Brothers 2 ) 2000」
ローリー・フォスター 佐々木真澄




HQB-429
12.03/¥70/266p

P-242
05.01/¥980/378p
T-387
01.08/¥725/188p


 原題は「モーガン」
 ヒロイン:ミスティ・マローン(24歳)/ハニーの妹/ダークブラウンの髪,かすれた笑い声,大胆で社交的,すっきりした鼻,高い頬骨,小さく丸みを帯びた顎,バービー人形のように豊かな胸と細いウエストすらりとした脚,小ぶりで丸みを帯びたヒップ/
 ヒーロー:モーガン・ハドソン(34歳)/町保安官/ブルーの瞳,力強くすっきりした顎の線,荒々しく削られた頬,/
 シリーズ第2弾はハドソン家の次男モーガンと義姉ハニーの妹ミスティのロマンスです。「霧に包まれた」という意味のミスティという女性,まさになにか秘密を抱えている愛らしくセクシーな美女にモーガンは一発でメロメロになってしまいます。同時にミスティの秘密をなんとしてでも解き明かし,守り抜きたいという決意を持ちます。愛らしく美しいだけでなく,頑固で独立心に飛んだミスティにモーガンはとりあえず住む場所と仕事を与えますが,保安官事務所の秘書的な仕事をさせるだけでも結構説得が必要でした。しかも事務所にやって来ている奉仕作業員の二人の老人も,若い保安官助手もすっかりミスティに丸め込まれてしまいます。さらにミスティは将来の自立のための資金を得たいという理由で夕方4時から事務所の近くのキッチンで接客の仕事まで請け負ってしまうのです。兄の妻の妹に手を出してはいけないと初めはモーガンも考えているのですがミスティの魅力には逆らえなくなり,「君が欲しい」と正直に話します。ミスティもまたモーガンの無骨ながら周囲の人たちや動物への限りない愛情深さを目の当たりにして,尊敬の念と信頼とを感じていくのです。そしてハドソン家の男性陣との気軽な雰囲気に,ハニーとともに父から認められなかった幼少時代を送った彼女に取ってみればこの町も,そしてハドソン家もとても居心地の良い場所になっていたのでした。ミスティの秘密,それは自分が妊娠していることでした。そして父の命によって恋人となっていた男性からの手厳しい裏切り。追われてきたのはきっと元婚約者か?でも妊娠したことを打ち明けたときの冷たい言い方からしてそうではないはず。働いていた店で売り上げを盗んだと言いがかりをつけられ,300ドルの少額で訴えられ,有罪判決を受けたこと,その2重の苦しみをモーガンには話してしまうのでした。そこから保安官としてのモーガンの活躍が始まります。お腹の子供も含めて丸ごとミスティを愛していこうと決意したモーガンを止められるものはもはや誰もあり得ません。まさにカウボーイハットをかぶり危機を救いにやってくるローン・レンジャーというイメージのモーガンの活躍が光ります。どんな姿をしても愛らしく美しいミスティと男らしいモーガンの取り合わせが,以外と読者の共感を生む作品です。そしてミスティをマローンと名字で呼ぶモーガンのシャイなところもかわいいですね。


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蜂蜜より甘く [ローリー・フォスター]

SHALOCKMEMO1371
蜂蜜より甘く Sawyer
( Buckhorn Brothers 1 ) 2000」
ローリー・フォスター 伊坂奈々




HQB-406
11.11/¥650/238p

P-242
05.01/¥980/378p
T-385
01.07/¥725/188p


 原題は「ソーヤー」
 ヒロイン:ハニー・マローン(25歳)/社長令嬢/大きなブルーの瞳,なめらかな肩,豊かな胸,金色の髪,魅力的なヒップ/
 ヒーロー:ソーヤー・ハドソン(?歳)/医師/浅黒い肌,漆黒の髪,ダークブラウンの瞳/
 追われて車で事故を起こしてしまった美女を引き取ることにしたハドソン一家。ケンタッキーの田舎に住むバックホーン・ブラザーズ・シリーズの幕開けです。魅力溢れる個性的な兄弟4人と少年の住むハドソン家。車が湖に突っ込んだのを目撃した医師のソーヤーとその息子ケイシーが発見し,助け出したのは金髪で青い目のプロポーション抜群の美女でした。土地の風習に従いハニーと呼びかけるソーヤーに対して「なぜ私の名前を知っているの」と警戒する女性。実は本名がハニーだったとは・・・。かつて妻に裏切られ,利用され,二度と女性に深入りしないと決めていたソーヤーですがハニーを見た瞬間深入りしてしまいます。それほど魅力的なハニーですが,自分の魅力には気付いていないようです。「妹の方がもっと美人よ」。女子であったために父親に認めてもらえなかったハニーは自分に対する自信がもともと欠如していたのかも知れません。そして婚約者のオールデンに裏切られ,家を飛びだしてきたハニー。そのハニーが痛々しいほど華奢でか弱そうに見えるのに,次の瞬間には野良犬のようにたくましくなれる意外性を発揮し,ハドソン家に徐々に馴染んでいきます。ハニーが抱えている秘密とは・・・。ハドソン家の次男モーガン保安官はハニーに対する疑いを抱きます。そして追われていることを聞き出すのですが・・・。
 開業医のソーヤー,保安官のモーガン,獣医のジョーダン,便利屋のゲイブ,そしてソーヤーの息子ケイシー。5人の男の中に入り込んだ一人の女性の困惑ぶりとソーヤーへの愛,家族愛を自分の秘密から守ろうと頑固になって家を出ようとするハニーの心の葛藤を描いたシリーズ第1作です。果たしてハニーを付け狙う男たちは誰の手先か・・・?そしてソーヤーとハニーは結ばれるのだろうか。ハニー姉妹の父親との関係は改善するのだろうか。などなどロマサス風な???も満載な楽しみな作品です。本作はそれぞれ文庫でも出ていますが,今回はハーレクイン・プレゼンツの合本版KINDLEで読んでいます。以下4作目までが上下2巻に収められていますので順次読んでいきたいと思います。シリーズは現在7作目まで翻訳が出ているようです。ハドソン家の5人以外に誰がヒーローに?そうか,従兄弟たちもいるんですね。なお原作の方は第8作目が出たばかりのようです。いずれ翻訳がでるでしょうね。またショートストーリーも何作か出ているようです。詳細は作者ページで。


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弟の花嫁 [シャーロット・ラム]

SHALOCKMEMO1370
弟の花嫁 Forbidden Fruit 1991」
シャーロット・ラム すなみ 翔




HQB-767
16.11/¥670/198p

R-1006
93.06/¥640/156p


 原題は「禁じられた果実」
 ヒロイン:レオニー・プリーストリー(?歳)/秘書/華奢な体,金髪,瓜実顔,青い瞳/
 ヒーロー:グレッグ(ガイル)・ケント(?歳)/社長,マルコムの兄/灰色の目,黒く濃いまつげ,たくましい頬骨,意志の強そうな唇,黒髪,頑丈そうな体つき,優雅な胸板,締まったウエスト,長い脚/
 シャーロット・ラムの禁じられた恋の物語です。性格の正反対な兄弟が二人とも愛してしまった女性レオニー。華奢な体に明るすぎるほどの金髪とほっそりした瓜実顔に青い瞳。優雅で古典的な美女というイメージですが,先に弟が手を出してしまったため,生真面目な兄はぐっと我慢。しかしその弟が結婚式を前に事故で亡くなってしまいます。しかも花嫁予定者のお腹には二人の子供が・・・。正式に義妹となる前に夫となる人を失ってしまったので正式には義妹ではありませんが,義妹となる人レオニーに惹かれていた兄は弟の死に衝撃を受けつつも,彼女を守ろうと決意します。自分が惹かれていることをひた隠しにして・・・。本心を隠さなければならないためどうかするとレオニーへの言葉は辛辣で強いものになりがちです。そして産まれてくる予定の子供はケント家の大切な跡取り。そのため,子供を取り上げるぞと脅しながらレオニーへの結婚を迫ります。自分を嫌っていると思っていたガイルが自分にプロポーズしたことに驚きつつ,子供と一緒に暮らすためにはこの提案を受け入れなければならなくなり,不承不承提案を承諾するレオニーですが,ともに暮らすうちに,自分がガイルに惹かれていることに気付きます。そして夫となる予定だったマルコムは次第に記憶から遠くなっていくのでした。それでもガイルは自分の体を手に入れたいと思っている様子が垣間見えるのですが,なかなか心を開いてくれません。一大決心したレオニーは,ガイル獲得作戦を開始するのですが・・・。複雑な状況で出会った二人が真実の愛を見つけて行くまでを描いた作者らしい作品です。弱い立場に置かれながら母親としてすっかり成長し自分の望む物を手に入れようと凜とした決意をしていくレオニーの姿に読者は惹かれること間違いなしの秀作です。


タグ:ロマンス
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