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シンデレラと氷の王子 [ミシェル・セルマー]

SHALOCKMEMO904
シンデレラと氷の王子 Princess in the Making 2012」
ミシェル・セルマー 長田乃莉子





レストランの顧客対応係をしていたヴァネッサは地中海の小国の国王ガブリエルからの強い誘いで国王の結婚相手としてヴァリエオにやってきます。娘のミアは自分を裏切った夫との間の子供でしたが,ミアは今やヴァネッサの生きがい。そして二人を守ってくれるというガブリエルの言葉を信じ,結婚を承諾するかどうかを決めるためにヴァリエオにやってきたのでした。ところが空港でヴァネッサとミアを出迎えたのはガブリエルではなく,王子で息子のマーカスでした。イタリア語に近いヴァリエオ語を話すことができたのはヴァネッサがアメリカの軍人である父に同行して幼少の頃から世界中を転々として過ごしてきたからでした。ヴァネッサの母はヴァネッサの5歳のことに亡くなり,以後父とヴァネッサ二人で世界各地を転々としてきたためヴァネッサには親友と言える友達はジェシー以外にはいなかったのです。ジェシーには反対されましたが,ヴァネッサはとにかく自分の気持ちを確かめ,国王の妻としてやっていけるかを確認するためにヴァリエオ訪問を承諾したのでした。空港で出迎えたマーカスの態度は,父王を誑かすためにアメリカからやってきた年若く腹黒い女という印象を隠そうともしない,冷たくひどい対応でした。しかし父王であるガブリエルは元妻の妹でマーカスの叔母であるトリナの看病のためヴァリエオを離れイタリアにいってしまった後でした。宮殿には着いたものの,マーカスは勿論,宮殿のスタッフたちもヴァネッサに対する態度はいっこうに打ち解けず・・・。父との電話でヴァネッサに宮殿の外の案内を不承不承承諾したマーカスは,町でのヴァネッサの態度を見て,意外な行動に自分の考えが少しずつ変わっていっていることに気づきます。これまで自分が付き合ってきた女性とヴァネッサは全く違っていることに気づくのでした。そしてミアもマーカスにすっかり懐いています。初めは自分を嫌っていたと思っていたマーカスが自分を見つめる眼差しに変化が現れたことに気づいたヴァネッサもまた,罪悪感とともにマーカスの存在が気になりだしたのでした。ついに一線を越えてしまう二人。そのころからガブリエルからのスカイプでのテレビ電話が途絶え,普通の電話での会話に変化していきます。そしてマーカスの部屋で一夜を過ごした翌朝,ガブリエルが突然宮殿に戻ってきたのでした。さあ大事件。しかし,この事件が二人にとって大きな喜びになる事件になるとは。ミシェル・セルマーのすばらしい解決策を示され,大満足の一作です。


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嘘と誘惑のダンス [ミシェル・セルマー]

SHALOCKMEMO866
嘘と誘惑のダンス Expectant Princess, Unexpected Affair
愛の国モーガンアイル 8) 2010」
ミシェル・セルマー 北園えりか





「愛の国モーガンアイル」シリーズの最終巻です。2014年にオムニバスで[Diamonds][Secrets]という関連本が出されたようですが,とりあえずは,本作で長編は終了のようです。このシリーズ,モーガンアイルと隣国のトーマスアイルの兄弟国の王族たちのロマンスが描かれていますが,最後に残ったのはトーマスアイルの双子の姉,アンのロマンスです。前作でアンが妊娠していることがルイーズによって明らかにされていましたが,家族たちはその事を知らずにいたはずでした。その相手は?そしてどんな経緯で・・・。これが明らかにされています。相手は次期首相候補で現首相の息子サミュエル(サム)・ボールドウィンでした。計画的な誘惑なのか,偶然の接触なのかが,のちのちトラブルの元になってきますが,アンにしてみれば,兄たちや妹までが幸せな結婚生活を送るようになった状況や,父王が明日をも知れぬ病状になってきたことを考えてみれば,「氷の王女」と呼ばれる自分に幸せな時が訪れることが期待できないという気持ちも分かるような気がします。そして王族になってしまえば首相への道が閉ざされてしまうサムの結婚への決意に悦びもひとしおだったでしょう。アンの「氷の王女」の名前も返上できるほど変化したアン。そして,ウソがバレたときの大きな失意。しかしそれも自分のせいだとあきらめに近い気持ちになってしまうアン。二人が再び互いの気持ちに正直になるにはどんな事件が待ち構えているのか。さて,シリーズ後半,トーマスアイルが舞台になってから気になることが二つありました。一つは現国王の病状。もう一つはジンジャーブレッドと名告る謎の王室脅迫者の存在。アンのロマンスとこれらをうまく組み合わせた大団円へと進んでいきます。そしてエピローグにはトーマスアイルだけでなくモーガンアイルの面々も登場して・・・。見事な終結を向かえるシリーズでした。


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誓いのキスは天使のために [ミシェル・セルマー]

SHALOCKMEMO862
誓いのキスは天使のために Caroselli's Accidental Heir
(花嫁は一千万ドル 3) 2014」
ミシェル・セルマー 瀨野莉子





シリーズ最終作です。ジュゼッペの思惑どおり二人の孫が愛に満ちた結婚をし,しかも二人の妻たちもまた新たな命を育んでいます。そして三人目の,一番の年長者アントニオ(トニー)の結婚式の当日,式場を一人の妊婦が訪れます。その人,ルーシー・ベイツは,なんと,トニーの子供をお腹に宿していたのです。トニーの配偶者は,前作のヒロイン,キャリーの親友アリスでした。キャリーとロブが恋愛中,キャリーの部屋に滞在していたアリスとトニーはなんとなく良い関係になっていました。しかし,カロセッリ家の人たちはキャリーを除くとあまりアリスには親しみを感じていませんでした。モデルのキャリーはかなり俗物的な存在だったからです。そこに,やってきて爆弾発言をしたルーシー。「お腹の子はトニーの子よ」という宣言は,周囲に驚きをもたらすはずでしたが,みんなはこそこそとその場を立ち去るばかり。ロブの母親がアリスの面倒を見るように退席した他は,ロブを含めてだれもルーシーに非難の言葉を言いません。そして,翌日ジュゼッペに呼ばれたルーシーが緊張して書斎を訪ねるとジュゼッペもまた本当にトニーの子供かと尋ねるだけで非難するわけでもありません。母親から面倒を見てもらえず次々に家を訪れる「男の人」から被害を受け続けていたルーシー。学歴もなく特技もなく,しかも母親の血を引く自分が結婚に向いているとは思えません。トニーから子供を大切に育てたいからとプロポーズされたものの,ルーシーは断ります。しかし,ジュゼッペを始めトニーの母親を始めカロセッリ家の人々の温かく迎えられてルーシーは,特にジュゼッペからはパスタの作り方を教わったり本当の祖父のような親密な気持ちを持つのでした。
さて,カロセッリ家のいくつかの秘密を会社に就職していたローズが暴こうとします。しかもローズは自分がジュゼッペの娘だと言い出す始末。しかしローズの年齢とジュゼッペの既往症の関係でそんなことはあり得ないことが判明します。そして,トニーの出生の秘密。次々と明らかになるカロセッリ家の状況を乗り越えて,ついにルーシーとトニーは華燭の典を挙げます。しかし,その後キャリーがルーシーに3000万ドルの話をすると,ルーシーの気持ちは急降下。トニーはこの危機をどう乗り越えたのでしょうか。まだまだ沢山いるカロセッリ家の女性の孫たち,今度は,この娘たちのシリーズがあれば,楽しみです。イタリア出身の一家らしい大家族主義,そしてチョコレート産業にまつわる様々なレシピやビジネスなど,このシリーズの設定がどんどん広がっていけば良いのにと思います。荒川静香さんがトリノ・オリンピックで優勝できたのは,イタリアのチョコレートが力になったとか・・・。


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オフィスでキスはおあずけ [ミシェル・セルマー]

SHALOCKMEMO861
オフィスでキスはおあずけ Caroselli's Baby Chase
(花嫁は一千万ドル 2) 2013」
ミシェル・セルマー 緒川さら





シリーズ第2弾です。本作主人公はロバート(ロブ)・カロセッリ。前作で経営コンサルタントを招聘する件がでていましたが,本作のヒロインは,まさにそのコンサルタントのキャロライン(キャリー)・テイラーです。経営部門責任者のロブとは,いわば敵同士。しかし,キャリーの思惑は,会社の良好な経営状況を作り出すことで,決してロブを貶めようという気持ちは皆無です。しかも,ロブはたくましくハンサムな男性の典型のようなすてきな紳士。なにかとぶつかるかと思われた二人の出会いはなんとキャリーが赴任の前の週末にシカゴを訪れて一人で飲んでいたところ,偶然ロブがカウンターの隣に座っています。魅力的な女性だと思ってグラスを傾け合ううちに意気投合し,二人はそのままキャリーのホテルの部屋に直行。一夜限りのつまりで愛を交わしてしまいます。週が明けて月曜日,カロセッリ社に赴任したキャリーは,会議に遅れてきた役員の顔を見てびっくり,なんと名前も知らなかった(ロンと聞き違えていました)男性ではありませんか。そんな偶然が,さらに,数週間後,キャリーが到達した経営改善計画案が,事前にロブたちのグループが提案してしていた経営改善案と基本的には一致していたではありませんか。結局ロブたちの経営案が幹部である父親たち世代に受け入れられなかったけれども,一流のコンサルタントによっても同じ結論が出ると言うことで,ロブの株がぐっと上がったのでした。それまで,二人の間にはすっかり愛が芽生えていました。しかし,ロスで活躍するキャリーが果たしてシカゴに移住して仕事が続けられるだろうか。そんな具体的な問題が浮かび上がってきます。しかも,カロセッリ家の内部の人間関係の問題が少しずつ見えてきたではありませんか。まだまだ予断を許さないジュゼッペによる三人の孫の結婚話。前作で結婚したテリーの妊娠も次第に形を帯びてきており,シリーズもさらに熱を帯びてきます。


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本気のキスは契約違反 [ミシェル・セルマー]

SHALOCKMEMO860
本気のキスは契約違反 Caroselli's Christmas Baby
(花嫁は一千万ドル 1) 2012」
ミシェル・セルマー 土屋 恵





カロゼッリ・チョコレート社の総帥,ジュゼッペは92歳を迎え元気はつらつではあるものの,一つ心配の種を抱えていた。三人の男性の孫がまだ一人も結婚していないのだ。ジュゼッペは3人を呼び,2年以内に男の孫が生まれたら一千万ドルをあげようと提案したのだ。総額三千万ドル。一人が抜ければ二人に千五百万ドルという計算になる。こんなプロローグから始まる魅しシリーズです。
第1作の本作はニコラス(ニック)が主人公,ウェブデザイナーのテレサ(テリー)・フィリップがヒロインです。30歳までに子供を産みたいが,結婚はしたくないというテリー。精子バンクから提供を受けようとするテリーにニックは祖父から受けた話をして,テリーとの便宜的な結婚を申し出ます。2週間という慌ただしい準備期間の後二人は結婚式を祖父の家で挙げます。式には離婚したニックの両親も来ていて,いがみ合っているはずが幸せそうでした。父のレオもカロゼッリの社員です。9歳の頃に出逢ってから20年間ずっと友達でいたニックとテリーは,ニックの母親ジーナとも実の母娘のように付き合っていましたので,ジーナは心から二人の結婚を喜び,完璧なカップルと評していました。テリーは式後のパーティの最中バスルームに立ち寄る途中でニックの従兄弟トニーの母サラともう一人の従兄弟ロブの父デミトリオがなにか言い合っているのが聞こえてしまいます。話の内容は良く聞き取れなかったものの。これが後で大きな問題になることが予想されます。新婚旅行では,アルバ島で二人は全く新婚として甘い生活を送りました。そして旅行から帰ってみるとアパートのドアの前にニックの姉のジェシカが暗い表情で待っているのでした。夫との間の不和を抱え,家を抜けてきたというジェシカ。結局ジェシカも新婚である二人のアパートに潜り込んでくるのです。初めは旅行から帰ったら別々の部屋で過ごすことを計画していた二人でしたが状況が変わり,結局同じ部屋で休むことになります。その後も大家族カロゼッリ家ならではの,いろいろな心配事が重なり,二人の状況はますます変化していきます。テリーの妊娠の兆候もなく,やがてクリスマスの前日,テリーへの本当の気持ちに気づいたニックは愛を告白するのですが,テリーがすっかりその事に不安を募らせ,アパートを出てしまうのでした。今彼女を取り戻さずに,いつ取り戻すんだ。そんな気持ちでテリーのアパートを訪れたニック。さて,二人は和解できるのでしょうか。最後のテリーの台詞がしゃれています。
一千万ドルという大金欲しさに結婚を提案したニック。30歳前に子供が星井と願っていたテリー。この二人の便宜的結婚が,ニックの従兄弟のロブとトニーの結婚にも影響していくのは間違いないのですが,三部作で最後に勝利を得るのは誰になるのかが興味のわくところです。


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恋を夢見る白雪姫 [ミシェル・セルマー]

SHALOCKMEMO856
恋を夢見る白雪姫 Virgin Princess Tycoon's Temptation
(愛の国モーガンアイル 7) 2010」
ミシェル・セルマー 大田朋子





シリーズの後半はモーガンアイルの兄弟国トーマスアイルの王族たちを描いている作品です。本作はトーマスアイルの双子ちゃんの妹の方,奔放な王女ルイーザがヒロインになります。ちょっと皮肉屋な姉のアンと違い,何事にも活発でちょっと御転婆なルイーザは,両親ばかりでなく兄や姉たちもが自分を信用せず,何かと干渉してくることにいらだっていました。しかし同時にいつかは自分の愛する素敵な人と出会い結婚することをも夢見ている少女らしい女性でもあったのです。父王が心臓の病で何度も危機を乗り越えてきている状況で,兄のクリスが妻メリッサの出産や国の政治のことで大変であることもわかっていましたし,謎の脅迫者ジンジャー・ブレッドからの脅迫もやや小康状態ではあったものの相変わらずセキュリティーに気をつけなければならないこともわかっていました。しかし,パーティでギャレット・サザーランドと出逢った瞬間,そんなことはすっかり忘れてしまうぐらい,ルイーザの心は高鳴ります。でも,ギャレットは信用できるの? その問題を棚上げし,とにかく知り合うにはなんとか兄たちの目をくぐり抜け二人で会う必要があります。あまりドキドキの状況ではありませんが,なんとか周囲の目やボディーガードの目をすり抜け会う時間と口実を設けようとするルイーザ。しかし,ギャレットの本当の目的を,パソコンのメールで偶然目にしてしまうということで知ることになります。しかも少し前からルイーザ宛にジンジャー・ブレッドからの脅迫メールが来ていることを兄やセキュリティ担当者に報告していなかったので,余計な心配を掛けることになります。このカタルシスを解消するのはギャレット側の誠意ある,しかも熱烈なアタックだけでしょう。乙女から大人の女性への大きな変化を遂げていくルイーザの成長譚。前作のオリビアほどではありませんが,本作もまたヒロインの心の成長が楽しめる一作ではあります。さて,次作は最終作。ジンジャー・ブレッドの正体は明かされるのでしょうか。


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ナニーがついた愛の嘘 [ミシェル・セルマー]

SHALOCKMEMO855
ナニーがついた愛の嘘 The Nanny Bombshell 2012」
ミシェル・セルマー 土屋 恵





愛にあふれたミシェル・セルマーの作品です。終盤秘密が明かされる大逆転もあり,十分楽しめる作品でした。ナニーものは数多くあり,兄夫婦の遺児を弟とナニーが育てるというありきたりの設定ではありますが,ナニーがついていた嘘に裏切られた気持ちで突き放しはするものの,ヒーローが思い直すという部分もそう変わった設定ではありません。それでも本書に惹かれる理由は二つ。一つは訳本表紙の白いドレス姿のヒロインの美しさ。ヒーローのクープが完璧だと言うヒロイン,シエラを彷彿とさせる姿です。もう一つは,ヒロインが妹ジョイとともに語る両親のことが姉妹でも全く見方が異なっていたり,ヒーローの兄夫婦の姿がナニーから明かされて,その本当の姿が見えてきたりする点です。そして,完璧だと思われていたシエラもループが自分の本当の姿を愛してくれるようになることが必要だったこと,完璧な人間などないのだとする作者のメッセージが込められている点だと思います。ありのままがいい,ありのままを愛することが本当の愛だという強いメッセージが伝わってくる作品です。


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恋と数字と王子様 [ミシェル・セルマー]

SHALOCKMEMO847
恋と数字と王子様 Christmas with the Prince
(愛の国モーガンアイル 6) 2009」
ミシェル・セルマー 北園えりか





「愛の国モーガンアイル」シリーズも前作第5作からは舞台を兄弟国トーマスアイルに移し,トーマスアイルの王族たちのロマンスを扱っていますが,本作は前作で結ばれた長男クリスの弟で次男のアーロンがヒーローです。農業を主産業とするトーマスアイルでは,深刻な植物の病気が蔓延し,来年の収穫が危ぶまれるという危機的な状況にありました。その他,国王の心臓病の手術やジンジャーブレッドマンと名告る謎の人物からの脅迫など,複数の問題を抱えていたのです。農業問題で国が救いを求めたのはアメリカの農業科学者オリビア・モンゴメリでした。わずか25歳の若い女性科学者ですが,彼女は天才で,15歳で高校卒業資格を取りあっという間に博士号を取得し,その分野では世界的に一目置かれる存在でした。しかし,母を早くに亡くし,里親のもとを12回もたらい回しにされた孤独な存在でした。小柄で研究のこととなると何時間でも没頭し,いわゆる社交的な生活など全く知らない少女のまま大人になったような女性ですが,初めて会ったときからアーロン王子は彼女がこれまで出逢ったことのない存在であることから興味を抱き,その才能に敬意の念を抱いたのです。初日から一日中ぶっ続けで働く彼女の姿にアーロンはリラックスさせようとビリヤードを教えたり,家族ポーカーに誘ったりと様々な手段でなんとかオリビアを家族の客として迎えようと努めます。そして仕事で凝った肩をマッサージしたりと,身体的な接触をすることでオリビアに誘いの手をさしのべるのでした。それに気づいたオリビアもアーロンの優しさと男らしさを味わいたくて自分からアーロンの首に手を掛け口づけをしていくのでした。そんな積極さもアーロンには好ましいものとして映るのでした。しかし,アーロンは結婚という形式に縛られたくないということをオリビアにも正直に話します。また,アメリカに残してきたオリビアの婚約間近な研究者ウィリアムからもオリビアに何度か婚約の返事を迫る電話やメールが届きます。そしてなにより,出自のハッキリしない自分が王族であるアーロンとの将来を考えることなどナンセンスだという思いから逃れることが出来ませんでした。クリスマスがやってきて,当日の朝,王家の人々が集まり,プレゼントをもらうことになり,オリビアも国王夫妻や皇太子夫妻から,そして自分とは何となく距離を置きたがっているアーロンの双子の妹たちからもプレゼントをもらい,呆然としてしまいます。そしてアーロンを愛していることに気づいていたオリビアはもうこれ以上トーマスアイルに留まっていることが出来なくなり,部屋を飛び出して出国したいとアーロンに告げるのでした。仕事の研究はアメリカでも続けることを条件に。
帰国後,ウィリアムがすでに婚約し,婚約者と一緒に部屋にいるところにオリビアは出くわします。婚約の件を断りに来たのだからと,驚きとともにホッとした気持ちのオリビア。そして何日かアパートの部屋から一歩も出ずにアーロンを失った失意の中にいるオリビアのもとをアーロンが訪れます。二人の愛は稔るのでしょうか。原題の「Christmas with the Prince」は王子様のクリスマスという意味ですが邦題の「恋と数字と」はもちろんオリビアのことを指しています。さて,トーマスアイルを襲うふたつの不幸,植物の病気とジンジャーブレッドの謎は,解決していませんが,きっとオリビアの手で農業問題は解決するのでしょう。


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プライベート・セクレタリー [ミシェル・セルマー]

SHALOCKMEMO845
プライベート・セクレタリー The Duke's Boardroom Affair
(愛の国モーガンアイル 4) 2009」
ミシェル・セルマー 北園えりか





モーガン・アイル・シリーズの番外編というべきか,新たなロイヤル・ファミリーが現れる点では,発展編という感じです。しかし本作のヒーロー,ヒロインは,一族の従兄弟にあたる弁護士のチャールズ。王国が買収しようとしているリゾート・ホテルのオーナーの娘ビクトリア・ホートンがヒロインです。これまでもこの買収話は何度か登場していますので,もはや計画が完成していたのかと思いましたが,ヒロインのビクトリアは,父がこの買収の犠牲者だと思い,チャールズにホテル改修開業まで自分の秘書をして欲しいと言われたときに,断ろうとします。いかにいい条件での雇用であっても,自分の家と思っていたホテルの買収をしようとしている相手が雇用主であることにはとうてい承服できなかったからです。しかも相手は名うてのプレイボーイ。ところが見せられた書類では,父がもう何年も前から借金を重ねており,このままでは二束三文でホテルが人手に渡っても文句のいいようのない状況であることを知り,いい条件で買い取ろうとしている王国の条件が破格の条件であることを知り,父から裏切られたという気持ちを強く抱くのでした。そして,チャールズが彼女のアパートに訪ねてきたとき,運悪く父がドアのチャイムを鳴らしたのです。父に裏切られた気持ちを振り払えないまま,チャールズのアパートで体を重ねてしまうビクトリア。この時には,チャールズの魅力にあらがえないほど惹かれてしまっていたビクトリアでした。しかし,シンデレラを夢見る少女ではないビクトリアは二人の関係に将来があるとは思えず,チャールズもせいぜい数週間しか女性との関係を続けたためしがないことを正直に話しています。それでも,二晩続けての関係,そして会社でもチャールズの誘いを断ることが出来なくなっている,いや,彼女の方から求めてしまう状況に困惑しているビクトリアですが,彼のそばにいるだけで安心できることに気づくのでした。
チャールズの父の誕生日パーティーに誘われて二人で行った大きな屋敷。ビクトリアはそこでチャールズの両親から大変な歓迎を受けます。そして,ダンスパーティでロイヤル・ファミリーも見ている中,二人はダンスの最中にそっと口づけをかわすのでした。そして,思わず言ってしまったビクトリアのひと言,「アナタを愛してしまったみたい」。しかし,チャールズは驚きの表情を見せるだけで,言葉を返してくれなかったのです。やはり,自分はチャールズに愛されていない。そのことに深く傷ついたビクトリアは,黙って会場をあとにし,自分の部屋に向かい荷物をまとめていくのでした。翌朝二人は同じ車で帰ってきたものの車中ではほとんど会話は続きませんでした。1週間後,ロンドンの大手ホテルからの就職を受け入れる返事をもらったビクトリアは引っ越しの準備をしています。チャールズの会社にもずっと顔を出しませんでした。そこにチャールズがやってきます。ビクトリアへの説得がうまくいって二人はゴールするのでしょうか?もうここまでくると,ハッピーエンド以外に考えられませんね。


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罠にかかったプリンセス [ミシェル・セルマー]

SHALOCKMEMO844
罠にかかったプリンセス An Affair with the Princess
(愛の国モーガンアイル 3) 2008」
ミシェル・セルマー 秋庭葉瑠





さて,「愛の国モーガンアイル」シリーズの3作目のヒロインは王家の一人娘ソフィーことソフィア・レネイ・オーガスタス・ミードです。過去に愛した男性アレクサンダー(アレックス)・ラトリッジとは,王女という身分から,意に反して別れざるを得ませんでした。しかしアレックスの方はソフィーに一方的に捨てられたと思っています。そして今,アレックスが兄フィリップ国王の招きでモーガンアイルにやってきていて,島の案内はソフィーに任せると言われてしまったのです。もうすっかり忘れてしまったのか?いえ,ソフィーの体も心もアレックスを忘れることは出来ていませんでした。そのことは二人が逢った瞬間からソフィーにはわかってしまっていたのです。しかもアレックスは何かにつけてソフィーに触れたり,意味深な言葉を掛けてくるのです。実はアレックスはソフィーに捨てられた復讐のため,わざとソフィーを誘惑し,最後にはソフィーを捨てようと企てていたのでした。アレックスの滞在中二人の微妙な関係が続いていきます。逢っても地獄,逢わなくても地獄という状態が数日続いていきます。その問題を解決するためにソフィーがアレックスに提案したのは衝撃の方法でした。
アレックスが離婚したばかりだということを知り,ソフィーの心の中にアレックスを愛し続けていたことがはっきりしてきます。でも数日でアレックスは島を去って行きます。そしてソフィーは島を離れることは出来ません。そんなジレンマを解決するのは,二人の相性を確認し合い,そして潔く別れようというものでした。家族の中の関係で,二人のこの機会は失われようとしたり,突然可能な状況になったりと結構読者をやきもきさせます。
文中,SPFという言葉が出てきました。調べてみると「SPFとはSun Protection Factor(サン プロテクション ファクター)の略で紫外線防御指数。SPF30の日焼け止めを利用した場合、赤い斑点が現れる時間を30倍に延ばすことができるということになる。」ということでした。海での日焼けは西洋人にとっては結構大変なことのようですね。
モーガンアイルの王家を巡る3人のヒーロー,ヒロインのロマンスもこれで一段落はしましたが,なにせ前国王の奔放な女性関係により,半分血の繋がった兄弟姉妹がもっといるはずだ,というのは予想のつくところ。本作でもメリッサ・ソーンズビーの存在が示されていて,シリーズがまだ続くようです。


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