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薔薇の冠 [ジュリエット・ランドン]

SHALOCKMEMO347
ばらの冠 The Golden Lure 1995」
ジュリエット・ランドン Juliet Landon 大倉貴子





薔薇の冠
HQB30/HS-2
/06.04/\714/350p

14世紀イングランド。ペスト流行後の人々の生活については,あの「デカメロン」に詳しいが,近年歴史研究の中でも注目を浴びている時代といっても良いかもしれない。鳥インフルエンザだとか狂牛病だとか,現代のペスト恐怖症が,安定した生活を求める人心をうまく活用した某政党が日本でも大手を振っているが・・・。
それはさておき,本作はジュリエット・ランドンのデビュー作であり,ハーレクイン・ヒストリカルの第2巻でもある。なにより魅力的なヒロイン,ジネヴラの登場である。
5歳の時から12年間修道院で暮らし,敬虔な心と刺繍の技術を身に付けた美女。彼女を妻にと望むジェイス・ド・ラ・ロシュ。なにか謎めいた感じで,最後までヒーローなのか悪漢なのか判断に迷う男。
これといった敵役よりも,ジェイスをめぐる周囲の人々と,なにやら妖しげな刺繍工房などが時代の雰囲気を醸し出す。
魅力的なキャラクターはこれらだけではなく,ジネヴラのいた”エア聖母マリア修道院”の院長クレアやジネヴラの親友のロウィーナなど修道院というとどちらかというとあまり魅力的には思えない場所の人々も生き生きと動き回る。そして,院長クレアの驚くべき出自が語られるなど,幾重にも張り巡らされたプロットがミステリアスな世界を醸し出す傑作。

これで本日は4冊目の読了。一日で文庫4冊読了はおそらく記録ではなかろうか。それほど興に乗った一日だったが,時間があればまだまだ読みたかった。


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