SSブログ
トーリ・フィリップス ブログトップ

道化師は恋の語りべ [トーリ・フィリップス]

SHALOCKMEMO380
道化師は恋の語りべ Fool's Paradise 1996」
トーリ・フィリップス Tori Phillips 古沢 絵里





1586年イングランド。女王と同名のエリザベス・ヘイワードはエズモンド荘園の跡取り娘。決められた結婚相手を嫌うエリザベスは荘園を逃げ出すものの,お嬢様であり,世俗の事柄に詳しいわけではない。そんなヒロインを助け珍道中を始めたのは宮廷道化師リチャード・タールトン。エリザベスに男物の服を着せ,弟子と称して宮廷を目指す。
機転を利かせた会話や行動で何度かの危機を切り抜けるうちに,エリザベスはリチャードに恋するが,身分の違いからその気持ちに答えることが出来ないリチャードの悲しくもなんとなくおかしみを誘うのは,道化師という職業からか。
なんともほろ苦く,暖かみのあるヒストリカル・ロマンス。


ハロウィーンの奇跡 [トーリ・フィリップス]

SHALOCKMEMO310
ハロウィーンの奇跡 Halloweeen Knight 2000」 
トーリ・フィリップス Tori Phillips 古沢絵里





幼なじみが苦境に陥っていると聞いて、マークは心底驚いた。ベルには長年会っていないが、気の強い娘だった。あのおてんばが、いったいどんな目に遭っているというんだ?半信半疑で彼女の暮らす古城へ向かったマークは、あろうことか塔に監禁され、痩せ衰えたベルを発見する。だが死に瀕していながらも、彼女の瞳はきらきらと輝いていた。なんと誇り高く、美しい女性に成長したのだろう。マークは固く胸に誓った。必ずベルを救い出してみせる。決行はハロウィーン当日,亡霊たちも目覚める夜だ!



1542年,イングランド,ノーサンバーランド“ウルフ・ホール”からストーリーは始まる。キャヴェンディッシュ卿に愛娘の救出を依頼された騎士マーク・へイワード。舞台はボディアム城に移り,不思議な才能と当時としてはイングランドにはあまりいなかったと思われる黒人の巨人ジョウブ。キャヴェンディッシュ卿の跡取り息子キットことクリストファー,元執事のモントジョイなどなかなか凝った脇役を得て,城の塔に敵役の義兄モーティマー・フレッチャーに閉じこめられたラ・ベル。幼なじみでありながらいつも会うと口げんかをしてしまうが,互いに惹かれあうものを感じていたラ・ベルとマークは,無事に城を抜け出せるのか。ところがラ・ベルは相続したボディアム城を去ろうとはせず,義兄たちを追い出すつもいでいる。依頼されたことを成し遂げるには,協力せざるを得なくなったマークたちは一計を思いつく。時はまさにハロウィーン直前。迷信深いフレッチャー兄妹が逃げ出すように城の秘密や各自の才能を生かした追い出し作戦が始まる。
恐怖におののきながらもキャヴェンティッシュの宝石を何が何でも手に入れてみせると執着するモーティマーは,ついにマークを追いつめ,官憲に告発する。その時弁護士に変装したラ・ベルがロンドンから駆けつける。城でのドタバタ劇と裁判所での虚々実々の論戦と,多面的なおもしろさを見せ,エピローグ,そしてその後と大団円を迎える。


貴婦人修行 [トーリ・フィリップス]

SHALOCKMEMO295
貴婦人修行 Lady of the Knight 1999」
トーリ・フィリップス Tori Phillips 古沢 絵里





時は1520年6月11日(月)から6月24日(日)と非常にくっきり示されている。この時代設定の中では大変珍しいところだが,ヒストリカル版「マイ・フェア・レディ」もの。2週間で街頭で身を売らされていた乙女を王の御前でレディとして紹介しようとした騎士たちのいたずら。マナーも言葉も身のこなしも全く粗野な少女の中にきらりと変身できそうだと見抜いた騎士アンドリュー・フォード。作者のシリーズものキャヴェンディッシュ一族の物語の番外編として語られる本作では,レディ・アリシアやレディ・メアリーなどシリーズに登場する数奇な運命に翻弄されてきたヒロインたちと騎士階級の若者たちの丁々発止の言葉の応酬がとても快い。
ヒロイン,ロージーは薔薇の乙女という名のとおり,サー・アンドリューの元で薔薇のように花開く。石版を使って,上手くできたら線一本,失敗したら線を消すというやり方や,上手く踊れるようになるまで何度も練習をする場面など,あの名作ミュージカルの設定が時代を移しても上手く取り入れられていて,読者をニンマリさせてしまう。


nice!(0)  コメント(0) 
トーリ・フィリップス ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。