SSブログ
キャンディス・キャンプ ブログトップ

英国レディの恋の作法 [キャンディス・キャンプ]

SHALOCKMEMO624
英国レディの恋の作法 A Lady Never Tells 2010」
キャンディス・キャンプ  Candace Camp  candace-camp.com 山田 香里





キャンディス・キャンプといえばハーレクインでの出版が当たり前になっていましたが,本書はハーレクイン以外からの最初の作品となる新シリーズの第1弾だそうです。そんな興味もあり,手に取ってみました。
アメリカの片田舎で育ったマリー(ゴールド),ローズ,カメリア,リリーという花の名前の四人姉妹,母を亡くし(母の名前はフローラ),継父やその弟子の嫌がらせを逃れて,母の故郷のイギリスに姉妹だけで渡ります。母と実父はイギリスの出身。しかも母は伯爵の娘で,父と駆け落ち同然にアメリカに渡ったのですが,孫である自分たちが訪ねれば,母を勘当した,母の実家の祖父もよもや自分たちを認めないわけにはいかないだろうと考え,祖父の元を頼ろうとしたのです。
さて,イギリスに着いたものの,波止場で祖父の家を探そうとした矢先に,自分たちの身元を表す書類の入ったカバンをひったくられ,長女のマリーが追いかけたときに,ひったくりをつかまえてくれたのが,ヒーローのロイスでした。この運命的な出会いが,祖父の家を訪ねたとき,さらに二人の関係を深めていきます。実は祖父はすでに亡くなり,現在はその孫が伯爵位を継いでおり,四姉妹とはいとこの関係に当たるのですが,ロイスは姻族で血のつながらない従兄弟だったのです。そんな偶然の出会いを準備したCC(キャンディス・キャンプ)ですが,さらに伯爵家の当主オリヴァーとその弟フィッツ,シャーロットやヴィヴィアンという従姉妹やその友人たちがイギリスの社交界での女性の生き方を体現する人たちだとすると,あまりにアメリカ的に何でも自分たちでやってのけてしまい,率直な物言いをする四姉妹は,なかなか社交界では受け入れられない要素をふんだんにもった女性ということになります。そして,ミス・ダルリンプルという怪しげな家庭教師によって屋敷に閉じ込められるように毎日行儀見習いをさせられる四人が次々に繰り出すいたずらに読者は思わずくすくす笑いをさせられてしまいます。



 そんなこんながあり,ときどき起こる不可思議な出来事,ローズの誘拐などの事件を織り交ぜながら,マリーとロイスのロマンスが縦軸となって物語を一気に最後まで進行していきます。スピード感あふれる具だくさんのヒストリカル・ロマンス。十分楽しめる1作です。


キャンディス・キャンプ ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。