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小さな悪魔 [アン・メイザー]

SHALOCKMEMO1380
小さな悪魔 Whisper of Darkness 1980」
アン・メイザー 田村たつ子




HQB-774
16.12/¥670/200p

R-0425
85.11/¥550/156p


 原題は「暗闇のささやき」
 ヒロイン:ジョアンナ・シートン(20歳)/お嬢様育ちの家庭教師/身長165センチ,細い肩からふくよかな胸の膨らみ,引き締まったウエストから腰の極性,ほっそりした形の良い脚,琥珀色の瞳/
 ヒーロー:ジェイク・シェルドン(39歳)/元コンピュータ技師/事故による傷跡が残る顔,年齢を全く感じさせない不思議な引力/
 現代版「エマ」。「これほど風変わりな仕事を紹介された人が他にいるだろうか」,家庭教師の相手は「男の子みたいな服装と口の利き方をする子供」11歳のアントニア(アニヤ)・シェルドン,そして母親はおらず,父親に至っては「事故のせいで仕事ばかりかマナーまでも失ってしまったらしい」元コンピュータ技師のジェイク・シェルドン。そんな家にやって来たジョアンナですが,学習意欲が無く反抗的な生徒に耐えきれず何度か家庭教師が辞めてしまい,母親が自分を捨てていなくなってしまっただけで無く家庭教師にも見放され完全に自信を失うとともに大人特に女性に対する不信感が強いアントニアに哀れみを感じてしまったジョアンナは,なんとかこの家で頑張ろうとします。ジョアンナ自身も父を亡くし,母親の愛情に恵まれず自分を気にかけてくれるの名付け親のみ,そしてジェイクの妹マーシャと名付け親が親しいことからこの家庭教師の勤め口を紹介されたからでした。しかし意外とアニアは父親に対しては素直で,家政婦のミセス・ハリスはもともとこの家を所有していた前の所有者の頃から勤めていた人ですべてを仕切ろうとします。その割には家の汚れや食事のまずさは気にしてはいないのでした。ジョアンナはアニアと二人でまず部屋の掃除や台所の清掃,食事作りから始めます。アニアも嬉々として一緒に作業をしてくれ,二人の間に心の交流が生まれるようになります。ジェイクは余計や仕事をする必要は無いと言いますが,家事をないがしろにしていた家政婦のミセス・ハリスを解雇する決断をするのでした。そんなジェイクに「殆ど20歳も年上でおまけに成人した息子(前妻の連れ子)までいる男性に異性としての魅力を感じるなんて」と悩みます。この当たりで「エマ」の現代版という設定の匂いがしてきます。自分の能力に自信が無いアニアですが,ジョアンナは彼女のたぐいまれな文章表現力に気付き,その能力を生かすためにも他の教科を勉強することが必要だと諭すとアニアは懸命に勉強するようになります。自然環境や歴史的遺産のたくさん残る北イングランドのこの地はまさに格好の学習材料のある土地でした。新しく家政婦としてやって来たミセス・パリッシュという未亡人はまさに家事の達人で,ジョアンナは彼女に尊敬の念をもち,ここの暮らしに馴染んでいきます。アニアとの関係も深まり,冬物の衣類を買うために町に出ようとしますが,その時隣家の息子ポールが町まで連れて行ってくれると言います。ポールがしきりと自分にモーションをかけてくるのには気付いたジョアンナですが,彼女の目にはもはやジェイクしか映っていませんでした。ジェイクを愛していることに気付いたジョアンナはなんとかジェイクに世捨て人的な生活から立ち直って欲しいと願いますが,逆に自分をジェイン・エアの作品の登場人物ロチェスターだと勘違いしていると非難し,ジョアンナを解雇すると宣言するのでした。失意のうちにロンドンの名付け親の元へ去って行くジョアンナ。そこでジェイクの妹マーシャと出会います。レーブンガースの家で何があったかを聞き,マーシャは兄の居場所を教えてくれるのでした。「君は完璧だ。問題は僕の方にある。廃人同然の僕がどうして君に人生を分け合って欲しいと頼めるだろう。だれもが尻込みするような問題児を抱えた中年男なんだ」と自嘲気味に話すジェイクに「馬鹿なことを言わないで,私があなたを愛していること知っているはずよ」とせまるジョアンナですが・・・。二人の関係はどうなっていくのでしょうか。その解決策は意外にもアントニアが引き金を引いていくのです。
 若く無垢なジョアンナと世捨て人のジェイクという異質な組み合わせに,傷ついた少女アントニアが絡み,三人が力を合わせて人生を築き上げていく壮大なドラマです。名手アン・メイザーらしい1980年の作品,オススメです。


タグ:ロマンス
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