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富豪が残したあの夜の証 [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO1444
富豪が残したあの夜の証 His Pregnant Princess Bride
( Bayou Billionaires 1 ) 2016」
キャサリン・マン 野川あかね





 原題は「彼のおめでた王女の結婚」
 ヒロイン:エリカ・ミトラス(エリカ・ビルギッタ・インゲル・フライヤ・ミトラス・オブ・ホルスグロフ)(歳)/北欧の王家の五人姉妹の末娘/プラチナブロンドの長い髪,ブルーの目,曲線美,バイキングの女戦士のような堂々とした体躯,長い脚/
 ヒーロー:ジェルヴェ・レイノー( Gervais Reynaud )(歳)/フランス系アメリカ人,アメリカンフットボールチーム「ニューオーリンズ・ハリケーンズ」のオーナー/黒い髪,整った顔立ち/
 著者の17冊目の読了本です。そのストーリーテラーぶりや多彩なキャラクター造型にはいつも感心させられていますが,この「Bayou」シリーズ(原作は2作がキャサリン・マン,2作がジョアン・ロックの作品)は2016年に出版されたシリーズのようです。海運業をベースに成功を収めアメリカの名門一族となったレイノー家の4兄弟をヒーローにしたシリーズの第1作目で,本作は長男のジェルヴェがヒーローとなります。4兄弟,ジェルヴェ,アンリ,ジャン=ピエール,デンプシーという兄弟の名前が表すようにケイジャンと呼ばれるフランス系人たちの多いのニューオーリンズの街が舞台となっています。デンプシーだけがちょっと語幹の違いを感じさせますが,彼は異母弟なので,そうなっているようです。さて驚くべきは,ヒロインのエリカ・ミトラルが北欧の王家の本物のプリンセス。王家と言っても実質的な支配権はなく称号のみが残っているようですが,まぁ西欧の王家は今はどこもそうでしょう。エリカの母アノーラ・ミトラスは王妃としての気概と気の強さを全面に押し出すいわゆる貴族的女性。そして双子を含むエリカの姉たちはそれぞれ末娘の彼女をおもちゃのごとく扱ってきたのでした。そのため,エリカにとっては独立心旺盛で男性を初め誰にも頼りたくないという強い意志を持った女性に成長したのです。軍に所属し善戦の看護兵になりたかったのにもかかわらず,親の横やりで通訳として後方支援に廻らざるを得なかったミトラス大佐としての彼女は,兵役をまもなく終え,大学院で看護学を学ぼうとしていました。一方ジェルヴェは父親が不義を働き異母弟のデンプシーの存在を13歳の時に知り,その影響で母が家を出奔したまま亡くなっており,そのことをきっかけに父親とは不仲になってしまいますが,祖父のレオンに引き取られた4兄弟はそれぞれアメリカンフットボールのチームにかかわり,オーナー,監督,選手として破綻しかけたチームを再生しようと頑張っているところです。
 さて,ロンドンで行われたフットボールの試合で出会ったエリカとジェルヴェは,すんなりと一夜を共にしてしまいます。そして3カ月後ニューオーリンズにエリカが妊娠を告げにやって来たのでした。しかも後の検診で双子であることが判明します。エリカを忘れられずにいたジェルヴェはプロポーズしますが,エリカは自分の計画の中に大学院への進学を秋に控えていることから首を縦に振りません。たった一夜の出来事だけで,互いのことを知りもしない相手とは結婚できないというのです。それからは,ジェルヴェのプロポーズ大作戦がスタートします。なんとか互いを知ろうと2週間のニューオーリンズでの同居を提案したジェルヴェ。その家には認知症になりかかった祖父も同居しています。エリカを大切にしてくれる祖父と,ジェルヴェの兄弟たち,そして突然のエリカの一家の訪問などいくつかのエピソードを経て,エリカはいつジェルヴェにイエスの返事をするのだろうか。そしてそれはたった一言の言葉がすべてでした。キャサリン・マンらしいロマンスに溢れた作品です。すでに結婚しているアンリとソフィアなど4兄弟のロマンスの行方が気になるシリーズです。


タグ:ディザイア
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