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その瞳が輝くとき [ジュディス・マクノート]

SHALOCKMEMO646
その瞳が輝くとき Something Wonderful 1988」
ジュディス・マクノート 宮内もと子





 「彼女は善意であり,やさしさであり,信頼だった。そして,愛そのものであった。丘の斜面に咲き乱れる花々。屋敷の隅々に響き渡る笑い声。それがアレクサンドラだった。」これがヒーロー,第12代ホーソーン公爵,ジョーダン・アディソン・マシュー・タウンゼント(J・A・M・T)がヒロイン,アレクサンドラ・ローレンスに感じていた本当の気持ちでした。しかし,幼いころ厳格な父親に育てられたジョーダンは,「愛」が男としての自分を弱くするもので,公爵とは,男らしく生きなければならないという教えを徹底して刷り込まれており,アレクサンドラの愛情に素直に気付き,認めることができなかったのです。一方,望んで結婚したわけでもないジョーダンに愛を感じていたアレクサンドラは,夫の失踪や数々の愛人の存在,社交界へのデビューの失敗などの苦難を乗り越えながら,持ち前の素直さと明るさでホーソーン家の人々や使用人たちの尊敬と愛を勝ち取っていくのです。そして何より望んだのは失踪から帰還したジョーダンの愛を勝ち取ることでした。そのために企画したジョーダンの誕生パーティーのさなかで,ついにアレクサンドラは銃弾を受けて瀕死の状態に陥るのです。その時,ジョーダンは初めてアレクサンドラに対して素直に冒頭の言葉を吐き出すことができたのでした。失いかけて初めて失いかけているものの大きさと重要さに気付く,そんな人間の本性をジュディス・マクノートは見事に描き出しています。そういう暖かい人間観がジュディス作品のうまさであり,魅力でもあるようです。


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