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ティアラは世継ぎのために [シャロン・ケンドリック]

SHALOCKMEMO1453
ティアラは世継ぎのために Crowned for the Prince's Heir
( One Night With Consequences 20 ) 2016」
シャロン・ケンドリック 東みなみ





 原題は「王子の後継者のために冠を」
 ヒロイン:リサ・ベイリー(?歳)/服飾デザイナー/小柄,豊かな胸,緑色がかった金色の瞳,カールしたキャラメル色の長い髪,ミルクのような肌/
 ヒーロー:ルチアーノ(リュック)・ガブリエル・レオニダス(?歳)/マルドヴィア公国大公/長身,黒髪,ブルー(サファイア色)の目,深いオリーブ色の肌/
 シャロン・ケンドリック20冊目の読了本です。一夜の出来事からのヒーロー,ヒロインの関係を描いていくこのシリーズも,20冊目を迎えました。本作はもう初めからヒーローが大公ですから,後継者問題となることは自明のことですが,ロイヤルものにはヒロインの才能がどのように生かされていくのかという点も見逃せないですね。本作のヒロイン,リサ・ベイリーはドレス・デザイナー。大公妃としてふさわしいのか,国の人々はどのように彼女を受け入れていくのか,恋敵はいないのか,と前途多難な二人の行方にさらに後継者問題を絡め,となかなか難しいテーマに作者のストーリーテリングの手際が問われるところです。デザイナーのリサとリュックが出会い,6週間付き合った時,リュックは自分の身分を明かさずただのリュックでした。妹に赤ん坊が産まれ,ロンドンのベルグレイヴィア地区にあるブティックを経営することで生活費と全く働く意欲のない妹の恋人の二人を養うのは,リサにとって次第に経済的な負担になりつつあります。2年後,このブティックをリュックが訪れます。その時には,リサはリュックが大公であることを知っていました。今やただのリュックから身分違いの大公へと変貌を告げたルチアーノ。「僕に向かって,リサほどずけずけと口をきく者はいない。それにこれほどひるまず,まっすぐに僕を見つめる者もいない。」というリサに逆にルチアーノは魅力を感じていたのでした。現在付き合っている女性がいないから友人の結婚式に同伴して欲しい,というルチアーノの頼みを初めは二の足を踏んだリサでしたが,社交界の有名な人たちが集まる結婚式に自分のデザインした服を着ていくことでいいコマーシャルになるというルチアーノの甘言に乗せられるように,リサはYesを言ってしまいます。「大好きな妹ブリタニーは大学を中退し,かわいいタムシンの母親になった。そしてタムシンの父ジェイソンの言いなりになっている」現状から,リサのブティックはなかなか利益が上がらない状況を改善していかなければなりません。アイルランドの不動産王コナル・デヴリンと産業界の大物の娘アンバー・カーターの結婚式となれば,そこに集まる人たちに会うだけでも自分のデザインを披露することに大きなメリットがあるはずです。「ルチアーノが体しか求めていないのは,最初から分かっていた。個人的な話はできないとはっきり言った理由も,簡単には想像はついた。大公であるルチアーノが外国人に心を許すなどあってはならないからだ。」ということを十分承知の上でリサは「ルチアーノと時間を過ごせば,今度こそ彼を心の中から閉め出せるかも知れない」と期待したのです。「おとぎばなしの中にいるみたいだとリサは思った。すべての女性が夢見る,完璧な披露宴」のパーティで銀色のドレスに身を包み,リサはどれほど自分がリュックに想いを寄せられているかに気づかずにいます。「背が低くて胸が発達しすぎたブルネットの女」と自分を見ていたのです。一方リュックことルチアーノには,近くの島国のプリンセス・ソフィーとの結婚が決まっていました。いわば幼なじみですでに両家では二人が結ばれることは互いの国民も納得していたのでした。結婚披露宴の夜,二人は最後の思い出とばかり結ばれます。そして半年後,思いがけない結果。その結果をリサはルチアーノに告げようとしますが,彼の側近秘書のエレオノーラに連絡を阻まれてしまいます。リサは,自分も着ることのできるおしゃれなマタニティードレスのデザインで業績をアップしようと考えます。たまたまインターネットでリサを検索していたルチアーノは妊娠しているリサを発見してしまうのです。翌朝,ルチアーノは許嫁プリンセス・ソフィーの元を訪れ,その脚でロンドンに飛びます。そして,なぜ知らせてくれなかったと非難しますがエレオノーラが取り次がなかったことを知り,即刻彼女を首にするのでした。シングルマザーになることを決意していたリサに対して,大公家の子供であることを強調しますが,「私があなたを解放してあげようとしているのが分からないの?欲しいとも思わなかった子供を押しつけて,あなたの人生をめちゃめちゃにする気はないの。私が産むのは庶民の子供だもの。あなたはプリンセスである別の女性と結婚すればいいわ」とプリンセスを気遣うのでした。ロンドンに来る前にイゾラヴェルデのプリンセスの元に立ち寄ったことを告げ,婚約解消してきたことを打ち明けるのでしたが,「悪いけれど,わたしはもうあなたのものじゃないわ。婚約を解消したことが,なぜ私と関係あるの?二人は一夜限りの関係を結び望まない結果になってしまっただけよ。」と取り合いません。「自由の身になった今,僕は君と結婚できる。」と仄めかすルチアーノに対して「私が結婚すると,あなたは本気で思っているの?」「嫡出子ではない子供が,大公の位を継げるとは思わなかったわ」とさらに拒否するリサ。庶民から大公妃へ,この落差がリサを躊躇させているのです。そしてルチアーノが自分を愛してくれているという確信を持てないことが・・・。
 ルチアーノがリサを食事に誘うと,マスコミへの影響を考え,弁護士同席で子供の扱いをどうするか決めればいいといい放つリサ。「リサの膨らんだお腹にはマルドヴィア公国じゅうの富を集めたよりももっと貴重なものが育っている。自分が赤ん坊をどれほど欲しいと思っているかを悟り」,彼は動揺します。そしてリサのブティックの所有権をすべて手に入れているという脅しめいたことばや「子供の性別がどうであれ,将来的に王位継承法を見直せばいいだけの話しだ」とマルドヴィアでのリサの生活を示唆するのでした。ルチアーノとともにマルドヴィアに向かったリサ。宮殿内での戸惑うことの多い生活にリサは順応できるのでしょうか。そして気になる妹夫婦と店のこと。これらがすべて解決するときが来るのでしょうか。後半は宮殿内でのあれやこれやが語られます。そしてなによりルチアーノがリサを愛することができるようになるのでしょうか。Crownという原題をティアラという王妃を象徴するものに変えて邦題にしたのは,なかなかいいアイディアだと思います。
 エピローグではローズと名付けられた娘が2歳になっています。


タグ:ロマンス
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