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君を傷つけた理由 [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO1230
君を傷つけた理由 The Reluctant Husband 1998」
リン・グレアム 高木晶子




HQSP-106
16.03/¥540/208p

R-1449
99.01/¥672/156p


 原題は「乗り気でない夫」
 ヒロイン:フランチェスカ(フランキー)・カパレリ(21歳)/旅行会社共同経営者/漆黒のまつげ,澄んだ緑色の瞳,赤と赤銅色と金色のが混ざった髪/11歳でロンドンからサルディーニア島シエンタの祖父の元に連れてこられ16歳で結婚,半年で離婚/
 ヒーロー:サンティーノ・ヴィターレ(29歳)/銀行家/身長193センチ,気むずかしい天使を思わせる男の臭いが香り立つクラシックな顔つき,くすんだ金色に光る瞳/
 「サンティーノは裕福らしい」かつて結婚し半年間しか続かなかった結婚生活。その時フランキーは16歳でした。大学生のサンティーノに憧れ,追いかけ回すばかりの女の子だった自分。5年後の今,友人と共に営む旅行会社の経営立て直しに必要なヴィラとの契約を取るためにサルディーニアに戻ってきたフランキーは,そこで元夫のサンティーノに出会い,しかも衝撃の事実を告げられるのです。二人の離婚は成立していないと・・・。つまり二人の結婚の事実はまだ有効で,しかもサンティーノはこの5年間フランキーに毎月相当額のお金を振り込んでいたというのです。ひょっとして母がそのお金を使い込んでいたのでは・・・と疑いはするものの,自分の母がそんなことをしていたことを認めたくないという気持ちから,フランキーはプライドから嘘をつき始めます。それに一々反証を挙げ自分を責め立てるサンティーノ。当時如何に自分が幼く,しかも夫が別の美女と口づけしているところをたまたま見かけて,不実を理由にサンティーノの元を去ったのは自分の方だったので,忘れられない存在であるサンティーノを憎み忘れようと努力してきたこの5年間でもありました。サンティーノは3週間だけ共に生活し,その後正式に離婚しようと提案,というより命じられたとき,それで決着がつくのであればそれでいいと,かつてのように唯々諾々と夫の命令に従ってしまうフランキーでした。封建的で古い考えの持ち主のサルディーニアの祖父たちにとってみれば,家を飛びだしたフランキーが翌日サンティーノに発見されて連れてこられたのをみて,一夜を共にした男女は結婚しなければならないと祖父に責められ,サンティーノが仕方なく結婚を承諾したという事情からして,サンティーノ自分を愛していないと思い込んでいた幼いフランキーでした。そしてサンティーノもまた高額のお金を母と共謀して自分からだまし取っていたフランキーに相応の苦しみを味わわせたいと考えての3週間の提案でしたが,実はなかなかフランキーの魅力から逃れられないでいる自分に本当は気付いていてもそれを認めたくないという気持ちもあったのでした。次第に近づいて行く二人の気持ち。そして愛を交わすときの互いを惹きつける魅力。いつしかフランキーは母のデラが自分たちを騙していたことも知り,そしてサンティーノも騙されていることを半ば知りつつフランキーへの支援を続けていたのに気付いて愛を確信するのでした。サンティーノの両親からは,特に母親からは全く厄介者のように扱われてしまうフランキーを,サンティーノは弁護し,大切にしてくれるのでした。そしてフランキーは如何に自分が自分の夫のことを何も知らない子供だったかと言うことを思い知らされるのです。「サンティーノは裕福らしい。」それも,莫大な財産をもつ富豪であることを知らなかったフランキーでした。
 世間知らずの幼妻だったフランキーが本物の愛に目覚めていくまでの過程を描いた成長譚です。サンティーノもまた,兄の死によって家族から見捨てられた自分がフランキーの愛によって家族に受け入れられていくまでのサイドストーリーも描かれていて二重の成長譚になっています。8歳の年齢差はそれほど大きなものではありませんが,精神的な落差はかなりの開きがあり,その分愛らしく純真なフランキーの若さが強調されています。HQ文庫版の表紙モデルは意志の強そうなかなり激情的なフランキーの一面を表していますが,HQSP版の表紙モデルは儚げで純真そうな少女のときのフランキーをと対照的なイメージを伝えています。


タグ:ロマンス
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街角のシンデレラ [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO1205
街角のシンデレラ The Italian's Wife
( Mediterrranean Marriage 2 ) 2001」
リン・グレアム 萩原ちさと




HQB-722
16.04/¥670/200p

R-1834
03.01/¥672/156p


 原題は「イタリア人の妻」
 ヒロイン:ホリー・サンソム(20歳)/シングルマザー,ティミーの母/赤茶色のふさふさした巻き毛,純粋無垢な外見,160センチ/エクスムアの農場育ち
 ヒーロー:サヴェリオ(リオ)・ロンバルディ(29歳)/イタリアの旧家ロンバルディ家の長でロンバルディ産業を指揮する実業家/185センチ,金色の瞳
 「地中海の結婚」シリーズの第2弾で,ヒーローはイタリア人の富豪リオです。婚約者と気まずい別れをした後,帰宅途中でリムジンの前に飛びだしてきたのはベビーカーを押して道に倒れかかった若い女性でした。婚約者のクリスタベルはリオのフラットで別の女性と抱き合っていたのです。まさか自分の男性的魅力を否定されるとは思ってもみなかったリオにとっては衝撃の出来事でした。しかしそれより衝撃的だったのは,みすぼらしい格好でどうみても17-18歳ぐらいの子供づれの女の子だったのです。その女性ホリーは恋人のジェフに騙されてシングルマザーとなり,捨てられて生活に困窮した状態だったのです。とっさに自分の子供ティミーを守ろうと車の前に倒れ込んでしまったのでした。自分の経営する病院に運び込んで医師の診察を受けさせると,栄養失調になっていることが分かります。そして,警察にも福祉事務所にも連絡しないでくれと懇願するホリー。どちらにせよティミーが自分から取り上げられてしまうと恐れていたからでした。退院後自分の屋敷にホリーとティミーを連れていったリオ。とにかく数日はホリーの身体の回復を待つことにするのですが・・・。もうこの時点で母から結婚をせっつかれていたリオにとって,クリスタベルとの別れを決意し,その代わりとしてホリーを利用したいという気持ちがあったことは否めませんでしたが,それより純粋無垢なホリーの境遇やその隠された美しさに惹かれていく自分にも気付いていなかったのでした。それからは,ホリーとの結婚が有効な解決策と考え,着々と準備するリオ。そして思いがけない出来事の連続に驚きつつ,初めに出会ったときからリオの男性的魅力に惹かれてしまったホリーは信じられない思いで葛藤します。ティミーの子供部屋,ナニー,福祉事務所の係員に二人が結婚するつもりだと話すリオ,そして2週間後には結婚式を挙げていたのでした。そしてハネムーンに。何でも準備してくれ,ずっと一緒にいてくれるリオに心身共に頼るようになり,幸せにあふれていたホリーが目覚めたときにリオにかかってきた一本の電話が二人の別れのきっかけになるとは・・・。それは仕事上の電話でしたが,リオはアメリカへの出張を余儀なくされ,ホリーは一人でリオの母の元に顔を見せに行かざるを得ませんでした。しかしリオの母アリスからは財産目当ての結婚ではないかと冷たい言葉をかけられ,しかもそこにはリオの元婚約者クリスタベルも泊まっていたではありませんか。ありったけの勇気を振り絞って,リオが選んだのは自分だと言い切ったホリーですが,すでにすっかりリオとの結婚生活には自信を失っていたのでした。リオの帰宅を待ってクリスタベルとのことを聞き出そうとするホリーですが,いいようにあしらわれてしまいます。そして付き合い上どうしても出かけなければならなくなったパーティで,ホリーはクリスタベルとふたたび出会い,さらにリオがクリスタベルを連れてパーティを抜け出していく場面を見てしまいます。もう自分は元恋人と同じように今度も捨てられてしまうと観念したホリーはティミーを連れて実家に戻っていきます。
 思わぬ幸運でシンデレラ生活を送っていたホリーがリオとの結婚後,愛にたどり着くまでのあれこれを描いた作品です。15年前の作品ですがホリーの心の成長をも巧みに描いた読後感の素晴らしい良作です。


タグ:ロマンス
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孤独なバージンロード [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO1184
孤独なバージンロード The Expectant Bride
Greek Tycoons 1 ) 1999」
リン・グレアム 小林町子





 原題は「身ごもった花嫁」
 ヒロイン:エリー・モーガン(21歳)/書店員と夜の清掃員のアルバイト/小柄(152センチ),金髪(プラチナ色),目は澄んだグリーン/祖母はオランダ人
 ヒーロー:ディオニシオス(ディオ)・アレクシアキス(29歳)/アレクシアキス・インターナショナル社社長/長身(193センチ),濃く長いまつげ,くっきりした眉,細い鼻,意志の強そうな顎
 ある夜,アルバイトしている会社でフロア担当を出来心で同僚と交換してしまったエリー。そこは最上階の社長のフロアでした。奥の部屋には入ってはいけないと注意されていたにもかかわらず,2つあるドアの該当する部屋に入ってしまったエリーは,社長の電話の声を聞いてしまいます。秘密の電話を聞いてしまったと難癖を告げられ,あろう事か,秘密をばらさないようにこれから3日間,自分の監視の下でギリシアに同行するようにと勝手に決めてしまった相手こそ,社長のディオでした。何かにつけて自分の思い通りにしようとするディオにエリーはことごとく反抗的な言葉を投げつけます。小柄な女性から,いや他人すべてから反抗的な言葉を言われたことのないディオにとっては,この小柄な女性はちょっと面白い存在だったのです。ギリシアでは父の葬儀が待っています。仲違いして長いことたった父の葬儀という気の重い行事に行かざるを得ないディオにとってはエリーの存在はちょっとした気晴らしのような軽い気持ちでした。ヘリと自家用機をのりついでギリシアのチンドス島に行き着いた二人ですが,そこに待ち構えていたのは彫像とも見まごうばかりの完璧な化粧を施した美女ヘレナでした。ディオの男性的な魅力に参りそうになっていたエリーにとっては,まさにヘレナはディオと好一対のベストカップルに見え,自分はとても太刀打ちできないと不安な気持ちで一杯です。ところが,葬儀の終わった夜,ディオはエリーを求めてくるのでした。心の中では自分がもてあそばれているだけだと分かっていながらも,エリーはディオに自分の初めてを捧げてしまいます。それほど切羽詰まっていた二人の感情でした。そして数週間後,エリーは妊娠したかもしれないと気付きます。ディオに体調を聞かれて,思わず病気ではないが妊娠したかもと答えてしまうエリー。さぁ,そこからが大変です。ギリシアに向かったとき幅広の帽子とサングラスをかけたエリーですが,タブロイド紙がディオとエリーの写真を載せてしまったため,清掃員の同僚たちからもひょっとしてあれはエリーではないかと疑念を抱かれてしまったのです。じつはその写真を流したのは嫉妬に狂ったヘレナの仕業だったのですが,それを主張するとディオはヘレナがそんなことをするはずがないと,エリーの話しを聞こうともしません。5歳の頃から祖父にヘレナをいつか嫁にすることになると頭の中にすり込まれて育ってきたディオにとって,3歳年上のヘレナはまさに完璧な女性で卑劣なことなどするはずがないと思い込まされていたからです。ヘレナもまたディオの前では貞淑な女性を演じていますが,エリーには皮肉や冷たい言葉を投げつけるだけの人でした。自分を信じない人とはもう一緒に暮らしていけないと,結婚式の数日後に家を飛びだしたエリー。ところが,自分の貯金で買い取ろうと思っていた書店も,店主の甥が後を継ぐからと突然言いだし,職を失うことになってしまったのです。出産,育児と職業をどう両立していったら良いか愕然とするエリーですが,なんとかなるという強い気持ちを持ち続けます。一方エリーに去られてしまったディオは,調査した結果ある新聞記者から情報の元はヘレナだということを知り,エリーの言葉を信用しなかった自分を責め続ける日々を過ごしていました。友人の医師夫妻からの助言を得て,エリーの元を訪れ,ひたすら謝るディオ。二人の関係は復活されるのでしょうか。
 60巻にも及ぶ「ギリシアの富豪」シリーズの輝かしい第1作の見事な幕開けです。


タグ:ロマンス
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シークの隠された妻 [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO1164
シークの隠された妻 The Sheikh's Secret Babies
( Bound by Gold 1 ) 2015」
リン・グレアム 春野ひろこ





 原題は「シークの隠された子どもたち」。オクスフォードでの大学生活の間に出会ったクリスティーナ・ホイッティカー(クリシー)と結婚した砂漠の国マルワンの皇太子ジャウルは,クリシーをマルワンに迎えるため一端帰国します。しかしその時内戦が起こりジャウルは部下と共にミサイル攻撃を受け大怪我をしてしまうのでした。その間,イギリスに残っていたクリシーの元を当時のマルワン国王ルットが訪れ,息子の嫁にはふさわしくないので別れるよう迫ります。そして多額の小切手を残し,ジャウルと住んでいたフラットから追い出したのでした。クリシーは姉のエリザベッタ(リジー)のもとに身を寄せ学業を続けようとしましたが,ジャウルとの関係で妊娠したことを知り,愕然とします。そして出産した双子にタリフ(男の子),ソラーヤ(女の子)と名づけ,二人を生きがいとして生きてきたのでした。最近,ルット国王が亡くなり,ジャウルが国王となります。そしてクリシーは臨時雇いの教師として小学校の幼児クラスを担当していました。学期が終了して長期の休みに入った日に,クリシーの元をジャウルが訪れ,自分を捨てたジャウルから衝撃の告白があります。二人の結婚は無効だと聞かされていたのに,ジャウルは双方のどちらからも離婚の申し立てがなく,実はあの時の結婚はまだ法的に有効であったというのです。
 若くして燃え上がった二人が,若いときの強情さで折に触れて喧嘩が絶えず,それでも情熱に任せて幸せだった初めの結婚から,互いに成長し,二人の結婚を阻もうとした父王,そして祖父母の不幸な結婚生活(祖母もまたイギリス人)の影響で,すっかり固定観念に縛られていたジャウルが,クリシーの側から,過去に受けた苦しみを聞かされて,それが真実であることを知り,互いの愛の深さに気付いていくという大きな流れのある成長譚です。イギリス式のウエディングドレスでの二度目の結婚式と,民族衣装での三度目の結婚式を経て,マルワンの国民に受け入れられ,専門の幼児教育に関する国政への参加など王妃としての役割をこなしつつ,ジャウルとの家庭を大切にしていくクリシーの成長を描いた余韻のあるシンデレラストーリーでもあります。


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未熟な花嫁 [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO1145
未熟な花嫁 The Billionaire's Bridal Bargain 2015」
リン・グレアム 茅野久枝





 ポッと出の田舎娘が億万長者に金銭的援助付の契約結婚を申し込まれ,父や妹の窮状から止むに止まれず承諾したものの,結局は相手を愛してしまうと言うお話しです。お金のためではないと言いつつ,やはりお金の誘惑には負けてしまうという側面もあるのですが,磨けば光る要素をたくさん持っていた女性が,上流階級で本来の美しさを発揮し,それを鼻にかけないで満たされることを知る女性に成長することで,愛が長続きするということも物語っています。
 母の遺言でエーゲ海のリオノス島の所有者でありながら貧しい生活を強いられていたエリザベッタ・ホイッティカー,通称リジーは,かつて島の本来の所有者であったサバティーノ家の当主で製薬会社を経営するチェーザレ(イタリア語の苦手なリジーはシーザーと読んで笑われるのですが・・・)に,取り引き結婚を申し込まれます。つまりチェーザレが本来の島の所有権を得るためにはリジーか妹のクリシーと結婚するしか方法がないからでした。リジーは次々に男性と浮き名を流し落ち着いて家にいたことのない母を疎ましく思っていましたが,まさかその母の遺産が自分たちの経済的窮状を救ってくれるとは思いませんでした。経営破綻に貧している農場の牧草地にヘリコプターで降り立ったチェーザレは,長身でハンサム,イタリア人紳士らしい男らしさにあふれた男性で,これまでにリジーが会ったことのないタイプでした。しかし羊の放牧地にヘリで降り立つという非常識な行動のおかげで羊たちが逃げ惑い,それをまとめようとした牧羊犬のアーチーが羊の群れに押しつぶされ脚を骨折するという不運に見舞われるや,リジーはチェーザレに腹を立て真っ向から怒りをぶつけたのでした。女性からこんなに激しく非難を受けたことのないチェーザレは驚くとともに,相手の生き生きした瞳やふとしたときに魅せる隠された美しさに惹かれてしまうのでした。その後,契約結婚の申し出をして返事をもらうことにするのですが,リジーの父は投げやりな言葉を返すばかり,そして大学から帰省した妹クリシーは大学をやめて働くと言い出すなど,リジーがこの話に乗らざるを得ない状況が立て続けに起こります。そしてチェーザレに承諾の返事をしたその日のうちにヘリコプターで家を離れ,あれよあれよと言うままにチェーザレが全ての段取りを付けて二人の婚約が発表されてしまいます。リジーにはかつて幼なじみで隣人のアンドリューと婚約した経緯がありました。しかしアンドリューは婚約中に別の女性を妊娠させてしまい,破談になってしまいます。またチェーザレは初恋の相手セラフィナが自分を捨てて50歳も年の離れた富豪男性と結婚してしまったという経験を持っていました。互いに相手の過去の相手のことを聞かれると機嫌が悪くなってしまうのですが,本物の結婚らしく家族に魅せるためには過去のことも打ち明け合う必要があり,喧嘩しながらも少しずつ相手のことを知ろうとします。そして将来の子孫を残すためには・・・。リジーにとってはそのことが一番苦手なことでした。経験のない彼女はパーティで酔った勢いでチェーザレに身を任せます。そして彼女の初めてを知ったチェーザレはリジーが自分にとって欠かせない存在であることに気づいていくのでした。その後,チェーザレのかつての恋人セラフィナの意地悪などがありますが,リオノス島の屋敷の改修も終わり,祖母をつれて島に渡った三人にはさらに家族が増えていくのでした。ハッピーエンドに終わる物語で特に大きな盛り上がりもない,リジーとチェーザレの成長譚という次第です。


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永遠のイブ [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO1101
永遠のイブ The Winter Bride 1997」
リン・グレアム 上村悦子





アンジーは13歳のころからレオに憧れを抱いていました。そして19歳の時,あるチャンスがやってきます。妻と子供を事故で亡くしたばかりのレオに身を投げ出し,妊娠したのです。しかし執事の娘である自分がレオと結婚することなどできないことだと思っていました。ただ,愛児を失ったレオを慰めたくて妊娠を望んだのでした。ところがレオの従兄弟のドリューがここに割り込んできます。レオに捨てられたアンジーは,ぐうたらなドリューと毎夜のように遊び歩き・・・。ドリューとアンジーの間には何の関係もありませんでしたが,レオはそれを誤解し続けていきます。そしてある夜,屋敷の貴重品を盗み続けてきたのが自分の関係者であると知ったところをレオに見つかり,窃盗犯はアンジーだと決めつけられてしまい屋敷を出ざるを得なくなるのでした。そして愛息ジェイクを出産したアンジー。それから1年半あまりたったころ,突然アンジーの元をレオがやってきます。アンジーを探し続けてきたというレオ。家政婦兼ナニーをしていた雇い主に話を付けレオは自分のフラットにアンジーを連れて行き,さらに昔の屋敷にアンジーとジェイクを連れて行くのでした。ジェイクがレオの息子だといつ言ったらいいのか?レオの祖父はいつそれに気付くのだろうか?自分の父はそのことを秘密にしていてくれるだろうか?そんな不安な気持ちのままのアンジーでしたが,再びレオに会い,見つめられるだけでとろけてしまう自分に,レオへの愛は消えていないことに気付き,でもこれからもどうしようもないことだと言い聞かせるアンジーでした。
クリスマスイブが,本作のクライマックスですが,邦題の「永遠のイブ」はここから来ているようです。原題が「冬の花嫁」という味も素っ気もないタイトルですから,この邦題はGoodですね。そしてアダムであるレオをイブであるアンジーが誘惑したという意味が示されているようです。そして12月24日が誕生日であるアンジー。アンジーの本名は「エンジェル」?。


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ギリシア富豪の逃げた小鳥 [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO1040
ギリシア富豪の逃げた小鳥 The Secret His Mistress Carried 2014」
リン・グレアム 槇 由子





十代のころ祖母の世話のため高学歴を重ねることができなかったビリー・スミスは祖母亡き後,清掃員をして生計を立てています。あるときいつもどおり部屋の掃除で訪れたフラットで男性が苦しそうにソファーから転げ落ちたのを見て慌てて医師を呼び,世話をします。その男性こそギリシア人富豪ギオルギオス(ギオ)・レトソスでした。それにしても,ビリー・スミスというどこにでもあるような名前は男性の名前のようでもあり,特に記憶に残る名前でもないため,ヒロインが取るに足りない存在だったことを示すために敢えて付けられた名前のように思えます。ギオはそのビリーの対応を気に入り,翌日からギオの専属清掃員として働くよう会社に掛け合ったのです。大金持ちの豪華なフラットでの仕事,ひょっとして雇い主が自分を気に入って・・・とシンデレラを夢見たビリーですが,その生活はまさしく愛人の生活でした。日中の空いた時間を使ってビリーはいろいろな講座に通い,次々に資格を取っていきました。自分が日陰の存在であるのはギオの所属する上流階級に自分がふさわしい教養を持っていないからだということを思い知らされることがあったからです。そして思いがけない妊娠。子供はいらないと常々ギオが言っていたので,ビリーは書き置きを残してギオの元を去ります。それから2年後,突然ビリーの元をギオが訪れます。ビリーは一人息子セオの存在をギオに告げていませんでした。それはギオがビリーが去る直前,美貌にあふれた上流社会の女性カリストとの結婚が決まっていたからでした。このまま一生愛人としての生活を送ることには耐えられなかったからです。ビリーはバーテンダーを仕事とする従姉妹のディーと二人の子供の暮らす隣室に引っ越し,セオを出産してヴィンテージ・ショップを経営していました。そこそこの売り上げがあり,「ビリーズ・ヴィンテージ」は固定客も付き始めていたのですが,突然のギオの出現でビリーはパニックに陥ります。そしてセオの存在に気付かれないように必死の思いだったので,ギオが関係を復活させたいと申し出てきたのに強く反発したのでした。翌日フラットにギオが訪れ,セオの存在が知られてしまいます。自分の息子を隠していたビリーを責め,法に訴えても息子を連れて行くとビリーを脅かすのでした。富豪のギオに取ってみればなんの力もない自分からセオを奪ってしまうこともできるだろうと思い,自分もセオと一緒にギオの元に行くことを承諾せざるを得なかったのです。ギオは数年が過ぎた今も,なぜビリーが自分の元を去ったのか理解できませんでした。そして自分の要求に強く反発するビリーの変化にも驚きを隠せませんでした。同時に今でもビリーの魅力に惹かれてしまう自分にも驚いていました。眠っているセオを見て,ギオはその存在を愛おしく感じる自分の気持ちに,なんとしても一緒に暮らしたいと考え瑠のでした。ビリーも一緒に。ショップの経営はしばらくディーが引き継いでくれることになりました。そしてセオをベビーシッターに預けて一泊の新婚旅行に行った先で,ビリーはギオと再び関係を結び離れがたい気持ちが復活するのでした。ところがギオの別れた妻カリストが現れ,自分をあざ笑うように,ギオがセオを取り戻すために結婚を計画し,そのことは婚前契約書にも書いてあるとすっぱ抜きます。何の変哲もない愛人の存在だったビリーとギオが関係を復活したことを嫉妬したカリストの意地悪でした。愛し合うことなく離婚したギオとカリストでしたが,ギオをビリーに取られるのはプライドが許さなかったのです。やがて,ビリーはギオとセオとともにギリシアのギオの実家を訪れることになります。結婚のときは誰も家族を呼ばなかったギオ。大邸宅の広間に集まったギオの親族たちは,ひと集団といってもいい人数でした。そして父からギリシア語で何か言われたギオは「すぐに帰るぞ」とビリーをせき立てます。まだ挨拶すらしていないとビリーは留まり,ギオの義姉や妹,そして父と打ち解けて話をするのでした。そんなビリーの姿に,ギオは改めてビリーのすばらしさに気付くのでした。そして婚前契約書を破棄しなければと訪れたビリーの部屋の荷物の中に,数々の資格証明書を見つけたギオは生涯をかけてビリーを愛していこうと決意するのでした。
久しぶりのリン・グレアムでしたが,たくましく生きるビリーと,ビリーの愛で心をなくしていたギオが次第に人間らしさを取り戻していくのが見事に描かれていて,大人の成長譚を満喫できる作品だと思います。


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シンデレラの出自 [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO925
シンデレラの出自 A Ring to Secure His Heir 2012」
リン・グレアム 高木晶子





清掃会社に雇われているロージー・グレーは仕事場が変わったことを初めは不思議には思わなかった。そして夜遅くに部屋で仕事をしているアレックスに出会う。その後毎日出会うことになった男性が,ロージーの祖父の名づけ子であり,会社の経営者であることを知った。元ハウスメイトの彼だったジェイソンに言い寄られたとき,そして飼い犬のチワワが怪我をしたときすぐに病院に連れて行ってくれたこと,そして何よりそばにいると情熱を感じて苦しくなってしまうことなど,あきらかにアレックスを愛し始めたロージー。そして妊娠がわかったとき,会社に訪ねていき,アレックスが大金持ちであることを知って裏切られた気持ちになる。さらに子供のために結婚しようと言われ,ロージーはすぐに断る。生活観の違いを克服するのが大変なことや,愛のない結婚に意味がないと考えたからだ。裕福ではあっても両親に見捨てられ,唯一祖父の友人だったソクラテス(ロージーの祖父)に気にかけてもらっただけのアレックスは,愛や結婚ということには全く興味がなかった。どうしていいかもわからなかった。女性とのつきあいもその場限りで長続きしたためしはない。そんな彼に対してロージーは常に敢然と口で反抗してくるし,そうかと思うと初心な様子を見せるとても複雑な存在だったのだ。
やがて,ロージーは祖父の待つギリシアにアレックスに連れて行かれますが,ロージーが妊娠していてアレックスと結婚するつもりがないことで祖父のソクラテスは激怒し,アレックスの住む島へとロージーを伴います。そこでは休暇とも言えるゆったりとしたアレックスとの時が流れ,二人の間には離れがたい気持ちが募っていくのですが,どうしても将来の見えないアレックスの態度にロージーは心を痛めます。そして祖父の待つアテネに明日向かうということを言い出せないでいたとき,部屋にある荷物を見てアレックスは自分を捨てるのかと激怒してしまうのでした。祖父の家での一週間。互いに互いの連絡を待っていた二人ですが,どちらも連絡が出来ないでいました。そして祖父の開いたパーティにアレックスもやってきます。彼の腕にぶら下がる美女を伴って・・・。やがてパーティの最中に祖父に呼ばれたロージーが書斎に行ってみるとアレックスだけが・・・。ソクラテスの企てで二人で話すようにということだったのです。もはや自分の言うことを聞かないロージーに業を煮やしたアレックスはロージーを方に担ぎ上げ,自分の島へと無理矢理連れて行くのでした。「少なくともアレクシウスはわたしの理想の男性だわ。問題はわたしが彼の理想の女性でないことだ。だからこそ,わたしは愛されていない。彼の愛のない人生に耐えられるだろうか。愛のない結婚生活のほうがいいだろうか。今はまだ彼が近くにいるけれど,彼がそばにいなくなるのはどれほどみじめかわからない。」「矛盾に満ちた複雑なアレクシウスは,素直で率直なロージーには理解しがたかった。」そして,それでも結婚を求めるアレックスに対して,「ずっと前から愛しているわ。だからわたしを失うのはそう簡単じゃないわ。」と決意するロージー。「君のいない世界には耐えられない。これは愛だろうか。」それはアレックスが自分に問うしかないのだと答えを返すロージーです。終盤のこのやりとりが本作を貫いているロマンス観でしょう。気持ちがいいほど素直なロージーに魅せられてしまう作品です。


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麝香と薔薇 [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO923
麝香と薔薇 Zarif's Convenirnt Queen
(大富豪の飽くなき愛 3) 2014」
リン・グレアム 柿沼摩耶





「大富豪の飽くなき愛」シリーズの最終巻です。砂漠の国バシルの国王ザリフ・アルラスタニは従姉妹で幼少から王妃にと決められていたアゼルと幼い息子のフィラスを7年前に車の事故で一瞬にして亡くしてしまいます。その後大学時代の友人ジェイソン・ギルクリストの妹エレオノーラ(エラ)とはジェイソンの自宅で出会い一瞬のうちに恋に落ちてしまいますが,まだ学制だったエラに自分の気持ちを告げることは出来ませんでした。さらに,アゼルとの結婚生活もいわゆる政略結婚だったため恋心を告白することは未経験だったのです。エラは,ブロンドの豊かな髪と青い瞳を持つイギリス女性でしたが,4年後ザリフにプロポーズされたときエラはそれを断ったのです。ザリフの心にはアゼルのみが生きていて,自分を愛してはくれないと思ったからです。プロポーズを断られたことでザリフのプライドはすっかり傷ついてしまいます。今,兄ジェイソンのせいで父の会社が経営破綻を来しそうになり,それを苦に病んだ父は病に倒れてしまい,そして母も精神的に苦痛の中にいるのでした。そしてジェイソンは経営破綻の原因はザリフのプロポーズを断ったエラのせいだというのです。エラの立ち上げた小さな書店の立ち上げ資金もまたジェイソンを通じてザリフから出ていることを初めて知るエラでした。
断られることを承知でエラはイギリス来国中のザリフを訪ね,返済の猶予を持ち出すのですが,そんなエラの申し出をあざ笑ったザリフが持ち出した提案は,ザリフとの結婚と子供を作ることでした。しかもその機嫌は1年間。とうてい飲めない提案だと思ったエラでしたが,傷心の父や病床の母を思い起こし,提案を受け入れることにするのでした。結婚式のためにバシル国を訪れたエラに,アゼルの従姉妹でエラの世話係を務めることになったハニヤは,なにかにつけてアゼルのことを口にし,古くからのしきたりに従うようにエラを説得しようとするのでした。二人の結婚生活はうまくいっているときもありましたが,夫の背後にアゼルの影がつきまとい,エラの心は複雑に揺れ動くのでした。そんな夫に対する愛を告白するエラ。しかし夫からの言葉はあまりにひどいものでした。王妃とその息子の交通事故以来,バシルでは女性の車の運転が禁じられていたのです。しかし,夫と言い争った翌日,エラは夫のスポーツカーを無断で持ち出し公道を走るのでした。そこに女性たちの車が後続し,大きなでも渾身のような有様になってしまいました。自分の妻を再び亡くすかもしれないと恐れたザリフは,自分の心を包み隠さずエラに告げ,これまでのことを誤り,許しを請うのでした。
ザリフの異母兄弟ニックとクリストの妻ベルとベッツィもエラとザリフの恋愛の進展に一役買います。シリーズ最終巻ですがニックとクリストの出番はあまりなく,本作だけちょっと独立した感じになっています。エピローグではさらに5年後の二人の様子が描かれ微笑ましい終結を向かえます。


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美しき詐欺師 [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO890
美しき詐欺師 A Savage Betrayal 1995」
リン・グレアム 上村悦子





原題直訳では「残酷な裏切り」。ハーレクイン・ロマンス1800号の記念の号で,リン・グレアム自身のメッセージが載せられています。イタリア人実業家のチェザーレ・ファルコーネ。気位が高く,尊大で,ビジネスには容赦しない厳しさを持つ・・・。そんなチェザーレを愛してしまったマイナ・キャロル。大学を出たばかりの彼女を秘書として雇ったのはチェザーレがどうしようもなくマイナに惹かれてしまったからでした。でもその気持ちを素直に言えたのは,物語の本当に最後のところです。そこにいたるまでの,韓国ドラマのドロドロ系に見るような二人の関係,憎しみに満ちていながらもどうしようもない愛に引きずり込まれていく関係は,驚くばかりの展開を見せます。こんなにも痛めつけられるのにどうしてマイナが虚脱感に襲われないでチェザーレの言いなりになってしまうのか,何もかも投げやりになってしまえばチェザーレがマイナへの興味を失ってしまうのでは,それが唯一の解決策なのではと思ってしまいますが,作者は最後にとっておきの解決策を用意しています。そのカタルシスの強烈さが本作の魅力なのでしょう。結局次男息子の育て方を誤った母の責任ですよね。本作はハーレクイン文庫で6月に再刊される予定です。


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