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星屑のシンデレラ [シャンテル・ショー]

SHALOCKMEMO1450
星屑のシンデレラ Trapped By Vialli's Vows
( Wedlocked 63 ) 2016」
シャンテル・ショー 茅野久枝





 原題は「ヴィアッリの誓いの罠」
 ヒロイン:マーニー・アリス・クラーク(24歳)/カクテルバーのウエイトレス,ロンドン大学学生/長い金髪,ブルーの瞳/
 ヒーロー:レアンドロ・ヴィアッリ(34歳)/「ヴィアッリ・エンターテインメント」経営者/彫りの深い顔,灰色の目,日焼けした金色の肌,赤褐色の髪/
 シンデレラ・ストーリーとしては何かちょっと悲哀に満ちた作品です。作者お得意の「愛人もの」ですが,唯々諾々とレアンドロの言うとおりに生活していたマーニーが,妊娠。さて愛人から昇格するのかというところで,事故により記憶喪失に。自分が言いすぎたと反省したヒーロー,レアンドロは,これ幸いと,二人の結婚を事実上のものにしようと画策するのですが・・・。マーニーの記憶がいつ戻るのか,これは「記憶喪失もの」で最も重要な要素ですが,作者は結婚式当日まで引っ張ります。そして何かとタイミングが悪くて疑われてきたマーニーに次々とそのもつれた糸を解くように証人が現れ,そしてマーニーの記憶が完全に戻ったとき,マーニーはレアンドロに怒りをぶつけて式場を去ってしまうのでした。ストーリー展開としてはちょっと都合が良すぎる感じがあり,作品としての捻りが今一つですが,まぁそんなに突飛な感じでもないのでありがち,ぐらいにしか思えません。
 複雑な家庭環境の元で育ったマーニーとレアンドロ。二人にはそんな共通点があるのですが,互いにプライドが邪魔してそれを秘密にしています。そのことが二人の誤解の元になるのですが,その誤解が解けたとき,二人の愛は完成するのです。生まれた女の子。名前をイタリア風にステラ(星)としたところが,マーニーが宇宙物理学で学年最優秀をとった経緯とかぶり,これも納得の部分です。


タグ:ロマンス
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ボスとの予期せぬ一夜 [サラ M アンダーソン]

SHALOCKMEMO1449
ボスとの予期せぬ一夜 His Illegitimate Heir
( Beaumont Heirs 6 ) 2016」
サラ・M・アンダーソン 大谷真理子





 原題は「庶子の後継者」
 ヒロイン:ケーシー・ジョンソン(32歳)/ビール醸造会社の醸造監督/薄茶色の目,見事なヒップ,ブロンドの髪/
 ヒーロー:ゼバディア(ゼブ)・リチャーズ(?歳)/ビール醸造会社のCEO,ハードウィック・ボーモントの庶子/アフリカ系アメリカ人,グリーンの目,短い髪,広い肩/
 「幻の一夜の忘れ物(SHALOCKMEMO1389)」で本邦初訳の出たサラ・M・アンダーソン最大のシリーズ「ボーモントの後継者」の翻訳が始まりました。ただ,シリーズ第1作ではなく,第6作目からの出版ということで,この後シリーズの訳本が出ない可能性もありそうで,心配です。まあ売れ行きを見てということなのか,本国側の出版事情によるものなのか分かりませんが,複雑な親子関係を理解するためにも第1巻からの翻訳が望まれます。
 さて,本シリーズの背景はビール醸造会社「ボーモント・ブルワリー」をデンバーで経営するボーモント一族は130年にわたる歴史を誇る名家中の名家。しかし前社長ハードウィック・ボーモントは女性関係に締まりがなく,数度の結婚を繰り返したばかりでなく,結婚をしない女性との間にも子女を設け,しかも認知をせずに手切れ金だけを渡して済ましてしまうような男性でした。一体全部で何人の子供がいるのやらすら分からなくなっていたのです。本編ヒーローのゼブことゼバディア・リチャーズもその庶子の一人。母親は美容院を営むアフリカ系アメリカ人です。ハードウィックの庶子たちには白人だけでなくアジア系やアフリカ系までおり,なかなか全員を捜し当てるのも大変なようです。2016年までに7作が上梓されている本シリーズも第1作は長男のチャドウィック・ボーモントがヒーローで,チャドウィックは会社をやめ,別の小さなビール醸造会社を立ち上げています。父親から後継者として厳しく育てられてきたチャドウィックにとって,父の圧力から逃れ,独立するためには別会社を立ち上げるしかなかったのでした。その後何人かの経営者がボーモントの会社をつないでいきますが,前社長の時に経営が行き詰まり,会社は買収されてしまいます。その買収者こそ本作ヒーローのゼブでした。ゼブは貧しい仲から身を起こして事業で成功しペーパーカンパニーを通して静かにそして計画的に会社の買収に成功したのでした。これはまさに自分を認知しなかったハードウィックへの復讐という意味合いもあったのですが,会社に来た初日に自分の元に抗議しに来た醸造監督のケーシーの影響により,ビール造りへの情熱が復讐よりも強く湧いてくるのです。CEOとしてのゼブは同じ庶子のダニエル(アジア系)をDMO(市場調査担当重役)に据えて新たなビール造りに挑戦しようとしていたのですが,それを支えていくのがケーシーという30代初めの女性であることに若干の不安を感じつつも,男性以上に工場で働くケーシーの仕事ぶりと,ビール造りに駆けるプロ意識に感嘆し,同時にケーシーへの欲望に駆られていくのでした。経営者と従業員という関係から二人の関係の進展はしてはいけないことと二人とも思っていますが,次第に芽ばえてくる互いへの尊敬の念と欲望が遂に二人を結びつけます。野球試合の観戦中に中座してケーシーのアパートに行った二人は互いの欲望をぶつけ合い,結果ケーシーには一粒種が・・・。表だった関係にできないと密かに事実を告げるケーシーに,翌日ゼブは結婚を申し込みます。しかし仕事への情熱を持ち続け,いずれMBA資格も取ってビール造りをしたいと考えているケーシーにとって,仕事を辞めて家庭に入るように言われたことで,将来の計画に差し支えるとプロポーズを断るのでした。父親に認められないことで自分の子供には両親揃った家庭を準備したいと強く願うゼブにとって,ケーシーが家庭で子育てに専念することは譲れない条件でした。なかなか承諾してくれないケーシーをメールで報告を求めつつ機会をうかがっていたゼブですが,数日後,向上にケーシーがおらず,携帯にもつながらないことで,ケーシーが会社を辞めたのではないかと慌ててしまいます。そしてケーシーを見つけた先は・・・。
 アメリカのスポーツと言えば,フットボールと野球。本作では野球場が重要な場所としてうまく利用されています。電気工事士の父親の後をくっついて育ってきたケーシーは,普段は飾らずに男っぽい服装や言動をしているのですが,いざ恋に落ちると全くもって女性らしい女性に変身するのです。しかし母親を早くに亡くして自分が母親になることにどうすればいいのかわからずにいたとき,ゼブがどのくらい子育てに関与してくれるのか,その覚悟があるのか,そして自分が好きなビール造りの仕事が続けられるのか。これらをどのように解決していくのかが終末までの興味をひいていきます。


タグ:ディザイア
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炎とシャンパン [キャロル・モーティマー]

SHALOCKMEMO1448
炎とシャンパン The Flame of Desire 1981」
キャロル・モーティマー 安倍杏子




K-458
17.03/¥670/156p

B-007
94.02/¥520/182p
R-0516
87.02/¥578/156p


 原題は「欲望の炎」
 ヒロイン:ソフィー・ベドフォード(19歳)/良家の娘/長いブロンド,すみれ色の瞳/
 ヒーロー:ルーク・ヴィットリオ(38歳)/肖像画家/褐色の瞳,黒い長髪,180センチ以上の長身/
 シモン・ベドフォードの一人娘で継母ローズマリーはかなりの美貌をもち若さの点で継娘に対抗心をもつ30代後半の女性。そしてその一人娘ソフィーはまだ19歳。いわゆる何も仕事のない家事手伝いという立場です。事の発端は,ルークと知り合いであったローズマリーが夫シモンの誕生祝いに愛娘ソフィーの肖像画を依頼したことでした。今時肖像画?と思ってしまいますが,それだけ経済的に余裕のある家柄だと言うことでしょう。「無理だわパパ。絶対に私なんか描かないわ。彼が描くのは美しい女性だけなの。とても気難しくて,相当な有名人でも断られたくらいなのよ」と,言葉に出すソフィーですが,そんなソフィーの美しさを見抜いたのはルークでした。ローズマリーも継娘の美しさを知っているからこそ対抗心を燃やしているのでしょう。パパッ子のソフィーは無理に自分の考えを押しつけたりせずいつも愛情を注いでくれるシモンが大好き。謂わばファザコンなのかもしれません。そんな仲良し親娘の間になかなか割っては入れない継母ローズマリーは時々ロンドンに出かけていって昔の友達などと過ごしています。そんな友人関係の中にルークも入っていました。父がローズマリーを愛していることは十分に知っていますし,そんな父をないがしろにしてロンドンに遊びに行っている継母にソフィーはいつも不満を抱えていました。そんな時,ソフィーの親友ヘレンの家から自転車で帰宅途中,ルーク・ヴィットリオの車と接触してしまいます。幸いすりむき程度の怪我で家まで送るというルークの申し出を断り,すぐに分かるからと正体を明かしませんでした。初めからルークに良い印象を持っていなかったソフィーですが,ルークとちょっと触れあっただけで不思議な気持ちになっていきます。19歳の初心な小娘ソフィーは母親がルークと浮気をしているのではと考え,父親を守るためにも母親とルークを監視しなければという思いから肖像画を描かれることを承諾するのですが・・・。
 アトリエという密室空間で繰り広げられるルークの巧みな誘い。初心で男性とつきあったことのないソフィーにとってはとても太刀打ちできない存在なのですが,ルークの方も初めて会ったときから感じていたソフィーの髪と瞳の美しさから逃れられなくなり,なんと結婚を申し出るのでした。近所の農場の息子ニコラスに男性の気持ちを確かめようとしてみますが,やはりルークに対して自分の中に現れる情熱はニコラスには湧いてきません。二人の結婚は初めは順調でした。何度も自分を求めてくるルークにソフィーはすっかりメロメロになっていきますが,背後に継母の姿を何度か感じてしまいます。自分を独占したがるルークは他の男性との動向も会話すらも禁じるのですが,さらには父親にも嫉妬しているのでした。そのため互いの本音を隠し,些細な食い違いから二人の気持ちはすれ違っていくのです。実家に帰ったソフィーは,継母ローズマリーが父親との間に愛の結晶を得,母娘二人の仲はあっという間に改善してしまいます。ルークへの気持ちを継母に打ち明けるソフィー。ローズマリーはどんなアドバイスをするのでしょうか。
 相変わらずジェットコースターのように次々と物語が進行していき,ヒーローとヒロイン,そして周囲の人々のちょっとした仕草や言葉が登場人物の気持ちを明確に表出していく作者独特の作風が遺憾なく発揮された作品です。ちょっと時代を感じる面もありますが,イギリスならばあり得るかな?ということで許せてしまうところも多いソフィーの成長譚です。


タグ:ロマンス
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