SSブログ
ソフィー・ペンブローク ブログトップ

都合のいい花嫁 [ソフィー・ペンブローク]

SHALOCKMEMO1075
都合のいい花嫁 His Very Convenient Bride 2015」
ソフィー・ペンブローク 高山 恵





ヘレナとフリン。モリソン家とアシュトン家。複雑な二つの家族の関係と,ヒーロー・ヒロインの愛の成長,そしてヒロインに隠された秘密。それが交錯した興味深い作品です。
16歳のころ憧れの気持ちを抱いたことがあるフリンの結婚式の日,結婚相手のセア・モリソンがフリンの弟ジークと結婚式から逃げ出したと知ったとき,セアの妹ヘレナは自分が身代わりに結婚式を挙げるととっさに提案します。ちょっと自分より小柄なセアに合わせて作られたウエディングドレスに無理やり身体を突っ込んで・・・。セア,ヘレナ姉妹とフリン,ジーク兄弟が,姉と弟,兄と妹という組み合わせで結婚するという奇妙な関係がスタートします。初めはセアとフリンの結婚式のはずだったのですから,ヘレナにとっては自分が代役に過ぎないことはわかっていました。しかし,招待客が大勢いる前で花嫁に逃げられたフリンを見捨てることができずに,自分から代役を引き受けたのでした。さらに,実はモリソン家の当主,つまり姉妹の父親トーマスとアシュトン家の妻,つまり兄弟の母親が愛人関係になるというおまけ付きです。さらにさらに,フリンはアシュトン家の養子であり,両親が誰かは最後まで分かりません。フリンにとっては会社で重要な役割を果たすことが自分の生きがいであり,モリソン家の娘との結婚が,養父母から認められるためには非常に重要だったのです。便宜的結婚の最たるものでした。ヘレナにとっても,かつての憧れの君であるフリンとの結婚が,初めは便宜的なものであっても,いずれ二人の間に愛が芽ばえるかもしれないという期待があったことも事実です。しかしヘレナにも大きな秘密がありました。若気の至りで羽目を外しすぎて妊娠してしまい,産まれた娘を親に言われたとおり養子に出してしまったのです。その娘が今どこにいるのか,生きているのか死んでしまったのかさえ分からない状況でした。かつて養子だと分かったとき,自分を捨てた親を恨んでいたフリンは,このヘレナの行動が,子供に対する裏切りでしかないと考えざるを得なかったのです。この秘密を初めから明かしていれば二人の間にひびが入る隙間もないほど,二人の関係はよくなったのですが,イタリアでのハネムーン中の便宜的な結婚から1週間後,両家の親たちが二人の結婚契約書へのサインを求めたとき,ヘレナは娘の存在をフリンに告げなければならなくなり,関係が良くなっていたがためにかえってフリンのヘレナへの失望が強まったのでした。こんな複雑な両家の関係を絡めながら,ストーリーは急展開していきます。フリンとヘレナは愛を取り戻せたのでしょうか。
ややあり得ないような家族関係は,韓流ドラマのドロドロ劇のような展開ですが,不思議とドロドロ感はなく,なにかさっぱりした感じがするのは,率直に自分の気持ちを言葉に出し合うヘレナとフリンの二人の関係からきているのかもしれません。なお,「姉妹編の初恋の残り香」は未読です。


タグ:イマージュ
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

大富豪との一夜の続き [ソフィー・ペンブローク]

SHALOCKMEMO812
大富豪との一夜の続き Stranded with the Tycoon 2013」
ソフィー・ペンブローク 清水由貴子





 大学の時パーティで一度だけ軽くキスしただけの男性との再会。歴史学者で大学教授のルシンダ(ルース)・マイルズは,歴史学会の会議で宿泊の予約が取れていないことで,フロントで掛け合っていた。「自分のことは自分で解決する」をモットーとしている彼女。そのとき,ベンが現れる。このベンとルースの再会がきっかけで,物語は展開していきます。ホテルのスイートを定宿にしているベンは,スイートの一部屋をルースに使ってもらおうと申し出ます。このとき,ルースの頭の中には8年前20歳の時のベンとのひとときが渦巻いてくるのでした。ベンは私を覚えているかしら,あの一夜を覚えているかしら,あの後ベンは変わったのかしら,それとも昔のままかしら,そんな思いをめぐらしながら,とりあえずスイートに泊まることにするのです。ベンはもちろんルースを覚えていました。だから声を掛けたのでした。パーティで見たときのルースと今のルースは服装も違っていましたし,昔よりはるかに魅力的になっていました。うまくいって,一夜の関係を持てれば,という淡い期待もしていたのです。でも男女の関係は一夜限り,その後の面倒なことは絶対避けたい,というのがベンの信条でした。その夜は互いに思いを巡らしながらも,なにも関係が進展しないままでしたが,翌日,ウエールズに帰るルースをベンは送っていくことを思いつきます。幸い雪が降ってきて列車が予定どおり出発しないことが分かり,車で送っていくことにするのですが,途中雪が深くなり,今夜中にカーディフにつくことは無理だと思われました。ベンの持っている山荘に寄って雪を避けることにするのですが,一夜明けて更に雪が深くつもり,出発するものの途中寄った古い城から引き返し,結局三日間は山荘にいることになるのでした。二人の関係はこの三日間で決定的になります。そして,何事も予定を立てて家族のために尽くすルースの生き方と,両親の結婚生活の破綻から家族に見切りをつけていたベンの生き方の違いを互いに理解し合えないまま二人は別れるのでした。数週間後,妊娠に気づいたルース。ベンにもこのことを知らせなければと思いながら,なかなか踏ん切りがつかないでいます。ベンとの連絡もなかなかつきません。面倒を見ているつもりだった妹のドリーが,ルースの相談相手として成長していて,この困難を乗り越える頼もしい味方となっているのに気づいたルースは,自分を頼ろうとしている母と弟にはっきりと自立するように言うことが出来たのでした。ベンとの関係はどう進展していくのでしょうか。ベンもまたルースと別れてから,兄のセバスチャン(セブ)から新たな企画の話を持ちかけられ,ルースの妊娠を知らされたときの対応のまずさを実感しました。そしてある決意をするのです。結局再会してから三カ月の月日が流れ,二人の関係が新たな進展を見せます。
 互いの家族との複雑な関係を整理し,二人(生まれてくる子供を含めて三人)の生活を築いていけるのか,互いの心の成長を描いた良作です。


タグ:イマージュ
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
ソフィー・ペンブローク ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。