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恋を演じて [マーガレット・ウェイ]

SHALOCKMEMO1401
恋を演じて Strategy for Marriage
( Contract Brides 2 ) 2002」
マーガレット・ウェイ 井上京子





 原題は「結婚計画」
 ヒロイン:クリスティン(クリスティ)・プルーデンス・パーカー(?歳)/会社員/170センチ,長いブロンドの髪,明るく澄んだ緑色の目,黒い眉,美しい顔立ち,顎のくぼみ/
 ヒーロー:アッシュ・マッキノン(?歳)/牧場主/190センチ,黒く輝く目,腕や背中の硬い筋肉,日に焼けた肌,つややかな黒髪,まっすぐな鼻,きりりとした唇,力強い顎と頬の線/
 従妹の結婚式に招かれざる客が訪れ,アッシュ・マッキノンは声を掛けます。場所はオーストラリアのアウトバック,クイーンズランド州南西部チャネル・カントリー。開拓時代から続く名門マッキノン家の当主アッシュが保有する領地は200万エーカー(1エーカーを約40.5アールとして8000万アール=80万ヘクタール=日本の面積の約2.2倍)。ブリスベーンのマッキノン・リバーサイド邸で結婚式が行われ,披露宴の最中でした。アッシュ10歳の時,ブロンド美人であった母は家族を捨てて他の男性の元に出奔し,2番目の夫との間にも息子が産まれます。その事実がすり込まれてしまったアッシュは女性を,特に母を信じられなくなるのでした。今回結婚するのは叔母メルセデスの娘カリスタです。相手は弁護士のジョシュ・ディーキン。そして招待状を持たずに披露宴会場に無理やり入ってきた女性は,どうも新郎の元恋人ではないかと思われます。従妹の幸せのためにもこの女性を近づけてはいけない,と思ったアッシュは何気なく近づき,ホールから出るように仕向けるのでした。ボッティチェリの絵画の人物のような妖艶な美貌を持つ女性。やはりジョシュとは知り合いだったようです。しかもジョシュに様子を見るとジョシュの側にはどうも彼女に対する未練が残っているかの様子。事情を聞くとミズ・ボッティチェリと勝手に名付けた女性はクリスティン・パーカーと名告り,やはり自分を捨てたジョシュへ仕返しをするために会場にやって来たということでした。しかし,結婚式をぶちこわしにしようとしたのではなく,ジョシュを慌てさせようとしただけだというのです。アッシュは信じることはできません。そしてこれほどの美貌の女性を捨てたジョシュにも腹が立ちます。とにかく新郎新婦が無事ハネムーンに出かけるまでは,彼女から目を離すことができないと思い,アッシュは一計を案じます。叔母にも親類にもアッシュはそろそろ身を固めるべきだと言われ続けてきました。従妹の夫の元恋人という微妙な立場を除けば,美貌のクリスティンに惹かれる自分の結婚相手の条件に沿う女性かどうかを見極める必要があります。そこで,アッシュはクリスティンを自宅に送りとどけ,さらにそのまま領地の牧場に連れて行くことにするのでした。名目は?もう一人の従妹ニコル夫妻が休暇で出かける1カ月間,二人の子供たちケイトとキットも連れて行きたいので,その相手をしてくれないかということにします。幸いケイトもキットも美しいクリスティンが気に入り,彼女も一緒にオーガスタ・ダウンズ牧場に来るということでとても喜んでくれます。こどもたちの話を聞き,クリスティンも断る理由がなくなって牧場への同行を認めるのでした。自身も小規模ながら農業を営む両親の元で育ち,乗馬は大得意でした。アッシュの母はいわゆる都会での生活を好む女性で,この人里離れた,隣家が何キロも離れている場所での生活に耐えられなかったのです。そのためアッシュは結婚相手への厳しい条件を求めていました。「妻,それに母親,若くて,そこそこ器量の良く,思いやりがあって,信頼できて,責任感のある,自立していて分けなく采配を振れるくらい強い女性。マッキノン王国の采配を振るう女性。プラスアルファ,ベッドの上でも素晴らしければ・・・」と正直なところを会話の中でクリスティンに話すアッシュに対して「では,愛は?」「私は愛のない結婚の契約を結ぶほどやけになっているわけじゃないわ。」,かつてジャーナリストとして働いていたこともあるクリスティンはアッシュがなぜそこまで女性に対する見方が厳しいのかを探ろうとします。もし自分とアッシュがここで生活するとしたら,結婚の相手がアッシュだとすれば彼のことを知りたいと思うのは当然のことと思っていたのです。空気を読めるクリスティンはアッシュになにかそれを告げられない過去のこだわりがあることに気づきます。やんわりと時間を取りながらアッシュの母親のことを聞こうとします。また仕事中毒のアッシュに「あなたは自分の人生に愛を取り入れる時間がなかったのよ」と傑作な言葉を投げかけます。週末に邸宅で開催されるクラシック弦楽四重奏団による演奏会の段取りを任せられたクリスティン。これもオーガスタ・ダウンズ牧場で家事を仕切ることができるかどうかクリスティンを試す試みの一つだったのですが,クリスティンはそれに乗ってみようと思います。その時すでにクリスティンはアッシュに恋していることに気付いていました。音楽会には牧場のスタッフだけでなく近所の人たちも大勢やって来ます。その中に,富豪であるアッシュと自分の娘をくっつけたいと考えているミルナーヒル夫人と娘のジェマがいました。ジェマは初めアッシュの家になぜクリスティンがいるのか驚きますが,ニコルの子供たちを見てもらっているというアッシュの言葉にうなずき,使用人のようにクリスティンを考えます。そしてミルナーヒル親子は露骨にアッシュへのアタックをことあるごとに繰り返すのですが,クリスティンに対して,アッシュは幼い頃から知っているジェマには何の興味も持っていないと,それにあの母親がついてくるのなら余計そうだと突き放しますが,美しいクリスティンに嫉妬深いジェマは何かと難癖を付けてきます。「だったら結婚しようじゃないか」とアッシュは平然と言ってのけます。「ジェマのような昔のガールフレンドを遠ざけるための計画の一部?」と返すクリスティン。そして相変わらずクリスティンがジョシュに思いを残していると非難するアッシュ。
 アボリジニーたちにより悪霊の住む土地と考えられているこの土地。いつしかクリスティンはここを愛して始めていることに気付きます。それが土地の魅力なのか,土地を所有しているアッシュの魅力なのか。クリスティンの思いは彷徨いますが,やがてアッシュの申し出を受け入れる気持ちが強くなっていきます。それならジェマにも立ち向かっていかなければ・・・。そしてアッシュからの婚約指輪を受け入れるのでした。そしてニコル夫妻やカリスタ夫妻,その他親族が集まったパーティで二人は婚約を発表することにするのです。ジョシュの未練がましい言動やジェマの横やりはあったものの,ニコル夫妻やカリスタの母が二人を応援してくれ,アッシュと母との間の確執もクリスティンの努力で解消していきます。二人の結婚式にはアッシュの異父弟も介添え役を務めてくれるのでした。
 数あるロマンス作品の中にもこれほど理想的で古典的で完璧な美女が登場することは珍しいでしょう。ヒーローのアッシュも男性の典型と言っていいでしょう。完璧なカップルの誕生に読者も幸せな時を過ごさせてもらえますが,愛と信頼,その大切さも主題としてしっかり作り上げられた作品です。


タグ:ロマンス
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天使がくれた恋 [マーガレット・ウェイ]

SHALOCKMEMO1141
天使がくれた恋 Gaburiel's Mission
Guardian Angels 2) 1998」
マーガレット・ウェイ 高田真紗子





 守護天使が守ってくれるというお話しの第2弾。原題は「天使のお仕事」とでも訳せば面白いのかもしれません。ありきたりですが・・・。前作では天使がヒロインという面白い展開でしたが,本作は原則?に戻って守護天使が人間のヒロインを守るという設定になっています。
 テレビ局の美人レポーター,クローイ・キャヴァノー(24歳)は父と弟を事故で失い,そのショックから立ち直れずすっかり病気になってしまった母を高級療養所で預かってもらいながら仕事を続けています。療養所の支払いで精一杯でまもなく気に入っている家屋敷も売らなければならないかもしれない苦しい状態でした。天国から見つめる大天使ガブリエルは,そんなクローイを気の毒に思い,若い守護天使タイタスを使わすことにします。もしうまくいけば天使の羽を伸ばしてやろうと考えてのことでした。このあたりの天使の昇進制度などもちょっと人間界的で面白いですね。天使の年齢?不思議な気がします。さて,クローイの所属するテレビ局BTQ8では,最近,支局長が更迭され,温厚なコナーからバリバリの厳しい支局長ガブリエル・マグワイアが就任します。クローイは初めは敬遠しているのですが,次第にガブリエルの男性的な魅力に惹かれ始めます。ガブリエルも口では厳しいことを言いながら何かとクローイを気遣っている様子が見え隠れするようになってきました。互いに惹かれあっていることに気づいていても上司と部下の一線を超えないように二人とも互いの気持ちにブレーキをかけています。クローイはワザと若いスタッフの誘いに乗ったり,プレイボーイとして名高い老練な実業家などの誘いにいい返事をしたりしてガブリエルをやきもきさせます。またガブリエルの周囲には女性の眼差しが絶えないのですが,特に自分がガブリエルの恋人と公言しているテレビ局のオーナーの娘タラや先輩レポーター,ジェニファなどがクローイとガブリエルとの距離の近さを嫉妬されて不快な思いをします。しかし守護天使の導きで次々に特ダネや有名人とのインタビューに成功し,周囲からの人気がうなぎ登りに高まっていくのでした。そんな中,ガブリエルにアメリカのメジャーなマスコミ・オーナーから引き抜きの話しが来ます。少し回復傾向にあり,家に引き取ったばかりの母をおいてアメリカに行くわけにはいかないと,クローイはガブリエルとの別れを決意するのですが・・・。
原語綴りでは[Chloe]をクローイと表記しているのは発音に忠実にと言うことなのでしょうか。通常はクロエと表記するのが普通なのですが・・・。あるいはオーストラリア英語なのか?


タグ:ロマンス
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赤い砂漠の契り 上下 [マーガレット・ウェイ]

SHALOCKMEMO724
「赤い砂漠の契り   Sarah's Baby 2003」
マーガレット・ウェイ 片山 真紀





「オーストラリア奥地(アウトバック)の町クーメラ・クロッシング。その町を開いた名家であるとともに,町のほとんどを支配しているマックイーン家。そのマックイーン家を支配しているのは女家長ルースだった。ルースはマックイーン家を守るため,そして孫のキャルが後継者として家業を継ぐことを最優先にしていた。」この作品は,マックイーン家とクーメラ・クロッシングに住む人々,そして赤い砂漠に象徴されるオーストラリア,アウトバックに暮らす人々の一大絵巻です。キャルは,15歳で同級生のサラと相思相愛の仲になり,将来を誓い合うのでした。しかし,サラはある時,突然キャルに別れも告げず,町からいなくなり,それから15年の歳月が流れます。サラの母が亡くなったことで,数年ぶりにサラが帰郷し,キャルもサラも15年前と変わらず互いを思い合っていることを確かめ合います。しかし,サラがなぜ突然町を去ったかは,キャルには分かりませんでした。実は15年前サラは妊娠し,一人娘ローズを出産するものの,翌日赤ん坊が亡くなったと知らされ,キャルの祖母ルースからキャルを悲しませるからと説得されて失意のうちに町を離れたのでした。15年後,マックイーン家の援助を受けてサラは立派な医師として成功していました。町の診療所の医師ジョーは,老年に達し,不治の病も患っていたため,サラに後を継いで欲しいと考えていました。町に戻ってくることを決意したサラとキャルは再び15年間の空白を埋めるかのように交際を再開します。しかし,サラの胸には15年前に失った娘ローズのことをキャルに告げる勇気がどうしてもわきません。町の人々はサラを昔から知っており,サラが診療所を継いでくれることに感謝の意を持っていました。しかしルースはどうしてもキャルとサラが一緒になることを許せません。実はルースはそれを妨害するために15年前も,今も罪深い行いを平然と行っていたのでした。

物語は,このルースの罪深い行いを,サラが少しずつ,妨害されながらも明らかにしていこうとするミステリ的要素と,キャルとサラのロマンス的要素,そしてクーメラ・クロッシングに住む人々の暮らしとの3つの要素を中心に進められていきます。下巻では娘ローズが実は死んではおらず,診療の過程でサラ,キャル,ローズが偶然出会うことから急展開します。上下巻であるにもかかわらず,一気に読み進められる好著です。


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