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眠れぬシンデレラ [ジェシカ・ギルモア]

SHALOCKMEMO1337
眠れぬシンデレラ His Reluctant Cinderella 2014」
ジェシカ・ギルモア 中野 恵





 原題は「気が進まないシンデレラ」
 ヒロイン:クララ・カースルトン(29歳)/家事代行サービス会社「カースルトン・コンシェルジュ」経営,シングルマザー/グリーンの瞳/
 ヒーロー:カスター・ラファティ(ラフ)(31歳?)/国際的強力医師団プロジェクト・マネージャー,百貨店副社長/双子兄妹の兄,身長188センチ,ブルーの瞳,ダークブロンドの髪,通った鼻筋/
 ベビーシッターから庭師,犬の散歩代行業者,最高級の料理やバスルームの清掃手配まで何でもこなす家事代行業社で町にとってなくてはならない存在になっているクララはシングルマザー。10歳の娘サマーには何の興味も示さなかったバイロンとその家族たちを見返すために,クララは仕事にも育児にも懸命に取り組んできました。そんなクララの元を訪れたのはラフことカスター・ラファティでした。ラフは双子の妹ポリーの連絡先をクララに教えて欲しいと,なぜならポリーが留守の間の家の管理をクララの会社が引き受けており,連絡先をクララに指定していたからでした。ポリーは大手百貨店「ラファティズ」の経営をしたいと昔から望んでいましたが,女性だという理由でそれは認められず,ラフが副社長,そして後継者として指名されていたのでした。しかし,かつて医学を志していたラフは,経営学を専攻してMBAも取得し,6年間ラファティズで働いたのち,「国際協力医師団」のプロジェクト・マネージャーとして世界各地の貧困や紛争地域に出かける生活をしていたのでした。いよいよラファティズの実質経営者の祖父が病気になり,しかも代理を務めていたポリーが出奔し・・・,と状況が激変したため,イギリスに帰国してきたのでした。ポリーとクララは親友であり,ラファティズの経営をしたいと考えているポリーの気持ちをよく知っています。ラフが戻ってきたことでポリーの要求が通らなくなる可能性もまだあるのです。ポリーの気持ちをラフもよく知っていました。そしてラファティズを継ぎたくないという自分の気持ちも。クララはポリーの家にラフを案内し,翌日にはもういなくなるだろうと思っていましたが,出会ったときからラフを男性として意識してしまう自分にも気付いていました。娘のサマーは父の家で預かってもらっています。父はデリカテッセンの高級料理を作っており,クララの仕事とも深いつながりがありました。シングルマザーの娘を思い両親は男性との付き合いを奨励しているのですが仕事にかまけて,その意向を断ることの方が多かったのです。友人のスタイリストのマディは,ネットで男性と知り合えば良いなどといいますが,以前サマーの父親バイロンにひどい目に遭った経験から,男性との付き合いには慎重になっているクララ。もし今度付き合うとしたら「完璧な男性でなければ」という思いが強くあったのです。「思慮深くて,勤勉な人」つまりつまらない人,というのがクララの考えでしたが,あくまで娘優先の考えから少しも逸脱できないでいるのです。マディとクララが一杯引っ掛けているパブに,ラフが入ってきます。そして真っ直ぐクララの元にやって来たではありませんか。そしてラフはクララの暮らすフラットまで送り届けたのでした。翌日からラフからの連絡はないかと始終気にすることになってしまったクララ。三日後にオフィスにラフがやって来ます。そして仕事の依頼をします。臨時のガールフレンドになってくれないかと。「ココハエスコート・サービス」は引き受けていないというクララの返事にラフは事情を話し始めます。祖父に付き合っている女性がいると知らせなければ無理やり女性を紹介されてしまう状況になっていたからでした。ラフの祖母も母も夫たちの前から姿を消して自分たち兄妹をほったらかしにしたという幼少時代を過ごしたラフは,結婚,家庭,愛情を知らずに過ごしたのでした。一方クララの元にサマーの父親のバイロンから連絡が入ります。臨時ガールフレンドを引き受ける代わりに,ある人と会うときに一緒に行って欲しいと条件をつけるクララ。一人ではバイロンとの対決に冷静に話ができないかもしれないと恐れたからでした。練習と称してデートに出かけ,レストランやサバイバルゲームに連れ出すラフにクララはサラに惹かれていきます。そしてサマーをも遊園地に連れて行き,親子のように過ごす一日。ところがその遊園地のジェットコースター事故が起こり,サマーとラフは地上10メートルの高さで宙づりにされてしまいます。パニックになるクララ。救出まで1時間以上がかかりましたが,無事に二人は地上に戻ることができたのでした。怪我をしてはいけないと行動にさまざまな制限をしてきたクララの子育てでしたが,父親がいればサマーも安心して過ごすことができるかもしれない。でもラフは世界各地を飛び回る生活。一年のうち数ヶ月しかいない父親は必要ないと,ついにクララはラフとの別れを決意します。ラフもまたクララにふさわしいには自分ではなく,もっとクララとサマーを優先してくれる完璧な男性だと自分を納得させ,ヨルダンに行ってしまうのでした。愛されることを知らずに育ったラフはどうやって家庭を築いたら良いのかわからずにいたのです。
 ポリーが産まれたオーストラリア,シドニー。そこでバイロンと会う約束になっていました。そこになんとラフが現れます。そしてバイロンとの会合に付き合ってくれたのでした。「私はあなたが欲しい。あなたを心から愛しているのよ」とついにクララはラフに告白します。二人の接点はどうなるのでしょうか・・・。
 美しいクララがラフによって安心を得られるのでしょうか。いたずらっ子のようなラフの魅力もあり,二人の相性の良さが読者を幸せな気持ちにさせてくれるオススメの好著です。


タグ:イマージュ
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伯爵との一夜のあとで [ジェシカ・ギルモア]

SHALOCKMEMO1170
伯爵との一夜のあとで Expecting the Earl's Baby
Summer Wedding 2 ) 2015」
ジェシカ・ギルモア 小池 桂





 ジェシカ・ギルモアの初邦訳です。イギリス貴族の伯爵位を継いだばかりのオックスフォードの歴史学者セバスチャン(セブ)・ベレスフォードがヒーローです。その管理する城,ホークスリー城は結婚式場として一般に貸し出されていますが,その結婚式にウエディングフォトグラファーとして訪れたデイジー・ハンティンドン=クロスがヒロインです。ミュージシャンの父と女優兼モデルの母と花の名前を持つデイジー,ヴァイオレット,ローズの三人は有名人を両親に持つ美女三姉妹として常にマスコミに追われる存在でした。長女のローズと次女ヴァイオレットは双子。ローズはマスコミから逃れるためにニューヨークに渡って仕事をしています。末っ子のデイジーは姉たちと常に比較され,跳ねっ返り娘として常に問題に巻き込まれ,16歳で学校を退学させられたことで名を売ってきました。なんとか普通の公立高校を卒業し,家族に面倒をかけないように芸術専攻の大学に進み写真家として目立たずに,独立した生活を目指してきたのです。経済的にはなんの心配もいらない富裕な家庭ですが,親に甘えることなく自立の道をたどってきたデイジーの独立心とたくましさは尊敬に値する,と,彼女の話を聞いたセブは思うのでした。二人が出会った初日,雪で立ち往生して帰れなくなったデイジーをセブは城の中に案内し,そのまま二人は深い関係を結び,やがてデイジーの妊娠が判明します。父親になることを知らせておくべきだと考えたデイジーは再びホークスリー城を訪れますが,最初城の管理人だとばかり思っていたセブが実は城の持ち主で伯爵位をもっていることを明かされて驚きます。自身も祖先に准男爵を持つ家系にいることをデイジーは知っていましたが,二人の間の子供のことを考えて結婚しようと言ってきたセブの考えにはすぐにYESは言えませんでした。盛大な結婚式と愛にあふれた幸せな家庭を当然と思ってきたデイジーにとって子供のための便宜的結婚は想定外だったからです。しかし結婚した両親から生まれた子供でなければホークスリー城も伯爵位も継ぐことができないと言うセブの説得に負けて,デイジーは結婚を承諾します。そして家族には妊娠のことを明かさずに婚約のことだけを告げたのでした。さっそく翌日からデイジーの母シェリー・ハンティンドンがスタッフを引き連れて城にやってきて3週間後の結婚式の準備に取りかかったのです。マスコミにサラされるのを嫌い内輪で内々に結婚式を挙げたいと考えていたセブの思惑はすっかりシェリーの勢いに揺さぶられてしまいます。しかしデイジーの小さいときからのみんなに祝ってもらえる盛大な結婚式という想いを叶えてあげるのも必要と考え,全面的にシェリーに任せることにするのでした。二人の間に危機が訪れたのは結婚式の3日前。マリッジブルーというのか,やはり愛のない便宜的結婚が目前に迫ったときデイジーの心に迷いが生じたのです。セブに告げずに城を出て実家に戻ったデイジーを父親のリック・クロスが結婚式で演奏しようと準備していた曲をギターで弾いて聞かせ,どんな形であれ,デイジーの味方であると慰めてくれる父に,時には人に頼ることも必要だと気付くデイジーでした。一方デイジーが見当たらなくなったことで,その日の朝にホークスリー城の改革案を熱心に披露したのを冷たく断ったせいだと後悔し始めたセブは,どうやったらデイジーの心を取り戻せるか思案し,ニューヨークのローズに連絡を取ってサプライズの計画を立てるのでした。
 盛大な結婚式の様子はその準備段階での様子を中心に描かれ,あまりページが割かれていませんが,準備どおりにうまくいったことを読むだけでその様子が伝わってきます。そして家族に妊娠を打ち明けたことで,愛想を尽かされると思っていたデイジーの予想に反し,返って家族がこの結婚を喜んでくれたことで,デイジーにもすっかり二人の結婚の将来に大きな夢を抱くことができたようです。セブ,デイジーそれぞれの成長譚にもなっています。そんな良好な関係の家族を描いたこのシリーズ,長女のローズのロマンスはスカーレット・ウィルソンが,次女ヴァイオレットのロマンスはソフィー・ペンブロークが描きます。


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