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シンデレラは涙をふいて [デビー・マッコーマー]

SHALOCKMEMO977
「シンデレラは涙をふいて Rock-A-Bye Baby
サマーシズラー2015真夏のシンデレラ」所収
 1995」
デビー・マッコーマー 大谷真理子





アンティークショップの店員として働き始めたダーニ・ベックマンは,婚約者のボブに裏切られて傷心のあまり7年間勤めたデパートのディスプレィ担当の仕事も辞め,ワシントン州シアトル近郊のオーシャン・ショアズという海辺の町にやってきます。オーナーのジョン・オズボーンにはいい顔をされませんでしたがジョンの母親エイミーが自分を買ってくれ,何かと優しい声を掛けてくれるので,自分の能力を発揮すればジョンもきっと分かってくれると思い,得意なウィンドーディスプレィに努めました。地元の新聞にも取り上げられ,噂が噂を呼んでこれまで以上の売り上げが上がるようになったアンティークショップ。でも,1ヶ月という限定で働き始めたその期限が近づいてきて,まだジョンは態度は和らいだものの自分を解雇することをあきらめてはいませんでした。実はジョンも妻と息子を失い,心の傷が癒えていないため再婚は考えていなかったのです。しかしダーニの笑顔とディスプレィ構成の能力は次第に店には欠かせないものになってきていたのです。そんな時,元婚約者のボブがダーニの元を訪れます。驚いたダーニが取った行動とは・・・。
それぞれ心の傷を負った男女が,互いに癒やし合って幸せになっていく静かな愛のストーリーを描いた小品です。


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ふたりの六週間 [デビー・マッコーマー]

SHALOCKMEMO778
ふたりの六週間 The Apartment 1993」
デビー・マッコーマー 風音さやか





アパートを借りて独り立ちしようと引っ越してきたふたり。一人は母親の元から自立しようとしてサンフランシスコから引っ越してきたポートランド交響楽団のフルート奏者ヒラリー・ウォズワース。もう一人はグリーンベレーを退役して来た隊員ショーン・コクラン。しかし,本当は二人とも家主であるグーリア夫妻の家の2階をシェアするつもりだったのです。ところが夫妻がそれぞれ別の契約を結んでしまったことから,一部屋ずつを使わざるを得ない,いわゆる同居の形になってしまったのでした。思惑の外れた二人は初めは互いに生活習慣の違いから反目せざるを得ませんでした。几帳面で上品なヒラリーと,軍隊生活しか経験のないショーンでは,食べ物の好みから聴く音楽の好みまで全く合わない二人だったのです。しかし,グーリア夫妻はすでに長期旅行へ出かけてしまい,連絡も取れません。とりあえず,グーリア夫妻が帰宅してショーンの敷金を払い戻してもらい別の部屋を借りるまでの期間は我慢して住むことになるのでした。
コメディタッチの作品かなと思って読み始めましたが,ショーンはヒラリーのような上品な女性とのつきあいの経験がなく,ヒラリーもまた男性とのつきあいが亡かったわけではありませんが相手が自分の家柄や財産目当てに自分に言い寄ってきたという苦い経験しかなく,手探りの状態での二人の共同生活がとてもリアルで,しずかに物語が進行していきます。母からの独立が最大の課題であるヒラリーですが,次第にショーンから守られていることに気づき,ショーンを愛するようになります。しかし,ショーンはヒラリーが大切にされるべき存在であり,がさつな自分との未来はとても考えられないと思うようになります。そして,交響楽団の演奏会の日,ヒラリーはショーンと母親を演奏会に招待します。互いの存在に気づかないまま隣同士の席になった母ルイーズとショーン。ルイーズは娘のことで,そしてショーンはガールフレンドのことで悩んでいることを偶然打ち明け合います。ルイーズは娘の様子から相手がショーンであることに途中で気づいた様子ですが,40代にしか見えない若いルイーズがまさかヒラリーの母親であることに気づかないショーン。やがて感動の内に演奏が終了し,ヒラリーの元にお祝いを言いにやってくるショーン。その後ろにヒラリーの母親が来ていることには全く気づかずに・・・。
さて,母ルイーズはどういう態度に出るのでしょうか。三人の邂逅の感動のシーンに思わず涙がこぼれてしまう絶品の小品です。


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シンデレラになる夜 [デビー・マッコーマー]

SHALOCKMEMO619
シンデレラになる夜 The Bachelor Prince 1994」
デビー・マッコーマー 葉月まり





本物のプリンスと一日だけデートできる券。発想としては面白いですし,ありそうな設定です。ありそうでないのは,それで当たった女性を,プリンスが本当に一目ぼれになってしまうことです。
本作ではふた組の男女が登場します。サン・ロレンツォという小さな国のプリンス,ステファノとその私設秘書ピエトロ。アメリカの富豪の娘プリシラとコーヒーショップの経営者で当たり券を持つ女性ホープ。アメリカという国の人々は爵位やプリンス,プリンセスという称号に過大の期待を寄せるという国民性を持っているらしく,プリシラやホープの母親たちは,相手がプリンスと聞いただけで,すべての人格を善とみなして大騒ぎする,そんな様子が結構コメディタッチに描かれています。
ホープに惹かれながらも,財政ひっ迫の国を救うため富豪令嬢プリシラとの結婚を画策するステファノとピエトロですが,皮肉なことにプリシラとピエトロは互いに惹かれていき,ホープとステファノも互いに惹かれながら,国を救うためにはステファノとプリシラの結婚が必要。そのたすき掛けの関係が果たしてどんな風な結末を迎えるのか。物語の進行に結構イライラさせられながらも,ふた組の男女のロマンスの成功を願わずにはいられなくなってしまう,ロマンスの王道を行く作品です。


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シンディとプリンス [デビー・マッコーマー]

SHALOCKMEMO594
シンディとプリンス Cindy and the Prince 1987」
デビー・マッコーマー 麻生ゆり子





この記事を書こうとして驚きました。デビー・マッコーマーの作品を読了するのは初めてなんですね。すっかり名前にはなじんでいたので,このウェブページを作成し始める前に読んでいただけ,つまり,もう少なくとも7年の間,目に触れずに,しかも作品リストも作っていなかったことになります。
さて,本作のことです。ヒロインのシンディはビル清掃のアルバイトをしながらコンピューター・プログラミングを勉強中の学生。アルバイト先のビルの会社の副社長ソーンダイク・プリンスに憧れの気持ちを持ってしまいます。しかし,相手はセレブの独身男性。清掃員をしている自分との差を考えると会うことさえかなわない相手です。クリスマスが近いある日,ゴミ箱に捨てられていた一枚のパーティの招待券が二人の運命を変えることになります。
その招待券を使ってパーティにもぐりこむためシンディは,かぼちゃの馬車ならぬ叔父の運転するリムジンにのり,会場に着き,お目当ての相手プリンスに会うことができます。プリンスも始めてみるシンディに興味をひかれ,次第に近づいてきます。二人はダンスを踊りますが・・・。
シンデレラと王子様の童話を意識した二人の会話で,二人の先行きがどうなるのかを暗示しています。ところが,プリンスには婚約者のシーラの存在が。シンデレラの童話を少しずつ変化させ,現代風にしています。清掃員の仕事の合間にシンディはプリンスのことをよく知ることができる立場にありますが,プリンスはシンディのことを何一つ,名字すら知ることができません。しかしすっかりシンディに恋してしまったプリンスは探偵を使ってシンディを捜させます。探偵が自分のことを嗅ぎまわっていることに不安を感じたシンディは,これ以上会ってはいけないと思いながらも自分の気持ちを抑えきれずにプリンスのもとを訪れ,次に会うことを約束しますが,プリンスの気持ちが他の女性に行っていると感じたシーラの計略で,約束に1時間近く遅れてしまいます。
そんな紆余曲折から,二人の関係を応援してくれる,プリンスの両親,シーラの叔父・叔母や清掃員仲間など,周囲の人々の励ましで,二人は互いの気持ちに素直になり…。
童話シンデレラの換骨奪胎でありながらも,向学心やしっかりした自分を失わないシンディの健気さが光るすてきなロマンスが展開される作品です。


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