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愛を盗んだ紳士 [キャロル・マリネッリ]

SHALOCKMEMO987
愛を盗んだ紳士 Protecting the Desert Princess 2014」
キャロル・マリネッリ 柿原日出子





王宮の中でしか生活したことのない世間知らずの王女レイラ。砂漠の国イシュラの王女で兄のザヒドはトリニティと結婚したばかり。新婚旅行でオーストラリアにいく兄夫婦について行くことにやっとの思いで父国王を説得したのでした。しかも侍女のジャミーラの監視付で・・・。レイラはインターネットを駆使してオーストラリアで自分のやってみたいことリストを手伝ってくれそうな男性を捜します。彼女が目指したのは,現在罪を犯した男性を弁護して国中の非難を浴びている法廷弁護士ミカエル・ロマノフでした。冷徹で依頼人のためなら何事にも躊躇せずに取り組む男性。きっと彼なら私の望みを叶えてくれるわ。そう思ったレイラはオーストラリアで義姉のトリニティと一緒にショッピングに行った時を見計らって行方をくらまし,ミカエルの事務所に行きます。不利な裁判の最終弁論を目前に控え大量の資料を基に弁論要旨を準備していたミハイルの元に銀色に光るドレスとハイヒールを履いたレイラが事務所で待っていました。始めに彼女を見た瞬間ミハイルは三日月を思い浮かべます。そしてわけの分からない理屈で自分の1週間の間の世話を命じるレイラ。初めは腹が立ったミハイルでしたが何も出来ずにしかも王女だからと宣言して自分に飲み物をもってこさせようとするレイラに,なんとなく彼女をこのまま追い出すことが出来ない思いに駆られてしまったミハイルでした。それから数日間レイラの冒険が始まります。これまでの24年間で経験できなかったこと,普通の一般人の生活を体験していく中で,晴れ晴れと国に帰って親の決めた相手との結婚をしなければならないレイラ。でも父を始め家族を大切にするレイラにとってはつかの間の介抱された日々でした。しかし,その結果,この生活で近づいてしまったミカエルとの別れは想定外のことでした。そしていつの間にかミカエルを愛してしまったレイラにとってはこの別れこそこれまで体験したことのない,厳しい現実でもありました。ミカエルもまたこの想定外の王女との数日間は,裁判で負けたにもかかわらずそのことを悲しむ間もないほどの心に残る日々になったのです。ついに父王に隠していたレイラの失踪が知られるところとなり,1週間を待たずして帰国の日がやってきてしまいますそれでも毅然と王女らしく帰国したレイラ。父に叱責されることを覚悟したレイラでしたが,トリニティはレイラの気持ちに気づき,本当にこのままミカエルと別れてもいいのかと聞かれてしまうと涙が止まらないレイラでした。以前にも増して厳しく行動が制限されたレイラ。そしていよいよ婿選びの日がやってきました。客間に向かうレイラは大声でわめき,倒れてしまいます。その声を聞き及んだ父王は,プロポーズの許しを得にやってきたミカエルに,レイラをなだめることが出来るかと尋ねます。この時すでに父王はレイラの気持ちを知り,二人の交際を認める覚悟が出来ていたようです。まったく我が儘で世間知らずのレイラですがその純な心は愛らしく,人を疑うことを知らない無垢な人柄を包容力を持って愛していけるのは,幼少の頃苦労した経験を持つミカエルのような人でなければ,ただ面倒くさいと思ってしまうことでしょう。
ミカエルとともに路上生活を経験したことのある親友デミヤーンと赤ん坊を産んだばかりの妻アリーナもレイラとミカエルの味方になり,ミカエルの事務そのスタッフ,ウェンディも結構重要な場面でいい働きをします。オーストラリアのおおらかな風土を感じ取ることの出来るシリーズ第3作。オススメです。


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シークに言えない秘密 [キャロル・マリネッリ]

SHALOCKMEMO933
シークに言えない秘密 More Precious than a Crown 2014」
キャロル・マリネッリ 山口 西夏





「ウエイトレスの初恋(SHALOCKMEMO823)」の関連作ですが,登場人物等に関連性はありません。イシャラ国の王子ザイードは大学時代の友人ドナルド・フォスターの結婚式の介添人を務めるためにイギリスにいました。そしてそこにはずっと昔にキスをした相手ドナルドの妹のトリニティが花嫁の付添人としてくることになっていました。家族にとってのお騒がせお嬢さんのトリニティは今回も来るべき時間にはまだ会場に来ておらず,空港でやっと母親と出会うことが出来たようだという知らせが入ったばかり。母親の「トリニティはどこ?」というのは何度もフォスター家で聞かされた言葉でした。出会ってみてザイードは相変わらずトリニティに惹かれていることに気づきます。そしてトリニティの目にもザイードを意識している様子が見えました。しかし,ザイードは父王の後継者として隣国の王女との婚約を控えている身。親友だったドナルドには大きな借りがあったのですが,これまで何度もドナルドの金欠を助けてきた経緯があり,今回限りでフォスター家とのつながりは終わりにしたいと思っていたのです。しかし,トリニティとのつながりは続けていきたいと想う気持ちを抑えることは出来ませんでした。相変わらずドナルドは無計画に結婚式を挙げ,新婚旅行の費用ですらザイードに都合してくれないかと頼む始末。しかもコカインのためハイになっているのは相変わらずです。そんなドナルドに嫌気がさしているのはトリニティも同じ。しかもトリニティにはザイードには言えない過去の秘密があったのでした。そして伯父から受けた過去の心の傷を引きずって,体面ばかりを気にして自分の娘を守ろうともしない両親にも嫌気がさしていたのです。式の後に偶然そのことを知ったザイードは,これ以上トリニティを家族の下に置いておくことが出来ないと考え,イシャラへの帰途にトリニティを連れて行くのでした。二人に将来はない,ということは二人ともわかっていましたが,イシャラ国でザイードの妹レイラから歓迎を受け,レイラの英語の授業の講師として滞在を許されたのでした。そしてザイードの婚約者サミーナ王女を招いてのパーティにトリニティも参加させられます。食事後王女とザイードが散策した後ニコリとして戻ってきたザイードを見ていよいよ自分の居場所がここではないと感じたトリニティ。さらに父王から帰国するよう圧力をかけられ,そのままジェットに乗ってしまうトリニティでした。実はザイードが微笑んだのは,サミーナ王女もまた婚約に乗り気ではないことがわかったからでした。トリニティとの将来に光が見え始めたので微笑んだのを勘違いしたトリニティだったのです。兄のドナルドの急死の知らせを受け,帰国したトリニティをザイードは追いかけます。そして散骨場所で両親や伯父にくってかかるトリニティを見て,ザイードは助け船を出します。卑劣な伯父はその場を逃げ出し,母はトリニティに謝罪するのでした。トリニティを伴って帰国したザイードは父王は,過去の自分の過ちから立ち直り,愛を全うしようとする息子を全面的に応援するのです。エピローグでのハッピーエンドは,これまた前作同様しゃれた終わりかたをします。ちょっと反抗的で,でも傷つきやすく,そして最後には芯の強さを発揮するトリニティがとても素敵な作品です。


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希望と名づけた愛の証 [キャロル・マリネッリ]

SHALOCKMEMO854
希望と名づけた愛の証 His Pregnant Mistress 2005」
キャロル・マリネッリ 遠藤靖子





ちょっと複雑な人間関係を巧みに描いたロマンスです。ミアのお腹の子は初恋の人イーサンの弟の子供です。しかし,イーサンの弟リチャードは同性愛者。その秘密が後半明かされ,ミアのお腹の子はリチャードの子であるはずがないとイーサンが勘違いして言い争いになります。妊娠七ヶ月ながら陣痛が起きてしまうミアですが,かつて恋人だったイーサンが自分を愛してくれるかどうかについては,最後まで堂々と確かめようとするミアです。この頑固さが,読者がミアに親しみを感じる強い魅力ですね。富豪のイーサン・カーヴェルは,カーヴェル家のお金目当ての女性しか相手にしてきませんでしたから,金銭的なものよりも心からの愛を求めるミアを信じることがなかなかできません。そして,弟リチャードの秘密が明かされて初めて,自分が弟を心から心配し愛していたことに気づくのでした。そしてミアに対する体も心も求めようとする自分の気持ちにも素直になれるのでした。初めての出会いから七年間もイーサンを想い続けてきたミアにも感動しますが,様々な誤解を生むような状況の中でミアの言葉を信じていくイーサンの苦しさにも同情を覚えます。そしてなによりも強い愛の力が輝いていく結末に爽やかさを感じる作品です。邦題の「希望(ホープ)と名づけた愛の証」はそのまま結末をも示していて,邦題としては傑作だと思います。


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ウエイトレスの初恋 [キャロル・マリネッリ]

SHALOCKMEMO823
ウエイトレスの初恋 The Only Woman to Defy Him 2014」
キャロル・マリネッリ 山口西夏





ロシア人の富豪デミアン・ズーコフはシドニーに帰ってきていた。臨時雇いで秘書として派遣会社からやってきたのは,アリーナ・リッチー。デミアンはペントハウスや農園を売り払い,オーストラリアを完全に離れようとしていた。そこで秘書には不動産売買の経験を持つ人という条件をつけていた。普段はレストランのウエイトレスをしているアリーナは,母親が経営していた花農園を売るときに事務を手伝った程度の経験しかなかったが,派遣会社から,あのデミアン・ズーコフの秘書と聞いて募集に参加しようと考えたのだった。アリーナは画家を目指しており,しかも描くものは花の絵だけを好んで描いていた。翌朝8時2分前に指定されていたホテルのスイートルームに出かけると,次々に乱れた姿の美女たちが部屋から出てくるではないか。雇い主のデミアンもきっと寝乱れた姿でいるだろうと想像して,顔を赤らめながら3人目の美女と入れ違いに部屋に入ってみると・・・。
こんなスタートを切ったデミアンとアリーナですが,ネットや雑誌記事で有名なデミアンに,息子ロマン,ロマンの母親ナディアとの複雑な関係や,ロシアで路上生活のような生活をしていた幼少時代,そして叔母と共にシドニーにやってきて成功するまでの過去が次第に明らかになってきて,アリーナとデミアンのジョークにあふれた会話とともに二人の関係が深まっていく様子,さらにはアリーナも幼少の頃に家を出て行った父親との関係など,それぞれが解決しなければならない過去を引きずっていることが明らかになっていきます。保有するペントハウスの売却に自分の絵を飾ることを提案したり,頭痛薬を箱ごと持ってくるように言われたのに2錠だけしか持ってこないアリーナに,ふと興味を持ったデミアンが,アリーナのモデル体型ではない豊かなスタイルに好印象を持ったりと,徐々に惹かれていく様子が克明に描かれています。そして,二人の関係が予想以上に深まったところに,息子ロマンが突然現れ,デミアンはロシアに去って行きます。その後ウエイトレスの仕事を続けながら絵を描くことでデミアンを忘れようとしていくアリーナの孤独と悩みが巧みに描かれていきます。デミアンは再びアリーナの元にどんな形でやってくるのでしょうか。そして二人の関係は・・・。終末は,とてもしゃれたひと言で終わっています。


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恋する個人秘書 [キャロル・マリネッリ]

SHALOCKMEMO803
恋する個人秘書 A Legacy of Secrets 
華麗なるシチリア 1) 2013」
キャロル・マリネッリ 井上絵里





「シチリア島のコレッティ一族」を主人公にしたシリーズの第一弾。一族の最長老テレサ・コレッティの存在が軸となりそうです。シリーズ幕開けの本作のヒーローはサント・コレッティ。プレイボーイで映画プロデューサー。個人秘書のエラは,有能でサントのあらゆる要望に応えていますが,自身もサントに惹かれています。しかしそれを表に出しては個人秘書は務まりません。エラには実は映画監督になりたいという夢があります。そのため,サントの秘書をして少しでも現在作られている映画の近くにいたいと思ったのでした。この映画の撮影の裏側が少し語られていきますが,最後に船が登場する映画,ではよくわかりませんが,主演女優がテイラーということは,テイラーと言えば,あの大女優しか思い浮かびませんが,そうだとすれば,撮影場面が生き生きと想像できます。さて,コレッティ一族はシチリアで存在感の大きい一族だがサントの父カルロと祖父サルヴァトーレの時代に大きく変化しました。本作ではあまり詳しく書かれていませんし,公にはできない多くのことをしてきたのでしょう。対立する一族との抗争がまだ続いています。しかしサントは映画作りに集中していました。エラの母ガブリエラはシチリアの出身でエラの叔母たちもまだ島に住んでいます。ガブリエラは結婚してオーストラリアに移住しましたが夫は薬物中毒で妻や娘に暴力を振るう人でした。エラはなんとか自立して母を夫の元から逃がそうとしていますが,母は何かと理由をつけて夫の下を離れようとしません。そんな母を信じられない思いでいるエラ。このエラの親子の問題は本作の中でサントが見事に解決します。サントはと言えば,映画の監督の脚本の理解が自分と違うことで次々に監督を替えていきます。そして最も脚本を理解しているエラを監督に据えることにするのですが,エラにこのままベッドを共にするか監督業に集中するかを選ばせます。もちろん監督業を取るエラですが,その後のサントのエラに対する態度の激変に,エラも戸惑うのでした。映画の撮影終了が二人の関係を急激に変化させるのですが・・・。


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美しすぎる億万長者 [キャロル・マリネッリ]

SHALOCKMEMO729
美しすぎる億万長者 Hired : The Italian's Convenient Mistress 2008」
キャロル・マリネッリ 加納三由季





オーストラリアからやってきてバックパックを背負った若い女性エーンズリー・ファレルは,勤め先のナニーを解雇されたばかり。屋敷の奥様の密会を見つけてしまい,奥様は自分の非を隠すためにナニーが宝石を盗んだと言いがかりをつけ,解雇したのだ。一方,むずがる幼児を抱え,困り果てている様子のイタリア人紳士。そんな二人が出会ったのは,ロンドンの地下鉄の中だった。二人は押し出されるようにして地下鉄の駅に降り立ったものの,赤ん坊の様子が気になるエーンズリーは紳士に「何かお手伝いしますか」と声を掛ける。多くの人たちが困っている様子の紳士を見て見ぬ振りをして過ぎ去る中,エーンズリーとイタリア人土地開発業者エリヤ・ヴァナルディは,赤ん坊をあやしながら,エリヤの家に向かう。折しもクリスマスの直前。子供の面倒を見ることに不慣れな様子と,自分が勤め先を解雇されてしまったことから,エーンズリーは数日家にとどまって,エリヤの甥,グイドの世話をすることを承諾する。実はグイドは,エリヤの妹夫妻の子供だが,夫妻が交通事故で突然亡くなってしまい,グイドを引き取ることにしたばかりだった。やがて福祉局の担当官リタ・アンダーソンがやってくる。グイドには父親の親戚カステッラ夫妻も真剣を求めて福祉局に申請を出しているとのこと。しかし,ヴァナルディ家とカステッラ家は犬猿の仲。グイドを妹夫妻の財産目当てで引き取ろうとするカステッラ家の企みをよく知っているエリヤだが,故国から遠く離れたここロンドンでは,その事情は知られていない。甥を引き取る条件は愛情深い,温かい家庭があることだが,エリヤは独身,しかも若い頃生きていくために盗みを働いたこともある。家庭を築くため,グイドがなつき始めたエーンズリーにエリヤは婚約者になって欲しいと頼み込む。勤め先を失い,しかも借金を抱えているエーンズリーだが,愛のない結婚にはためらいを感じている。しかも次第にエリヤの魅力に負けてしまいそうになるエーンズリー。やがて,元の雇い主が離婚したことを知ったエーンズリーは雇い主に会いに行く。そしてその後を,誰かがつけてきているのだった。
経済的にかなり裕福になることが分かっていても,愛のない結婚には断固として首を縦に振らないエーンズリー。そして,甥のグイドも大切だが,エーンズリーを愛していることにやっと気づいていくエリヤ。二人の気持ちはシンクロしていくのだろうか。そしてエーンズリーの後をつけていたのは誰か。意外な展開を見せ,物語はエピローグへと向かっていく。最後のどんでん返しが見事な秀作。


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