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天使に託した二度目の恋 [アリスン・ロバーツ]

SHALOCKMEMO1418
天使に託した二度目の恋 The Doctor's Secret Family 2004」
アリスン・ロバーツ 藤倉詩音





 原題は「医師の秘密の家族」
 ヒロイン:ハナ・キャンベル(歳)/クリストチャーチ中央病院小児科病棟小児科医/金褐色の髪,すらりとした体型/
 ヒーロー:ジャック・ダグラス(歳)/小児外科医/ダークブラウンの瞳,ダークブラウンの巻毛/
 冒頭は病院の小児科医としてのヒロインの仕事ぶりが縷々描かれています。そして転勤してきた小児外科医長こそ,ヒロイン,ハナ・キャンベルの一人娘オリビアの父親ジャック・ダグラスだったのです。オリビアの存在はジャックには伝えていませんでした。5年前,自分の元を去ってイギリスで結婚したはずのジャックがなぜ再びこの国に・・・。「二度と会うことはないと思っていた人・・・自分の人生に紛れもなく強いつながりを持ちながら,それを知らない人との再会とは断じて違う。彼がもし今その繋がりを知れば計り知れない被害もたらす可能性がある。これは衝撃だ。」とジャックの登場を恐れたハナですが,紹介の場面でも何気ないふうをなんとか装うのでした。オークランドで出会って一夜限りの関係。その後妊娠を知らせる手紙が宛先人不明で戻ってきて以来,ハナはオリビアを懸命に育て,やっと病院での小児科医としての地位も安定してきたところでした。昇進のチャンスが間近に来ており,もし昇進できれば子育てにももっと時間をかけることができ,オリビアが小学校に上がるときにも一緒にいてやれる。ところが,ジャックが過去のことを持ち出してこの昇進のチャンスをフイにすることになれば・・・。そしてイギリスに行ってからのジャックの様子が次第に分かってきました。妊娠により結婚せざるを得なくなり一人息子ベンを出産したものの,二人の結婚生活はすでに破綻しており,別の男性と再婚した後自動車事故で亡くなったためジャックが育てることになったこと。ベンには血液の病があり療養が必要であること。オリビアの2歳年上で・・・。そしてベンの世話をするために家に連れ帰ったときオリビアと意気投合してしまったため,その後もベンとジャックは何度もハナの家に来るようになってしまいます。オリビアがジャックの娘だといつ知られるだろうか。何日も家族のように生活している間に,なんとなくジャックはオリビアの様子から自分の子供だと分かっているのではないかと思えるようになります。それでもジャックの方から聞いてこないうちは今更打ち明けるきっかけを失ってしまうのでした。そして週末を登山ですごそうと張り切って準備していた朝,ついにジャックが真実を知ることになります。気まずい思いのまま子供たちの大喜びしている様子を裏切ることができず車で出かけた四人ですが,山小屋で二人の気持ちのすれ違いから子供たちがいつのまにか出かけてしまったことに気づかないでいることが分かり,パニックになります。二人で一緒に探すことで絆を深めようというジャックの言葉どおり心当たりを探している間に事故が起こります。足を滑らせたジャックが岩の間に落ちてしまうのです。そして近くでベンもまた怪我をしていることが分かります。山小屋に救急箱を取りにいったり救助を求めるために携帯電話の電波の届くところまで降りていったりと行ったり来たりを繰り返してなんとか救助が間に合うのですが・・・。果たしてこの出来事で二人の関係はどう変化するのでしょうか。
 シングルファーザーとシングルマザーの二人の接近。周囲はあたたかく二人とその子供たちを見守ってくれています。ハナの住む家の土地が広々としておりたくさんの動物たちを飼っています。自然に溢れた生活,オリビアやベンにとって素晴らしい環境のようです。医師同士のカップルとなればどうしても平均的に年齢が高くなる訳ですが,本作でも性格に何歳とは分かりませんがおそらく二人とも三十代半ばから後半といったところでしょうか。落ち着いた雰囲気が漂う作品です。


タグ:イマージュ
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いたずらな愛の使者 [ルーシー・ゴードン]

SHALOCKMEMO1417
いたずらな愛の使者 Expecting the Fellani Heir 2016」
ルーシー・ゴードン 大田朋子





 原題は「予期せぬフェラーニの跡継ぎ」
 ヒロイン:エリー(38歳)/弁護士/豊かな長い髪,スレンダーな体/
 ヒーロー:レオニツィオ・フェラーニ(34歳)/高級靴会社経営,離婚訴訟中/黒髪,黒い瞳,長身,アスリートのような体つき,男らしく優雅な身のこなし,ハンサムな顔/
 イタリアの高級靴製造業者で富豪のレオニツィオはハリエットに裏切られ,他人の子供を押しつけられそうになります。そのことが判明して離婚訴訟係争中。担当の弁護士エリーは一夜の交わりをレオニツィオと交わしてしまい,身ごもりますが,それを告げないままでいます。離婚が成立してからも,エリーはしょせんレオニツィオには相手にされないことが分かっていて,妊娠が分かられてしまってからもプロポーズを断り続けるのでした。すべてを取り仕切ろうとするレオニツィオと結婚すれば,自分のこれまで築いてきたキャリアも失い,自立できなくなってしまう。そして子供のための,愛のない結婚にはとても耐えられないだろうと思っていたからです。偶然レストランでレオニツィオといたときに,ハリエットとその恋人に遭遇してしまいます。翌日弁護士事務所をハリエットが訪ねてきてエリーに対してけんか腰の言葉を投げつけます。「彼が何を大切にするか知っているでしょう。ビジネス,野望,権力,自分自身。そして自分の意のままになる連中よ。あなたもじきにわかるわ。彼はあなたの心を打ち砕く。私の心を打ち砕いたようにね。彼が傷ついたのは子供のことで,私が原因じゃないわ。本当にお気の毒。外見はテキパキとして有能そうなのに。あなたが感情に流されるなんて,誰が思うかしら。でも本当のことよ。認めたくないでしょうけれど,あなたは今にきっと公開するわ。」と。この短い,切れ切れの文をつないでいくのがこの作家の文体の特徴なのだろうと思います。それが自然にリズムを作り出し,読みやすくする効果をもたらしているのかもしれません。そして,エリーはお腹に異常を感じ9カ月で愛らしい一粒種の娘を無事生み出します。レオニツィオはずっとエリーに付添い,無事の出産に多大な貢献をします。そしてコジマというイタリア語で秩序と美を意味する名前をつけてくれるのでした。「私たちは運命共同体よ。三人一緒なの」とエリーはレオニツィオと娘の誕生を喜ぶのでした。院内で二人は結婚するのでした。レオニツィオの愛を信じられるようになるまでに,また愛の言葉を聞くまで,頑固にプロポーズにイエスを言わないで自分の心を信じ続けるエリーは本当に大した女性です。4歳年上の姉さん女房(古っ!),そしてエリーという名前しか示されていないヒロインですが,存在感は見事なまでです。傍若無人と思われているレオニツィオがメロメロになってしまうのも,この知的で頑固で美しいエリーだからこそだと,美しいだけのハリエットと比べている作者の思惑がまさにツボにはまっている作品です。


タグ:イマージュ
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