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氷の愛人 [マヤ・ブレイク]

SHALOCKMEMO1437
氷の愛人 Signed Over to Santino 2016」
マヤ・ブレイク 春野ひろこ





 原題は「サンティーノにサインされて」
 ヒロイン:カーラ・ナルドッチ(24歳)/フィギュアスケート選手/チョコレート色の髪,アーモンド形の緑の瞳,明るい黄金色のすらりとした脚/
 ヒーロー:ハビエル・サンティーノ(33歳)/会社経営者/金色が勝った褐色の瞳,深くてあたたかい声,熱い胸と広い肩/
 世界大会にも出場するフィギュアスケート選手がヒロインです。怪我で休業中ですが,マネージャーを務める父がいい加減で,自分を食い物にしており,投資の失敗から家計は火の車。もう次の試合場所へ移動する旅費にも事欠く有様です。しかしそんなことを世間に公表するわけには生きません。一方の高級ブランド会社のサンティーノ社の経営者ハビエルは,かつてカーラと付き合い,しかも裏切られたという経験を今も根に持っているプライドの高い男です。「カーラが純潔を捧げた相手。最高にセクシーで決して忘れられない一夜を共にした男性」だったハビエルに借金を申し込むという屈辱の依頼をせざるを得なくなったカーラに対して,復讐を果たすために会社のCM契約という餌でカーラと愛人契約を結ぼうと画策します。しかしそんな提言をしたハビエルは言った瞬間から後悔してしまいます。あれから3年も経っているのに,未だにハビエルはカーラを忘れ切れてはいなかったのです。それは唯一自分の元を立ち去った女性だったことも一員でした。スケートの技術だけではなく,カーラは一人の女性としても美貌,知性,そして深い愛情と性格の良さすべてに100パーセント以上の能力を持った女性です。そんな女性がいい加減な父親の言いなりになっていること自体がハビエルには信じられません。次第にその理由が分かり始めてきます。すべてを持ち合わせたカーラは両親から愛されていないという孤独な気持ちが心の奥に芯のように巣くっていたのです。ありがちな絶対的頂点を極めたものの孤独感。そんなアスリートとしての悩みをカーラもまた持っていたことを,ハビエルが気づいたとき,カーラを守りたいという気持ちを強く持つのでした。しかし自分の元から立ち去った唯一の女性という経験から,ふたたびカーラが自分を捨てていくのではという不安から,何くれとなくカーラに意地悪な要求をしていくハビエルなのでした。好きな子にわざと意地悪をしたくなるという,いつまで経っても子供のような気持ちを抱いているのが男という存在なのかも知れません。そんな男性心理を作者はうまくストーリーの中に取り入れているように思います。
 「カーラの顔をのぞき込みながら,なぜこんなにも惹かれるのか冷静に考えてみた。決して好みのタイプというわけではない。彼の好みはもっと肉付きが良い陽気な女性だ。なのに彼女を初めて目にした瞬間から,この夜のものとは思えない美しさに,ところどころ淡褐色がまじったチョコレート色の髪に,鮮やかな緑の瞳に,そして彼の手に触れてくれと懇願するような華奢な体にとらわれてしまった。」ハビエル。一方「初めて会ったときから,カーラはハビエルに魅了されてしまった。」と相思相愛だった二人がすれ違ったまま3年を経過し,今カーラの怪我によってやっと二人の時間が再び交差していくことになったのです。こんなふうに再会ものは,このあと二人がどんな関係を気づいていくのだろうかという興味と,周囲の状況と折り合いを付けたり乗り越えたりしながら二人の愛を築いていくのかという興味で,一気読みしてしまいがちなストーリー展開が楽しみになっていきます。そして3年前の二人の因縁の場所マイアミのハビエルの別荘に再び戻った二人。そこで二人は3年前の互いの気持ちを打ち明け合うのですが・・・。
 MB版も邦訳版もカーラのモデルはちょっと大人びた大柄な女性ですが,フィギュアの女子選手というのはどちらかというと小柄で愛らしい感じというイメージしかもっていませんでしたので,初め表紙を見たときはちょっと違和感を持ちました。しかし,アメリカのグレイシーやイタリアのコストナーのような大きな選手もいますので,これは単なる思い込みだったかと思い直しました。それよりやはりアスリートらしい鍛え上げられた身体と勝負に対する貪欲なまでの闘争心という部分が選手生命を高めていくことになるのでしょうね。でも24歳というのはフィギュアの選手としてはかなりの高齢と言うべきでしょうか・・・。


タグ:ロマンス
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一夜の子のために [マヤ・ブレイク]

SHALOCKMEMO1341
一夜の子のために Brunetti's Secret Son
( Secret Heirs of Billionaires 3 ) 2015」
マヤ・ブレイク 松本果蓮





 原題は「ブルネッティの秘密の息子」
 ヒロイン:メイジー・オコーネル(29歳)/イタリア料理店「メイジーズ」オーナー,元弁護士/天使のような顔と男をそそる罪な身体の持ち主,明るいブルーの瞳,暗い炎の色の腰までの髪/
 ヒーロー:ロメオ・ブルネッティ(35歳)/高級リゾートホテル業「ブルネッティ・インターナショナル」CEO/ハンサム,富豪,独身/
 「幻を愛した大富豪(SHALOCKMEMO1295)」に続くシリーズ第2弾です。前作のヒーロー,ラファエル・カステリの関連作「純潔の未亡人」は10月刊の予定ですが,本シリーズには入っていないようで,ちょっと不思議です。本作のヒロイン,メイジーの圧倒的な美しさは左表紙イメージで明確ですが,MB版はブルネット,邦訳版は赤毛と異なっていますが,作中ではダブリン出身,暗い炎の色と記されていますから邦訳版の方が正しいでしょう。ただどちらにしても若々しい愛らしい顔と女性らしい姿態は共通項ですね。しかも,弁護士として働いたのちに一粒種のためにレストラン経営という新たな職業を選択したことでも分かるように,頭が良く,愛情に満ち,しかも美貌に恵まれるという三拍子揃った素晴らしい女性であることは間違いないようです。ただ,両親の愛情には恵まれなかった生い立ちには,その才能を打ち消してしまう決定的な劣等感を彼女に植えつけてしまっています。ところで,Amazonさん,9月刊の紙版のイメージがウェブページに載らないのには何か理由があるのでしょうか。KIDNLE版のイメージはあるのですから,普通発売日までにはアップされるのですから,すでに5日刊についてはあってもおかしくないし,7netやhonto版には載っているのですからハーパーコリンズ側の問題ではないようです。KINDLEの売れ行きが芳しくなく,売らんがための方策を取っているのではないかなどと勘ぐってしまいます。まあ,斜麓駈としてはKINDLE版の方がイメージも大きく,嬉しいのですが,KINDLE版のない作品のイメージを示せないのがちょっと困ってしまいます。ケイ・ソープの「夫を忘れた花嫁」(KINDLE版なし)はきちんと紙版の表紙イメージがあるのですから,理解に苦しみます。
 さて,本作のヒーローは実父がマフィアのボスというちょっと危ないヒーロー。しかし,彼自身は実父に妊娠させられた実母が実父から捨てられ路上生活を送った経験もあり,いわゆる暴力否定するために実父の影響下から逃れてきた経歴を持ち,事業家として大成功した努力家であります。しかし,実父であるドンが亡くなり遺言で彼に遺産を受け継ぐように右腕のロレンツォに託したことから物語が始まります。そしてその時明かされたのは,ヒーロー,ロメオには5年前に一夜の関係を持った女性との間に息子がいることでした。丁度は母が亡くなったとき訪れた故郷パレルモで,もう自分には誰も残されていないと寂しさを紛らわすためにバーで飲んでいて出会った女性に慰めを求め,翌朝部屋を去ったきり一度も連絡を取っていない女性メイジーが男子を出産し,その子を育てているというのです。家族を持たず,これからももつ予定の亡かったロメオの人生に降って沸いたように登場した一人息子。その存在がこれからの自分にどんな影響を及ぼしてくるのだろうか,そしてその母親であるメイジーとの関係をどうしたらよいのだろうか。詳細を弁護士に調べさせ,ロメオはメイジーの暮らしているダブリン郊外の町ラネラに赴きます。現在は「メイジーズ」というイタリア料理店を経営しているというメイジー。5年前は弁護士と聞いていたはずなのに・・・。一方,不審な高級車が表に停まっていると従業員から指摘されたメイジーですが,客かと思って顔を上げたメイジーはいっぺんで入ってきたのがロメオだと気付き,動揺を抑えきれません。そして二階のメイジーのフラットで,息子はどこにいる?と聞かれるに及んで,どうして彼がそのことを知っているのかと愕然とします。ここに至る経緯を聞き,息子ジャンルッカ(ルッカ)にはまだ父親であると言わないで欲しいと頼みます。公園にロメオを案内したメイジーは息子との間に自然に紐帯ができているロメオに驚かされます。ロメオはメイジーがあまりに自分に自然に接し,しかも自分がいまや「ブルネッティ・インターナショナル」という世界的ホテルチェーンのオーナーだとは知らない様子に驚きと新鮮さを感じます。たった一夜を過ごしただけの見知らぬ男性でロメオという名前しか,苗字すら知らなかった男性,それがメイジーにとってのロメオでした。改めて互いのことを知らせ会う機会をもたなければ。そう考えたロメオは一度ホテルに戻った体制を整えなければと考えます。今,実父の右腕だったロレンツォがジャンルッカやメイジーの存在を知っていることに危機感を感じながら,数人のボディガードを周辺に侍らせているものの,これから二人を守っていくためにはどうすれば良いか。ロメオはメイジーに自分との便宜的な結婚を申し出ます。マフィアは元来家族をとても大切にするもの。自分と家族になればメイジーとルッカは守れる。ロメオはそう考えたのでした。一時返事を留保したメイジーですが,マフィアから息子を守るためと言われて断ることができませんでした。ロンドンで簡単な結婚式を挙げた後,ハワイのロメオの経営する「ブルネッティ・インターナショナル・リゾート・マウイ」のヴィラで過ごすことになります。あくまでも息子のためということで互いの感情は抜きにしての結婚生活。しかし次第にそれは互いにとって窮屈で苦しいものになってきました。互いに魅力を感じながら離れていることに不自然さを感じたからです。そこで食事のときを通して互いの生き方や過去の問題点を,そして出会った5年前のことを打ち明け合い,理解が深まったようでした。しかし二人の関係はなかなか進展しません。休暇で訪れていたロメオの共同経営者ザッケオと妻のエヴァとの交流も二人の間の微妙な雰囲気に影響を与え始めます。暗くなってからエヴァとメイジーが海で泳いでいる様子を見つけたロメオは過剰に反応してしまい,メイジーが泳ぎの名手であり危険がないように予防措置を執ったことも知らずにメイジーを助けるために海に飛び込み,さらにヴィラまで抱き上げて運びます。自分に対する気持ちが単なる便宜的な物では亡いのではと期待したメイジーは遂にロメオとの関係を深めます。しかしロメオの口からメイジーに対する愛の言葉は聞かれません。「あなたは素晴らしい父親だし,私にはとうてい与えられないチャンスや支えをルッカに与えてくれると思う。それでもあなたとはいられない。」という言葉とともに,ルッカの4歳の誕生日を祝ったのち,メイジーとルッカはダブリンに帰ってしまうのでした。メイジーの両親は有名な大学教授で,一人娘であるメイジーも研究者になることを期待されていたのですが,幼い頃から勉強漬けの生活をしながらも毎年の知能テストでなかなかIQが伸びないため,すっかり両親から見放され,一時は弁護士になることで小康状態にはあったもののイタリアで知らない男性と付き合って妊娠し,さらにイタリア料理店を開くという反抗的な行動にすっかり腹を立て,ほとんど連絡すらしない関係になっていました。一人息子ルッカはメイジーにとって唯一の家族ですべての愛情を注ぐ存在でもあったのです。そこに入り込んできたロメオの存在。しかも互いに深い関係を持ちながらも心の仲間では踏み込ませない関係に,メイジーはすっかり希望を失っていたのです。そんなメイジーを励ましたのはレストランの経営を任せても良いと思っている友人のブローナでした。もう一度だけ,ルッカの将来のためロメオと対決してみよう。そう決意したメイジーはルッカをブローナに預け,パレルモに向かうのでした。
 両親から愛をもらえず愛を知らずに育ったヒーロー,ヒロインですが,ヒロインは息子を慈しむことから愛を知り,ヒーローをも愛していきます。そんなヒロインを愛せずにはいられなくなるヒーローという構図はロマンスの王道ですが,マフィアのボスの婚外子という特殊な環境にあるヒーローの存在感はかなり大きいですね。あまり風貌については書かれていませんが,雰囲気を持った男性だと言うことは想像に難くありません。ところで,本作をKINDLE版で読みましたが珍しくヒーローの名前の誤記が目立ちました。ロメオという名前を3個所も間違っています。「ロッコ」「ロメ」「ロミオ」という誤記が散見されました。紙版はどうでしょうか。


タグ:ロマンス
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疑惑のイタリア大富豪 [マヤ・ブレイク]

SHALOCKMEMO1288
疑惑のイタリア大富豪 A Marriage Fit for a Sinner
(7つの愛の罪 6) 2015」
マヤ・ブレイク 山本みと





 原題は「罪人にふさわしい結婚」
 ヒロイン:エヴァ・ペニントン(24歳)/クラブ「セイレーン」の歌手兼ウエイトレス/カラメルブロンドの髪,濃い色の眉とまつげ,モスグリーンの瞳,小柄で豊満な体つき/
 ヒーロー:ザッケオ・ジョルダーノ(32歳)/実業家,エヴァの元婚約者/
 貴族の娘ながら,母を失った後,父と姉から利用されるだけの存在になったエヴァ。その美貌から父の借金返済のために2度も婚約させられたにもかかわらず,父を信じ,それでも自立したいという気持ちからクラブ歌手として働き,ロンドンでフラット暮らしをしています。また,エヴァの父オスカー・ペニントン三世によって告発され1年半の刑務所生活を送った実業家のザッケオ・ジョルダーノは,かつてのエヴァの最初の婚約者でした。出獄後復讐のため,正義を取り戻すためペ人トン三世の罪を暴き,さらにエヴァを再び誘惑しようとします。2週間以内のエヴァとの結婚。それが最初にザッケオが計画した復讐の方法でした。さらにペニントン三世が罪を認めようとせず最後のあがきをしていると,結婚を1週間以内に短縮し・・・。父の罪を知らずに加担してしまっていたエヴァですが,ザッケオは内心ではエヴァも父の罪の加担していたと頑なに信じています。
 600人もの招待客を招いての大々的な結婚式の後,二人はブラジルの孤島でハネムーンを過ごします。ここで,エヴァは女性としての喜びを始めて体験し,ザッケオを愛するようになりました。しかし,エヴァにはザッケオに話さなければならない秘密がありました。子宮内膜症により子供が出来ない体だったのです。両親から捨てられ,特に母からは何の連絡も無くなってしまっているザッケオにとっては子供が結婚の最優先事項だということを婚前契約書に明記していたのです。この秘密を打ち明けようと何度思ったことか。ザッケオを愛し始めたエヴァにとってはこれを話せばザッケオから見捨てられるという怖れがありました。すでに数回の離婚解消を経験していたエヴァはこの秘密を話す度に婚約を解消されたという経験があり,例え正式にザッケオの妻となった今でもこの秘密を話せばきっと離婚されるだろうと思ったのでした。ハネムーン期間中何度もエヴァには話す機会がありましたが一日延ばしにしていたのでした。そして,ついにハネムーンの終わりの日,エヴァはザッケオに話すのでした。帰国は一緒ですぐに二人の家「カーサ・ド・パライソ」に到着しますが,ザッケオはすぐに出張と称して出かけてしまい,エヴァからの連絡には応答しなくなってしまいます。「セイレーン」での仕事と作曲に没頭してザッケオの不在に耐えるエヴァですが数ヶ月もなお連絡が取れないことに業を煮やし,ザッケオの会社から秘書のパソコンを通じてメールを送ります。「あなたが望むなら離婚する」と最後通牒を送るのでした。翌日セイレーンで倒れてしまったエヴァ。入院先にザッケオが現れます。さて二人の関係は修復されるのでしょうか。
 思いがけない結末をもたらす第15章とエピローグ。ストーリーテラーのマヤ・ブレイクらしい盛り上がりを見せる作品です。なお,ザッケオの風貌についてはほとんど語られていません。こんなのもマヤ・ブレイクらしいですね。


タグ:ロマンス
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いばらの冠を戴く花嫁 [マヤ・ブレイク]

SHALOCKMEMO1158
いばらの冠を戴く花嫁 Married for the Prince's Convenience 2015」
マヤ・ブレイク 片山真紀





 「私は泥棒」という書き出しで始まる本書。このジャンルの作品としては異例です。まるでミステリ作品を読むような第1章ですっかり本作に惹きづられてしまいました。自分と母をすさんだ生活から救い出してくれた継父スティーヴン・ニコルズが窮地に陥り,それを救うためにある書類を盗み出そうとしているジャスミン・ニコルズがヒロインです。あまりマスコミには顔を見せないサント・シエラ王国の皇太子レイエス・ヴィンセント・ナヴァールがヒーロー。レイエスはたちまちジャスミンの魅力に嵌まり一夜を共にしますが,翌朝重要書類とともに消えてしまったジャスミンにすっかり騙されていたことに激怒し,復讐を誓い・・・となるはずのところですが,ジャスミンの事情を聞いてコロリとそれを許してしまうあたり,レイエスの人の良さとジャスミンの魅力が強調されています。あとは二人協力して書類を初め問題を次々に解決していくところは爽快で,ロマンス小説らしさでぐんぐん引っ張っていきます。「少年院上がりの脛に傷を持つ身でありながら,皇太子妃になる」ジャスミン。シンデレラストーリーの秀作です。


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この世に一つだけの宝石 [マヤ・ブレイク]

SHALOCKMEMO1059
この世に一つだけの宝石 Innocent in His Diamond 2015」
マヤ・ブレイク 東みなみ





これまでのマヤ・ブレイクの作品とはちょっと違って,記憶に残るほどの作品ではないような気がしました。ヒロインが絶世の美女でモデルのアナ・デュヴァル。父親がコロンビア人でエキゾチックな美貌を誇る女性ですが,もう一捻りが欲しかったところです。ヒーローのバスティアンは複合企業のCEOをつとめる富豪で「ダイヤモンド・バイ・ハイデッカー」のCMのモデルにアナを使っていますが,アナの麻薬疑惑が報道され,さあどうするか・・・という設定で始まります。アナの母親が自分の娘を商品としてマネージャーをしながら生活し,美しければ教養などはいらないという方針で生活させたため,アナは字も読めないという劣等感を抱き続けています。ひどい母親もいたものです。この点で同情はできますが,アナがそんな境遇でもくじけずに努力して成功してきたという話しなら納得できるのですが・・・。モデル生活の悲惨さは描かれていますがヒーローとのロマンスにひたすらすがっていく姿は,お話しの深まりが感じられませんでした。父親であり考古学の教授サンティアゴ・デュヴァルのところで発掘作業に実際にかかわっていくストーリーがあれば,もっと面白いお話になったでしょうが。


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天使は大富豪に買われ [マヤ・ブレイク]

SHALOCKMEMO1014
天使は大富豪に買われ What the Greek Wants Most
Untameable Greeks Trilogy 3) 2014」
マヤ・ブレイク 麦田あかり





ギリシア人富豪の復讐譚ですが,舞台はブラジルです。“Untameable Greek”三部作の第3弾。「秘書以上,愛人未満(SHALOCKMEMO850)」「喪服の愛人(SHALOCKMEMO914)」で,サキスとアリのパンテライデス兄弟のロマンスが描かれ,本作は次男のテオが自分たちを苦しめた宿敵ベネディクト・ダ・コスタにせまり,全てを賭けて復讐していこうとする物語です。シリーズ各巻で3兄弟がボートを漕ぐ部分が登場しますが,本作でもこの場面が登場し,それぞれの愛する人がうっとりとそれを眺めるという場面がシリーズの統一感を支えています。天使(アンジョ)というニックネームのイネス・ダ・コスタは自分を支配し,利用しようとする父ベネディクトや兄ピエトロから逃れ,絵を描くという自分の夢を生かして自活していこうと考えています。しかし選挙への出馬を成し遂げようとし,選挙資金として自分への寄付を集めようとイネスにパーティーでの出資者への誘惑を命じます。そこに計画に従ってベネディクトを経済的に支援するようなふりをして近づいてくるテオが割って入り,イネスを誘惑してきたのです。家族である父や兄の頼みをむげに断れずにパーティへの出席を承諾したイネスは,突然自分たちの席に割って入ったテオに戸惑いながらも雰囲気を壊すわけにも行かずに静かに立ち去ってくれるよう願うのですが同時に,その圧倒的な男性的魅力と世界的大富豪からの誘いに惹かれる気持ちも沸き起こるのでした。テオは初めはイネスを利用してベネディクトへの復讐計画の最後の仕上げをしようと考えていたのですが,次第にイネスこそ自分には欠かせない存在であることに気づいていきます。ベネディクトの命により拉致され,南アフリカで深さ4メートルの穴に2週間も閉じ込められたため,現在でも暗闇や閉所などの恐怖症と毎晩訪れる悪夢によって十分睡眠が取れないという苦しみに苛まれてきたテオ。テオと一緒に暮らすことになってしまったイネスは,このテオの苦しみを間近で少しずつ気付いたいき,その原因が父親にあると知ったとき,肉親がテオに取り返しの付かない傷を負わせてしまったことで罪悪感をもち,何とかテオを癒やしてあげたいと本気で思うようになります。やがて会社の経営にどうにも埋まらない負債を抱えてしまい,しかも連日テオとイネスの不謹慎な行動が報道されるために選挙民からもそっぽを向かれてしまったベネディクトと対決したあと,テオはベネディクトを許そうと考えるようになります。しかしイネスはそんな父をもつ自分とテオが将来を誓い合うことはないと考えて,テオの元を去るのでした。二人の関係を修復してくれるのは誰でしょうか。意外な人物を作者は用意してくれています。愛人同様の暮らしをしながらも,ひたすらテオの魅力に嵌まっていきテオの心の傷をひたすら癒やそうとしていくイネスはまさにテオにとっての天使であり,その存在なくして,罪を許すという心情には至らなかったでしょうし,再び家族以外の人を愛するという気持ちも湧いてこなかったでしょう。素晴らしい外見の美しさに加えて内面のピュアな美しさを持ち続けているイネスは,ヒロインとしては超一流の存在でした。原題の「ギリシア人の最も望むもの」とは,イネスだったのか,愛だったのか・・・。


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服従の甘き口づけ [マヤ・ブレイク]

SHALOCKMEMO
服従の甘い口づけ The Price of Success 2012」
マヤ・ブレイク 片山真紀





マヤ・ブレイクの邦訳作品で未読だったもの。親の代からのカーレーサー,サーシャ・フレミングは父親が賭け金を不当に得るためにわざとレース中にクラッシュさせたという汚名を晴らすために努力を重ねてきました。しかし,チームの正式ドライバーラファエルとのスキャンダルの噂もたてられていました。そのラファエルがレース中にクラッシュし,その原因がレース前にサーシャと言い争いをしたせいだとチームのオーナーでありラファエルの兄のマルコ・デ・セルバンテスから非難され,ラファエルの病室に近づくことすら禁じられたのでした。父親の汚名を晴らすために自分がラファエルの後の正式ドライバーとしてふらわしいとインタビューで応えてしまったため,マルコからは金目当てにラファエルに近づいたとも非難されてしまいます。ラファエルとの言い争いの原因は別の女性との間の問題だったのですが,マルコにそれを告げても信じてもらえないと思っていたサーシャはその事には触れませんでした。そして,病院を追い出され,自分を入れてくれた看護師までクビにされそうになり腹立たしげに帰宅しようとしたとき,マルコがサーシャを自分のロールス・ロイスに乗せ,車中でキスをしてきたのです。嫌われていたと思っていたサーシャになぜマルコが・・・。きっと自分を罰するための方策だったのだと思ったサーシャですが,数日後,ラファエルの後に正式に次のレースに出場し,CMにも自分を出すことになったことを告げられ,チャンスに飛びつくサーシャでした。世界各地のレースを渡り歩きながら連勝を重ねるサーシャとマルコは次第に互いを意識することから心の壁を取り去り,過去の心の傷から立ち直ろうとします。そしてサーシャの元恋人のデレクがサーシャを非難する談話をマスコミに流し,それを信じたマルコからまたもや金目当ての行動だったと非難されるに至り,サーシャはマルコの元を去るのでした。イギリスに戻ったサーシャは・・・。
ドライバーらしいシャキシャキした性格のサーシャ。その言動と目標達成のために全力を尽くす姿,そして愛においても素直に自分の姿を見せて相手を思いやっていく姿が実にすがすがしく,その男勝りでアリながら女性的な魅力が満載の良作です。マヤ・ブレイクの描き出すヒロインたちの中でもずば抜けて素敵なサーシャを見られます。原題の「成功の値段」はタイトルとしてはありきたりですが,本作の内容を言い得て妙だと思います。


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喪服の愛人 [マヤ・ブレイク]

SHALOCKMEMO914
喪服の愛人 What the Greek Can't Resist 2014」
マヤ・ブレイク 麦田あかり





「秘書以上,愛人未満」の関連作第2弾。ギリシアの富豪パンテライデス家の3兄弟のロマンス・ミニ・シリーズの2作目で,長兄のアリオン(アリ)・パンテライデスと夫を亡くしたばかりの主婦パーラのロマンスです。パーラの夫はパンテライデス系列会社に勤務していましたが,経費の使い込みを始め様々な損害を会社に与え,解雇され,その後亡くなってしまいます。専業主婦のパーラは,あちらこちらの養家をたらい回しにされながらも夫の両親に可愛がられ,やっと家族の温かみを感じて幸せな結婚生活を送れると思っていましたが,夫に裏切られ,さらに会社の金を使い込みしたて亡くなった夫のため,義父母の財産もすっかり無くし,家も失う可能性が出てきました。会社からの遺族保証金で家の借金を何とか返そうと思っていましたが,その申し出のために社を訪れてみると,待っていたのは,数日前,バーで出会い,一夜を共にしてしまった男性,アリオンだったのです。名前しか知らなかったアリオン,そしてパールと偽名を使ってしまったパーラ。しかし一夜を共にするほど互いに惹かれ合ったのも事実です。しかし,亡夫の葬儀も済まないうちに自分とベッドを共にした軽薄で身持ちの悪い女と誤解されたまま,パーラは家もこれからの生活もままならない状況になったことに呆然とするのでした。しかし,そんなパーラの窮状をアリオンはなんとか繕おうと社の面接を受けてみないかと誘います。そして他の新人社員と入社してみると,大きなプロジェクトを任されるという破格な扱いを受け,給与も一カ月分前払いで・・・特別扱いをしないで欲しいとアリオンに苦情を告げに行くと,特別プロジェクトに配置された新人はみんな同じ条件だと諭される始末です。そして次々と世界各地でプロジェクトやホテル開業のためのPRパーティの企画を担当させられ,どの地にもアリオンと一緒に回ることになってしまいます。元々惹かれ合った二人ですが,ついに,パーラは妊娠していることに気づきます。アリオンからは「愛」を告白する言葉を聞けないまま,子供の養育のために結婚しようと申し出られたパーラ。最初は結婚の申し出を断るパーラですが,アリオンたち兄弟や弟と結婚したブリアナとの交流で,アリオンの優しさ,男らしさに気づかされ,ついに結婚を承諾するのでした。少なくとも自分が彼を愛していることは確かだし,いつかは彼も自分を愛してくれるのでないかと期待して。しかし,ある出来事がきっかけで,結婚式を延期せざるを得なくなります。それから二人が互いに愛を告白し式を挙げるのには数ヶ月の時間が必要でした。
さて,末っ子のテオのロマンスは次作になりますが,お茶目で歯に衣着せぬ言い方をするテオの心を射止めるのは・・・。ちょっとだけその可能性が本書の中に示されて,次回作への期待が高まるように設定されています。


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悪魔と呼ばれた大富豪 [マヤ・ブレイク]

SHALOCKMEMO892
悪魔と呼ばれた大富豪 The Ultimate Playboy
(背徳の富豪倶楽部 1) 2014」
マヤ・ブレイク 遠藤靖子





「club Q-Virtus」に集まる世界有数の富豪たち。その一人,魔術師の仮面を持つナルシソ・ヴァレンチノがヒーローです。彼の会社との契約を守ってもらうためにこのクラブに潜入し,シェルのルビー・トレヴェッリがヒロインです。ナルシソが父とのポーカー勝負をしているテーブルの担当となったのは偶然。そして,いつしかナルシソに惹かれてしまうルビー。ナルシソも又ルビーの作るカクテルのおかげで勝負に勝ち,ルビーを部屋に誘います。憎むべきナルシソの父ジャコモは息子の初恋の相手の母と,さらには初恋の人そのものをも金の力で誘惑してしまい,お前は生まれてこなければ良かったと豪語するとんでもない男です。しかし,ナルシソが生まれるとき,医者から母親か子供かと選択を迫られ,母親を選んだにもかかわらず,母親は息子の命を助けて欲しいと医者に頼み自らの命を引き替えにナルシソが生まれたという過去がありました。愛する人の命を奪った息子を許せなかった父親。二人の間の因縁はその後ずっと続いてきました。そんな父親を破産させることがナルシソの目的だったのです。その不幸な過去と向き合う勇気はルビーの努力によってナルシソの心の中に芽生え,父を許そうとしたとたん,父ジャコモの誘惑の手はルビーにも伸びてきたのでした。敢えて,誤解されるようにジャコモに企てられて,現場を見つけたナルシソはかつて初恋の人に裏切られたのと同じことをルビーもしたのだと誤解し,「出て行け」と叫びます。しかしその時ジャコモが心臓発作で倒れ・・・。劇的な幕切れではありますが,その後のハッピーエンドまでのストーリーがすっかり富んでしまっているので,何故ナルシソの心にルビーに許しを請おうとする気持ちが芽生えたのかがよくわかりません。この辺の葛藤が書かれていないと本作の本題が見えてこないのです・・・。また,邦題は「悪魔と・・・」より「魔術師と・・・」の方がぴったりすると思いますが・・・。「club Q-Virtus」に集まる富豪たちの物語はこの後,ダニー・コリンズ,ビクトリア・パーカーによって描かれる予定です。


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秘書以上 愛人未満 [マヤ・ブレイク]

SHALOCKMEMO850
秘書以上,愛人未満 What the Greek's Money Can't Buy 2014」
マヤ・ブレイク 小泉まや





ギリシアの海運王サキスの私設秘書としてあらゆることに対処できるブリアナは,サキスからの信頼も厚く,ロボットのように黙々とサキスのために働いてきました。唯一の悩みはサキスとの深い関係を望む自分の気持ち以外は。あるとき,所有するタンカーが事故を起こし,原油流出と乗組員の行方不明という会社の存続に関わる大きな事故が起こります。急ぎ現場に向かうサキスとブリアナ。次々に投げかけられるボス,サキスの指示をこなし,しかもボスからいわれる可能性のあることにも事前に手を打ち,さらに会社の存続のため有効な手立ても提案するなど,秘書としての役割を確実にこなしていきます。かたときもコンピュータから手を放さないことから,サキスの兄弟たちからはミス・コンピュータをいわれるほどです。しかし,ロンドンのオフィスで過ごすのとは異なり,様々な困難に立ち向かううち,二人のアドレナリンはいいようもなく高まり,宿泊先でついに気持ちを抑えることが出来なくなってしまいます。しかし,ブリアナにはサキスに隠している大きな秘密がありました。自分の前任者がサキスを裏切り解雇されてそんなに時間も経っていないこの時に,自分が隠していることが明らかになってしまえばサキスをさらに傷つけることになるかもしれないという怖れから,ブリアナはこの事故の処理が終わったら,サキスの下を離れなければならなくなると決意するのでした。やがて,事故が偶発的に起こったのではなく,以前ブリアナを裏切り,刑務所に入れた男性から電話が入ります。ブリアナが恐れていたのは彼が再び自分を発見し,脅迫してくることでした。時間の余裕がなくなります。いよいよ別れを告げなければならなくなると思われたとき,ブリアナの過去がサキスに知られてしまいます。ブリアナの運命は・・・。
海難事故への対応,マスコミとの対応,大きな事件のなかで翻弄されていく二人の気持ちの変化が見事に書き込まれて,サスペンス色も濃い作品です。過去の大きな不幸を二人は乗り越えることが出来るのでしょうか。出色のマヤ・ブレイク作品です。


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