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大富豪と禁断の果実 [ヴィクトリア・パーカー]

SHALOCKMEMO990
大富豪と禁断の果実 A Reputation to Uphold 2013」
ヴィクトリア・パーカー 山本みと





先月発刊の「支配者と運命の女(背徳の富豪倶楽部3)(SHALOCKMEMO952)」に引き続き,前作とは対照的な甘いラブロマンスという紹介のあったヴィクトリア・パーカーの作品です。マスコミに数々の話題を振りまき,お騒がせお嬢さんとして知られるエヴァ・セントジョージですが,本当の姿は全く異なっていました。母の病を気に立ち上げた財団の慈善パーティーにスピーチするはずだった兄が来られなくなり,全責任がエヴァに委ねられてしまいます。しかも,自分の代わりに,あのダンテ・ヴィターレを寄越すというのです。とっさに電話でそれを断ろうとしましたが,すでにダンテは到着していたのでした。「自分の面倒は自分で見られるわ」とダンテの助力を断ろうとしますが,何かにつけて不安なエヴァはダンテが手をさしのべようとする機会を作ってしまいます。男たちを渡り歩くという評判を定着されてしまったエヴァは,過去にダンテに相手にされずに傷つき,表の顔とは違ってダンテ以外の男性には手を触れられるのも嫌だという気持ちを持ち続けています。さらに,祖母,母と2代続いた乳がんの遺伝子を自分も受け継いでいて,すでに良性の腫瘍を除去する手術も経験していたのでした。自分はおそらくいずれ発病し,愛する人との間の子供も長くは面倒を見られないだろうと結婚に対する希望も失っていたのでした。そんなエヴァに,ダンテはマスコミで報道されているとおりのお騒がせお嬢様としての扱いをしようとします。しかし,エヴァには男性には逆らいがたいセックスアピールと,エヴァの兄と自分が親友であり親友の妹に対するように接しなければならないという思いに板挟みにされたダンテは,敢えてエヴァに冷たく当たろうとすることで二人の関係を進展させないようにしようという気持ちが働いていたのです。ところがエヴァがデザイナーとして自分のブランドを全く初めから構想し立ち上げ,今まさに大口の契約を得ようとしていることを知り,ダンテはエヴァに対する尊敬の気持ちを持ち始めます。ダンテも婚外子であることから父の家族から無視され,その屈辱をバネに必死に努力し,現在の富豪としての評判と事業家としての成功を勝ち取ろうとしていたところでした。ロンドンの大手デパートの買収。それが目下の大きな目標です。それを所有しているのは日本人のナカタニ氏。ナカタニ氏は家族を大切にすることで知られており,独身のダンテには至急せめて婚約者が必要だったのです。そこでダンテはエヴァに自分との契約婚約を提案します。エヴァが心を開ける男性は勿論ダンテしかいないのですが,それをダンテに知られてしまうと自分をきっと言いなりにしようとするだろうと考えたエヴァは,この契約がある意味ふさわしい関係かもしれないと思い承諾するのでした。ナカタニ氏を接待するパーティをアジアの自分の島で開くダンテの婚約者としてエヴァも一緒に行きます。その前にエヴァのデザイナーとしての大きな契約は残念ながら断られたのでした。ダンテはエヴァの心の奥にある恐怖に気づくのでしょうか。そしてダンテの事業への情熱の背後に潜んでいる父親の家族への憎しみをエヴァは癒やすことが出来るのでしょうか。
持って生まれた美貌と財力,それに頼らずに自力で才能を発揮させようとするエヴァの生き方に感動し,しかも自分にせまっている病気への恐怖との戦い,そんな切ないエヴァのハッピーエンドを願わずにいられないロマンチックな作品です。ヴィクトリア・パーカーの作品に対する興味はますます沸いてきました。いずれ訳本が出るのでしょうが,デビュー作“Princess in the Iron Mask”を購入しました。


タグ:ロマンス
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支配者と運命の女 [ヴィクトリア・パーカー]

SHALOCKMEMO952
支配者と運命の女 The Ultimate Revenge
(背徳の富豪倶楽部 3) 2014」
ヴィクトリア・パーカー 片山真紀





 「背徳の富豪倶楽部」シリーズの最終巻です。いよいよ謎のクラブ主宰者ゼウスの正体が明らかになります。ヴィクトリア・パーカーの訳本が出るのは本作が初めてですが,2013年以降精力的に作品を上梓している今注目のロマンス作家のようです。7月には「大富豪と禁断の果実」の出版が予定されています。
 さて本作は復讐譚ですが,最終章で復讐にいたる事件の全容が語られ,ヒロイン,オリンピア(ピア)・メリージとヒーローであるニカンドロ(ニック)・カルヴァルホとが敵同士となるのかどうかが明かされています。Qヴィルトゥスは一度つぶれてしまうのではないかと考えられましたが,後継者が健全な会員制クラブとして復活させるという落ちがついています。舞台は熱帯のザンジバルから北極圏の町へ,そして情熱と灼熱の町バルセロナ,美の町パリ,最後に南太平洋の島へと全世界を巡ります。室内の描写も勿論多いのですが,北極圏の描写,オーロラの現れる部分などはとても優れています。作者のヴィクトリア・パーカーについては余り書かれていることがなくて,イギリス出身で5月5日生まれ,ぐらいです。これからの作家ということでしょう。
 ネタバレになってしまうので本差のあらすじについてはほとんど書けませんが,エピローグで三組の夫婦が集まり,中でもオリンピアが一番元気で幸せそうな様子が伝わってきてホッとします。


タグ:ロマンス
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