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アンダルシアの休日 [アン・メイザー]

SHALOCKMEMO1456
アンダルシアの休日 Her Guilty Secret 1999」
アン・メイザー 青山有未




HQB-802
17.05/¥670/208p

HR-113
(地中海の恋人)
06.03/¥966/378p
R-1829
02.12/¥672/156p


 原題は「彼女の罪な秘密」
 ヒロイン:カッサンドラ(ケイト)・スコット(29歳)/ロンドンの書店員/赤みがかった金髪,すらりとした脚,ブルーの瞳/
 ヒーロー:エンリケ・デ・モントーヤ(34歳)/スペインの企業経営後継者/黒髪,黒い瞳/
 今月2017年5月のHQ文庫のラインナップはかなり豪華でした。HQB-800のキャロル・モーティマーを皮切りに,ノーラ・ロバーツ,アン・メイザー,ヴァイオレット・ウィンズピア,ペニー・ジョーダン,ベティ・ニールズとこれだけ大御所が揃うと,どれを読んでもそれなりの作品ですから,逆になかなかイチオシが付けにくい結果になってしまっています。表紙からするとイチオシはペニー・ジョーダンの「ブラックメイル(SHALOCKMEMO1452)」です。さて,本作はアン・メイザーの1999年の作品。地中海の恋人の関連作です。書店員のカッサンドラ(ケイト)・スコットは,亡夫の兄の突然の訪問を受けます。デ・モントーヤ一族の次期後継者であるエンリケは,「弟があんな悲劇的な死を遂げただけでも,僕が激怒するのは当然だ。あの女がアントニオの名誉も,節操も,未来も,すべてを壊してしまったのだ。もしかしてアントニオは新妻がどんなにふしだらな悪女であるかを知ったために,ハネムーンでイギリス南部に向かう途中事故死したのではないだろうか。」と考えていたのです。10年前スペイン富豪の父のフリオ・デ・モントーヤは次男の反抗も受け入れず,ロンドン留学中の次男がイギリス女性と結婚したいと言ったときどんな犠牲を払ってでも結婚を阻止しようとして,長男のエンリケをロンドンに送り込んだのです。弟に結婚を断念させる唯一の方法は自分が誘惑することだと考えたエンリケ。何も知らずにエンリケに惹かれたケイトとある使命を帯びてやって来たエンリケはあわただしく一夜を過ごし,その後ケイトは弟のアントニオと結婚式を挙げ,初夜を迎えることもなくそのまま事故死してしまったのです。それから10年。ケイトの一人息子デヴィッドを甥だと思い込んでいるエンリケは,自分との共通点に愕然とし,デヴィッドが自分の息子であることを知ります。当時アントニオにはサンチ・デ・ロメロャという婚約者がいたにもかかわらず,その婚約を解消しケイトと式を挙げてしまうのです。その後サンチャは一年後にはスペイン王室の遠縁の男性と結婚し,高齢の夫が亡くなると未亡人としてエンリケに愁波を送り始めたのです。かつてたった一夜を共にしただけのケイトに再開し,弟を死なせた恨みと,それでもケイトに惹かれてしまう自分,そしてデヴィッドという甥の存在と複雑に絡み合う人間関係にエンリケは悩みます。パラシオ(宮殿)と呼ばれるデ・モントーヤ家の住まいに連れてこられたケイトとデヴィッド。デヴィッドがエンリケの子供であることを知られてはならない,これは自分たち親子がこれから暮らしていくための最後の切り札だと考えたケイトですが,「エンリケのキスはカッサンドラの頭の中を空っぽにした。自分でもわけが分からないうちに,心の求めるままに彼を求めていた。」と彼女にとって唯一の男性エンリケへの思慕が10年経っても全く変化していないことに戸惑います。自分のルーツである父方の親戚たちに会うことを楽しみにしていたデヴィッドの喜びぶりをみて,ケイトはデヴィッドをデ・モントーヤ家に預けてイギリスに帰国するのでした。さて二人のその後は・・・。アン・メイザー独特の絡み合った複雑な状況を次第に解きほぐしていくストーリー・テリングの冴えは,本作でも健在です。


タグ:ロマンス
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愛という名の足枷 [アン・メイザー]

SHALOCKMEMO1407
愛という名の足枷 Morelli's Mistress 2016」
アン・メイザー 深山 咲





 原題は「モレリの愛人」
 ヒロイン:アナベル(アビー)・レイシー(?歳)/カフェ兼書店店主/美人で,膝のところで組まれた細く長い脚,長身,卵形の顔,高くまっすぐな鼻,魅惑的な唇,プラチナブロンドの髪,桃のようになめらかな肌/
 ヒーロー:ルーク・モレリ(?歳)/開発会社社長/すらりとした長身,黒い髪と浅黒い肌,危険なまでに魅力的/
 アン・メイザー17冊目の読了本です。イギリス,ロンドンとウィルトシャーの小村が主な舞台でした。ウィルトシャーはイングランド南部バースにも近く,ソールズベリーやマルボロといった知名度の高い町も抱える地域のようです。
 冒頭,5年前の二人の出会いと現在が交錯したミステリアスな展開が描かれます。1946年生まれのアン・メイザーは齢70を超えていますが,未だに凝ったストーリー展開と登場人物の心理描写の見事さが光ります。そして,常に社会問題を織り交ぜている点も,見識の高さがうかがわれ,ロマンス作品というだけでなく,苦悩を抱えた人間の生き方,愛の偉大さが主題になっていることも作品の魅力の源泉と言えそうです。
本作のヒロイン,アビー・レイシーの美しさ,スタイルの良さが強調されると同時に場面場面でのアビーのファッションの細かい描写がリアルです。ウィルトシャーの片田舎アシュフォード・セント・ジェームズの再開発を巡り,5年前に一夜の関係を持ちかかったアビーとルークが再会します。アビーは当時まだ人妻でした。しかし夫の虐待を受け,母の病気療養にかかる費用をネタに離婚できずに悩んでいたところでした。その事情を知らなかったルークはアビーを身持ちの悪い悪女と決めつけてしまったのです。しかし5年後に再会しても,なおアビーの美しさや魅力は反って増していました。今回は再開発を担当するのはルークの会社。離婚後なけなしの遺産をつぎ込んでなんとか経営している小さなカフェ兼書店も再開発されれば立ち退きを要求され,その後どうやって生活して良いか方法を考えなければならなくなります。しかしアビーの心配は生活のことよりも自分を悪女と思い込んでいるルークの存在の方でした。周囲の住民たちにはアビーとルークの関係は知るよしもありませんでしたが,時折高級車で訪ねてくるルークがアビーと知り合いであることはなんとなく想像がついたのです。隣家の写真店主グレッグ・ヒューズなどはアビーが知り合いであることを利用してルークに再開発を思いとどまるために交渉していると思い込む始末です。一方ルークの父オリヴァー・モレリは近くで療養中であり,ロンドンから時々ルークはこの地を訪れることになっていますが,それはアビーの元を訪れる言い訳になってしまいます。10歳の時,母親が自分と父親を捨てて他の男性の元に走った経験から,ルークは女性との関係を長く続けることを頑なに拒否してきました。アビーが既婚者であることがわかったとき,強くアビーを非難したのもそんな経験があったからでした。やがてアビーの母は亡くなり,やっと暴力的な夫との離婚が成立して現在の商売を始めたアビーにとって,5年前のルークとの一夜の出会いは忘れてしまいたい出来事でもありましたが,相変わらず見るだけで眼を引くルークに惹かれてしまう気持ちを抑えることは難しいことでした。誘われるままにカフェの2階の住居で関係を持ってしまうアビー。しかし店員に体調の変化を指摘されて自分がルークの子供を身ごもったことを知ったアビーはルークの会社を訪れて事実を告げます。同時にシングルマザーとして生きて行くことも宣言するのでした。犬のハーレーと自分と子供の二人と一匹の生活が自分の望んでいること,社会的な成功者で富豪のルークとの愛のない結婚生活など考えられない。でもルークに会うだけでルークを求めてしまう自分がいる。でもルークは結婚を求めているのではない,愛人を求めているのだ。そう言い聞かせているアビーでした。
 5年前に何か事情があって夫がいる身でありながら自分と出会ったのではないかと考え始めたルークは,密かにアビーの元夫ハリーのことを調べるように自分の運転手であるフェリックスに命じたあと,交通事故に巻き込まれ,命を落としかける大怪我を負います。ルークは意識が混濁する中アビーの名前を呼びますが,アビーは家族ではないことで集中治療室に入ることはできませんでした。その後一般病室に戻った後もルークはアビーの入室を拒否するのです。次第に目立ってきた腹囲を気にしながらひたすら控え室で待つアビーに,ルークの父親は病室に入るように気を遣ってくれます。しかし退院後もルークはアビーの来訪を断り続けるのでした。事故の結果頭蓋に穴を開けたり内臓の一部摘出そして片足を引きずるようになってしまったルークは,自分の世話をアビーに押しつけることはできないと,自分の気持ちを隠し,アビーに会わないようにしようと決意していたのです。その時はすでにフェリックスからアビーが元夫から暴力を受けていたことを知ってしまっていたのでした。これ以上アビーを苦しめることをしたくないというのがルークのぎりぎりの決断でした。しかし敢然とアビーはルークの父親の許可を得てルークに会うのでした。どんなにやつれても,どんな姿でもルークを愛する自分の気持ちを偽ることはできない。逆にルークを愛おしく感じる自分の気持ちは強まるばかり。そんなアビーの気持ちの機微を作者は見事に描ききっています。
 少々長いエピローグで二人の1年後のことが書かれています。無事産まれた息子マシュー。そして結婚後もますます強まる二人の愛が描かれていて,読者は読了が幸せな気持ちになります。バツイチ同士の純愛物語ですが今月最高のイチオシロマンスです。


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小さな悪魔 [アン・メイザー]

SHALOCKMEMO1380
小さな悪魔 Whisper of Darkness 1980」
アン・メイザー 田村たつ子




HQB-774
16.12/¥670/200p

R-0425
85.11/¥550/156p


 原題は「暗闇のささやき」
 ヒロイン:ジョアンナ・シートン(20歳)/お嬢様育ちの家庭教師/身長165センチ,細い肩からふくよかな胸の膨らみ,引き締まったウエストから腰の極性,ほっそりした形の良い脚,琥珀色の瞳/
 ヒーロー:ジェイク・シェルドン(39歳)/元コンピュータ技師/事故による傷跡が残る顔,年齢を全く感じさせない不思議な引力/
 現代版「エマ」。「これほど風変わりな仕事を紹介された人が他にいるだろうか」,家庭教師の相手は「男の子みたいな服装と口の利き方をする子供」11歳のアントニア(アニヤ)・シェルドン,そして母親はおらず,父親に至っては「事故のせいで仕事ばかりかマナーまでも失ってしまったらしい」元コンピュータ技師のジェイク・シェルドン。そんな家にやって来たジョアンナですが,学習意欲が無く反抗的な生徒に耐えきれず何度か家庭教師が辞めてしまい,母親が自分を捨てていなくなってしまっただけで無く家庭教師にも見放され完全に自信を失うとともに大人特に女性に対する不信感が強いアントニアに哀れみを感じてしまったジョアンナは,なんとかこの家で頑張ろうとします。ジョアンナ自身も父を亡くし,母親の愛情に恵まれず自分を気にかけてくれるの名付け親のみ,そしてジェイクの妹マーシャと名付け親が親しいことからこの家庭教師の勤め口を紹介されたからでした。しかし意外とアニアは父親に対しては素直で,家政婦のミセス・ハリスはもともとこの家を所有していた前の所有者の頃から勤めていた人ですべてを仕切ろうとします。その割には家の汚れや食事のまずさは気にしてはいないのでした。ジョアンナはアニアと二人でまず部屋の掃除や台所の清掃,食事作りから始めます。アニアも嬉々として一緒に作業をしてくれ,二人の間に心の交流が生まれるようになります。ジェイクは余計や仕事をする必要は無いと言いますが,家事をないがしろにしていた家政婦のミセス・ハリスを解雇する決断をするのでした。そんなジェイクに「殆ど20歳も年上でおまけに成人した息子(前妻の連れ子)までいる男性に異性としての魅力を感じるなんて」と悩みます。この当たりで「エマ」の現代版という設定の匂いがしてきます。自分の能力に自信が無いアニアですが,ジョアンナは彼女のたぐいまれな文章表現力に気付き,その能力を生かすためにも他の教科を勉強することが必要だと諭すとアニアは懸命に勉強するようになります。自然環境や歴史的遺産のたくさん残る北イングランドのこの地はまさに格好の学習材料のある土地でした。新しく家政婦としてやって来たミセス・パリッシュという未亡人はまさに家事の達人で,ジョアンナは彼女に尊敬の念をもち,ここの暮らしに馴染んでいきます。アニアとの関係も深まり,冬物の衣類を買うために町に出ようとしますが,その時隣家の息子ポールが町まで連れて行ってくれると言います。ポールがしきりと自分にモーションをかけてくるのには気付いたジョアンナですが,彼女の目にはもはやジェイクしか映っていませんでした。ジェイクを愛していることに気付いたジョアンナはなんとかジェイクに世捨て人的な生活から立ち直って欲しいと願いますが,逆に自分をジェイン・エアの作品の登場人物ロチェスターだと勘違いしていると非難し,ジョアンナを解雇すると宣言するのでした。失意のうちにロンドンの名付け親の元へ去って行くジョアンナ。そこでジェイクの妹マーシャと出会います。レーブンガースの家で何があったかを聞き,マーシャは兄の居場所を教えてくれるのでした。「君は完璧だ。問題は僕の方にある。廃人同然の僕がどうして君に人生を分け合って欲しいと頼めるだろう。だれもが尻込みするような問題児を抱えた中年男なんだ」と自嘲気味に話すジェイクに「馬鹿なことを言わないで,私があなたを愛していること知っているはずよ」とせまるジョアンナですが・・・。二人の関係はどうなっていくのでしょうか。その解決策は意外にもアントニアが引き金を引いていくのです。
 若く無垢なジョアンナと世捨て人のジェイクという異質な組み合わせに,傷ついた少女アントニアが絡み,三人が力を合わせて人生を築き上げていく壮大なドラマです。名手アン・メイザーらしい1980年の作品,オススメです。


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愛,ふたたび [アン・メイザー]

SHALOCKMEMO1262
愛,ふたたび Sandstorm 1980」
アン・メイザー 細郷妙子




HQSP-118
16.07/¥540/208p

R-0467
86.06/¥578/156p


 原題は「砂嵐」
 ヒロイン:アビゲイル(アビー)・ギレスピー(22歳)/秘書/長身175センチ,細いなりに豊満な胸やなまめかしい腰の曲線/
 ヒーロー:ラシード(?歳)/アバレーン国王子/長身185センチ,芳醇なワインのようにきめ細かくてこくのある低い声,母はイギリス人/
 7月にHQSP版で出る本作をHQB版KINDLEで読みました。HQSP版の表紙はちょっとものうげなヒロインの姿がいいですね。HQB版の方は背景にモスクふうの建物とクッションのおかれた長いすがが写っており,ストーリーをうまく表していますが,残念ながらヒロインを思わせるモデルさんが使われていないのでいまいちです。さて,シークものの本作ですが,3年前結婚した相手は中東の国アバレーン国の王子ラシード。離婚の話をしに来たと思ったアビーですが,「アビー,君は僕の妻なんだから,僕の家こそ君のいるべき場所だ」と言うではありませんか。首都ザンシアの王宮での生活はアビーにとってはみじめなものでした。夫の父である国王からは歓迎されず,二人の間に3年間子供が出来なかったことがアビーにとっては大きな負担でした。そして決定的だったのが夫の不倫。弟の妻の姉ファラとの間に子供がいたことを知り,アビーはイギリスに帰ってきていたのでした。そして秘書として働いている上司ブラッドがいろいろと親切に心配してくれるのに甘えていたのです。最近ブラッドが仕事以外のところでも個人的にアビーに言葉をかけてくるようになり,ちょっと困惑していたところでもありました。そしてやって来たラシードに誘われて夕食をとり,別れ話をしようとした矢先,ホテルの部屋でラシードが昨夜から病にかかり苦しんでいることを伝えられ,ラシードの部屋へ案内されます。しかしラシードは起きており,誘われるままにベッドを共にしてしまうアビー。そして数ヶ月後,判明した妊娠。離婚を前提としていたのに再びラシードの元に行かざるを得なくなるアビーは,ラシードの愛が信じられません。「やっぱり,そう。あなたの関心は子供だけなのよ。私に戻って欲しいとかなんとか言っても,息子を産むために必要なだけなのね。」出産までの期間だけという限定付きの妻という存在に,アビーのプライドはずたずたになります。王宮に戻ったアビーの元にラシードはほとんど顔を見せず,末の妹ソフィアだけが3年前と同じようにアビーに優しく接してくれます。そしてアビー付きの使用人スニがいろいろと気遣ってくれるのでした。ラシード兄弟の祖母ノーナが帰国します。ラシードとアビーが別に暮らしていると聞いてノーナは心配し,いろいろと策略を仕掛けてくるのでした。それに気付いているアビーですが,夫にかまわれない寂しさよりもノーナの心遣いの方が嬉しく思えてアビーもそれを受け入れていくのです。そして衝撃の事実をノーナの口から聞いたアビー。その事実がアビーとラシードの間にあった障壁を完全に崩していくのです。やがて,生まれる息子カリド・ロバート。もはや親子三人での幸せな暮らしを妨げるものは何も無いのでした。
 19歳という若いときに結婚してしまったアビーが出産をとおして精神的に夫への深い愛に目覚めていく成長譚です。オススメの作品。


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苦しみのあとに [アン・メイザー]

SHALOCKMEMO1257
苦しみのあとに The Pleasure and the Pain 1971」
アン・メイザー 天野 恵




HQB-738
16.06/¥670/224p

R-0185
82.07/¥500/156p


 原題は「喜びと苦しみ」
 舞台:アンダルシア地方のコスタル
 ヒロイン:ローラ・フレミング(24歳)/保育士,家庭教師/赤毛,個性的な顔立ち,切れ長な目,上がり気味の目尻,緑色の瞳,口は大きく鼻は小ぶり,背は高い方で手足はバランスが取れている/
 ヒーロー:ラファエロ・マドラレーナ(35歳)/ワイン製造業者,スペイン貴族/長身,色黒,黒い髪,グレーの瞳,筋肉質/
 文庫版表紙のモデルさんの横顔が韓国女優シン・セギョンちゃんに似ていて愛らしく,気に入りました。原題は「喜びと苦しみ」ですがストーリー展開的には,邦題の「苦しみのあとに(喜び)」という方が合っていますね。スペインの保守的な道徳観,カトリック的考え方,そして幾世代にもわたる呪いの伝説など,ちょっとおどろおどろしいところがありますが,表面的にはそんな風に感じられるところはあまりありません。5年前にわき上がった愛が破綻し,破綻した理由が最後に明かされますが,まさか呪いと関係しているとは・・・。物語を動かしていく敵役のヒーローのいとこロゼッタのエキセントリックな性格がスペイン女性らしいといって良いのでしょうか。ヒロインがイギリス的であるのと比較されています。良く,慎重なイギリス,激情的なスペインという国民性の比較がありますが,作者もそれを利用しているように思います。確かに闘牛の場面なども出てきてスペインらしさは強調されているのですが・・・。


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哀愁のプロヴァンス [アン・メイザー]

SHALOCKMEMO1227
哀愁のプロヴァンス The Night of the Bulls 1972」
アン・メイザー 相磯佳正




PB-166
16.04/¥700/176p

R-0001
79.09/¥450/173p


 原題は「雄牛たちの夜」
 ヒロイン:ダイアン/教師,シングルマザー/愛らしい目,セクシーな唇/
 ヒーロー:マノエル・サン=サルヴァドール/農園経営者/黒い眉,灰色の瞳,高い頬骨,厚い唇,引き締まった顎,濃いもみあげ/
 初訳はハーレクイン・ロマンスの第1番の復刻です。HQの古典的名作を復刻する「ロマンス・タイムマシン」のシリーズの1作で2001年にCPで再版されています。初訳は1979年。40年前の出版(原作は1972年)ですから,さぞや古めかしい作風かと思いきや,文学作品を読むような格調高い調子ではあるものの,描かれている登場人物たちの気持ちの動きは現代とあまり変わらず,ヒーローのマノエルが少し寡黙で男らしさがにじみ出る性格,そしてヒロインがちょっと浮気っぽい感じであることや,敵役のイヴンヌとマノエルの母の性格の悪さが目立つことなどは,ストーリー展開に明確さをもたらし,筋立てはさすがアン・メイザーと思わせる作品だと思います。時代的なものを感じさせるのは,ヒロインが公衆電話を使うところとか,ロマ(本作ではジプシーと表記されていますが)の風習が描かれているところなどはあるものの,それが返って魅力になっています。舞台がフランス南部,ミストラルやアルルといったフランス独特の風物,都市が舞台となっているため,エキゾチックな感じがなかなかイイですし,フランスでも闘牛が行われていることなどが分かって,楽しめます。いわゆるシークレット・ベビーものですが,子供の存在を隠すことなく,その子の病を治すためにヒロインが強い気持ちでヒーローの元を訪れるところから物語の幕が上がるところも,若干ミステリーの倒叙もののような感覚になれるところも面白さの理由だと思われます。今後もこのシリーズ出版が続いていくとすれば,ハーレクインの古典を読む絶好の機会になりそうです。


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青い傷心 [アン・メイザー]

SHALOCKMEMO1154
青い傷心 Take What You Want 1975」
アン・メイザー 馬場あきこ





 継母の息子たち,ロバートとサイモン。4歳の時初めて出会った二人のうち,兄のロバートに憧れを抱き続けてきたソフィーは,寄宿学校を卒業し,やっとロバートと一緒に暮らせると喜びにあふれていました。かつて嵐の夜に恐ろしさのあまりロバートのベッドに潜り込み,じっと抱きしめていてくれたロバートは,その後,大学を卒業したあと建設会社に勤め,北部の町で暮らすようになっていました。そしてソフィーの想いに気づいていたロバートは継父や母からソフィーとの関係を諦めるように説得され,会社の秘書のエマとの結婚をすることでソフィーとの関係を打ち切ろうとしていたのです。エマとロバートの関係はソフィーには知らされずロバートもソフィーに対する想いを振り切るようにワザと冷たく接さざるを得なかったのです。さらに,ロバートの弟サイモンもまた女性らしくなったソフィーに対する想いを抱いている様子。しかしソフィーはロバートと違って優しく接してくれるサイモンには兄妹の関係以上の気持ちは抱けないのでした。さらに地元の有力者でロバートの大学の同窓生ジョンも婚約者がありながらソフィーに想いを抱いている様子。そんな複雑な男女関係の中で本当に愛する人にはどんな行動を取ったらいいのか,高校を出たばかりのソフィーには見当がつきません。つい,自分に優しくしたり冷たく接したりするロバートの行動に振り回され,ついには自分の興味のあるギリシア語を生かした仕事を提供してくれるハリエット・タラントとともに,ギリシアのコルフ島に出かけてしまうのでした。数ヶ月後,継母からの手紙でロバートが工事現場で事故に遭って大怪我をしたという知らせが来ます。急ぎ,イギリスに帰るソフィーですが,継母や父の態度は硬く,特に継母はロバートとエマの関係を強調するばかりです。ロバートもまた病室で,誰との面会も断っているとのこと。思い切って看護師にロバートとの面会を申し入れるソフィーですが・・・。
 ロバートとの関係を清算しようとしていたソフィーにハリエットが伝えた聖書の言葉をもじった[Take What You Want]が原題になっています。


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冬の白いバラ [アン・メイザー]

SHALOCKMEMO1121
冬の白いバラ White Rose of Winter 1973」
アン・メイザー 長沢由美





全くわかり合うことができない嫁と姑,韓流ドラマのような展開の作品です。全く,本作のねじれた人間関係はなんということでしょう。6年前に愛し合いながらちょっとした言葉の応酬で別れてしまったロバート・ペンバートンとジュディ。仕事の関係でどうしても結婚式の前の週にベネズエラに旅立たなければならなくなったロバート。それを許すことができなかった19歳のジュディ。まだこの時ジュディはロバートの行動を理解することもできず,ロバートもまた十分にジュディを納得させることができずに立腹したまま旅立ってしまいます。そしてジュディの孤独を慰めたのはロバートの兄のマイケルでした。マイケルもまた不治の病を持ちながらもそれを告げないままジュディと結婚しマレーシアでの軍務につきます。急な結婚の理由にはジュディがロバートの子を妊娠したことが分かったからでした。初めはロバートにそのことを知らせようと手紙で帰国を促したジュディですが,ロバートからの返信はありません。そしてマイケルと相談してロバートには打ち明けないようにしようということになったのでした。愛らしいエマが誕生し,マイケルの死後,ジュディはエマと幸せに暮らしています。そんな二人の元にロバートがマイケルの遺言で自分が後見人になったと言ってきます。再びジュディに大きな影響力を持って現れた姑のルーシー。ロバートはその時パメラという幼なじみと婚約中でした。そしてロバートのロンドンのフラットにジュディとエマは連れて行かれます。そこには義母のルーシーが万全の体制で待ち構えていました。やがてエマの家庭教師と称してサンドラという若い女性がやってきます。サンドラはロバートの婚約者パメラの親友。そしてさらにパメラの実父のフランシスが妻がありながらジュディに言い寄るという複雑な人間関係になっていくのです。誰かに優しくされるとすぐその気になってしまい,何か不足の事態が起こるとすぐ動転してしまうジュディには,かなり問題があるように思いますが,特に何か目立って美点のあるようには思えないジュディをロバートもマイケルもフランシスも好意を持ってしまうのは何故かという点には作者は触れていません。エマがロバートの子供であることはエマが木から落ちて頭に怪我をし,輸血の必要ができたことから明らかになっていくのですが,その時もただ成り行きに任せてしまうジュディのふがいなさに読者としてはちょっと首をかしげてしまいます。まぁそれが普通の女性の反応だと言ってしまえばそれまでですがヒロインとしては,「うーんどうかなぁ」という行動ばかり目立ってしまいますね。ラストも何故か中途半端で,あまり記憶に残らない作品ではないかと思います。そしてタイトルにもなっている「白いバラ」の意味がよく分かりませんでした。


タグ:ロマンス
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試験結婚 [アン・メイザー]

SHALOCKMEMO1068
試験結婚 A Trial Marriage 1977」
アン・メイザー 須賀孝子





原題は「A Trial Marriage」で確かに「試験結婚」で間違いはないのでしょうが,いかにも直訳的で,この邦題はいただけないですね。確かに時代を感じさせる内容,雰囲気を持った作品ですが70年代に青春を過ごしたわれわれ世代であっても,こんな日本語はあるだろうか,と思いました。
さて,イギリスが舞台なのですが,両親を相次いで亡くしたレイチェル・レズリー18歳は,富裕な未亡人フォークナー・スチュアート夫人のコンパニオンとしてこき使われていました。気むずかしい相手ですが,両親を亡くして大学への進学資金を貯めるためにもがまんしてお相手を務めざるを得ません。そんな境遇の彼女ですが,自分を引き取ってくれた夫人への感謝の心ももっていました。トール・コート・ホテルのスイートに滞在中,最高級スイートに宿泊しているジェイク・アラン・コートネイ,41歳と出会います。初心なレイチェルはジェイクに一目ぼれしてしまいます。ジェイクは働き過ぎ症候群のため医者から6カ月間の療養が必要ということで,郊外の自分の経営するホテルに宿泊中でした。父チャールズからホテルの経営を引き継いだジェイクは,国内にとどまらず国際的なホテル・チェーン店を展開するためにペアマン・ホテル・グループの買収に取りかかり,契約を取り付ける寸前まで来ていましたが,しばらく仕事を休まざるを得ない状況まで悪化していたのでした。やつれて,時々疲れ切った表情を見せるジェイクをレイチェルは気遣う気持ちを持ってしまったのです。しかし,年の差23歳のカップルは誰の目から見てもうまくいくはずがないと思われています。さらにジェイクには別れた妻がおり,さらに試験結婚の提案を承諾してジェイクの両親の住むハーディ・ロンズデールの修道院跡の館に着いてみると,家政婦の娘シーラがジェイクを狙っている様子が見え見えです。二人の間に引き合う気持ちは強いものの,ときに信頼を失ってしまうような嫉妬の気持ちを持たざるを得ない状況が次々に起こります。結婚解消かと思われる事件はジェイクのアメリカ出張中に起こります。自分を引き取ってくれたフォークナー・スチュアート夫人が突然亡くなり,レイチェルは詳細を告げないまま葬儀のために一人ロンドンから出かけたのでした。しかしクリスマスの季節のイギリス。道路状況は悪く,途中で車は側溝に落ちてしまい,先に進むことができなくなってしまいました。結局葬儀に出られないままロンドンに帰ったレイチェルは,予定より早く帰朝したジェイクが,自分を心配し,さらにかつてホテルで自分に言い寄ったカールの元に向かったと誤解して,自分を追いかけたことを知ります。戻ったジェイクに難詰されるレイチェル。さあ,二人の関係はどうなるのでしょうか。
年の差カップルの物語ですが,幼な妻としてのレイチェルの素直で,でも夫に合わせようとちょっと背伸びしようとしては,失敗してしまう経験の少なさが何とも愛らしく初々しいヒロインとして描かれており,好感の持てる作品に仕上がっています。


タグ:プレゼンツ
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家庭教師の恋わずらい [アン・メイザー]

SHALOCKMEMO1060
家庭教師の恋わずらい The Reluctant Governess 1971」
アン・メイザー 小泉まや





失恋の痛手から逃れるためにイギリスを離れ,オーストリアの男爵ホルスト・フォン・ライヒスタインの一人娘ソフィの家庭教師に応募したヴィクトリア・モンローのロマンスです。原題は「いやいやながらの家庭教師」。原題どおり家庭教師の経験のないヴィクトリアですが,ソフィが反抗的で,しかも父親のホルストがとんでもないハンサムで男らしい,しかも男爵位を持っているとあって,これまで二人の家庭教師が応募してきましたが長続きせず,ヴィクトリアもまたすぐに辞めるだろうと皆に思われています。立派な城であるホッフェンスタインのライヒスタイン家にやってきたヴィクトリアですが,家政婦と使用人,そして男爵とソフィの4人しかおらず,男爵夫人は?結構半ばまでその存在は謎です。ソフィもヴィクトリアを追い出すためにいろいろと企てをしますが,10歳の少女の企てなど子供っぽいもの。でも父親との仲は良さそうです。しかしソフィにとって頼れる存在は父親ばかり,その心の中には母親に捨てられた傷が深く,それに気付いたヴィクトリアは,なんとか傷を癒やせる存在になろうと心がけます。前の家庭教師よりは信頼できるとソフィ思い始めるきっかけになったのはなんと,男爵家を訪れたマーガレット・スピーグルという元恋人?1971年の作品ということで二人の関係はボンヤリとしていて,はっきり示されませんが,舞台がそっくりな,あの「サウンド・オブ・ミュージック」では男爵夫人のように高慢で子供に全く興味を示さない女性のように描かれています。美貌も経済力も家柄も,全てを兼ね備えたマーガレットが,表面的には相手にしないまでも内心では男爵の心を手に入れようとヴィクトリアにきつく当たっていく様子を目にした男爵が,反ってヴィクトリアへの思いを強め,さらにソフィまでがヴィクトリアに頼っていくという過程が,本作を面白くしています。強がる男爵の本当は心に深い傷を負い,その本質に優しさと自然や家族を愛する生活を望んでいることを直感的に感じたヴィクトリアが男爵に惹かれていく過程も読みどころです。しかしながら,なんといっても古い作品で,現代との男女間の関係の価値観の違いがはっきりしすぎていて違和感を感じることも多いかもしれません。上品ではありますが,アッサリしすぎていて盛り上がりに欠けると感じる人も多いのではないでしょうか。


タグ:ロマンス
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