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闇に消えた花嫁 [モディーン・ムーン]

SHALOCKMEMO1319
闇に消えた花嫁 Forgotten Vow
( Wedding Night 1 ) 1996」
モディーン・ムーン 南 和子




D-1720
16.08/¥720/156p

D-0782
99.02/¥641/156p


 原題は「忘れられた誓い」
 ヒロイン:アリソン・ジェニファー(ジェニー)・ロング・カールトン(?歳)/画家/濃い非の打ち所のない美人,木の妖精の生まれ変わりのよう,茶色の髪/
 ヒーロー:エドワード・ウィリアム・レンバーグ・カールトン四世(35歳)/新聞社社主/黒い瞳,彫りの深い引き締まった顔,指が長く力強い手/
 エルパソから1時間,ニューメキシコ州アバロンの郊外の岩山で高校生によって発見された女性は全身に傷を負いしかも数日間放置されていたらしく肺炎を併発して,もはやその命の火が消えようとしていました。しかし奇跡的に回復した彼女には更なる運命の悪戯が待っていました。盲目で記憶喪失。絶望的な彼女の境遇にアバロンの町の人たちは同情を寄せ,その愛情豊かで気立ての良い性格に好意を持ち聖アバロン教会の牧師館に引き取られた彼女に誰しもが自分の娘のような愛情を注ぐようになっていました。一方,四代にわたり新聞社を経営してきたカールトン一族の長,エドワードはサンフランシスコの新聞社の編集長から送られてきた一通の手紙と数枚の白黒写真を見て,結婚式から8時間後に忽然と消えてしまった妻ジェニーであることを知り,何はさておき,エルパソに自家用機で飛び,レンタカーでアバロンの牧師館を訪れます。自分には高額な債権と自らの作品の絵をすべて持ち去り書き置きを残していった妻が,なぜそんなことをしたのか,一人だったのか誰か男がいたのかと,腹立たしい気持ちでいたのですが,牧師からの説明と,同席した保安官の事情説明から,慎重にジェニーの様子を眺め,躓く彼女を見て失明していることに気付き,衝撃を受けます。あのはつらつとしていた妻が,こんなにもやせ細り,しかも頼りなげに前に進む様子を見て,彼女を守りたいという気持ちが強くなるのでした。記憶喪失のため,自分自身の名前も思い出せず,しかも病院に運ばれたときに口にした「レン」という一言を看護師が聞きつけたこと以外,未だに回復しておらず,しかも彼女の描いた絵が牧師館の暖炉の上の壁に飾られているのを見たとき,彼女に同情の気持ちと,未だに信じられない気持ちの間で揺れ動くのでした。もし,「レン」がかつて妻が自分を呼ぶときに好んで使っていた「レンバーグ」の略称だとしたら記憶喪失も真偽を疑う理由になるからです。仕事の場所をこちらに移し,妻の回復と事件性について調べていくうちに,二人のアパートの管理人が姿を消し,アシスタントのマドリンが結婚前に彼女の過去のプロフィールを自分に内緒で調べていたことを知ります。25年前に母に裏切られた経験を持つエドワードは,自分のスタッフには裏切られないよう慎重に人選してきたのですが,マドリンはその中でも最も信頼を寄せているスタッフでした。何か動機があったのだろうと思い,あまり気にしていなかったのですが,念のため弁護士にそのファイルを送らせるよう指示したところ,自分のオフィスにも弁護士のオフィスにもそのファイルがないという報告があったのです。何者かが妻を利用し,そのあげくに事故に装って妻を殺そうとしたのか・・・。あるいは自分を貶めるために妻を利用したのか・・・。そして妻と散歩しているときに2発の銃弾で狙われたことで,物語は急展開します。真犯人はだれか?誰が何のために?自分は妻を守り切れるのだろうか?
 サスペンスものとは異なりロマンス小説らしく事件は凄惨な感じを避け,真犯人の動機もロマンスふうにまとめられています。誰にでも愛される妖精のような美しいジェニーはこの後どうなるのでしょうか。ひたすらヒロインの運命に感情移入していってしまうテンポの速いストーリー展開にすっかり引き込まれてしまいます。イチオシの作品です。ムーンといえば,エリザベス・ムーンしか思い浮かびませんでしたが,こんな名作を残した作家の作品,もっと読んでみたいですね。


タグ:ディザイア
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