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愛のつぼみを確かめて [サリー・マッケンジー]

SHALOCKMEMO555
愛のつぼみを確かめて The Naked Earl 2007」
サリー・マッケンジー 佐藤志緒





「華麗なる貴族シリーズ」第3弾。「ため息は愛のはじまり」,第2弾「愛のレッスンはあなたから」とつづき,本作では第1作に登場したロビーがヒーローに,そしてロビーを追いかけ続けてきたリジーがヒロインになります。ハウスパーティに参加したリジー。そこに来ていたのはロビー。リジーは小さいころからロビーにあこがれの気持ちを持ち続け,子どものころからロビーのお嫁さんになることだけを目指してきましたが,20歳を過ぎ,女性としての自覚も出てきています。なんとか,ロビーの心を自分に向けさせ,ウェディングベルを鳴らしたいと,大胆な行動に出るリジーですが・・・。ところが,フェリシティという胸の大きい女性もロビーとの結婚に積極的にアタックしてきます。しかしロビーその人を思う気持ちよりも,財産・容姿・爵位など俗物的なロビーの一面だけをみている女性です。ロビーもそのことに気付いており,なんとか逃れようとするのですが,終盤のクライマックスで,運命の女神はフェリシティの企みからロビーを救うことになります。ロビーもリジーを妹のように思っていたのですが,成長したリジーとハウスパーティの夜に思いがけない出会いをすることにより,リジーへの愛に気づいていくのですが,ロビーには誰にも言えない,結婚できない理由があるのでした。
前作にも登場するリジーと,ジェームズの叔母,レディ・ベアトリスが,本作でもいい味を出しています。そしてレディ・ベアトリスと執事の思いもかけない関係。植物好きのメグとジョン・パーカー=ロス卿,ティンウェイスとシャーロットなど,ハウスパーディを中心に複数のヒーロー,ヒロインたちがそれぞれの相手を見つけていく過程が克明に描かれており,パンドラの箱を開けたようにいくつものロマンスの様子が描かれた,華麗なる大円舞曲に,そして,予想どおりハッピーな大団円になっています。


愛のレッスンはあなたから [サリー・マッケンジー]

SHALOCKMEMO551
愛のレッスンはあなたから The Naked Marquis 2006」
サリー・マッケンジー むらやまはるか





サリー・マッケンジーの「華麗なる貴族」シリーズの第2弾。前作「ため息は愛のはじまり」では,アメリカ人女性サラが,両親亡き後,伯父を訪ねてイギリスへわたってきて,訪ねた先の伯父もすでに亡くなり,その息子がロビーが後見人としてサラの面倒をみることになるのですが・・・。というストーリーでしたが,本作では兄夫妻の事故による死で,侯爵位と遺児2人の面倒を見なければならなくなったナイツデール侯爵チャールズ・ドレイスミスと,前作のヒーロー,ロビーや親友アルヴォーン公爵ジェームズ,そしてチャールズと幼馴染であり,いつもチャールズにとりついて回り,影ぼうしと呼ばれていた牧師の娘エマ・ピーターソンがヒロインとなります。
とり立てて大きな出来事が起こるわけでもなく,ヒーローのチャールズが如何にしてヒロインを説得して結婚にこぎつけられるかが中心となってストーリーが展開しますが,チャールズの叔母レディ・ベアトリスがいい味を出して二人を後押しします。また,兄の二人の遺児も次第に「パパ・チャールズ」「ママ・ピーターソン」を結婚させようと,可愛らしい行動を起こします。そんなところに,不審な行動をとるミスター・ストックレイが現れ,エマに不届きな行動に出るのですが・・・
最後にちょっとした冒険譚と,ナイツデールに隠された秘密が明かされ,ハラハラのうちに終盤を迎えます。後半,エマの大胆な行動がちょっとしたカタルシスを見せる好著です。


ため息は愛のはじまり [サリー・マッケンジー]

SHALOCKMEMO519
ため息は愛のはじまり(華麗なる貴族1) The Naked Duke (Naked Nobility 1) 2005」
サリー・マッケンジー 佐藤志緒





 また新たなヒストリカル作家の作品です。小学生の頃から作家になることを夢見ていながら果たせず,子育てが終わった後にロマンスを書き始めたサリー・マッケンジーの初めての作品が,本作品です。
「華麗なる貴族」シリーズ(原作ではNaked Nobility)の幕開けでもある本作品は,イギリスの公爵が,結婚をせかされ,偶然出会ったアメリカ人の女性を花嫁として迎えようとするリージェンシーものです。
 斜麓駆の最近の読了本には,アメリカ人の娘とイギリスの男性貴族のロマンスが多く,こんなにも同じような設定でロマンスが書かれているのだなあと,改めて驚いているのですが,本作ではさらに,ヒーローの複雑な家庭事情と,ミステリー風味を付け加えるために,「悪魔」と位置づけられるヒーローのいとこ,リチャードの存在がクローズアップされ,善と悪の対立軸も重要なストーリー展開上の柱となっている点が,新鮮に感じられます。
 さて,伯爵の弟を父に持つサラ・ハミルトンがヒロインですが,父の遺言でイギリスの伯父を訪ねるように言われ,イギリスへとやってきます。明日は伯父の家を訪問するというところまでやってきたサラは,訪問の準備をするために,近くの宿に1泊するのですが,女性一人の旅行客ということで宿の主人はなかなか泊めてくれません。その時,宿の主人を説得してくれた男性がサラの運命の人となります。実はすでに伯父は亡くなっており,従兄弟のロバート(ロビー)が爵位を継いでいたのですが,そのロビーの親友,アルヴォード公爵ジェームズが,娼婦と勘違いしてサラを泊めてしまったのです。しかもベッドに一緒に入ってしまったのでした。勘違いから起こったこととは言え,翌朝,ジェームズの伯母レディ・クラディスとその友人レディ・アマンダに見つかってしまった二人は,さて,どうするのでしょう。こんなとき,この時代では,紳士であれば責任を取って女性と結婚するのが,互いの名誉を傷つけないために最低限必要なこととされていました。現代のわれわれになかなか理解できないのは,この,名誉や風聞といった当時の人々の考え方です。もっとも,スキャンダルにはめっぽう弱い階層や職業の方々は,現代でもたくさんいるとは思いますが・・・。
 サラは,あっという間にレディ・クラディス,レディ・アマンダ,そしてジェームズの妹リジーの心をとりこにし,なかなか身持ちを固めようとしないジェームズと,その求婚を承諾しようとしないサラの気持ちを後押ししようとします。そこに敵役として登場するのはジェームズの従兄弟のリチャードです。公爵位を継げなかったのは,ジェームズの父がリチャードの父の邪魔をしたからだという謂れのない逆恨みから,ジェームズに幼い頃から悪意を持って付きまとっている,邪悪の権化のようなリチャードの数々の悪巧みの中にサラも標的とされてしまい,危うい状況になります。
 そのような状況にも気丈にしかも堂々と立ち向かうサラのアメリカ育ちらしいたくましさと,本当の愛に二人が気付いていく展開が本書の読みどころです。さらに,レディ・グラディスとレディ・アマンダのちょっとした活躍に,読者は喝采を送りたくなりますし,まさに貴族恐るべしと思わせる行動も隠し味として出てきます。
 期待されるシリーズの幕開けです。


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