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狼の住む場所 [サラ・オーウィグ]

SHALOCKMEMO1396
狼の住む場所 Falcon's Lair 1995」
サラ・オーウィグ 沢田由美子





 原題は「ファルコンの隠れ家」
 ヒロイン:ジェニファー・オスマン・ファルコン(24歳)/「ファルコン・エンタープライズ」経理担当/濃いまつげ,ピンクの頬,豊かな胸,しなやかで春の匂いがする体と長い脚,深いグリーン(エメラルド色)の瞳,鳶色の髪,微笑むと表れる左の頬のえくぼ/
 ヒーロー:ベン・ファルコン(歳)/牧場主,「ファルコン・エンタープライズ」社長の息子/長身で豊かな黒い髪,コマンチ族の血を引く浅黒い肌/
 本日2作目読了本です。以前作者の作品を整理しているとき,好きな記憶喪失ものと書かれていたKINDLEなので買っておいたものです。作者1995年の作品で訳本は98年にシルエット・ディザイアで出ています。まだ再版本は出ていないようですが,文庫化されてもおかしくない秀作でした。ある雪の激しく降る日帰宅途中で事故車両を見つけたベンは怪我をして気を失っている妙齢な若い女性を発見し,急いで病院に搬送します。しかも「ベン・ファルコンを捜さなくては」とつぶやいたのです。この女性が過去にもあった自分の父から差し向けられた女性かも知れないと思ったベンですが,気がついた女性は自分のことも含めて一切の記憶を失っていたのでした。持っていたメモから女性がジェニファーという名前であることは分かったのですが,数日で退院できるようになったとき,どこに行ったら良いか戸惑っている女性を一時的に自分が引き取ることにします。どうせ父が差し向けた女性だろうから父に連絡を取って迎えに来てもらおうと考えたのです。怪我をし,自分の正体も分からない女性ですが,なぜかベンはこの女性に惹かれてしまいます。父とは連絡が取れないままでしたが,翌日ジェニファーの事故現場でベンはジェニファーのクレジットカードを見つけ,苗字がファルコンであることを知ります。きっと父の再婚相手だと思い込んだベン。まもなくジェニファーは記憶を取り戻します。料理をしたり本を読んだり,飼い犬と出会ったりしているうちに自然と記憶が戻ったのです。しかし自分を冷たい目で見るベンが自分を自分の母と勘違いしていることを知ると,母が再婚した父ウエストンの養子となりベンとは義理の妹に当たることを告げるのでした。実父ビリー・オスマンが継父の会社で働いていたものの,ギャンブルにのめり込み多額の借金を抱えたまま他界したのち,ウエストンに見初められて母と結婚し,その後養女となったのでした。儲けることに執着し,自分のいうとおりに息子を育てようとしたウエストンと喧嘩別れになり,ロッキー山中の牧場を自力で今の状態までしたベンですが,雄大な自然と周囲にいる人々との温かい交流に身を置き,ダラス近郊の大都市で事業を展開している父の会社よりも居心地の良い生活を送っていたのです。ベンの従兄弟ジョーダンが副社長として会社の経営にかかわっていますがウエストンは自分の息子に会社を継いで欲しいと思っていたのです。イエスマンであるジョーダンでは会社はいずれ他人の手に渡ってしまうと考えていたからでした。一時的な軽い心臓発作で倒れたウエストンはますますベンを早く会社に取り戻したいと考え,ジェニファーを差し向けたのでした。父の具合が悪いことを重く見たジェニファーもなんとかベンを説得しようと考えていたのです。
 記憶も戻り,やがて怪我も軽くなったジェニファーはベンの魅力にすっかり参ってしまい二人は互いに夢中になってしまいます。全快したジェニファーを送りとどける名目で一時ダラスの白亜の豪邸にやってきたベンとジェニファー。ベンはジェニファーとの結婚を考えていました。しかしベンの従兄弟ジョーダンの悪巧みが本格化していきます。ベンとウエストンの親子関係にひび割れを生じさせ,ジェニファーをも会社から追い出そうとウエストンにあることないことを吹き込んでいきます。やがて,ベンはジェニファーの幸せを考えろという父の説得を振り切り,牧場に帰ることを告げるのですが,ウエストンはジェニファーを連れて行けば彼女への遺産も打ち切ると脅しをかけます。もちろんベンにも遺産はやらないと。自分は遺産などは欲しくないけれども,ジェニファーが果たして自分についてきてくれるか自信は持てません。会社での副社長の地位と遺産の半分を提示されて,それを断ってまで不便な牧場暮らしにジェニファーが耐えられるだろうか。ジェニファーを愛する気持ちが強いベンは自分だけで牧場に帰ることにするのでした。ジェニファーはその間の親子の話を違った風に聞かされています。そしてジョーダンの悪巧みがいよいよ本格化し,会社の情報を商売敵に渡すつもりだとウエストンに吹き込み,ウエストンはジェイファーが向かったベンの牧場に先回りするのでした。クライマックスではジェニファーはもみ合いの中ウエストンの銃弾を浴びてしまうのですが・・・。
 親子の確執あり,陰険な敵役あり,そして大自然の中の美男美女のラブロマンスありと,いろんな要素が一杯詰まった本作。冒険活劇風味のかつてのアメリカドラマを見るような素晴らしい作品です。イチオシです。


タグ:ディザイア
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我が家のキンドルブラザース [toppage]

我が家に4代目のKINDLEがやって来ました。
初代KINDLE,二代目HD8orange,三代目HD10white,そして昨日やって来た四代目2016年バージョンHD8Black。12月31日に発注し,1月1日到着というスピードぶり。AmazonPrimeの恐ろしさです。到着のスピードだけでは亡く,同じHD8でも二代目と比較して驚異的なサクサク感です。設定も4台目ともなると全く違和感なく,ああこれはこうだったなという風にすぐに使い始めることができました。AmazonPoint400Pointを利用したため価格もずいぶん抑えられ,1万円は超えましたが,正月早々得した気分です。
もう初代はほとんど引退状態ですが,辞書や電卓代わりに使っていこうと思います。
通常寝るときは二代目をお供に連れて行きますが,ここ数日目覚ましの具合があまり機能しなくて,寝坊することが何度かあったため,これからは四代目に代替わりすることになると思います。
映像を見るときは三代目が画像が大きいので都合がいいです。「ビリギャル」も先日Primeで無料で見ることができました。
今回ipadにするか選択に悩みましたが,やはり価格のことと,使い慣れた方が良いと思い,購入を決めた次第です。
タグ:Kindle
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明日への扉 [ジェシカ・スティール]

SHALOCKMEMO1395
明日への扉 Devil in Disguise 1980」
ジェシカ・スティール 古城裕子





 原題は「変装した悪魔」
 ヒロイン:クレア・ハーパー(19歳)/家事手伝い/シルバーの髪/身長167センチやせ形,シルバーの髪
 ヒーロー:ラーザー・ヴァルダカス(?歳)/海運業者,ソフォロニア,アエネアスの兄/やせ形だが肩幅が広くて逞しい。真っ黒な目/
 今年最初の読了本です。舞台はギリシアの小島ニアコス島。「最近クレアはみなんの過保護なほどの心遣いが重荷になっていた。世界中で一番素晴らしい家族だと思うし,彼女にはみんなの支えが必要ではある。クレアは5年前,一時的に口がきけなくなるほどの恐ろしい目に遭っている。」ヒロインのクレアとヒーローのラーザー・ヴァルダカスの出会いを設定するために,冒頭にこんな文章が登場します。両親と二人の兄,26歳のブルース,24歳のキットまでもが誰かは必ずクレアの面倒を見ようとするのです。精神科医の叔母までがクレアの状況を心配する有様でした。純情,素直と絵に描いたような女の子のクレアですが,高校を卒業してイギリスの片田舎に住み母の手伝いをしていますが,あの悲惨な体験後は引きこもり,少しずつ回復しては北もののまだ悪夢に襲われ眠れなくなる夜も多かったのです。さて一方妹ソフォロニアが誘惑されたと立腹し復讐しようとしていたラーザーは,弟アエネアスがハーパー家の次男キットと友人だったことを利用し,キットをおびき出してアテネに幽閉します。そしてその妹クレアに自分の妹がされたと同じことをしてキットとその家族を苦しめようと計画していたのでした。兄たちが自分のためになかなか外でしたいことが出来ずにいることを申し訳なく思っていたクレアは,兄たちの電話の内容から大丈夫だからと兄たちが出かけることを勧め,一人で家にいたところでした。そこにやって来たラーザー。ラーザーは言葉巧みにキットが怪我をしたとクレアを誘い出し,ギリシアの小島ニアコス島に連れてきます。どこまで世間知らずなのか,クレアはラーザーの言葉を鵜呑みにして自家用ジェットに乗り込み,ヘリコプターに乗り継ぎ,ラーザーについてきてしまうのです。5年前の経験が全く生きていないではありませんか。そして,ヴァルダカス家の別荘で事の真相を聞かされ,愕然としてしまうのです。再び身の危険と恐怖心を感じる状況になったクレア。しかし,ラーザーは自分をとても大切に扱ってくれます。何日か一緒に過ごすうちに過去の恐怖感が消え,悪夢も見ることがなくなっていきます。ついにラーザーに惹かれ,愛していることに気付きます。ラーザーもまた妹の復讐という気持ちよりもクレアの清純さに惹かれ,さらには自分のものにしたいという気持ちが欲望というよりも守ってやりたいという気持ちになっていることに困惑するのでした。やがて期限としていた土曜日がやってきてギリシアを去るクレアですが,このまま島にいたいという気持ちの方が強くなっているのです。しかしキットが解放されたことにも大きく安堵するクレア。アテネの空港でラーザーが見送りに来てくれたのですが二人は互いの運命に逆らうことはできませんでした。帰宅したクレアは母にも事の次第を話すことが出来ずにいたのですが,やがてラーザーから電話があると,すべてを母に話さざるを得なくなるのでした。
 過去の恐怖を乗り越えるためにラーザーとの出会いが運命付けられていたかのようなストーリー展開に思わず引き込まれてしまう秀作です。それにしてもクレアの世間知らずさには,本当に19歳?いや19歳ってそんなもの?という気持ちが入り交じる成長譚です。


タグ:ロマンス
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