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消えた記憶と愛の絆 [ロビン・グレイディ]

SHALOCKMEMO1118
消えた記憶と愛の絆 Amnesiac Ex, Unforgettable Vows 2011」
ロビン・グレイディ 大谷真理子





 原題は「記憶喪失の妻と忘れられない誓い」。庭園の橋から高さ2メートルほどを落下して怪我はほとんどなかったものの記憶喪失になってしまった先妻ローラ。義姉から連絡をもらって病院に駆けつけたサミュエル・コール・ビショップは,自分たちが離婚したこと,妻の流産の記憶が失われ,先妻がまだ自分たちが新婚だと思い続けていることを医師から聞かされます。初めは何という災難に見舞われたのかと思っていたビショップですが,「もう一度やり直すチャンスかもしれない」と義姉に言われ,少し考え方を変えたほうがいいのかもしれないと心の底で思い始めるのでした。その後自然回復のために安静にすることや記憶が戻ったときのためにずっと付き添っている必要があると医師に言われたビショップは,自分の会社を売却しようとしている大切な時期であることも放っておき,ローラのもとで過ごすことにします。隣近所や友達からの話で自分の記憶喪失を知ることになるとショックが大きいだろうと思い,できるだけ外部との接触をしないように心がけたり,少しでも記憶が蘇るように過去のことを話してみたりという努力を続けていき,数日後には少しずつフラッシュバックが起こり始めます。外出もビショップがつききりでいれば大丈夫だろうと,観劇に出かけたりしますが,部分的な記憶の蘇りに違和感は抱いたものの,二人が離婚していることや赤ん坊の喪失などの記憶はいっこうに蘇りません。そうこうしているうちに,ビショップもローラに誘われて再び夫婦としての生活をしてもいいのではと思い始めました。そして,遂に記憶が戻ります。それはローラが妊娠したかもしれないと検査薬を試し,失敗したことが分かったときでした。ローラの心がこのことによる衝撃から自分を守るために記憶を封じ込めていたことの証拠でした。心臓に病を抱え出産後にも自分の子供への遺伝を心配することを二人はかなり時間をかけて話し合ったのですがリスクを承知でのローラの決意をビショップも認めることがやっとできたのです。そして,クリスマスを終え,新年のカウントダウンの時を迎えます。ビショップはこの時のためにある決意をしていたのです・・・。
 記憶喪失もの,夫婦ものですが,かなり静かに物語が進行し,ヒーロー,ヒロインそれぞれの心の旅路を描いたインナースペース的描写の多い作品です。しかし最後のハッピーエンドが愛の強さを描く秀作です。


タグ:ディザイア
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麗しのハウスキーパー [ロビン・グレイディ]

SHALOCKMEMO953
麗しのハウスキーパー Bedded by Blackmail 2009」
ロビン・グレイディ 水木はな





オーストラリアでは結婚予告から結婚証人まで1ヶ月かかるのに対して,ニュージーランドでは3日間でいいというのが,本作で知ったことです。土地開発会社の社長トリスタン・バークリーはハウスキーパーのエラが妊娠したということを知り,ニュージーランドに渡って結婚します。8ヶ月間ハウスキーパーとして働いてきたエラが気になりだし,ベッドを共にしてから2週間。エラがいつも来ているお仕着せのハウスキーパー着から,パートナーとしてパーティに出席するためにイブニングドレスに着替えた瞬間から,エラのたぐいまれな美しさを知り,その料理の腕やいつも自分の要求を先んじて準備してくれていること,そして「他に御用事はありませんか?」といつも聞いてくれることなどからハウスキーパーとしての完璧さを見抜いてはいましたが,さらに美しさまでもっているとは・・・。まさに理想の結婚相手と意識してから,エラとの結婚を考えていたトリスタンですが,それは愛から始まったことではありませんでした。トリスタンがいつか愛の言葉を言ってくれるようになると,とりあえず便宜的な結婚を認めたエラですが,エラの側からも腹違いの兄からの執拗な脅しから逃れるためにトリスタンのもとへやってきたという事情があり,自分で何とかしようとは思いながらも守ってもらえるという安心感も捨てがたいものでした。しかも自分がトリスタンに愛情を感じているとあっては,まさに渡りに船の心境だったのです。トリスタンの側にも,兄との確執,バークリーホテルの経営陣への兄の執拗な誘い,弟ジョシュの結婚式への参列にエラにそばにいて欲しいと思っていることなど様々な事情を抱えているのでした。そして,二人の関係は深まると思われたところに,互いに抱えている事情を素直に話し合うことが出来るようになったところに,エラがかつて付き合っていた医師との関係や義兄の嫌がらせなどが重なり,トリスタンはエラに対するかすかな疑念の心が芽生えます。二人の気持ちが対立しようとしたときに,義兄がいよいよ切羽詰まってエラを襲おうとします。この事件がきっかけでトリスタンがエラをどれだけ必要としていたかに改めて気づくのでした。
物語はたんたんと進みますし,二人の気持ちが少しずつ近づいて行くのも丹念に描かれていて,ロマンス小説らしいストーリー展開です。トリスタンの兄や弟のロマンスも読みたくなる作品です。


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シンデレラの真珠の涙 [ロビン・グレイディ]

SHALOCKMEMO712
シンデレラの真珠の涙 (ウルフたちの肖像 4) Fearless Maverick 2011」
ロビン・グレイディ 山科みずき





シリーズ第4作。本作のヒロインは元オーストラリア・サーフィン大会で優勝経験を持つエリザベス・ヘンダーソン。練習中の事故で片足を失い,理学療法士として自活している。ヒーローはウルフ家の双子の兄妹の兄アレックス・ウルフ。妹のアナベルとはメールでのやり取りがあるだけ。やはり父ウィリアムとの不和の基になった不幸な出来事以来,家には寄り付かなくなり,カーレーサーとして成功を収めている。しかし,レース中の事故で片方の肩と腕を痛めてしまう。一日も早くレースに復帰し,今年のシーズンでも優勝を飾りたいと焦る気持ちでいる。治療としてあとは療法的に万全を期さないとレースへの復帰は無理。次のレースはあきらめるものの,数週間後のスペインでのレースからは何とか復帰したいと考えている。そこで優秀な理学療法士としてエリザベスが紹介を受け,理学療法を施すことになる。アレックスがレースに復帰するためには,エリザベスの報告書に基づいて医師がゴーサインを出すことになる。回復状況の見極めはエリザベスにかかっているといっても過言ではない状況だった。

二人の努力の甲斐あって,何とかスペインのレースには間に合う程度に治療が進む。ところが二人の間には何物にも代えがたい気持ちの交流が芽生えていた。しかも,明日は報告書を出すという晩,階段で転びかけたエリザベスを支えようとしたアレックスは再び肩を痛めてしまう。アレックスは紙切れ一枚を残し,レースに出るために別の理学療法士を依頼することにするのだった・・・。
家族との不和から一人の女性との一生を考えられないアレックス。片足を失い,自分が男性に対して臆病になっていることをわかってはいても,なかなか思いきれないエリザベス。二人でいるところを写真にとられてマスコミに騒がれたことや,アレックスがナサニエルの結婚式よりもレースに出ることを優先させようとする姿勢が二人の関係の進展を妨げる。レース場で出会った少年との会話が,アレックスの気持ちを劇的に変えるのだが,二人の関係はどのように変化していくのかが読みどころの作品。


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