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誘惑のタロット占い [ジャッキー・ダレサンドロ]

SHALOCKMEMO580
誘惑のタロット占い Never a Lady 2006」
ジャッキー・ダレサンドロ 嵯峨静江





 「身分違いのかなわぬ恋」という設定はかなりありきたりなものですが,一方が上流階級で今話題の占い師がヒロインとなれば,ちょっと他には例を見ないのではないかと思われます。表紙の写真モデルのように黒髪,黒の衣装,そしてエキゾチックな顔というのが,おそらく一般に流布している占い師のイメージでしょう。しかも少なくともヒーローの目には「美しい」「魅力的」に映らなくてはなりません。
 4年前のスリとスパイという思いがけない一瞬の出会いから互いを意識しあったという純情溢れる二人の関係から,最後のハッピーエンドに至るまで,これはまさしくシンデレラストーリー。しかも時々顔を出すストリートキッズなど社会問題も織り交ぜながら,ジャッキー・ダレサンドロにかかるとこんなにも楽しめる物語になるのかという証明にもなる好印象の一冊です。
 それにしても邦題「誘惑のタロット占い」には参りましたね。この作品の価値をすっかり失わせるような駄作タイトルではないでしょうか。
 あらすじや登場人物については,本書を手にしてからの方が楽しめそうなので,あえて書くのはやめておきます。嵯峨静江さんの訳も素晴らしい。特に言葉遊びが何回か登場するので,訳は難しいのではないかと思われます。


夜風はひそやかに [ジャッキー・ダレサンドロ]

SHALOCKMEMO501
夜風はひそやかに Sleepless at Midnight 2007」
ジャッキー・ダレサンドロ 宮崎 槇





「メイフェア・シリーズ」第1弾。リージェンシー時代,医師の娘サラとその姉の未亡人キャロリン,富豪で伯爵の一人娘ジュリアン,貴族の娘エミリーの四人は,「ロンドン婦人読書会」なる組織を作り,定期的に集まっては1冊の本を巡って女性らしい感想を述べあう楽しい仲間です。最初に選んだ本はシェリー夫人の「フランケンシュタイン」。夫を亡くして落ち込んでいた姉を励ますため,サラは,「完璧な男性」を四人で作ろうと持ちかけます。四人でその条件を出し合い,サラはそれに自分なりの条件を付け加え,ハウスパーティに集まっていた男性たちからシャツや靴などそれぞれ1品を借りて「完璧な男性の人形」を作ることにしたのです。そのとき,サラの頭の中には,当家のホストであるラングストン卿マシュー・ディヴェンポートのことが浮かんでいました。リンダ・ハワードの「ミスター・パーフェクト」もこんな設定ではなかったでしたっけ?
サラは,美貌の姉とは違い,「あけすけな物言いをし,褐色の瞳と黒い髪をもつ,背が高く眼鏡をかけた典型的な美人とほど遠いオールドミス」で,すっかり結婚話などはないものとあきらめていました。しかも友人のジュリアンやエミリーも相当な美人。さらにジュリアンに至っては経済的にも恵まれているという男性にとっては結婚対象としてはこれ以上ない条件の持ち主です。ある夜,ラングストン卿のシャツを借りようと部屋に入ったところに,卿が帰ってきて,とっさにカーテンの陰に隠れたサラが目にしたのはラングストン卿の入浴シーンでした。気づかれないうちに部屋を出ようとしたサラでしたが,卿にナイフを突きつけられ,逃れることができなくなります。しかし,当意即妙の答えで,卿の部屋を去ることができたのですが,その時の記憶からは逃れることができなくなってしまいます。卿の肉体はまさに完璧な男性だったのです。
卿は夜な夜なシャベルをもって家の外に出て行きます。偶然それを目にしたサラは,卿が何か秘密をもっていると確信します。さらに,村の鍛冶屋の男が殺害されているのが発見され,サラは卿が犯人ではないかと疑いをもって卿の跡をつけます。卿には大型犬のダンフォースが常に付き従っていますが,サラはあっというまにダンフォースと仲良しになってしまいます。サラは美貌にこそ恵まれませんでしたが,ラテン名で植物の名前を覚えているとか,人物が今にも動き出しそうに見えるすばらしいデッサンを描くことができたりと,すばらしい才能を持っていました。そのことに気づいたラングストン卿は,次第にサラに惹かれていきます。しかし卿には領地を守るため財力のある娘と結婚して子孫を残すという義務があるのでした。サラと卿の思いは悲劇に終わるのでしょうか?そして卿の父が残した遺言の遺産は本当に存在するのでしょうか。


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