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さらわれた公爵家の花嫁 [キャット・マーティン]

SHALOCKMEMO704
さらわれた公爵家の花嫁 Nothing But Velvet 1997」
キャット・マーティン 五十嵐とも子





ヴェルヴェット・モーランは父のハヴァーシャム伯爵とともにカーライル公爵家へ嫁ぐために馬車で向かっていたところ,途中で盗賊に誘拐されてしまいます。この結婚は公爵家も伯爵家もともに互いの財産を自分のものにしたいがための全く打算的な結婚で,カーライル公爵エイヴリーもヴェルヴェットも互いに愛情を感じての結婚ではありませんでした。ヴェルヴェットらを誘拐した盗賊こそ,先代カーライル公爵の長男で公爵の正統な遺産相続人であったジェイソン・シンクレアだったのです。しかし,先代公爵を殺害した犯人として捕らえられ,国外への流刑を経てイングランドに身分を偽って戻ったところだったのです。自分の汚名を返上し,真の犯人である現カーライル公爵で弟のエイヴリーの糾弾をするために,カーライル家に嫁ぐヴェルヴェットを誘拐することで,エイヴリーに徹底的な経済的打撃を与えようと考えたのでした。しかし,エイヴリーを真の殺害犯として糾弾するためには証拠をつかまなければなりません。事件から8年もの年月がたち当時の目撃者を探してもなかなか真相に迫るための手掛かりがつかめないでいることで,まずはエイヴリーの破産を計画したのでした。一方誘拐されたヴェルヴェットはなんどか逃げようと試みますが失敗してしまいます。誘拐犯であるジェイソンと一軒家で生活する中でヴェルヴェットは,ジェイソンの本来の人間性に次第にきづき,いつしか心惹かれていきます。
花嫁の持参金が手に入らなかったジェイソンは次の花嫁として裕福な家庭の娘メアリー・スタントンと結婚します。立派な公爵に嫁ぐことに喜びを感じていたメアリーですが,嫁いですぐにエイヴリーの本性に気付きますが,時すでに遅し。自分も傷つけられ,さらには父親も事故に見せかけられて殺害されてしまいます。そんなメアリーに遠くから視線を送っているバルフォア伯爵クリスチャンのやさしさがメアリーには救いでした。
さて,自分を誘拐したジェイソンが無実であることを確信したヴェルヴェットは,ジェイソンと結婚し,無実を証明するためにジェイソンの友人リッチフィールド公爵ルシアンとともに証拠探しにまい進します。二人の信頼はますます深まりますが,ジェイソンは逃亡中の生活には触れたがらず,心の中に闇を抱えるていることに気づきます。その闇をなんとかしたいと願うヴェルヴェットなのですが・・・。そんな中貴重な証言者であるかつてのジェイソンの愛人,シーリアも何者かに殺害され,それを目撃したヴェルヴェットの身にも危険が迫ります。やがて決定的な証拠をつかめないままエイヴリーとの対決を計画せざるを得なくなる中,ジェイソンは逆にかつての罪により逮捕され,ついに4日後に刑場に運ばれることになるのです。最後まであきらめないように励ますヴェルヴェットにジェイソンはもう何もしないでくれと頼むのでした。刑の執行の日,大勢の見物人にあふれる刑場で,大逆転は起こるのか。最後まで大きな見せ場を作ってくれる作者のストーリーテリングのすばらしさに脱帽です。


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