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ハッサンの娘 [ペニー・ジョーダン]

SHALOCKMEMO929
ハッサンの娘 Daughter of Hassan 1982」
ペニー・ジョーダン 小池 桂





母の再婚によって砂漠の国の石油王の義娘になったダニエル。学校でもアラブの富豪の娘となったことで周囲とは違ったふうに見られるようになりますが,ダニエルは義父との関係がうまくいき,そろそろなにか自分の仕事を持ちたいと考え始めていたところです。ところが,義父のハッサンは息子がおらず,自分の国の経営に深く関わってきた兄の婚外子であるジョルダンに後を継がせようとダニエルとの結婚を画策しているのでした。両親がアメリカに事業のために出かけるというとき,自分の国を一度見せたいとダニエルを砂漠の国に送ります。そこで出会ったのはジョルダンでした。ダニエルの家にはもう一人洗練された家柄のフィリップとキャサリンという兄妹が時々やってきていましたが,フィリップは借金で首が回らなくなり,ダニエルを誘惑することでハッサンの財産を得ようと狙っていました。さらにキャサリンもパリでジョルダンをものにしたいと狙っていたのです。この腹黒い兄妹が,ジョルダンとダニエルの二人に襲いかかります。企てに成功しかかったとき,ジョルダンの元を去る最後の夜と思ってジョルダンの居間となっている塔の上の部屋に行ったダニエルは,ついにジョルダンへの愛を告白し,ジョルダンもまた15歳の時からダニエルに惹かれていたことを告白するのです。
子供のような純真さを持ち続けているダニエルがジョルダンによって少しずつ大人への成長を促されていき,遂には大人としての愛に目覚めるまでの心の成長を丁寧に描いた成長譚です。


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八年の空白 [ペニー・ジョーダン]

SHALOCKMEMO802
八年の空白 A Man Possessed 1986」
ペニー・ジョーダン 小林町子





ケイト・ハモンド,ドミニク・ハーランドは八年前に出逢っていた。ケイトは,夫が賭け事の支払い資金を得るために便宜的な結婚をしたことに気づいたときには,夫が自分を妻として認めないだけでなく,18歳にも満たない自分が夫から魅力のない女だと何度も言われたためすっかり女性としての自信を失ったまま,10年間を過ごす。6年前に夫が事故死したものの,ケイトは家を離れることができず,自分を捨てていった母親からの仕送りだけで何とか生活していた。8年前,夫から相手にされないことに絶望し,家を訪れた夫の友人ドミニクのベッドに先に入って待っていたものの,ドミニクからも拒絶されたため,男性は信用してはいけないものだと思い込んでいる。ペニー・ジョーダンらしい究極の愛のゆがんだ形の設定で始まる本作です。
8年前自分のベッドに忍んでいたケイトが,誰のベッドにでも忍び込むふしだらな女性だと思い込んでいるドミニクは,村に用事で訪れてケイトに再会するやいなや,その思いを隠すことなく口にするため,ケイトの友人たちから敬遠されていきます。しかし弁解する気のないケイトに遠慮して誰も真実を告げようとしません。ケイトとすれば疑っているドミニクに言い訳をしてもどうせ信用されないだろうという気持ちからでした。亡くなった夫から愛してもらえなかったため,本当の愛がわからなくなっているのでした。ドミニクもまた自分の母から捨てられた経験を持ち,女性を信用してはいけないという思いを持っていたのです。しかし運命は二人を何かにつけて結びつけようとします。
ステンドグラス制作の共同経営者となったハリー夫妻の元を訪れて,ケイトはドミニクと向き合うための勇気を得て帰宅しようとしたとき,ドミニクの車が事故を起こし,警官から運転していた男性が亡くなったことを聞いたケイト。本作はケイトの心の成長を見事に描いた作品です。少し古い作品なので,道徳観が堅い感じがしますが,舞台が田舎であることを考えると,あり得る設定なのかと思います。


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砂漠は魔法に満ちて [ペニー・ジョーダン]

SHALOCKMEMO671
砂漠は魔法に満ちて The Sheikh's Blackmailed Mstress 」
ペニー・ジョーダン 槇  由子





 ペニー・ジョーダン追悼特集の刊行。地図製作者がヒロインというのは,かなり珍しい設定です。ヒーローはダーラーン国王ビアハム・アル・アカリム・ビン・ハカール,通称ビアハム。隣国クルアの国王エミールは砂漠の中にある国境を少しでも自国に有利にしようと手ぐすね引いていることがわかっており,ヒロインのサマンサ・マクラレンが国境付近の川の水源に興味を持っていることから,ダーラーンにとって不利な地図を作成しようとしているスパイではないかと疑いを持ったビアハムは,夜間現場のテントに一人いるサマンサを訪ねます。実はその前に危うくホテルの廊下の曲がり角で二人はぶつかりそうになり,そのとき互いの心のなかに驚きと同時に互いの興味も強く持っていたのでした。それに気づいたビアハムはいっそのことサマンサを愛人として情報を得ようとするのですが。
 すでにビアハムに男性としての強い魅力を感じていたサマンサは身分もない自分に興味を示すダーラーン国王に,愛を感じているのではないかと思い,さらに自分がビアハムに強い愛を感じ始めていることを素直に受け入れようとします。しかし,愛人として連れて行かれた王宮で,女性専用棟に独りぼっちで置かれたり,自分に急によそよそしくなったビアハムに対して,王弟の妻セイディーを王妃だと思い込んだり,一人芝居をなんども演じてしまいます。十代の頃両親を事故で亡くし,国王としての責任を強く感じているビアハムは人を愛することが自分を弱くすることであり,愛する人を二度と失いたくないという強い思いから,サマンサに素直に愛を告げられません。そんなビアハムの本当の気持ちに気づかないサマンサが別れを告げて空港に向かおうとしたとこで,カタルシスが起こります。
 砂漠の美しさ,オアシスの豊かさなど情緒たっぷりのシークものの絶品です。


一目ぼれなんて [ペニー・ジョーダン]

SHALOCKMEMO670
一目ぼれなんて Bought with His Name 1982」
ペニー・ジョーダン 中原もえ





 昨年末に亡くなったペニー・ジョーダンの特集的出版=追悼コレクションがハーレクインから始まっています。4月はハーレクイン・プレゼンツで本書と「砂漠は魔法に満ちて」が出されました。始めに本書を手に取りました。秘書ものです。ヒロインの名前が「ジェニスタ」。普通ならジェニーと呼ばれるのでしょうが,ジェニスタという響きもなかなかいい感じです。
 気乗りのしないパーティに出かけたジェニスタは目を引くハンサムな男性ルークと遠くから目が合ってしまいます。それが二人の出会いでした。実はルークはジェニスタの新しいボスだったのですが,このパーティの時点では二人ともそのことを知りません。しかし,目を引く美女のジェニスタとハンサムなルークはパーティ会場の中でも異彩を放つ目立った存在でした。その二人が互いの目を合わせてしまった瞬間,誰もが二人を似合いのカップルだと思ってしまうほど、ぴったりのカップルでした。ルークがジェニスタに声をかけてきて,二人は互いに興味を引かれます。しかし,どうせ自分を引っかけるために声をかけてきただろうと考えたジェニスタは,すげなくルークの誘いを断ります。
 翌日会社での二人の出会いは,その後の二人の関係をどんな風に変えていくのだろうか。そんな興味を抱かせたまま,互いに自分のことを語ろうとしない二人はどんどんすれ違いの感情を募らせていきます。まさに心理戦を戦わせます。その二人の駆け引きと,勘違いをこれほど見事にストーリーに仕上げていくペニー・ジョーダンの筆力のすばらしさは,見事としか言いようがありません。オフィスものに必ず登場する人のよい上司と秘書仲間もちょくちょく重要な場面でしっかり顔を出し,飽きさせない展開です。


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