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すり替わった恋人 [ヘレン・ブルックス]

SHALOCKMEMO1442
すり替わった恋人 Deceitful Lover
( Mediterranean Passions 1 ) 1992」
ヘレン・ブルックス 平江まゆみ




HQB-796
17.04/¥670/200p

B-379
99.04/¥536/186p
R-1095
94.07/¥640/156p


 原題は「偽りの恋人」
 ヒロイン:リア・クィントン(21歳)/モデル・エージェンシーの社長のアシスタント/シルバーブロンドの髪,グレーの瞳,豊かに盛り上がった胸,細い腰,すらりと伸びた脚,落ち着きのある美しさ/
 ヒーロー:デミトリオス・クウツウピス(?歳)/実業家/冷たいブルーの瞳/
 従姉妹ポピーとリアは性格の正反対な美女です。派手で社交好き,そして歯に衣着せぬ言い方をするポピーに対して,リアは控えめで常に周りの人たちへの配慮を欠かさない優しい性格。ポピーがいないとき二人の住むアパートに冷たいブルーの瞳の男性が押しかけてきます。そしてリアをポピーと勘違いして自分の家に連れ去るのでした。この男性デミトリオスは甥のニコスを実の弟のように可愛がっていました。と同時にニコスの母親で自分の姉のクリスチナが病気がちで心配だったため,ポピーがニコスと交際し,その財産をねらっていると考えて,人物考査のために連れて行こうとしていたのでした。ニコスとポピーの交際を知り,ポピーが行方をくらましたことを知っていたリアは,デミトリオスの言い分に従い,ついて行かざるを得なくなります。自分がポピーと勘違いされていることを知りながら・・・。リアは七歳の時に両親と弟を交通事故で亡くし,ポピーの父親にポピーと一緒に育てられたのです。もっとも叔父のジョンは二人の子供たちにはあまり関わろうとせず,リアとポピーは互いに頼り合える存在となったのでした。銀髪の孤児と赤毛の御転婆娘。長じて二人は美貌の従姉妹同士となり,ポピーとニコスは恋人同士になったのですが・・・。全く風貌の異なる自分をポピーと勘違いしたということは,デミトリオスはポピーに出会ったことがないのだろうとリアは考え,取りあえず勘違いを質さずにいることにしました。
 「(甥の)相手が商売女かどうか見抜ける程度の人生経験は積んでいる」という冷徹な言葉ですが,「君は絶対に違う」「不思議な人だな。これもゲームのうちかい?そのうぶな仕草は,男を惹きつけるための計算なのかな?」といいつつ情熱的なキスを受けて,リアは次第にデミトリオスに惹かれていきます。デミトリオスの姉でニコスの母親のクリスチナはリアとすぐに意気投合しますが,デミトリオスにポピーと入れ替わったことを知られないように質問をはぐらかさなければなりません。結構ヒヤヒヤものの時間を過ごしますが,かつて9カ月間ほどモデルとして働き,水着やカクテルドレス姿で撮影にのぞまなければならないことに嫌気がさし,アシスタントに転身したのでした。モデルの時の男性たちの目に浮かぶむき出しの欲望は耐えがたかったのです。そのためうぶなままこの年まで生きてきたことをデミトリオスに見抜かれて,ポピーとは別人であると気づかれてしまいます。「もっともらしく人を批判するその態度,ぞっとするわ。少なくともニコスは愛情を感じることができるだけあなたよりましね」とつい言葉を荒げてしまったリアはすぐに後悔するのですが,そんなリアにクリスチナは「弟のことで迷惑をかけているんでしょう」と優しい言葉をかけてくれるのでした。クウツウピス姉弟は「母はデミトリオスを生んだときに亡くなったわ。当時わたしは二十歳で結婚したばかりだった。直に父が乗馬事故で亡くなったこともあって私たち夫婦は9カ月だったデミトリオスを引き取ったの。デミトリオスが15歳のときにニコスが生まれたの。母には妹がいてデミトリオスと同い年だったの。そのいとこがデミトリオスと意気投合してね。彼女はイギリスに婚約者がいるんだと言ったわ。デミトリオスはひと夏の遊び相手に過ぎなかったのよ。」と姉夫婦はデミトリオスの親代わりだったこれまでの状況を打ち明けてくれます。従姉妹の女性に裏切られたデミトリオスはその後女性に対して厳しい目を持つようになったのだとリアは理解しました。同時に,その女性に嫉妬を感じてしまうリアでした。デミトリオスはかつて本当に愛した女性キャロラインを亡くしています。しかもキャロラインはリアと似ているというのです。「デミトリオスは初めて会った瞬間から,昔の恨みをわたしにぶつけていたのね。」とデミトリオスの不幸な過去を思いやるのでした。「彼に対するこの思いは愛なの?愛ってこんなに苦しく絶望的なものなの?」
 想像していたポピーと全く異なるリアに「僕は過去の経験から偏見を抱いていたのかも知れない」と打ち明けるデミトリオスですが,やがてニコスとポピーが二人で帰宅します。リアに惹かれながらも,近づいてはいけないと自分をなだめて,欲望と立場の板挟みに苦しむデミトリオスの態度はリアにとっては熱くなったり冷たくなったりする理解を超えたものでした。ついにポピーとニコスの結婚を認めざるを得なくなったデミトリオスは,クリスチナの願いを聞き入れ,結婚式までの準備のためにリアにそのまま留まるように要請します。そして商用でアメリカに向かう直前に親戚の女性クリスティがやって来ます。ことあるごとにリアに意地悪を仕掛けるクリスティ。ポピーは負けずに言い返すのですが,リアは次第に耐えがたくなってきます。そしてデミトリオスの出張中にクリスティはデミトリオスと婚約しており,ニコスたちの結婚式で正式に発表するつもりだと囁くのでした。もうここにはいられないとリアは結婚式の前に帰る決意をするのですが・・・。
 純真で美しく心の優しいリアがまさにNiceHeroineとして大活躍する秀作です。オススメの作品。


タグ:ロマンス
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愛は序曲に始まって [ジェシカ・スティール]

SHALOCKMEMO1441
愛は序曲に始まって Facade 1984」
ジェシカ・スティール 中井京子




HQB-797
17.04/¥670/200p

BR-40
91.03/¥490/186p
R-0481
81.08/¥550/155p


 原題は「ファサード(建物の正面)」
 ヒロイン:ソレル・メイトランド(25歳)/元秘書/金髪交じりの明るい茶色の髪,緑色の目/
 ヒーロー:エリス・ガルブレイス(歳)/会社役員/長身,浅黒い肌,がっしりした顎,引き締まった口,黒い目/
 ボスのエリスに首にされた後,老紳士の世話係をしていたソレルは,アルバート・オルレンショウという紳士が亡くなると遺産が残されたことを知ります。オルレンショウの娘シンシア・アーミテッジは,お金にしか目のない,自分の父親を全く世話しようとしなかったにもかかわらず,ソレルに遺産が残されたことを非難するのでした。その遺産によって上流階級の仲間入りをしたソレルは29歳の弁護士ロデリック・ドルーリィにプロポーズされますが,ロデリックの両親モイラとネヴィルはいい人なのですが,ロデリックも良い人過ぎてソレルは惹かれるものを感じませんでした。ずるずると慰められつつ付き合いを続けていましたが,両親の誕生日パーティへの出席を最後にきっぱり付き合いを辞めるつもりでした。ところがこのパーティで,かつての上司で自分をクビにして路頭に迷わせた件のエリスと再会してしまいます。ここからソレルは8年前の17歳で本気で結婚を考えた男性エリスに未だに魅力を感じ,愛していることを自らに否定しようとかなり苦しい思いをするのでした。憎みたいけれども憎めない,離れていたいけれども離れられない,そんな自己矛盾の中でろくに眠れなくなってしまうソレル。このソレルの内面の葛藤が本作の中心テーマになっていきます。エリスもまた,すっかり大人の女性に変身したソレルに再会して混乱します。ソレルと別れた後婚約したウェンダ・サイクスが金銭目当ての中身のない女性であることに気づいたエリスは,婚約を破棄した経験があり,金銭目当ての女性を毛嫌いしていることを知り,ソレルもまた,自分がオルレンショウの遺産を受けたことでエリスに蔑まれるのではないかと気に病むのでした。しかしソレルとの会話はちょっと油断するとジョークの応酬のような砕けたものになってしまい,かつての関係が再燃してしまいがちです。なんとか自分の気持ちを引き締めてエリスをここの中から追い出そうと試みるソレルですが・・・。
 「ぼくは,それほど君を傷つけたんだね」などとやさしく言われると「もう何年も前に克服したわ」と意地を張ってしまうソレルですが,反面遺産相続に関わってエリスに軽蔑されるのではという恐れも同時に感じてしまうのでした。ドルーリィ家と関係を絶てばエリスとの邂逅はなくなるだろうと,密かに引っ越しまでしようとしたソレルですが,引っ越し当日にエリスがアパートに現れ,結局引っ越し先を業者に聞き出されてしまいます。そして部屋に飾る絵を画廊に見に行ったとき,あのシンシアとばったり出会ってしまい,遺産の件をエリスにバラされてしまうのでした。さてエリスの反応は? ここから物語は急展開を迎えますが,ストーリー展開のカタルシスとソレルの心中描写の見事さ,やはり巧者ジェシカ・スティールの面目躍如たる傑作です。


タグ:ロマンス
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