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ボスへのせつない恋の証 [モーリーン・チャイルド]

SHALOCKMEMO1404
ボスへのせつない恋の証 
( Pregnant by the Boss 2 ) 2016」
モーリン・チャイルド 野川あかね





 原題は「ボスのための赤ちゃん」
 ヒロイン:ジェニー・マーシャル(?歳)/グラフィックデザイナー/小柄で抜群の曲線美,ブロンドの巻き毛,ブルーの目/
 ヒーロー:マイク・ライアン(?歳)/「ケルティック・ノット・ゲームズ」共同経営者/長身,ブルーの目,広い肩幅,黒髪,ブルーの目/
 ゲーム会社「ケルティック・ノット・ゲームズ」の三人の共同経営者のロマンスを描いたトリロジーの第二作目です。前作「億万長者の残酷な求婚(SHALOCKMEMO1308)」はアイルランドが舞台で赤毛の美女アーニャ・ドノヴァンがヒロインでした。本作は舞台をアメリカ西海岸ネバダ州ラフリンに移し,やはりゲームの雰囲気をもつホテルの改修をするために会社のグラフィックデザイナーとして才能をもつブロンドの美女ジェニー・マーシャルがヒロインとなります。作中には次作のヒロインとなるケイト・ウエルズの存在がちらほらしていますが,赤毛,ブロンドときて,おそらくブルネットか?で,HQ版のペーパーバックの表紙を見ると案の定,パープルのドレスを着たブルネットの美女が映っていますから,三人三様の女性を登場させたのだなと設定の工夫が見られます。次作「Snowbound with the Boss」の翻訳が待たれますが,3つ目のホテルはラスヴェガスの南ですが人口七千人ほどの町ラフリン(Laughlin)のようです。モハーベ湖から流れるコロラド川,スピリット山と内陸ではありますが豊かな自然が近くにある変化に富んだ場所のようです。ラスベガスの空港から車で40分ほどとありますから交通の便も良いようですね。ググってみるとすぐに「Harra's Laughlin casino & hotel」の写真が出てきますが,窓からの眺めが砂漠と川とオアシスという3拍子揃った風光明媚なところのようです。ちょっとエジプトの風景といわれれば納得できるような場所です。このホテルとカジノがセットになったリゾートがラスベガスでは当たり前なのでしょう。日本でもIR法が成立しましたから,数年後にはこのようなリゾートがこれからできるのでしょう。さて,「ケルティック・ノット・ゲームズ」ではこのようなホテルを大改修し,カジノではなく自社のゲームソフトに登場する伝説と神秘にあふれた架空空間を作り出そうとしているのです。上記のように第1作ではアイルランドに,そして本作ではアメリカ南西部に,そして最終巻はアメリカ北部に最大規模のホテルを買収しています。本作の舞台はこのラフリンの「リバーホーント・ホテル」の改修工事が始まっているところです。ホテルのホールや廊下の壁画を担当するのはジェニー・マーシャル。そしてこのホテルの主担当は共同経営者の一人マイク・ライアンです。二人はかつて出会っていたのですが,マイクの誤解から気まずい別れを経験しています。しかし運命は二人を仕事上も大きく近づけたのでした。そして最初の出会いの時に共にした一夜にジェニーの体にはマイクの命の元が芽ばえていたのでした。しっかりした対策を取ったつもりでしたが,製品が期限切れだったことに気づかなかったため,愛の結晶はしっかりと根付いたのでした。このことがあろうとなかろうと,実は二人は出会ったときから互いを意識し,強烈に惹かれあっていたものの,昔の体験からなかなか互いを正直に認めることができなかったのです。ジェニーは親に捨てられ,おじのハンク・スナイダーとハウスキーパーのベティ・サンダースによって12歳から育てられ大学を出るまで援助を受け続けてきたのです。そして絵画への才能を見つけてくれたのもおじでした。一方,マイクの方は,13歳の時キッチンで母が泣いているのに出くわし,事情を聞いたときに父の愛人の存在を告げられ,それからは父への軽蔑の念を抱き続けていたのです。弟のショーンにはこのことを隠し続けており,弟はこの間の事情は知りません。そのため結婚,家庭というものに不信感を抱き続けてきたのでした。共同経営者のブレイディがアーニャと結婚してむつまじく暮らしているのも,自分には縁遠い話しだと考えています。ところがジェニーに強く惹かれてしまう自分の気持ちに混乱し,なにかと難癖を付けてはジェニーを傷つけようとするのでした。客観的に見るとこのマイクのけんか腰の言葉は理由があってのことだと思われますが,マイクを愛してしまったジェニーは逆にマイクをかばうようになっていくのです。これこそ愛の力。そしてそれを乗り越えなければ自分とマイクの将来はないと思い,妊娠を知らせた後もマイクのプロポーズを断っていきます。おじハンクとベティが育児を手助けするために,おじは自分の会社を売却してフリーになってくれたのです。シングルマザーとして充分やっていけるだけの条件が揃ったこともジェニーにとってはありがたいことでした。さて,マイクの方は両親の不和の原因とその真実が語られる時がやって来ます。そこで知ったことの真相にマイクは愕然とします。実は父の裏切りは無実だったことを。しかしそのことを話してもマイクは信じないだろうと両親が真実を語ろうとしなかったこともあり,これまで誤解のままになっていたのです。マイクがそれまでにジェニーに投げつけたひどい言葉を取り消すことはできず,会社を去ろうとしているジェニーを引き留める方法も思い浮かびません。さて,マイクの信用回復の手段とは・・・?
 ジェニーとマイク。このいかにも古風なアメリカ風な名前の二人が本音をぶつけ合う姿に爽やかさを感じる作品です。


タグ:ディザイア
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億万長者の残酷な求婚 [モーリーン・チャイルド]

SHALOCKMEMO1308
億万長者の残酷な求婚 Having Her Boss's Baby
( Pregnant by the Boss 1 ) 2015」
モーリーン・チャイルド 八坂よしみ





 原題は「上司の赤ちゃんを身ごもって」
 ヒロイン:アーニャ・ドノバン(28歳)/アイルランドのホテルのマネージャー/鳶色の髪,グリーンの瞳,長身/
 ヒーロー:ブレイディ・フィン(?歳)/ゲーム会社共同経営者/黒髪,がっしりした顎,ブルーの目/
 なかなか頑固なヒロインの登場です。もうこれだけでNiceHeroineですね。男性に頼らず,自分の主張をしっかりもち,しかしヒーローの魅力にメロメロになりながらも,妊娠した結果を自分で受け止め,自分を愛してくれる人でなければプロポーズさえ断ってしまうプライドの高さ。読者誰もが,ヒーローに速く愛に気付け!と言いたくなってしまうストーリー展開です。ディザイア作品としてはありがちなストーリーではありますが,ヒロインの魅力にすっかり嵌まってしまうこと間違いなしです。ヒロインの職業がホテルマネージャーですが,「城」と言われるほど古い歴史的建造物をホテルとして残すためにこの建物を買い取ったヒーローに自分の思い描く改修計画を納得させ,さらにヒーローの愛をも勝ち取ってしまうしたたかさが,このアイルランド娘,アーニャ・ドノバンにはあります。そして妊娠をヒーローのブレイディ・フィンに隠して自分一人で育てよう考えているアーニャに愛の在り方を説き,自分の心の声に従いなさいと諭すアーニャの母の姿や言葉も説得力があります。ヒーローの職業がゲーム会社の共同経営者と現代的な姿と,古さを尊重し家族を大切にするアイルランドらしい頑固さとがうまくマッチして,変化に富むカップルの姿を融合させていく作者の腕前に脱帽です。間違いなく楽しめる作品。イチオシです。さて,次作では,ブレイディの共同経営者ライアン兄弟の兄マイクと,本作でもちょっと顔を出すジェニー・マーシャルとのなにか曰くありげな関係が発展していくようです。そして3作目はその弟ショーンが登場しますので3部作のこれからが楽しみです。


タグ:ディザイア
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契約結婚は天使のために [モーリーン・チャイルド]

SHALOCKMEMO1156
契約結婚は天使のために Triple the Fun
Billionaires and Babies 56 ) 2015」
モーリーン・チャイルド 高山 恵





 関連作「夢から覚めたシンデレラ(SHALOCKMEMO984)」と同じように,女性から利用されたり信頼を裏切られたりした経験を持つコルトの双子の片割れコナー(コン)がヒーローです。男性側の心の動きを中心に語られるロマンス作品ですが,ヒロインのダイナ(ケータリング業者ですがレストラン経営を目指すシェフでもあります。つまり,ダイナーのもじりではないかと?)・コルテスというメキシコ系の美女の葛藤も,前作ペニーの時と同じように,というか,キング家の男たちを相手にする女性に共通したストーリー展開となります。紋切り型ではありますが,先が読める展開に安心感もあり,読後,あぁやっぱりという満足感も得られるのがシリーズものの良さだと思います。さて,コナー(コン)と3つ子(サム,セージ,セイディ)の関係は,同性愛者だった友人のジャッキー・フランシスとエレナ・コルテスに端を発します。二人は子供が欲しくて養子をもらうよりも,信頼できる男性の精子提供者としてコンに依頼するのです。妊娠は失敗したとコンに思わせ,ジャッキーは実は3つ子を生んだのでした。エレナはダイナの妹。ジャッキーとエレナが事故で亡くなるとき,二人は3つ子の後見人にダイナを指命していたのでした。弁護士からジャッキーの遺言を知らされたコンは始めてその事実を知ります。と同時にジャッキーに裏切られ,しかも自分の子供がいて,それを何年も知らされていなかったことに怒りを感じます。そしてその怒りを後見人に指名されたダイナにぶつけるのでした。親権争いを覚悟でダイナに会いに行くコン。ダイナもまた3つ子の存在を姉たちの死まで知らされていなかったのですが,すでに3つ子たちとの間には本当の母子のような心の絆を感じていました。大金持ちのキング家のもつ力で,いずれ真剣裁判になったら自分に勝ち目はないことはよく分かっていましたが,コンの,というよりキング家の傲慢さと強引さを肌で感じ,その都度抵抗を試みますが,次第にコンの思惑どおりに事が運んでしまい,結局は3つごと共にコンの家で暮らすことになってしまいます。そしてアイルランドへの出張に一緒に行き,モーラとジェファーソン夫婦に出会って,家族を何より大切にするキング家の伝統を思い知るのでした。旅の開放感からかダイナとコンはその夜,ついに一夜を共にするのでした。もう,コンを愛さずにはいられなくなったダイナ。しかしコンは二人の関係を便宜的なものと考えている。ダイナは,二人の関係が永続的に続くはずがないとも覚悟しています。帰国後コンのプロポーズを承諾し,二人は夫婦になりますが,3つ子はコルテスの苗字のままです。そして,地元の有力者を招いたパーティで,友人の妻から「ダイナがキング家の人間になったのは,ビジネスにとって最高の決断だったと言っていた」という言葉を聞いたコンは,やはり自分は利用されただけで裏切られたという気持ちを持ってしまうのでした。翌朝,ダイナと3つ子は家を出たことをコルトから聞いたコンは,さぁどんな行動を取るのでしょうか・・・。
 次々に広がっていくキング家の人間関係。まだ2作品読んでいなかったことに気付きました。読書計画に入れなくっちゃ。


タグ:ディザイア
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大富豪の甘い誘惑 [モーリーン・チャイルド]

SHALOCKMEMO1006
大富豪の甘い誘惑 Ready for King's Seduction
キング家の花嫁 9) 2011」
モーリーン・チャイルド 神鳥奈穂子





「キング家の花嫁」第3シーズン,キング建設3兄弟の第2弾は長男ルーカス・キングのストーリーです。キング建設にキッチンの改修を頼んだレイフの妻ケイティの甘い物作りの次は,出張料理教室の経営者兼講師ローズ・クランシーとのロマンスになります。ローズの兄デイブ・クランシーはキング建設の商売敵クランシー建設の社長。しかし1年前デイブの会社の経営が思わしくなくなり,デイブはキング建設の幹部を引き抜き,企業秘密を持ち出させて自社で顧客を奪い取るという犯罪すれすれのことをしでかしてしまいます。そのため元々の親友だったルーカスとデイブは,険悪になり,友情も一気に瓦解してしまいました。妹のローズはそのことを知らず,かつて憧れていたルーカスと兄の仲が悪くなったとしか思っていませんでした。そしてたまたまローズの顧客がルーカスの隣人であったことで,偶然再会します。ルーカスはローズを誘惑することでデイブへの復讐をしようと計画して,ローズに自宅での出張出前料理教室を依頼するのでした。こうして憎しみから始まったローズとルーカスの再会でしたが,どちらも互いの魅力に惹かれ合ってしまいます。次々に子供をもうけながら,誰とも結婚しなかった父ベン・キングの遺伝子を受け継いだと思っているルーカスは結婚という幻想には陥るまいと,固く決意していますし,ローズもかつて恋人に去られてしまい,父や兄も含めて男には頼るまいと自立への道をこの事業に賭けており,通常料金の3倍払うというルーカスの申し出を断るわけにはいかなかったのです。二人の間の気持ちはどんどん高まりついに結ばれます。しかし将来を誓い合うところまでは二人の気持ちは割り切れなかったのです。やがて,兄の過去の悪行とルーカスが自分を復讐に利用しただけだと知るローズ。再び男性に裏切られたことに深く傷ついたローズですが,そんなローズの様子を兄デイブは見逃すことが出来ず,ついに過去の自分の所行を反省してルーカスに謝罪するのでした。ルーカスもそれを許すとともにローズへの愛を断ち切ることが出来ない自分に気づきます。
食べ物関係のヒロインたちが続いたこのシーズンですが,キッチンを舞台にした二つの物語が,3兄弟の末弟にも波及すればキッチン・シーズンとでも言えるところですが,さてどうでしょう・・・。ローズの親友ディライラ,そして兄デイブという新たな登場人物が活躍し,ルーカスとローズの関係を修復させていきます。ローズの家の隣家の老婦人まで重要なキャラクターとして配置して,作者は暗くなりがちな復讐譚にちょっと笑いの要素をうまく配置していきます。ローズの車のてっぺんにフライパンが乗せてあるところも,思い浮かべるとなにかユーモラスなところです。


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億万長者のすてきな秘密 [モーリーン・チャイルド]

SHALOCKMEMO1004
億万長者のすてきな秘密 King's Million-Dollar Secret
キング家の花嫁 8) 2011」
モーリーン・チャイルド 山口絵夢





キング一族の登場人物がどんどん広がっています。本作ではベン・キングとその8人の子どもたちのうち,「キング建設」を経営するルーカス,レイフ,ショーンの3兄弟が登場します。中心になるのは次男のレイフですが,週1回の兄弟会議の中でルーカスやショーンがよく顔を出すように設定されています。シリーズのこれまでの作品では兄弟,従兄弟という世代の名前は出てきますが,父親の世代がなかなか現れませんでした。ベン・キングという父親の世代が初めて名前が挙げられたように思います。しかもベンは一度も結婚せずに3人の母親たちとの間に8人の子供をもうけた設定になっています。従兄弟たちの他に異母兄弟たち,もうこの辺まで来ると名前だけでも整理しておかないと登場人物の奔流に流されてしまいそうな気がします。まぁそれでも,とりあえずシリーズ11作までは読んでしまおうとも思います。もうすっかり第1作のヒーローが誰だったか忘れてしまっていますので,人物整理もシリーズ読破後のことになろうかと思います。
ヒロインのケイティ・チャールズはロングビーチでクッキーの店を経営する美女。祖母から譲り受けた古い屋敷に住んでいますが,キッチンを改修せざるを得なくなりキング建設に発注したのでした。レイフは社のマネージャーとの賭に負け,現場で作業することになってしまったため,一作業員として仕事をするためレイフ・コールと名前を変えて,ケイティの屋敷にやってきたのです。二人の間には出会ったときから互いを意識する電流が流れます。レイフも作業の後クッキーを焼くケイティと出来るだけ一緒にいたくて何かと理由を付けては残ったりしていました。セミロングの赤毛に明るい緑色の瞳,そして175センチの長身の27歳のケイティは1年前キング家の男性,コーデル・キングと付き合い,そして振られた経験を持っており,それ以来キング家全体に恨みをもっていたのですが,キッチンの改修に関してはやはり大手のキング建設の仕事に対する技術や丁寧さを信頼していたのでした。ケイティがキング家の人間を嫌う理由が分かるまではケイティにつきまとっていたいと考えたレイフですが,何故そう思うかということについては自分に問いかけることはしませんでした。かつて結婚していた元妻に人を愛することのできないない男と言われて出て行かれて以来,自分は結婚生活には向いていないと思い込んでいたからです。でもケイティのことは気になるし,いつも一緒にいたいと思うようになっている自分に,何度も愛してはいないと言い聞かせなくてはならなくなっていました。そして自分がキング家の人間だと知られたらケイティにショックを与えてしまうという恐れもあり,身分を打ち明けられないまま改修工事は終了します。そして,正体を打ち明けようとケイティを誘ってダナポイントの断崖にある高級レストランでのディナーの後車を取りにレイフがいない間に,なんとコーデル・キングがやってきてケイティに声を掛けたのでした。こんな風に偶然の出会いをうまく作っていくのが作家としての腕の見せ所ではありますが,余りに出来すぎた成り行きに,読者もニンマリというのが初めから意外性を狙っていないロマンス小説の安心できるところだと思います。ミステリは常に読者の想定外を狙っているのですから・・・。ついに正体がばれてしまったレイフ。ケイティの反応は思ったとおりで,裏切られたケイティは怒り心頭でやはりキング家は信じられないという想いで家に逃げ帰ります。さて,どんな手でレイフはケイティの信頼を取り戻すのでしょうか。ここで登場するのはケイティの祖母エミリー・オハラです。レイフに会った瞬間キング家の人間だと見抜いていたエミリーですが,コーデルとの辛い別れも知っていたエミリーはレイフの正体を敢えてケイティには告げずに,レイフがケイティにふさわしい男かどうか試すようなことも二人きりでいたときにレイフに確認していたのでした。そしてエミリーはレイフが信頼に足る男であること,キング家の全ての男性がコーデルのような男ではないことをケイティに静かに諭すのでした。二人がもはや別れられない関係であることを知ったエミリーは・・・。そしてレイフの兄弟たちは・・・。さらにレイフの別れた妻が今は幸せに暮らしており,夫の経済的困窮を知ってレイフに援助を頼みに来た時,許せたのもケイティとの交際がもたらした自分の変化であることに,レイフは勇気を出すのでした。大団円ではまたまたキング家が大集合します。そして一人っ子だったケイティが大家族に囲まれることで幸福感を感じることもこのシリーズの大きなテーマになっていると思います。さて,次作はどこのどんなキングがヒーローとなるのかますます楽しみになります。


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魅惑のハウスキーパー [モーリーン・チャイルド]

SHALOCKMEMO1000
魅惑のハウスキーパー Cinderella and the CEO
キング家の花嫁 7) 2010」
モーリーン・チャイルド 山ノ内文枝





2003年9月2日読了の「聖なる罪」(ノーラ・ロバーツ)以来11年10ヶ月で1000冊目のSHALOCKMEMOとなります。最初はとにかく読了本は全てなんらかのコメントを残しておこうと始めたSHALOCKMEMOですが,SHALOCKMEMO001はたった3行しか書けなかったのですね。その後,あらすじと感想というパターンから,最近では登場人物の心情のパターンがだんだん見えてきて,それなりのことが書けるようになってきたように思います。またここ1年ぐらいはほとんどkindleでの読書となってきており,書棚も変化しなくなってきました。読む端から忘れてしまっているように思うのは,電子書籍の悲しさと年齢を加えたことによる脳力の低下が原因かと思います。ともあれ一つの区切りを達成しました。ブログに納めていないもの,サーバーの切り替えによるリンク切れが多くなっていますので,ウェブページ全体の見直しも少しずつしていきたいと思います。またブログの方にいつもniceをいただいている方がたにもお礼申し上げます。最近ウェブのタイトル「ロマンスは危険」は「出会い系サイト」ではないかと疑いをもたれていることは悲しいことです。本来は「ロマンス小説」の魅力に取り憑かれると仕事もそっちのけになってしまって「危険」ということでこのタイトルにしたのですが,どうも世の中の動きはもっと危険な状況になっているようです。タイトルのヒントになったのは「ロマンス作家は危険」というオレイニア・パパゾクロウの本のタイトルなのですが・・・。
さて,本書です。第1シーズンでカリフォルニア中部,第2シーズンでカリフォルニア南部を舞台にしたキング家の物語ですが,第3シーズンはカリフォルニア北部が舞台になるようです。州都サクラメントは州の北部にありますので,サンフランシスコやサクラメント周辺が舞台になるのでしょうか。本作はサクラメント周辺のようです。クリスマスは年間最大の休暇期間になるのは欧米の伝統ですが,クリスマスツリー農場というのも東海岸にも西海岸にもあるものですね。本作のヒーロー,タナー・キングは「キング・ゲーム」というゲーム制作会社のCEOで自らもゲーム製作者です。従兄弟のネイサン・キングは他のシーズンにも何度か登場していますが,コンピュータ会社を立ち上げており,ネイサンの新コンピュータにはタナーのゲームを必ず搭載するという提携が出来ています。開発を急がなければならす静かな環境で仕事をしたいと,当地カボットバレーのクリスマスツリー農場の隣接地に土地を求め旧家を大改修して住み始めたところです。そして家政婦としてやってきたのは,ぴちぴちした身体の曲線をもつハート型の顔のふっくらした唇をもつ20代後半のブロンドの娘でした。初めから自分の心と身体を惑わすような女性が来たことですぐにクビにしようとしますが,手配した親友で弁護士のミッチェル・タイラーからは,とにかく少し試験的に使ってみてくれと言われます。実はこのハウスキーパーは隣接するクリスマスツリー,エンジェル農場の若きオーナー,アイビー・エンジェル・ホロウェイだったのです。アイビーは事業拡大のため銀行から借り入れをしてその支払期日がせまっていたのですが,最大の顧客の結婚式を成功させれば借金を返し終わるという微妙な時期にありました。ところが農場がうるさいとタナーが警察に訴え出たことで,もし富豪のキング一族が弁護士などを立てて訴訟を起こされれば結婚式を挙げようとする依頼人が取りやめるかもしれないと恐れたのです。そのためハウスキーパーとしてタナーの元に赴き,なんとかなだめようと試みようとしたのでした。そしてこの企てには弁護士のミッチェルも一役噛んでいたのです。とにかく次第に人との交渉を避けるようになりゲーム製作にばかり集中しているタナーのことを心配し,小さい町であるカボットバレーで人々との交流を取り戻して欲しいとネガってのことでした。ところが二人の間にはあった瞬間から電気が走ります。そして次々においしい料理やゲーム製作に対しても斬新なアイディアを出してくれるアイビーに惹かれるようになったタナーは,気分転換に農場を訪れ,ついにアイビーとキスしてしまうのです。この時アイビーも積極的にこれを受け入れ,そこを祖父に見つかってしまって気まずい思いをするのでした。オーナーであることを隠したままのアイビーは次第にこれをタナーに打ち明ければ騙したと非難されることを恐れ,言い出せずにいます。すでにアイビーはタナーを愛し始めていることに気づいたのでした。そして最大のイベントである結婚式の準備がほぼ完了した日に突風が起こり,野外の準備していたものが一気に壊れてしまいます。その復旧にタナーも自ら身体を動かし,修理を手伝うのでした。それまで人を避け,内にこもっていたタナーが次第に人々との交渉を喜ぶようになってきたのは,アイビーのおかげであることに気づいた瞬間でした。ところが,ハウスキーパーとしての仕事をしているとき農場から電話があり,アイビーがオーナーであることがバレてしまいます。さぁ,タナーはこのことをどう対処するのでしょうか。ここから一気に終盤に向かっていきます。エピローグでは,タナーの従兄弟のネイサンやトラヴィス,ジェシー,などキング家の全員が集まります。この作品でも途中で迷い込んできた犬,ヘアリーが二人の間の緩衝材として重要な役割を果たします。きっと作者の元にも愛犬がいるのでしょうね。犬に対する愛情の深さが表れています。


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独りぼっちのエンジェル [モーリーン・チャイルド]

SHALOCKMEMO999
独りぼっちのエンジェル The Last Lone Wolf
キング家の花嫁) 2010」
モーリーン・チャイルド 外山恵理





サバイバル・ストーリーとして期待すると大して大きなこともなく終わってしまうのですが,可憐なデイジーの根性物語として読むとこれほど面白い作品もありません。ヒロインのデイジーが読者を元気させてくれる爽やかな作品です。第2シーズンの番外編ですが,締めくくりの作品とも,ちょっと本筋から離れた作品とも言えます。いわゆるナンバーがとぎれた作品ではありますがそれは出版社側の理由によるものでしょう。出版時期や舞台になる場所もちょっと離れてはいますが,シリーズ作品であることは間違いありません。
元海兵隊員ジェリコ・キングの山のロッジに料理人として応募してきたのは,デイジー・サクソン。「7センチはありそうな真っ赤なハイヒール,長いブラウンの髪,琥珀色の瞳,ふっくらした唇」をもつ,山の生活にはもっともふさわしくない服装をした美女でした。デイジーが海兵隊時代にジェリコが所属していた部隊で任務中に命を落としたブラント・サクソンの姉であることはジェリコは知っていました。そしてブラントの死に自分が関係していることで,一番逢いたくない人でもありました。しかし,そんなジェリコの気持ちとは裏腹に,デイジーはなんとしてでも料理人としてこのロッジでの生活をしたいと考えていたのです。そして小さな犬も連れていました。男たちの中にたった一人の女性,しかも犬を連れて・・・。何とかしてデイジーを追い返そうと思ったジェリコは,まずロッジで生活するテストに合格することを条件にしたのです。山の中でジェリコとデイジーが二人っきりで誰の助けも受けずにジェリコの課す課題をクリヤすれば料理人としておいてやると約束するのです。か弱く見えたデイジーですが,厳しい山登りや体力テストに何ら文句を言わずにひたすらジェリコについて行こうとするデイジーの根性には,ジェリコも感心します。そして山の景色や眺めに感動するデイジーのピュアな態度にも。次第にデイジーに引かれている自分に気がつくジェリコ。しかしデイジーにはこの山で暮らす別の目的があったのでした。それは,ジェリコの子供を産みたいというとんでもない企てでした。唯一の家族であった弟を失い,たった一人で生きて行くことには耐えられない。唯一家族と言えるのは小さい犬だけ。それならいっそブラントが尊敬していたジェリコの子供を授かれば,新しい家族として子供と一緒に暮らしていける。そんな切なる想いでした。山の中ではたった一度ジェリコがデイジーにキスしただけでした。それでも自分の計画に少し進展があったと喜ぶデイジー。やがてテストに合格し,料理人兼家政婦として働き始めたデイジーの明るさと料理のおいしさに訪問客たちばかりかスタッフたちも皆デイジーに夢中になっていきます。やがて,ジェリコの弟の二人が近くの湖での釣りに訪れ,デイジーとの関係をせっつくのです。結婚に対するキング家の男たちの頑なな態度を自分たちも経験している弟たちは兄のジェリコにも幸せになって欲しいといろいろと鎌をかけるのですが・・・。前作でちょっと分からなかったジェリコとジェファーソンのどちらが兄かというのが分かりました。ジェリコがジェファーソン兄さんと呼んでいるからです。ということはジェリコは4兄弟の次男ということになります。そして,ついに決意してブラントの死に自分が関係していることを打ち明けるジェリコ。しかし常に前向きなデイジーの過去にこだわるなというさっぱりした考え方と,国のために自分の命を賭けた弟を誇りに思うというデイジーの素直な考え方ですっかり心のつかえが取れたジェリコでした。1ヶ月後の様子がエピローグで描かれます。これで南カリフォルニアのキング家のストーリーは終わりですが,次の第3シーズンはどんな人たちが登場するのでしょうか。そして次はSHALOCKMEMOちょうど1000番になります。


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最後の夜と知りながら [モーリーン・チャイルド]

SHALOCKMEMO998
最後の夜と知りながら Wedding at King's Convenience
キング家の花嫁 6) 2009」
モーリーン・チャイルド 江本 萌





シリーズ第6弾。南カリフォルニアのキング家のジェファーソンのロマンスです。第2シーズンのこのシリーズ,3兄弟だと思っていましたが,ジェリコ・キングという人物もいるので,4兄弟ということになります。この兄弟は全て“J”で始まる名前を持っていますが,ジェリコとジェファーソンのどちらが兄かはまだわかりませんが,出版の順からするとこのシリーズは兄弟の下から登場してきますので,ジェリコが長男かもしれません。
さて,今回は舞台をアイルランドに移します。映画制作会社を経営するジェファーソンは自ら世界を飛び回り映画撮影にふさわしい場所を確認することにしています。アイルランドのメイヨー州の羊牧場がその映画にぴったりの場所であることを発見しますが,オーナーのモーラ・ドノヒューに撮影許可を得ようとしていますが,なかなか首を縦に振りません。何日間もの交渉の末,次第にモーラの心も許しの方向に向き始めたと思いますが・・・。アイルランド人と言えば,頑固と言われるぐらい,石頭であることはよく言われることです。そして家族や隣人を非常に大切にする仲間意識が強いことも。そして乱暴な言葉遣いでもその裏にユーモアのセンスと強い仲間意識が根付いていることも。羊牧場の近隣のクラック村とモーラの関係においてもそのことがはっきり分かります。勝ち気で頭の回転が速く,発言は辛口,魅力的な体つきと柔らかに波打つ背中までの黒髪,そして頑固そうな顎と紺青色の目。それがモーラを見たときのジェファーソンの印象でした。ついに契約金を引き上げられるだけ引き上げたと思ったモーラはジェファーソンとの契約書にサインします。そしてサインが済んだ記念に祝杯を挙げた直後,モーラは厚手のセータを脱ぎ,ジェファーソンを誘惑するかのように近づいて行くのでした。サインさえ済めばジェファーソンはアメリカに、ロサンゼルスに戻って行ってしまう,今夜は最後の夜だから・・・。互いに惹かれ合う気持ちに気づいていながらこれまで一定の距離を保ってきましたが,互いの目の中の欲望を押さえるのに苦労していた二人は一瞬のうちに燃え上がっていきます。数日後ジェファーソンはアイルランドを去りますが,モーラは彼への想いを忘れることが出来ませんでした。そして1ヶ月後自らの身体の異変に気づきます。そして父親になるジェファーソンに連絡を取ろうとしますがなかなか連絡が取れないため,無視されているのだとモーラもあきらめの気持ちになるのでした。一方ジェファーソンは仕事に振り回されて忙しくしていましたが,それは自ら忙しく立ち回ることでモーラへの気持ちを忘れようと努めていたからでした。そんなジェファーソンの元にアイルランドで撮影を続けている監督から緊急の電話が入ります。村の人たちやモーラから撮影を邪魔する行為を受けているという訴えでした。オーストラリアへの出張を直前にしてジェファーソンはアイラルランドを経由していくよう予定を変更します。そしてクラック村でジェファーソンはかつて友好的だった村人たちから手ひどい拒絶を受け,その原因がモーラであると言われるのでした。モーラの家についたとたん,以前はいなかった飼い犬から飛びつかれ,挙げ句の果てにモーラから浴びせられたのも強い拒絶の言葉でした。そして真実が告げられます。「私妊娠したのよ」この言葉がジェファーソンを打ちのめします。モーラの側から,この数ヶ月のことが語られます。モーラを診察した診療所の看護師から妊娠の話が村全体に伝わったこと,そして連絡を何度取ってもジェファーソンが連絡を返そうとしなかったことで,モーラも村人たちもジェファーソンがモーラを妊娠させたあげくに捨てたのだ思っていたことが原因でした。ジェファーソンの秘書が気を利かせてジェファーソンにモーラからの連絡をストップさせていたことが原因でした。これまでも映画に出たいために多くの人が無理難題をふっかけてくるケースがあり,秘書の務めとして悪い話はジェファーソンに伝えないようにしていたのでした。
ここからジェファーソンによるモーラに対する猛烈なアタックが始まります。責任を重んじるキング家の男らしく,結婚を申し出るジェファーソンですが,モーラも連絡を取ろうとしなかったジェファーソンへの怒りと,子供のために便宜的な結婚を申し出るジェファーソンの態度へのプライドをかけたバトルが始まります。ジェファーソンが女性を愛することを止めた理由は終盤まで語られませんが,本当の結婚への怖れと愛することを口に出来ない理由が最初の結婚にあったことをやっとの事で語ることが出来たジェファーソンに対しても,未来を考えることが出来ないジェファーソンに自分と子供の将来を託すことが出来ないと別れを告げるモーラ。このモーラの毅然とした態度とせつない気持ちが読者の心を打ちます。そして立ち去ったジェファーソンに,敢然と挑戦しようとジャスティスに連絡を取り,ある計画を相談するモーラ。この最後まであきらめずに「ジェファーソン見ていなさい」と独りごちるモーラのたくましさにアイルランド女の本質を見るような感じにさせられます。実にうまい描き方だと思います。ちょっとステレオタイプにとらえすぎているような気もしますが,それをうまく利用して物語を薦めていく作者の手法は素晴らしいと思います。ついにアリフォルニアに乗り込んでいくモーラ。さてその結末は・・・。読み始めからどんどん引き込まれて行ってしまう傑作です。オススメ!


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散りゆく愛に奇跡を [モーリーン・チャイルド]

SHALOCKMEMO996
散りゆく愛に奇跡を Claiming King's Baby
(キング家の花嫁 5) 2009」
モーリーン・チャイルド 大田朋子





キング家の花嫁シリーズの第5弾です。第2シーズン2冊目。原題は「キング,赤ん坊を要求」とでも言えばいいでしょうか。前作のヒーロー,ジェシーの兄ジャスティスが主人公です。ジェシーのロマンスにはいろいろと皮肉ったアドヴァイスをしていたジャスティスですが,自身の妻を引き留めることが出来ず出て行かれてしまいました。しかし引き留められない事情がジャスティスにはあったのです。過去の事故の怪我のせいで自分は子供が出来ない身体になってしまったという医者の言葉を信じてしまったのです。プライドの高いジャスティスは「子供が持てない」とは言わずに「子供は持たない」と妻に言ったのです。牧場の自然にあふれた中で愛する夫や子どもたちの囲まれて生活することに憧れていた妻マギーにとっては,それは自分が夫に愛されていないという意味に聞こえたのでした。マギーもまたプライドの高い女性。ジャスティスが何かに悩んでいたことはうすうす感じてはいたものの,まさかその理由がこのことであったとは思いも及びませんでした。男性として子孫を残せないことを例え妻にでも恥ずかしくて言えないというジャスティの心情にまでは考えが及ばなかったのです。離婚届にサインするように要求するために牧場を訪れたマギーは久しぶりに出会ったジャスティスに未だに惹かれている自分,でも離婚はしようとする相反する気持ちの中で揺れ動き,ジャスティスの求めに応じてしまうのです。そしてサインをもらって再び家を出たマギーに変化が現れます。数ヶ月後,三度牧場を訪れたマギーはジャスティスの子供を連れてきたのでした。しかし自分の子供であるはずがないと信じ切っているジャスティス。ついに親子鑑定を申し出るのですが,これにさらに逆ギレしてしまうマギー「。なぜ自分とそっくりな息子をみて自分の子供だと信じられないのか。ジェシー夫妻や家政婦からもさんざん嫌みを言われながらもそれを信じようとしないジャスティス。しかし子供に対しては少しずつ心を開いていき,ついに親子鑑定の結果自分の子供であることが分かります。その朝,マギーは家を出ようとしていたのでした。
理学療法士であるマギーがジャスティスの怪我の回復のためにキング家に雇われてジャスティスにマッサージや機能回復訓練を施します。どうしても身体の接触が欠かせない仕事柄ですので二人が再びベッドを共にしていくのは目に見えていたことですが,自分や子供の存在を信じようとしない夫,そしてサイン済みの離婚届を役所に届けずにもったままのマギーの気持ちなど,両方の切ない気持ちがそれぞれ描かれ,読者は歯がゆい思いをずっとしっぱなしです。まさに作者の思うつぼに嵌まってしまう名作です。二人がどこで妥協できるのか。また本当の愛にジャスティスが気づくのはいつか?お互い言いたい放題に言い合ってもすぐに仲直りできる二人の関係がいいですね。


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海の鼓動をきいた夜 [モーリーン・チャイルド]

SHALOCKMEMO995
海の鼓動をきいた夜 Conquering King's Heart
キング家の花嫁 4) 2009」
モーリーン・チャイルド 藤峰みちか





原題は「キング家の心に打ち克って」。ここからは第2シーズン,南カリフォルニアで活躍する一族の3兄弟がヒーローになるようです。随時第1シーズンのアダム,トラヴィス,ジャクソン3兄弟とその奥様方もカメオ出演しますし,その後のお子様たちの名前も出てきます。シリーズものの安心感があり読みやすいのですが,読み進むのにうっかりわかりきったつもりで読み飛ばしてしまうこともあるのがシリーズものの落とし穴でもあります。さらに続けて読んでいくと,いわゆる飽きが来るというのも事実です。ときどき違う作家のテーマの別のものも入れないと,苦しくなりますね。新シーズンでは「キング・ビーチ」のジェシー・キング,牧場経営者のジャスティン・キング,映画制作会社経営者のジェニファー・キングが登場します。また,気づいたのですが,「キング家」シリーズは"Kings of California"のシリーズだけでなく,いわゆる番外編として"Man of the Month"シリーズや"Billionaires and Babies"シリーズでも作られているようです。カリフォルニアに大勢いるキング家だけでなくもう少し範囲を広げるためでしょうか。本作には「親族全員が州内に住んでいて」とありますが,現に第1シーズンでもメキシコのホテルを経営するリコたちがいますので,やはり本拠地をカリフォルニアに置きながらも少し範囲を広げているのかもしれません。
さて,本作のヒーローはジェシー・キング。ジャスティンの弟で3兄弟の次男です。ジャスティンはすでに結婚し妻とは別居中であることが書かれています。プロのサーファーとして世界各地で競技会で優勝し,その経験を生かしてサーファー関連の商品を仕入れ販売するキング・ビーチを経営しています。キング家の兄弟や従兄弟たちが皆事業で成功しているのに対し,自分は事業ではなく活動で成功したいと想い続けているジェシーですが,いつの間にか自分も事業家になってしまっていることに最近では悩んでいます。もう一つの悩みは3年前に出会って一夜を共にした女性が翌朝から見当たらず,探し続けているものの見つかっておらず,3年間も一人の女性を想い続けていることです。そんなジェシーが思い出の地モーガン・ビーチの商店街を買い取り,改装して理想とするサーファーの街を作ろうとしたときに,立ち退きを拒否し敢然とジェシーに立ち向かってきたのは女性用水着の制作販売店を経営するベラ・クルーズでした。ダブダブのTシャツと踝までの長いスカートで身体の線を出さないような服を常に着ているベラ。どんなに説得しても頑として譲らないベラ,そしてそんなベラに何とか近づこうとするジェシー。これまで女性にこれほど気を遣うことなく常に女性の方が自分に気を遣うことになれていたジェシーにとってベラの存在は新たなタイプの女性でした。ところが3年間追い続けて居た女性こそ,ベラだったのです。そのことを知ったジェシーは,部下の企画である女性用水着部門への社の事業拡張をベラを取り込むことで果たすことが必要という意見に納得し,ベラとの関係修復こそ一石二鳥の戦略だと判断し、ベラとの交際に真剣に取り組み始めるのでした。そして知れば知るほどベラへの思いが増していくことに戸惑うジェシー。ベラもまた大家族であるジェシーが一族を愛し一族の中でも愛されていることを知り,これまで単なるお金持ちのお坊ちゃんと思っていたジェシーが真剣に事業に取り組みさらに環境への配慮も忘れないなどの一面を見せられ,3年前からジェシーを愛してきたことをついにジェシーに告げるのでした。しかし,ジェシーとの交際は未来のない,そして事業拡張のために自分との交際をしてきたことに気づいた瞬間,別れを決意するのでした。ベラが出ていくのを止められなかったジェシー。結婚という重荷を背負いたくないと決意していたのは両親の不仲や兄の別居などによるものでしたが,それでもベラを求める気持ちの強さを解消することは出来なくなっていました。最後は何とも情けなくベラにすがっていくジェシーですが,そんな一途な思いを見せられたベラがどんな行動をするのでしょうか。


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