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秘密の電撃結婚(億万長者に愛されて 4) [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO758
秘密の電撃結婚 The Tycoon Takes a Wife (億万長者に愛されて 4) 2010」
キャサリン・マン 秋庭葉瑠





シリーズ第4作。サン・リナルド王国の亡命国王の婚外子エロイーサ・テイラーがヒロイン。ランディス家の末っ子ジョナは歴史的建造物を改修して現代によみがえらせる専門建築家で,世界中の至る所が仕事場になっています。大学院生の頃,すでに仕事をしていたジョナは,かつてスペインで仕事をしていた時にエロイーサに出会います。二人はめくるめく一ヶ月を送り,結婚しますが,二人は別れてしまいます。ところが,離婚したと思っていた二人は,実は書類上のミスで離婚が成立していなかった,ということをジョナは最近になって知ります。エロイーサは自分が王女であることを隠し,実の父親ではなく,継父とその家族と暮らしていたため,結婚証明書の名前が,協会に残っていた事実と違うということからその事が発覚したのでした。ジョナはエロイーサの元を訪れ,正式に離婚するか結婚生活を続けるかという判断をするようエロイーサに迫ります。でも,判断する前にもう一度二人の関係を確かめよういうことになります。二人の相性は一年経った後でも抜群でした。二人とも家族にも二人の関係は隠したままだったのですが,ランディス家の人々もエロイーサの実の父の家族も,別のルートからその事実を探し当て,二人の結婚が知られるところとなります。エロイーサにはもうひとつ秘密がありました。ジョナと別れた後妊娠が分かり,そして4ヶ月で流産してしまっていたのです。
ジョナとペルーの家で愛を確かめ合った二人ですが,誰も訪れないはずの家のエレベータが動き出し,ジョナの母親のジンジャー・ランディス大使がやってきます。ジョナの兄たちも次々に二人の関係を心配して集まってきたのでした。エロイーサに継父のハリーから突然電話が入り,結婚準備をしていた義妹が駆け落ちしたという情報が入ります。急いでエロイーサが向かおうとしたところ,ジンジャーやジョナの兄たちと顔を合わせることになります。ジンジャーの毅然としつつも暖かい眼差しを受けて,エロイーサはこれからのジョナとの結婚生活を考えてみようと思うようになります。エロイーサは妹と会った後,思い切って実の父親の元を訪れることにしました。数年ぶりに会う元国王は眼光の鋭さは失っていないものの電動車いすでの生活をしていました。「お前を忘れたことはない」という父の言葉と,自分を追ってきたジョナの存在に,エロイーサはジョナとの生活を何とか折り合いをつけながら続けていこうと決意するのでした。
ヒロインが隠された王女ということで,王室での生活を想像していたのですが,それは全くなく,ランディス家の結束の固さがこれまでと同様示される作品でした。これで,ランディス家の4兄弟のロマンスは終わりですが,最終作に4兄弟の妻たちが登場しないのはちょっと残念でした。


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傲慢すぎるプロポーズ(億万長者に愛されて 3) [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO757
傲慢すぎるプロポーズ Millionaire in Command
億万長者に愛されて 3) 2009」
キャサリン・マン 秋庭葉瑠





シリーズ第3作は,ランディス兄弟の次男カイルとカイルの愛娘ニーナの育ての親で歴史学者のフィービー・スレーターのロマンス。第1作,第2作ではあまり登場場面のなかったカイルですが,空軍軍人として砂漠の国で撃墜され,奇跡的に怪我をせずに助かったことは分かっていました。
カイルが,かつて一夜をともにした相手ビアンカ・トンプソンとの間にもうけた生後三ヶ月の娘ニーナの存在を知ったのは,帰還パーティの最中でした。しかも赤ん坊を連れてきたのはビアンカの友人フィービーでした。財産目当ての詐欺師ではないかと疑ったカイルですが,赤ん坊を見るとランディス家の特徴が多く見受けられ,検査をするまでもなく自分の娘であることを直感します。そして,赤ん坊を連れてきたフィービーの魅力に引き込まれます。ニーナを無条件に受け入れるランディス家の人々。すでに結婚している兄弟とその妻たちがフィービーの面倒を見ます。不安を覚えているフィービーをもっとも励ますのはカイルの母で国務長官のジンジャーです。その懐の深さと家族愛の深さに感動するフィービー。アメリカ南部の大家族主義の典型がこのランディス家の特徴でもあると思います。
次第に深まっていくカイルとフィービーの関係ですが,フィービーにはロジャーというフィアンセがいたこと,そしてロジャーがおぼれた人を助けるためにフィービーの目の前で命を落としてしまったという過去を引きずっています。
ニーナを親権を確保するためにカイルとフィービーは急いで結婚式を挙げます。いわば偽装結婚として生活を始めた二人が,次第に互いの魅力に気づき,愛を深め合っていきますが,そこに,ニーナの実母ビアンカから連絡が入ります。実の母ビアンカにニーナを引き渡すべきか,自分がニーナを育てた方がいいか,という究極の選択を迫られるフィービーですが・・・。
すっかりカイルとの関係が深まったところでのビアンカの登場は,衝撃的な場面ですが,この解決策を作者はとてもうまく提示し,ロマンス小説の醍醐味を味わわせてくれます。


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もう一度愛せたら(億万長者に愛されて 2) [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO756
もう一度愛せたら His Expectant Ex
 (億万長者に愛されて) 2008」
キャサリン・マン 高橋美友紀





シリーズ第2弾。妊娠のため結婚をしたものの,流産,養子にしようとした娘も生みの親の元に戻されるという悲しみから夫婦としての絆が途絶えた夫婦が,男女としては互いに惹かれながらも離婚を決意。しかし最後に持った関係で妊娠が分かった日と離婚が成立した日が同じという偶然に,離婚後も互いに惹かれながら関係を続け,ついには二人の愛を再度確認し合うという物語。
靴フェチで芸術的センスを生かしてインテリア・デザイナーをしている妻マリアンナは,奔放な性格で,歯に衣着せず物言うタイプの女性です。夫でランディス兄弟の三男セバスチャンは優秀な法廷弁護士として,弁護士的な冷静で相手を口で言い負かすタイプの男性です。常に言い負かされてしまうため,夫の本音をなかなか引き出せないことにイライラしてしまう妻。いくら言い負かそうとしても,すぐに本音が出てしまうため裏に隠された本心を探り出せないでしまう妻を愛していることを素直に言えないでしまう夫,という真逆な二人が,ドタバタ行動し,でも,互いの気持ちを少しずつ寄せ合っていくストーリー展開は,微妙な心の動きの描写が面白く,一気に読んでしまえる作品です。
前作とほぼ同時期の時間経過のため,前作のストーリーを踏まえつつ,ランディス家の人々や,次男カイルに起こった悲しい出来事もバイ・ストーリーに加えながら物語が進行していくので,関連性が深く,続けて読むことで2倍楽しめる作品に仕上がっています。次作ではカイルがヒーローとなりますが,どんなヒロインが登場するのか楽しみです。


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身分違いのフィアンセ(億万長者に愛されて 1) [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO755
身分違いのフィアンセ (億万長者に愛されて 1) Rich Man's Fake Fiancee 2008」
キャサリン・マン 神鳥奈穂子





元上院議員で時期国務長官候補ジンジャー・ランディス女史の息子4人をヒーローにしたシリーズの第一弾。長男で,下院議員,母の議席を埋めようと上院議員選挙に打って出たマシュー・ランディスは選挙のパーティの打ち合わせにやってきたアシュリーとひょんなことで一夜をともにすることになる。あこがれの下院議員と素晴らしい一夜を過ごしたアシュリーは,これからのことをすっかり期待したのだが,マシューは翌朝,何の約束もしないまま去ってしまう。しかし,マシューの心の中にはアシュリーの存在が大きく印象づけられていた。アシュリーの家に忘れ物をしたことに気づいて戻ろうとしたとき,家は火の手が上がり,マシューはアシュリーを助けに火の中に飛び込んでいく。翌日の新聞には,二人一緒にいる写真とともにスクープが掲載される。アシュリーを守らなければと,マシューはとりあえず選挙が終わるまでの偽の婚約をしようと申し出る。アシュリーは他の姉妹とともに里子としてアビー叔母のもとで育てられた。成長した今,会計士として,また血は繋がっていないものの実の姉妹よりも信頼し合える二人の姉と交流を続けていた。アシュリーの家は,アビー叔母が残してくれた財産でもあった。失火の原因は古くなった配線がショートしたためとわかり,火災保険で家の再建は可能になった。当座の間とランディス家で過ごすことになったアシュリーを,ジンジャー初めランディス家の人々は暖かく迎え入れ,二人の婚約も本当のことのように喜んでくれている。しかし,選挙戦のまっただ中でちょっとのスキャンダルが命取りになりかねない状況で,マスコミに追いかけられることは必死だった。アシュリーは,マスコミの追求に苦境に立たされようとするマシューを,爽やかで当意即妙な返答で救い,マシューや選挙参謀の信頼を厚くする。しかし,いつまでも嘘を突き通すことが苦しい二人が,婚約を解消しようとした時,ある出来事が二人の関係を決定的なものにする。
かつて,愛した女性がいたマシューは,再び傷を負うことができず,アシュリーに愛していると言うことができないでいた。これまで,家族の誰にも話したことのない心の傷を,アシュリーにはなぜか,話すことができたのだった。かくして,アシュリーへの愛を確信したマシュー。アシュリーもまたマシューへの信頼を確信することができ,選挙戦に打ち込むことができたのだった。サイドストーリーとして三男の弁護士セバシチャンと妻のマリアンナの離婚話も登場し,次作への冒頭へと繋がっている。
あまり幸せではない青春時代を過ごしたアシュリーが,その美貌と賢明さを発揮し,マシューのみならずランディス家の人々の信頼と愛を勝ち取っていくストーリー展開が爽やかで素晴らしいエピローグに繋がっていきます。シリーズの他の作品への期待が広がる傑作です。


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幼すぎた初恋(罪をあがなう億万長者 3) [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO750
幼すぎた初恋 (罪をあがなう億万長者 3)
Playing for Keeps 2013」
キャサリン・マン 皆川孝子





シリーズ第3作の本作は,ミュージシャン,マルコム・ダグラスとマルコムの幼なじみで中学校の音楽教師セシーリア・マリー・パテール(愛称シーリア)が18年間の時を経て再会し,再び愛を獲得していくか,というストーリーです。地元の判事の一人娘シーリアはよくあるお金持ちでわがまま一杯に育ったお嬢様。一方麻薬中毒の父をもつマルコムはまじめ一筋に学業や音楽に取り組む青年。高校生の時二人は,どちらかというとシーリアの方が夢中になり,やがてシーリアは妊娠します。まだ,自分たちが親になることを考えられず,二人は別れることになります。その後マルコムはミリタリー・スクールに入り,アルファ・ブラザーフッドの仲間入りをします。シーリアは娘(メロディと名づけられた)を出産後,産後うつ症やパニック症にかかり,娘は養子に出され,その後の様子はわからないままになるのです。
シーリアの父が関わった事件のせいで,シーリアの周囲には脅迫めいたメモや不吉な黒い薔薇が車内に置かれていたりと,組織に関わるような不振なことが相次ぎます。「シーリア」の身が危ない!と考えたマルコムは,学校が夏休みに入る前日,シーリアの学校を訪れ,シーリアの安全を守るため,自分のコンサート・ツアーに同行するように提案します。セキュリティのためと称してシーリアの家に泊まったマルコム。しかし二人とも離れていた年月で互いの気持ちがどう変わったかを互いに探り合いながらも,思い切った行動に出ることは出来ないでいます。ヘリコプターや自家用ジェットを乗り継いでフロリダのトロイの家を訪れた二人。さらにパリへ。コンラッド,ジェーン夫妻も交え,ブラザーフッドたちとの交流を通して,シーリアはマルコムの生活の変化を知らされることになります。イギリスではマルコムのマナーハウスの地下の温泉で,互いの愛がより深まっていることを確認した二人。そこで,マルコムの母と出会ったシーリアは,自分たちの交際に反対していたと思っていたマルコムの母から,若きマルコムがシーリアの父の世話でミリタリースクールに入ることになったことを感謝していると言われ,さらには二人の娘の動向をマルコムが把握していることに驚きます。もはや互いに大人に成長し,互いを尊重し合いながら愛し合うことができることに気づいた二人は,精神的に過去の過ちから解放されるのです。
シリーズ第4作の"For the Sake of Their Son"は未訳ですが,ブラザーフッドの一人でカーレーサーのエリオット・スタークとルーシー・アン・ジョイナーのロマンスが描かれています。翻訳が待ち遠しいところです。そして,マルコムとシーリアの娘メロディがヒロインで登場するといいなぁと・・・。


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シンデレラの魔法はとけて(罪をあがなう億万長者 2) [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO749
シンデレラの魔法はとけて (罪をあがなう億万長者 2)
All or Nothing 2013」
キャサリン・マン 高橋美友紀





罪をあがなう億万長者のシリーズの第2弾。本作の主人公はコンラッドとジェイン夫妻。インターポールの仕事のため妻にも仕事内容を秘密にしているコンラッド。ときどき何も告げずに連絡が取れなくなってしまう夫の行動を理解できず,ジェインはコンラッドと別居状態を続けている。数字の天才コンラッドは,前作でトロイとヒラリーの泊まったモンテカルロのカジノホテルをはじめ世界中にいくつかのカジノを経営する億万長者。ジェインは以前ERの看護師をしていたが,最近は訪問看護に仕事を切り替えている。
本作でもサルヴァトール大佐がコンラッドに仕事をもってきます。しかも今回は,妻のジェーンにも危険の可能性があるということで,コンラッドはジェーンを守るため,トロイ,ヒラリー夫妻をコンラッド夫妻の身代わりとしてアリバイ作りをすることになるのです。今回の作戦で初めて顔を合わせるジェーンとヒラリーはすぐに意気投合しますが,夫妻のアツアツぶりをうらやましく眺めることになります。その後,アフリカのコンラッドの家に身を隠した二人は,コンラッドが近隣の集落に療養所を設置し,子供たちの成長にも自ら取り組んでいることを初めて知ります。「まだ,私を愛しているの?」その気持ちを知りたくて,ジェーンはコンラッドに秘密の仕事についてあれこれ問いかけるのですが,コンラッドはそのことについては頑なに口を閉ざすのでした。
原題の「All or Nothing」はこんなコンラッドの考え方を表しているようです。その背景には親との不仲がありますが,ちょっとこもりがちで表現の下手なコンラッドは,「全か無か」と割り切ってしまう傾向があるからです。
やがて危機は去り,コンラッドがインターポールの仕事をしていることも,ジェーンを守るためにそのことを明かせなかった事情もジェーンは知りますが,二人の感情はなかなかシンクロしません。今度はジェーンの気持ちを考えてコンラッドが変わる番だからです。さて,どんなきっかけでコンラッドが気持ちを切り替え二人の関係が改善するのでしょうか。エピローグも含め,この展開を予想しながら読み進められる好著です。


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仮面の情事(罪をあがなう億万長者 1) [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO748
仮面の情事 (罪をあがなう億万長者 1) An Incovenient Affair 2012」
キャサリン・マン 皆川 孝子





ミニシリーズ「罪をあがなう億万長者」三部作の第1巻。10代で違法すれすれの犯罪を犯してしまい,サルヴァトール大佐が校長を務めるミリタリースクールで集団生活をした特別な才能を持つ三人の若者が,大佐の指示によりインターポールの仕事をするようになり,その中で生涯の伴侶を見つけていくロマンスです。本作は,コンピューターオタクで,どんなセキュリティも楽々侵入してしまう才能を持った天才,トロイ・ドノヴァンと犯罪者を告発するための目撃者としてインターポールに協力するイベント:プランナー,ヒラリー・ライトのロマンスです。トロイがヒラリーに近づき,役目を無事終えるようにとった思い切った行動。それは,すでにゲーム製作会社の経営者として世界中に知られている自分を,オークションに自分と週末を過ごす権利を出品する,というものでした。仕組まれたオークションでヒラリーはトロイを競り落とし,役目を果たすためにパーティに出席するとともに,トロイと週末を過ごすことになります。幸い,監視カメラに問題の男が映っており,早々にヒラリーの役目は終わるのですが,せっかくの機会だからと説得され,ヒラリーはトロイの自家用ジェットでヨーロッパ経由で中米のトロイの別荘で夢のような1週間を過ごすことになります。今では億万長者となったトロイですが,親との不仲やコミュニケーション能力に課題があることなどで孤独な少年時代を送った経緯があり,また,ヒラリーもアルコール依存症の母親を抱えて姉と辛い幼少時代を送った経験を持っています。別荘で過ごすうちに互いの心の傷を知り,二人は魂の深みで理解し合えるようになります。やがて,ヒラリーが証言した男が捕まり,安全が確認されたという情報が入りますが,ヒラリーと別れがたくなったトロイはその事をヒラリーに伝えることを躊躇してしまい,更に数日別荘で過ごそうとするのですが,しかし,ヒラリーにその事を知られてしまい,ヒラリーはトロイに裏切られたと思い,トロイの元を去るのですが・・・。
三部作の幕開けはコンピュータオタクのトロイがヒーローとなります。しかし,すでに本作で後の2作でヒーローとなるコンラッド,マルコムの二人も登場します。コンラッドはカジノのホテルのオーナーで,トロイとヒラリーがそのホテルに泊まります。またマルコムはミュージシャンとして,コンサートを開くためにカジノにやってきています。それぞれのロマンスの相手は本作では登場しませんが,シリーズへの興味を惹くためには魅力的なサイドストーリーだと思います。
互いの不幸な幼少時代を理解し合える相手としてトロイとヒラリーの関係はとても深い結びつきで,次作以降も二人の関係の発展の様子が描かれればいいなと思わせます。3部の長編として大きなまとまりのあるシリーズのようです。



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契約されたスキャンダル [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO657
契約されたスキャンダル His Thirty-Day Fiancee
恋におちたプリンス 2) 2011」
キャサリン・マン 早川麻百合





 ロマサス作家だとばかり思っていたキャサリン・マンですが,ロマンス作家としてもなかなかの作品・シリーズを残しているようです。本作は「恋に落ちたプリンス」シリーズの第2弾です。
 ゴシップ誌のフォトグラファー(どうして写真家と訳さなかったのでしょうか)ケイト・ハーパーはサン・リナルドの元国王一家のスクープ写真を撮って大金を稼ごうとホテルのベランダ伝いにバルコニーに忍び込みます。大金を得ようとしたのは自分のためというよりもたった一人の妹の療養施設への支払いの必要性に迫られているためでした。発達性障害をもつ妹ジェニファーは20歳になりますが,純粋な心を失わずなかなか人に馴染めないため,専門の施設で世話をしてもらうしか生きる道がありません。自分で稼がなければならないケイトにとって,この職業は自分の趣味と実益を生かせるいわば唯一の道だったのです。
 世間から身を隠して成功しているサン・リナルドのメディナ一族。今夜ケイトがスクープを得ようと忍び込んだのは第二王子デュアルとの部屋でした。デュアルとはこのホテル自体を所有しており相当な事業家としての顔をもっているのですが,ベランダを乗り越えたとたん,ケイトは当のデュアルトにつかまってしまいます。しかも半裸の姿で。一方父の元国王が病を得,早く孫の顔を見たいと思っていることはデュアルトにとっても大きなプレッシャーでした。そこで,一族の写真を撮らせる代わりに自分と元国王の住む離島に行って契約的婚約をするようにケイトに迫るのでした。妹の生活という重荷を負うケイトと跡継ぎの顔を見る可能性を少しでも父親に感じさせたいデュアルトの思惑が二人の契約的婚約を可能なものにしていきます。
  互いのことを少しずつ知るようになって本格的な愛情を感じるようになる二人ですが,はじめに契約的な関係と割り切ろうとする二人がなかなか互いの気持ちを打ち明けることができない窮屈な関係に陥ってしまいます。しかも,デュアルトはケイトの妹ジェニファーをケイトに無断で島に連れてきてしまい,ケイトの逆鱗に触れるなど,ぎくしゃくとした関係も垣間見えてきます。シリーズ第1作でロマンスを成就したデュアルトの弟アントニオとそのフィアンセ,シャノンもからみ二組のカップルが美しい島で繰り広げる華やかなロマンスです。

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嘘つきなダイヤモンド [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO600
嘘つきなダイヤモンド Bossman's Baby Scandal ラブ・アンド・ビジネス 1 2010」
キャサリン・マン 高橋たまこ





 SHALOCKMEMOの600号となる記念読了となりました。ちなみに,500号はスーザン・マレリーの「砂漠のウェディング」でした。
 さて,本作はラブ・アンド・ビジネス・シリーズ(原題は Kings of the Boardroom )の第1巻となります。サンフランシスコの企業「マドックス・コミュニケーションズ」の幹部社員たちのロマンスを描いたオフィスものの6話シリーズ。
 SEAL(海軍特殊部隊)出身のビジネスマン,ジェイソン・リカードはニューヨークで1年にわたって一緒に仕事をしてきたグラフィック・デザイナー,ローレン・プレスリーと一夜を共にし,その後サンフランシスコの社に就職し,数カ月がたった。新しい会社で業績を上げるため,わき目も振らずに働き,幸い<プレンティス社>の社長ウォルター・プレンティスの信任を得,業務提携に成功する。しかし,その間,離れてしまったローレンのことは,常に気になっていた。
 ある日,友人から送られてきたメールの写真には,お腹の膨らみが少し感じられるローレンの姿がうつされており,数ヶ月前の一夜の出来事が,ローレンの妊娠を招いたことを直感的に感じ取ったジェイソンは,急ぎニューヨークへと向かう。自分にとって決して一夜の出来事だけにしたくないと考えていたジェイソンは,新しい提携社の社長ウォルターのモットーが「家族が一番」であり,自分に隠し子がいるなどとわかったときには,容赦なく提携が打ち切られ,自分も仕事を無くすことになるだろうという切羽詰まった気持ちも捨てきれなかった。しかし,ローレンに会ったジェイソンは改めて打算的な気持ちよりもローレンを本当に好きなっている自分の気持ちに気付く。しかし,子供ができたからといって急に結婚を迫ったのではローレンにはねつけられるばかりだと考えたジェイソンは,真心をこめてサンフランシスコにローレンを伴い,婚約だけでもと誘いかける。
 ローレンの気持ちにもジェイソンを求める気持ちは強いものの,自分の会社をニューヨークで成功させたいという自立心と,最近起こった会社でのトラブルを知られたくない気持ちもあり素直にジェイソンの申し出を受ける気にならず,かえって反発するような態度をとってしまう。しかし自分の会社の経済的な危機を乗り切るため,さらには,じぶんの母親からの度重なる電話攻撃から逃れるため,ローレンはジェイソンと便宜的な婚約という言い訳を自分に言い聞かせながら,ジェイソンとサンフランシスコに向かう。
 かつてシールで特殊な任務に就いていたジェイソンの素晴らしい肉体。そして,優しくしかも思いやりに満ち,決して自分の欲望だけで行動しないジェイソンの素晴らしさに改めてため息をつくしかないローレン。しかも自分の母親の病気をジェイソンに知られたくないという思い。そんな複雑な事情が絡み合い,二人のロマンスはなかなか深耕していきません。
 そして,劇的なドラマが待ち構えています。
 第1作では,マドックス・コミュニケーションズの幹部社員の面々も少しずつ顔を出し,次作が期待されます。


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