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砂漠の掟に背いて [シャロン・ケンドリック]

SHALOCKMEMO813
砂漠の掟に背いて Defiant in the Desert 2013」
シャロン・ケンドリック 馬場あきこ





「私の心にとって,魂にとって危険きわまりない。どれほど彼を求めようと,愛するわけにはいかないのだから。」隣国のスルタンの花嫁に決まっていたサラは,スルタンの友人で部下でもあったスレイマンに恋していた。「愛はただの感情だから。その感情が永遠に続く保証はない。私とスレイマンは,普段の生活とは遠く離れた時と場所で何かを経験した。二人が生きる別々の世界に移されたとき,そんなものがどうやって続くというの?」というサラの気持ちの中には,愛に対する怖れとスレイマンなしでは生きていけないほど深く愛している感情とのせめぎ合い,そしてプライドのぶつかり合いから生じる別れへの予感が現れているように思います。
すでに,シリーズ第2作目,第3作目を読み終えているので,サラの婚約者である隣国クルハ国のスルタン,ムラトと王女レイラのロマンスについては知ってしまっていますが,その前兆となる本作を,シリーズの第1作の観点からも読むことが出来ました。以前にも,シリーズを終わりから読んでみるという試みをしたことがありますが,シリーズとは言え,それぞれの関連の深さがまちまちなので,本シリーズについてはどうかと思いましたが,登場人物は関連があっても,それぞれのロマンス自体は結構独立した感じがありました。また,クルハとジバン王国の関連も本作では明らかになり,帰って興味深く読むことが出来ました。シリーズものはそんな楽しみ方もあり,登場人物も旧知の感じがして親しみやすく安心して読むことが出来る良さがあると思います。


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冷たい瞳のスルタン [シャロン・ケンドリック]

SHALOCKMEMO810
冷たい瞳のスルタン Seduced by the Sultan 2014」
シャロン・ケンドリック 春野ひろこ





 ホテル勤務のケイトリン(キャット)がクルハ国のスルタン,ムラト・アル・マイサンに出逢ったときは,それほどのVIPだとは気づかずに普通のお金持ち程度と思っていました。そして,いつの間にか彼の魅力に嵌まってしまい,気づいたときにはイギリスの愛人として彼のマンションで,彼が来るのを待ち受ける存在になってしまいます。しかし,彼の正体を知ったとき,自分が決して彼の妻にはなれないことを前提にしなければならないことが,これほど苦しくなるとは思いもよりませんでした。そして,ムラトを切実に愛していることに気づいたとき,ケイトリンはもうこれ以上愛人という自分の存在を自分に許すことができなくなっていることに気づいたのです。ムラトの元を去ろうと決意したとき,「この週末だけ一緒にすごそう。そして別れよう」という言葉にすがりついてしまうのでした。スルタンとしてではなく普通の男女のようにデートを楽しみ,マンションで過ごしたあと,ムラトはさらにイタリアでの会議に一緒に行って欲しいと頼むのでした。妹から母の容態が思わしくないという連絡をもらい,申し出を受け入れるか迷っていたケイトリンですが,ずるずると一緒にイタリアに行くことに承諾してしまうのでした。しかし,そこで聞いたムラトの花嫁捜しの話に,ケイトリンは激怒します。自分は決してムラトと将来を共にすることはできないと実感したケイトリン。黙ってムラトの元を去り,イギリス(ウェールズ)の小さなホテルでの職に就きます。近くにいるアルコール依存症の母の様子を見ることが出来るところで。
 ムラトもまた,悩んでいました。自分が愛するのはケイトリンだけなのに,スルタンとしては法に定められている条件の娘としか結婚できないこと,その候補者が今,彼の返事を待っているということに。ムラトはついに,義弟のゲイブ・スティールに相談し,ついに解決法を見つけ出すのでした。最終章では,ムラトがケイトリンとの関係を築くためにどんな努力をしたかが描かれています。自分が努力する姿をケイトリンが果たして認めてくれるかどうかも心配の種になってしまうとは,これまでスルタンになるべく育ってきた自分には全く未知の体験・・・。しかしそれでもケイトリンをあきらめられないムラトの心の成長も描かれる大団円になっています。
 これで,クルハ国のスレイマン,レイラ,ムラトをめぐる三部作も完了です。第1作の「砂漠の掟に背いて」が未読なのですが大胆な女性を描くのに長けたシャロン・ケンドリックの骨太な作品の中でも上位を占めるシリーズになっていると思います。


タグ:ロマンス
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砂に落ちた王女の涙 [シャロン・ケンドリック]

SHALOCKMEMO776
砂に落ちた王女の涙 Shamed in the Sands 2014」
シャロン・ケンドリック 中村美穂





「砂漠の掟に背いて」(未読)の姉妹編。クルハ国のプリンセス(王の妹)レイラとゲイブ・スティールのロマンスです。
砂漠に国では女性の自由が認められておらず,国を訪れた広告業界の大立て者ゲイブに自分を雇って欲しいと頼み込みます。その時,ゲイブはレイラの身分を知らず,美しい彼女と一夜を過ごします。しかし,ゲイブが去って数週間後,レイラは自分の体の異変に気づくのでした。父親であるゲイブにこのことを黙っているわけにはいかないと考えたレイラは,兄である王に友人を訪ねたいと懇願し,ロンドンに赴きゲイブを訪ねます。ゲイブはレイラの身分を知り,愛を知らないことを告白するのでした。しかし,責任はとるという言葉にレイラは傷つきます。事情を知ったゲイブはレイラの兄である国王に結婚ししたいと連絡し,兄王が激怒するかと恐れていたレイラの予想を裏切り,聞かれたのは,互いを愛しているかということだけでした。自分がゲイブに愛されていないことを知っていたレイラは妊娠のことまでは話すことができず,愛していると嘘をつきます。ロンドンのクハラ大使館で親友のサラ夫妻だけを立会人にして結婚式が開かれます。その後レイラとゲイブの生活が始まりますが,次第にレイラを大切にするゲイブの様子に,自分は愛されているのではないかと考え始めたレイラですが,ゲイブには人を愛することができない理由があるのでした。
親からの愛を十分に受けずに育ったゲイブとすでに親を亡くしたレイラ。親のない二人が,互いの気持ちを通わせ合い,やがてハッピーエンドを迎える部分が本作の魅力です。


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鳥籠の妻(華麗なるシチリア 5) [シャロン・ケンドリック]

SHALOCKMEMO766
鳥籠の妻 (華麗なるシチリア 5
A Whisper of Disgrace 2013」
シャロン・ケンドリック 松尾当子





華麗なるシチリア・シリーズの第5巻。このシリーズは,まだ第1巻から読んでいないのであわてて第1巻を購入し,これから読む予定です。
シチリアのコレッティ家のシリーズで,本作はコレッティ家の娘ローザ・コレッティが,自分の出生の秘密を知って驚愕し,家を飛び出して南フランスで自暴自棄な生活を始めたところから始まります。大人向けクラブで踊っていたところで出会ったのが,ザーラスタン国のシーク,クラル・アル・ディマシュキ。王国の弟プリンスで,美貌と長身に恵まれた体躯,そして富裕さを生かし,社交界で浮き名を流すだけの生活を送っていたのですが,ローザに出会い,一目でその魅力にとりつかれてしまいます。女性を必ず落とせる自信家のクラル。しかし,クラルもまた,幼少の頃,自分の母親の死に責任があるという負の部分を抱えています。互いの傷を明かし合った二人がホテルの部屋に入るところをパパラッチが撮影してしまいます。この時はただ話をするだけの関係だったにもかかわらず,兄国王に呼ばれたクラルは,このスキャンダルを逃れるため,ローザに偽装結婚を持ちかけるのでした。
シチリアの有名な一族の娘だと言うことを知られているローザについて,クラルは初めは知りませんでした。そして,ローザもまたザーラスタンという国の存在すら知らなかったのです。自らの出自については互いに知らないもの同士,しかも家族から独立しようとしていた矢先のローザにとっては,この偽装結婚はメリットのあるものとしてクラルの話に乗っていくのです。しかし,クラルに惹かれているローザ。普段付き合うモデル体型の美女とは異なった魅力を持つローザに対して興味を持ったクラル。互いのメリットから結婚に至った二人ですが,すでに二人の間には強い結びつきが生まれていたのでした。
結婚生活も相性のぴったり合う二人は,互いに惹かれ合う気持ちを強めていきます。しかし,あるパーティで出会ったテレビ番組のプロデューサーからローザが出演のオファーを受けたことをきっかけに,二人の気持ちにすれ違いが生じてきます。偽装結婚でスタートしたにもかかわらず,ローザを独占した気持ちを持つクラルは,ローザが番組を降りるように陰で画策します。その事に気づき,男性の支配に強い反発を感じるローザは,会議中クラルの執務室に乗り込んでクラルを難詰します。そのまま出奔したローザ。二人の関係は修復されるのでしょうか。
自立心をもったローザがとても魅力的です。貧しさとは無縁の二人が,自分の抱える心の傷をどう乗り越えて二人の関係を修復していくかが本作の魅力でもあります。


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奔放な情熱 [シャロン・ケンドリック]

SHALOCKMEMO576
奔放な情熱 Part-Time Father 1995」
シャロン・ケンドリック 落合 どみ





 7月に「情熱の果てに」を読んで以来のシャロン・ケンドリック作品です。
 ケンドリック作品では,思いを寄せあう二人がどうもうまいこといかず,互いの気持ちを隠しているところから,如何にして互いの気持ちに正直になるかという視点で描かれているものが多いようですが,本書も同様です。
 弟のフィアンセに横恋慕するヒーローがとった手段は,財産狙いだろうと非難して高額の手切れ金を渡し,フィアンセに対して不安を抱えていたヒロインの方もフィアンセの兄に惹かれる思いを正直に言うわけにもいかず,手切れ金を受け取って別れてしまう。しかもその手切れ金は寄付金として福祉団体に全額渡してしまうという思い切った行動をとります。
 後に一夜だけの過ちで妊娠したヒロインはひたすらそれを周囲にも隠し,子供を産んだら養子に出してしまおうとするのです。
 何か,ぞっとするような設定ですが,ヒーローのハリソンとヒロインのキンバリーの丁々発止の言い合いが作品の第一の魅力になっています。互いにどうしようもないほど惹かれあっていながら「愛している」の一言がなかなか言い出せない二人に,読者はやきもきしながらも,同時に爽快感を感じているという変わった魅力を持った作品。一夜で読むにはちょうど良い内容の作品です。



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情熱の果てに(「カンヌの誘惑」所収) [シャロン・ケンドリック]

SHALOCKMEMO559
情熱の果てに (「カンヌの誘惑」所収) Marriage Scandal, Showbiz Baby ! ( Exclusive ! ) 2005」
シャロン・ケンドリック 三浦 万里





カンヌ映画祭主演女優賞のジェニファー・ウォレンと名優マテオ・ダレッツォは離婚寸前。原因はすれ違いの生活と,それに起因するマテオの浮気。
そんな二人が映画祭のパーティでばったり出会い,マスコミから逃げようと従業員専用のエレベーターに乗ったところ,突然エレベーターが止まり,二人は暗闇の中に閉じ込められることになります。
久しぶりに話し合う時間ができた二人ですが,互いの中に,まだ別れたくないという気持ちが残っていたのです。ジェニファーがマテオの浮気を許せるのか,本当に生涯を添え遂げようとする気持ちがどれくらい残っているのか,それは秤にかけることのできない,自分にしか分からない気持ちですし,相手の気持ちを確かめるには相手を信じるしかないのです。そんなジレンマが手に取るように描かれていて,さすがシャロン・ケンドリックだなと思わせる短編です。ジェニファーの母親が,いわゆる追っかけ的ないい味を出しています。


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愛なきウエディング [シャロン・ケンドリック]

SHALOCKMEMO260
愛なきウエディング (地中海の王子たち 2)The Prince's Love-Child 2004」
シャロン・ケンドリック 藤村華奈美





地中海の小国マルディビノ公国のプリンスたちのロマンスを描くミニシリーズの第2巻。三兄弟の次男グイドとイギリスのフライト・アテンダント,ルーシー・マグワイアのロマンス。
海外線のフライトアテンダントという職業柄,すでにヒロインはある程度の容姿と容貌を読者にしめしているものの,プリンスとのロマンスということになれば,やはりパーティに着ていくもの一つとっても大変な神経が必要となるのだろう,ということは容易に想像できる。そして何事につけ命令することになれている男性とのロマンスということで,自分のプライドと相手のプライドの駆け引きが全編を通じてテーマになっている。「愛している」という言葉が登場するのはずっと後の方。
ストーリーの上では,ある時の二人の出会いから妊娠→結婚ということになるのだが,結婚してからは逆に二人の心がすれ違っていく。この,二人の心の動きの変化を示すあたりの見事さが,このミニシリーズの特徴。
次作では長男で皇太子のジャンフェロが登場する予定だが,本巻でも何度か登場し,その性格をチラリと登場させている。


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暴君に恋をして [シャロン・ケンドリック]

SHALOCKMEMO258
暴君に恋をして (地中海の王子たち 1) The Mediterranean Prince's Passion 2004」
シャロン・ケンドリック 藤村華奈美





地中海の小国マルディビノ公国のプリンスたちのロマンスを描くミニシリーズの第1巻。三兄弟の末弟ニコーロ(ニコ)とイギリスの旅行会社の経営者ガブリエラ・スコット(エラ)のロマンス。
ヒロインの出自や生い立ちよりも,ヒーローであるニコの精神的な成長を描いているところが他のロマンスとは基本的に異なるところか。
末弟のニコを心配し,なにかと父親代わりに末弟を支配しようとする長兄ジャンフェロ,末尾の二人の結婚式にちょっとだけ顔を出す次兄グイド,エラの周囲にも会社のスタッフのレイチェルや友人セリアなども顔を出すがあまり影響力はなく,もっぱら二人の行動とヒロインの心の動きや会話を中心に間接的にニコの心の動きを示す表現は,さすがシャロン・ケンドリックと思わせる快作。


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恋は遊びでなく [シャロン・ケンドリック]

SHALOCKMEMO142
恋は遊びでなく The Billionaire Bodyguard 2004」
シャロン・ケンドリック 井上 京子





「愛というのはものごとを自由にしてくれる」「心の中にあるものをそのまま自由に言わせてくれる」「これは言っていいものかどうか,いちいち思い煩う必要はない」
そういう心境になるためには,ヒロインとヒーローはかくも長い時間と二人きりの出来事が必要なものなのだ,ということを描いた作品。シャロン・ケンドリックらしく自然かつ緻密に二人の出来事と心の動きを丹念に描いている佳作。
二人の持つ過去と豊かな財産については詳細は語られていないが,それを匂わすだけで十分ストーリーは認識できる。モデルで美人のヒロインがヒーローから断定的に言われて反発しながらも,少し太ることでさらに美しくなることに気付かせられる。今月のベストの一つ。


タグ:ロマンス
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いたずらな宿命 [シャロン・ケンドリック]

SHALOCKMEMO136
いたずらな宿命 The Desert Prince's Mistress 2004」
シャロン・ケンドリック 上村 悦子





 ある日一通の手紙が国王の異母弟の存在を語っていた。さて,この手紙をどうしよう。こんな状況におかれたら自分は一体どうするだろう。こんなミステリアスな設定で始まる本書。そして,結末はどんなロマンスに発展するのだろうか。
 モデルや女優をしているララ・ブラックはマラバン王国の首長カリムと結婚した親友ローズの世話で,ロンドンのマラバン大使館で受付をしていた。そこで開いた一通の手紙はダリアン・ワイルドマンという携帯電話会社の経営者がカリムの父の隠し子であることを告げる内容だった。
 自らこの手紙の内容を確認しようとしたララは,ダリアンの主催するオーディションに参加し,ダリアンの心を射止めてしまう。「ララはくだらないコマーシャルで役をもらったり売れない芝居や映画で端役を演じたりすることに興味がなくなり,落ちるのを覚悟でオーディションを受けることにもうんざりした。ずいぶん頑張ってきたので,そろそろ何かを取り戻す時期だという気がした。」とエピローグで述べられるとおりにストーリーは展開する。
 「いたずらな宿命」とは,本書で何回も語られる皮肉な運命のこと。カリムがよく口にする「宿命」というコトバが元になっている。今後,ダリアンとマラバン国はどのように関わっていくのだろうか。手紙のことを言わずにダリアンに近づいたララをダリアンは許していくことができるのだろうか。そして,二人のロマンスは見事に成立するのだろうか。興味を持続しながら最後までストーリーは展開する。


タグ:ロマンス
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